二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第零章/The Strongest Fighter? ( No.9 )
- 日時: 2012/08/31 21:58
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: x40/.lqv)
- 参照: 第三篇/In the Kitchen/With Children(台所にて。子供勢と共に。)
「お疲れさま」
苦労して全部のカップとソーサーを流しの給湯器で暖め終わったころ、王侯貴族の方々は既に紅茶を作り終えているところだった。どっと疲れてしまって溜息をついた私に、ピーチ姫がねぎらいの言葉をかけてくれる。こっちの女性陣はいい人が多いのかな。
何かやることはないかと見回す。おっ、ゴキブリ発見。
一人退治に向かおうとしていた私の背後から、声。
「後は私達がやる」
振り向いてみれば、刃物のように鋭い水色の眼が私を見ていた。睡眠時も戦闘のことを忘れていない、動きやすそうな男らしい服。それで括り上げた金髪とくれば、サムス姐さんか。四十枚の皿を片手に持って平然としてるのは、流石バウンティハンターといった感じ。
「手つきから察するに、四十人分の食器を扱うことなど今までしたことないだろう? 当たり前だ、腕力が要る上に要領も要る。普通ならば慣れた者のやることだ。素人は下手に手を出すべきではない」
うっ……け、結構心に痛いことを仰る。でも、言ってることは真実だ。素直に聞くしかない。
まあまあ、とサムス姐さんをなだめる姫に、大丈夫ですから、とだけ言って、私は捕らえる前に逃げられてしまったゴキブリのことを少し気にしながら、そっと台所を抜け出す。
リビングにはこうこうと灯りが点いていた。多分、誰かが暗いからと言って点けたのだろう。
「あっ、サヨちん」
「あそぼー」
最初は眠そうな顔をしていた子供勢だったけれども、いざこざがある内に目が覚めてしまったらしい。リビングの空いたスペースで遊び始めている。誘われて断るわけにもいかないので、私はちょっと待っててと告げて、まずマスターの様子を見に行った。
「大丈夫ですか?」
聞いた私に、マスターは苦笑い。
眼を閉じ、声は上げず、ただ一つうなずいた。大丈夫と言いたいらしい。
人ってさ、他人から聞かれたら大丈夫でもないのに「大丈夫だ」「心配要らない」って言いたがるから——。
そのとき、マリオの言葉が一瞬頭をよぎったのは、きっと偶然ではないのだろう。頬杖をついて平然そうに笑っているその姿が私には、今も何かと闘う、寂しい後姿のように思えてならなかった。
「サーヨーちーん、はーやーくぅー」
「おう、はいはーい」
待ちぼうけた子供勢の声で、現実に戻される。私は笑顔をつくろって精一杯明るく声をあげ、のほほんと手を振って待っている方に走っていった。まだ私は『こっち』に来てから一時間足らず、『こっち』の世界の事情に、あまり深く立ち入らないほうがいいだろう。さっきみたいに、迷惑をかけることになるから。
「ごめんごめん、何して遊んでた?」
リビングの真ん中で車座になっている中に、私は飛び込む。
「神経すいじゃく。でもさでもさ、ヒドいんだよサヨちん! ネスってば、ちょーのーりょく使うんだもん! こんなんだれも勝てっこないやい! ネスに勝ってよぅ!」
投げかけた問いに答えたのは、さっきまで完全熟睡モードだったピンク球、カービィだ。声と手にしたがってネスのいるほうを見ると、なるほど、満面に無邪気な笑みを浮かべるネスの手元にはカードの束がある。超能力でカードのありかでも見たのだろう。だが私だって負けはしない。
「よぉし、それじゃあたしがやろうじゃないの」
「おぉおおお、カッコいいぞサヨちーん!」
「うっし、何処からでも」
To be continued...
サムス姐さんと子供勢の皆が登場。
ここでは「子供組」ではなく「子供勢」なのです。