二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.74 )
日時: 2012/12/08 23:40
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: 4HUso7p7)
参照: 第六篇/Secret Reason (棄てられた名前)

 「ぁあ゛?」
 軍の射撃場なんかとよく似た構造の室内には、先客が一人。
 爪付きブラスターのマガジンを取り替えつつ、私の方へとあからさまに面倒くさそうな表情を向けるのは、フォックスの着ている戦闘服と同じ型、その黒を着た、灰色の狼。もとい、ならず者集団『スターウルフ』の首領であるウルフ・オドネル。射撃台に載ったカレーの皿と、その傍らに居る赤ピクミンはスルーの方向で。
 「何だァ、新参?」
 「弓の練習に来たんです。そういう事に使っても大丈夫でしょ?」
 あんまり長々言ってもウザがられるだけだろう。簡単に済ませると、ウルフもそれ以上何も言わずに、十メートルくらい先にある的へブラスターを向けた。私も弓と矢を手に取り、とりあえずコントローラーを使わずに構える。装備が何もないけど大丈夫かしらん。
 「重っ……」
 弦を引くと、腕にずっしりと力が掛かった。アーチェリーが男性用のものであるというせいもあるだろうが、やっぱりアーチェリーをしなくなって半年も経つと、腕力が落ちてしまうみたいだ。奥歯を食い縛り、大きく息を吸って、引ききる。眼を細め、遠くに見える的の中心を見定めた。
 照準器の真ん中に的を捉え、ブレが最小になった瞬間、手を離す。途端、
 「○×▽◆□ッ!?」
 矢は凄まじい金切り声を上げて的に突撃していった。隣でブラスターを撃とうとしていたウルフはその甲高い悲鳴に、何やらよく分からない声を上げて耳を押さえ、私も凄まじい怪音に耳を押さえる。すぐ後、的の真ん中にあやまたず当たったのはいいのだが、被害は甚大だ。鼓膜が痛くて音がよく聞こえない。
 「五月蠅ェぞおいッ! 何だあの矢ッ!?」
 銃の引き金に指を掛けつつ、ブチ切れるウルフ。聞かれて心当たりは一つしかない。
 「ちょっ、ちょっとごめんなさい。撃たないでくださいね、絶対!」
 私は射撃台を乗り越え、的まで走る。赤白の同心円だけで構成された、単純な的の真ん中に、洋弓で使う長さの矢が突き刺さっていた。それを苦労して引っこ抜くと、その先には、紅いヒノキの湯呑みのようなものと、漢字の「人」と同じような形をした鏃が。
 こんなものが付いている矢は、私の知る限りただ一つだ。

To be continued...

男用のアーチェリーでも真ん中に当てられる程度の実力。小夜子さんがメンバーの力を借りないときの攻撃手段です。
矢を飛ばしたときに鳴った音の正体は次回へ。