二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.98 )
日時: 2012/11/25 15:53
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: 4HUso7p7)
参照: 第二篇/Silent Saneness (狂者は嗤い乍ら泣き喚く)

 何も言えなくなってしまった私に、いきなり音量を落とした声が、刺さる。
 「いいかシスター? あのクソ兄貴を、細胞の一欠け、血の一滴駆逐するまで……俺はいつまでも戦ってやる。スマッシュブラザーズを、クソ兄貴を、この世界全ての住人を、あらゆる世界の全てを敵にしてでも。俺は誓ったんだ、ロンリーが死んだ、そう覚った瞬間から! 誰にも邪魔はさせねェ。無論、お前にもだッ!」
 そして、乱暴に突き飛ばされた。
 「痛っ」
 咄嗟に手をつき、その場にひっくり返るのだけは辛うじて防いだが、小枝が掌に刺さった。枝は小さいしそんなに深い傷じゃないけれども、こういうのは結構痛い。地面に座りなおし、浅い角度で浅く刺さった枝を抜いておく。……ぎゃー、血がー。い、痛いー。
 こんな所に絆創膏はないしなぁ、と、本能に直接響く痛みの中、意味もなく辺りを見回してみる。そんな私の所作を、クレイジーが呆れたように眼を細めて見つめていた。な、何かそんなに見られると恥ずかしいなぁ。
 「怪我でもしたか?」
 ひとしきり喚いて落ち着きを取り戻したらしい、高くしゃがれた声が問いかける。
 対する応答は短めに。
 「ちょっと枝が刺さって、深くはないと思うんですけど」
 「見せろ」
 問答無用で腕を掴まれた。
 止血していないこともあるが、傷が思ったよりも深かったらしい、掌はすっかり血塗れだ。精神が高揚しているお陰でのた打ち回らずには済んでいるものの、見ていて気分はよくない。少しだけ眉を寄せる私と、明らかに平気そうでない掌の傷を交互に見やり、クレイジーは思いっきり顔をしかめた。
 「一緒だな……」
 ぼそりと呟き、冷え切った左手を私の掌に重ねる。その隙間から、音もなく緑色の光が微かに漏れたかと思うと、傷だらけの手はすぐ離れた。見てみれば、掌にあった傷は跡形もない。この破壊神が、あの短時間で、傷を此処まで綺麗に消せるものか。程度の大小こそあれ、マスターはもっと時間を掛けていたように思うが。
 「治癒魔法なんて、使えるんですね」
 「ンなもん、神は皆使える。ただ俺は、終点以外でも同じように使えるってだけだ」
 平然と言ってのけたが、マスターが終点以外でああなのだから実は恐ろしいことだ。マスターが私に吐いた、一聞すると情けなく聞こえる弱音は、実のところ普通なのかもしれない。そして私は、そんな存在を目の前にしている。
 少しだけ怖くなった。

To be continued...

あの破壊神が治癒魔法? なんて思うかもしれませんが、クレイジーも一応は神様なんで、使おうと思えばほぼオールジャンル使用可能です。

とりあえず、jkの腕をがっつり掴むのはやめようk(ry
マスターが見たら色んな意味で卒倒しそうな光景ですね。