二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 49章 夏…新たな出会い ( No.94 )
- 日時: 2018/02/13 18:58
- 名前: 霧火 (ID: OGCNIThW)
「短時間でライモンシティを出る方法?」
「ああ。何でも良いんだ」
救出された2人は遊園地であった事をアヤネに説明した。
正直アヤネを巻き込むのは避けたかったが2人の──子供の頭で考えるのには限界があったため、
大人のアヤネの力も借りる事にした。
三人寄れば文殊の知恵、である。
「…そういう事なら、列車を利用したと考えた方が良さそうね」
「!そうか、その手があったか!」
「列車?」
アキラは合点がいったとばかりにパチン、と指を鳴らす。
話についていけず、疑問符を浮かべるリオにアヤネは人差し指を立てる。
「説明しますね。この街には【バトルサブウェイ】っていう、施設から乗り込める地下鉄があるの。
その場所は名前の通り、バトルをする為の施設ですが、勝負を行う列車の中で1つだけ…
用途が違う列車があるんです。
それが──」
「えー…まもなく、カナワタウン行き列車が発車致します。ドアが閉まりますので、
ご注「「その列車、待ったーー!!!」」Σい!?」
車掌がドアを閉めようとしたその時、物凄い勢いで子供が階段を駆け下りて来た──リオとアキラである。
2人は勢いを殺さず、野球選手顔負けの滑り込みで乗車に成功した。
※危険ですので絶対にマネをしないで下さい※
「滑り込みセーフ…ってか?」
「この列車を逃してたら、1時間近く待つ事になってたわね…」
「つーか、ほっぺに泥付いてんぞリオ」
「アキラこそ。おでこに思いっきり泥が付いてるわよ」
互いに頬や額に付いた泥を見て吹き出す。
倒れ込んだまま指差し合って笑う男女の姿は中々シュールである。
リオは内心、乗り込んだ車両に人が少なくて良かったと思った。
そんなリオの上に、1つの影が落ちた。
「女性がいつまでも床に寝そべってるなんて、はしたない」
嘆息して綺麗な手を差し伸べたのは青い髪と瞳、オレンジと黒を基調とした服を着た少年。
身長からして、リオより2〜3歳程年上だろうか。
「あ、ありがとう」
「礼には及ばないさ」
リオが手を乗せた事を確認すると、少年は引っ張ってリオを立たせた。
倒れない様にと背中を支える事も忘れない。
紳士的な対応をした少年に再度お礼を言うリオ。
その様子を見ていると、アキラの上にも1つ影が落ちた。
「立てるかい?」
「あ、すみませ……」
目の前にある手を取り、顔を上げたアキラに電流が走った。
「なぁに、気にする事は無いぞ少年」
そう言って力強く手を握り返したのは、額に汗を滲ませた山男だった──
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「まだかな……」
一刻も早く犯人に追い付きたいという気持ちが焦って、リオは頻りに外を眺める。
カナワタウンは鳥ポケモンに乗って来れない場所にあるため、移動手段はこの列車しかない。
(…頭では理解してるけど、こうしている間に犯人がもっと遠くに逃げちゃったら…)
ネガティブな考えが頭に浮かんでは消える。
一方、アキラは──
「少年はボクの名前知りたくないのか?」
「…特に興味ないっす」
額に汗を滲ませて顔を近付けて来る山男にギギギ、と首を捻って顔を逸らしていた。
「遠慮するな少年!名前を知る事から2人の仲は進展していくんだぞ!」
「……俺が進展を望むのは女性だけなんで」
力無く笑うアキラ。
しかし山男は拗ねた様にアキラの肩を叩く。
「ノリが悪いぞ少年!そこは普通、名前を聞く物だぞ!」
(………早く目的地に着けこの野郎!)
車掌のアナウンスが流れたのは、それから3分後。
リオとアキラが外を見ようと顔を挙げた時だった。
〔まもなくカナワタウン〜、カナワタウンです。ご降りの際は荷物のお忘れの無いよう、お願い致します〕
「アキラ!」
「…やっとか!!」
少し離れた所で俯いていたアキラに声を掛けると、アキラは嬉々とした表情で立ち上がり、
扉の前に居たリオの隣に並ぶ。
そして扉が開くと同時にリオ達は外へと飛び出した。
「何故あんなに慌てているんだ?(特に赤い髪の少年)」
扉から入る風が少年の青い髪を揺らす。
不思議そうに首を傾げていると、野太い声が後ろからした。
「少年待たせ……む?少年?少年は何処だ!?」
「…赤髪の彼なら金髪の女の子と一緒に降りましたよ」
ハンカチで手を拭いている山男から距離を取り、外を指差す。
「ぬぅ…!ボクがトイレに行っている間に…!!」
「………私も降りるとしよう」
悔しそうに唸っている山男に背を向け、少年は列車を降りた。
「今度会ったら、名前を聞くまで逃がさないぞ少年…!絶対にだ!!」
山男がこんな決心をしている事を、リオ達は知らない。
今回新たに登場した2人ですが、既に気付いている方も多いでしょうか?
はい、夏のライモンシティで色々な意味で有名なあの2人です。
「時期的に出るなー」と思ったので、勢いで出してしまいました。…山男、動かしやすいです(笑)
山男はかなりのギャグ要員なので、今作──BW2にも出る気がします(あくまで勘ですが)。
BW2を買って、まだライモンシティに着いていないので今から楽しみです。
…すみません、話が逸れました。
次回、遂に犯人とリオ達が対峙する…!?
それでは次回もお楽しみに!