二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.105 )
- 日時: 2012/12/05 02:13
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: 4HUso7p7)
- 参照: 第三篇/Like Wolf or Like Me? (泣き虫の傲慢)
少しだけ静けさがその場に流れて、静かな声がそれを破った。
「ピット、先に戻って説明していておくれ。彼女は無事だって」
「マリオさんは戻らないの? 早く戻らないと、マスターの胃に穴が開いちゃうよ。マスターの心配性っぷり、見てて哀れなくらいだし。ましてリーダーのマリオさんと肝心要の小夜子さんが戻らないなんて」
的を射た意見だろう。しかしマリオはそれを、彼らしくない冷ややかな声で突っぱねた。
「あのねえ——ピット、彼女は何がどうであれ泣いているんだ。この状態で連れて帰るなんて、あまりにも酷じゃないかい? 君は女の子が泣いているサマを、状況が許さないからって見過ごすたちなのかい? そうだと言うなら、僕が責任を持って、無理にでも連れて帰るけど」
どちらも正論のような気はする。どちらが正しいのかは、私にも分からない。
「むぐぐぐ、分かった、分かったよもう! 先に戻るよ。でもマリオさん、なるべく早くね」
「それは保障できないなあ。何しろ、泣いてる女の子は気難しいと相場が決まっているんだ」
どれだけかかるやら、とマリオは肩をすくめる。半ば呆れたように、半ば諦めたように溜息を吐き、それじゃあ、と短い捨て台詞を残して、ピットは屋敷に向かい駆けていった。
「——」
途端、足から力が抜ける。これだけはと理性が留め、喉の奥に押し込んでいた嗚咽が零れた。しかし私は思い切り息を吸い込み、歯を食い縛って、それ以上の醜態を晒すのは堪える。
まだ崩れるな、此処で崩れてしまったら、精神がもたない。
頭の片隅で、「私」がそう言っている。
しかし、私の傍に残ったリーダーは、「私」と正反対のことをさらりと言ってのけた。
To be continued...
人情と涙に脆いリーダーと現実主義者な天使の会話。
亜空の使者で頭を踏んづけられたからか、あまりにも夢のないことを言うからか、なんとなくピットに冷たいマリオです。