二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第零章/The Strongest Fighter? ( No.5 )
- 日時: 2012/08/27 01:55
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: x40/.lqv)
- 参照: 第二篇/Nice to meet you. (まずは、「初めまして」から)
それから数秒もかからず。
「此処だな……ん、右手?」
「Master hand? Why are you in there?」
「@+~¥$〜〜」
どやどやと、あの画面越しにしか見たことのなかった面々が駆け込んできた。暗くてよく分からないが、先頭は懐中電灯を持っている。あの渋い声と口ぶりからするに、そうめ……いや、ファルコか。それからミスターニンテンドーと、何やらぽよぽよぺぽぺぽ言ってるのはきっとカービィだろう。
「君、今の内にそれ」
「あっはい」
マスターハンドから貰った翻訳機のスイッチを入れ、イヤホンを耳にかける。途端、今まで何と言っているのかサッパリ分からなかったいくつもの言葉が、私の分かる言葉になってイヤホンから流れてきた。
「マスター! 断末魔みたいなのが聞こえたんだが!?」
これは日本語。八十年ローンを背負った遊撃隊の隊長だ。マスターハンドは生返事している。
「あれ、キミは? 見たことないけど」
配管工兄弟の緑の方……ルイージが私に気付いた。
その一声で皆の視線が一斉に私へ向かって集中する。誰もそういうつもりで見てるんじゃないとは思いたいけど、目つきが鋭いです皆さん。怖いです。威圧されてるようにしか感じないです。ちょっと殺気を感じます。
「ホラ、早く」
小さく右手に促されて、私はやっとの思いで口を開いた。
「え、っと……その、あたしは小夜子(さよこ)と言います。どう言ったら良いのかな、そう、『あっち』の世界からマスターさんに招かれて、あの、その『こっち』の世界に来ました。いきなりのことだったから何が何だか分かんないし、『こっち』の世界のことは全然知らないんですが、ヨロシク……」
「あっち……?」
「こっち?」
何だか眠そうな声を上げたのは、子供勢のようだ。その中でもきっとリーダー格なのであろうネスは、パジャマ姿ながらも若干警戒態勢。さすがネスサンと言った所だ。ただ、警戒中の彼は割かし怖い。
「ネス、そう警戒するな。私が招き寄せた客人だよ、彼女は」
「あら。そんなこと出来まして? マスターさん」
苦笑するマスターに聞いたのは、こちらも就寝モードのゼルダ姫。……と言うか、見回してみれば大人もほとんど就寝体制だ。ナルシスト王子に至っては何を焦ったのやら、パジャマの上から甲冑を着ている。
「一応な。だが、無理矢理連れて来たわけじゃない。彼女が自分で此処に来ることを選んだのだよ」
そう、私は私が選んで此処に来た。
そして釣られたら、とんでもない水槽に入れてもらったのだ。
そうじゃなかったら、今私はこうして辛うじてながらも冷静を保っていられるわけがない。いきなり空の上から落とされて、ゲームで見慣れたとは言え自分の背丈よりも大きな掌にキャッチされて、ゲームの中でしか見たことのないキャラとこうして顔を付き合わせて、平然としていられるわけがない。
「そうなのか、小僧」
何で此処で豚の魔王なんだろう。とりあえず質問には答える。
「そうです、自分で此処に来ました」
身長百六十センチの私より頭三つ分くらい彼は高いから、見上げないと顔が見れない。
てか、意外に眼優しいなこのおっさん。
「ふん」
鼻で笑うなよ! こっちは大変な思いしたって言うのに!
「とりあえず、庭で立ち話はなんだ。リビングの方に行かないか」
「すぁんせぇーい……」
ダルそーな声の主は、私の足元にまとわり付いているこのピンク球だ。熟睡していたところを叩き起こされたのだろう、帽子と抱き枕を抱えて、今にも寝そうに半眼をこすっている。口元のとめどないヨダレは、夢でご馳走でも堪能していたのだろうか。起こしてごめんなさい。
「さあ、行こう」
そんなこんなで、私達は目の前に聳え立つ赤い屋根の屋敷、その一階をほぼ占拠している、リビングへ向かうことにしたのだった。ちなみに、一階は外観を見た感じ、リビングと台所しかない。
To be continued...
ちなみに「豚魔王」とはガノンドロフのことです。
スマブラ屋敷は赤い屋根の家。