二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

INTRODUCTION ( No.1 )
日時: 2011/08/18 19:18
名前: 蓮華 (ID: 8cMqndJ6)
参照: 紳士って最高だよね。


海に、一人。
比べ物にはならないほどの大きな月を背景に、影が舞う。
海を歩くという、前代未聞の出来事が、この世界では当たり前。
影の足元をよく見ると、氷が足場を作り瞬時に融けていく。
不意に影はしゃがみ、海に小さく小さく息を吹きかける。
息が触れた所から、蝕むように、染めるように雪が広がって、追う様に氷と化していく。

影は愛しそうに哀しそうに笑ってその上に雪を積み、座りこんで。

そして、あんなに近いのに決して届かない月を、赤い瞳でじっと見た。

暫くして、其処に来た時と同じ様に海を歩き、船に戻っていく。


いつからか、彼女は“兎”と呼ばれた。