二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第零章/The Strongest Fighter? ( No.3 )
日時: 2012/08/25 21:49
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: x40/.lqv)
参照: 第二篇/Nice to meet you. (まずは、「初めまして」から)

 「…………は、ぁ?」
 覚悟を決め、悟りさえ開きかけた私を包んだのは、爆音でも衝撃でも、痛みでもない。
 安らかな静けさと、落ちるときとは全く質の違う浮遊感だ。私は肩で大きく息をして跳ね上がる心臓を落ち着かせながら、ゆっくり辺りを見回してみる。
 目下には広々と、のどかな夜の世界が広がっていた。私のすぐ下に見える赤い屋根の建物以外、特段に高い建物は見当たらず、遠くの丸みを帯びた地平線までよく見える。見上げてみれば、満天の星空がとても綺麗だ。流星が空を横切る。ナイスタイミング。
 ゆっくりとこの見惚れんばかりの景色を二回見渡して、やっと私の心臓は落ち着いてくれた。

 ——すっかり腰の抜けた私の下敷きになっている、この白手袋のことを、忘れてはいけない。
 「あの、その、えっと……あ、ありがとうございます」
 ゲームの中での名前は、マスターハンド。姿としてはでかい右手用手袋なのだが。
 「こちらこそ、ありがとう。背中を犠牲にした甲斐はあった」
 これ、喋る。
 「たかが右手袋にアテレコしてるだけじゃねぇか」とか言ってはいけない。彼、公式で「創造の化身」なのだ。つまり神様。ネット上に流れている二次創作でも、マスターハンドはスマブラメンバー随一の実力を誇る創造神として、メンバーの頂点に君臨していることが多い。
 まあ、ヘタレキャラ扱いも同時にされていることが多いのだけれど。

 「……すまないが」
 少し苦しそうな声で我に返った。
 「女性にこんなことを言うのは失礼なのだが」
 大体予想はつくよ。うん。
 「とりあえず降りてもらえないか。その、重い」
 「ですよねー」
 健康体の高校生は五十キロくらいあるものです。誇っていいじゃないの健康な証。
 閑話休題。
 いつの間にか、私は地面近くまで下ろされていた。あの時身を貫いた強烈な恐怖のせいで、少しへっぴり腰の上膝が笑ってしまっているけれど、それでも支障があるレベルじゃない。掌から飛び降りて、乱れた服を少し正す。マスターハンドの方は人がそうするように手を振って、付いた土埃を落としていた。

To be continued...

 マスターハンド登場。
 ロボットとかオリマーとかソニックとか好きな人はかなり待っててください(´・ω・)