二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【銀魂】−白い絆− last up.100101
日時: 2010/01/01 01:39
名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: mdybEL6F)
参照: 2010年でふね。今年も徹夜しつつ頑張ります。

クリック有難う御座います!

おはこんばにちわ!暁月です。
初めまして!の方は必読からどぞ!

■必読—取り敢えずこの小説の説明
 ①銀魂二次創作の小説。キャラ×オリキャラの恋愛要素含。苦手な方はばっくぷりーず。
 ②デフォ名表記。勿論名前変換ナシ。
 ③原作前を勝手に捏造。その他暁月の妄想・願望・個人解釈多々。
 ④原作とのズレが生じる場合もあるかもしれない。新しい情報とかでねぇー。
 ⑤銀魂JSAT版DVDに触発されてその勢いで描いた小説。
 ⑥素人なもんで文が下手糞。誤字脱字・変換ミスが目立ちますが薄温かい目で見て頂ければ…
 ⑦シリアス多目(予定)暁月が暗い重い話が大好きなんですよ。


1/1 400クリック有難う御座いました!夢の様です!


■目次—右のリンクから飛べまふ
 一、雨と >>1
 二、ゼロから始める >>2
 三、相部屋 >>3
 四、アカネイロ >>4
 五、一人で >>5
 六、約束 >>6
 七、希望と願い >>7
 八、前よりも >>8
 九、頑張った証 >>9
 十、紅蓮の炎-① >>12 ②>>13


■お客様—感謝感激
 ニョーコ★様



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Re: 【銀魂】−白い絆− last up.091003 ( No.4 )
日時: 2009/10/07 17:55
名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: mdybEL6F)

 うとうとうと。かっくんかっくん首が揺れる。あんのクソガキ。覚えとけよ。
 昨日の夜新しく入ってきたガキは、途轍もなく寝相が悪かった。何度蹴られた事か。何度殴られた事か。おまけに布団は奪うわ……。布団を奪われたせいで、凍死するかと錯覚するほど寒かったのだ。

 先生の授業は聞かないけれど、先生を見ているだけで楽しかった。うん。けれど次々襲ってくる眠気の所為で目を開ける事もままならないのである。ああああああ、先生が遠くに感じてしまううううう……。

 いや、駄目だ!起きろ俺!
 ぱちん!自分の手の平で自分の頬を叩いた。ぐらり、と一瞬視界が揺れるとぱっちり目が開いた。

「え…と…何かあったのですか。晋助」
 先生が心配そうな顔をして晋助に言った。体調が悪いなら、部屋で休んでおいで、と言われたが耳の裏まで真っ赤にしてぶんぶん首を横に振った。

 こんな事になったのはあんのガキのせいじゃぁぁぁぁ!!


 四、アカネイロ


 ばしん!
 竹刀と竹刀とがぶつかる音。ちょうど今は剣の稽古の時間らしい。先生が指南している。

 零は女だからという事で剣の稽古は出れない、と思われていたのだが。松陽先生は男女平等うんたらかんたらで何とか剣の稽古も付けると言う事でまかり通した。

 女のくせに、などと一部の子らには言われたが年端がいかずとも剣の腕が立つ。自分より年下の、ましてや女に負けるとは誰も思ってはいなかった。零は今の所全戦無敗。ついさっきまで天人達と命をやり取りをしていた零だ。負けるはずが無い。

 それ故、良く思われる事はあまりなかった。虐め、とまではいかなかったが、最初に返り血塗れで現われた零。コイツに関われば殺されてしまうのではないか、と不安になり、その結果零はいつも一人だ。ので、誰よりも早く稽古場へ行き、誰よりも遅く教室に残っていた。


「ぅげ……忘れ物…」
 部屋に戻って初めて気付いた。ずぅーっと懐の中に仕舞っておいた飴玉。今日食べようと思ったのに。
 焦る銀時の傍でげらげら笑う小太郎と晋助に、銀時は苛立ちを覚えた。

「取ってこいよ。ついでに零も呼んで来てやれ」
 
 必死に笑いを堪えてクールに装う晋助だが、顔がひくひくと引き攣っている。その後ろでは小太郎が腹を抱えてぴくぴくぴくぴく。
 そーかそーか、そんなに面白いかコラ。







 どてどてと態と足音を立てて教室へ向かう。さっき晋助と小太郎を叩いたせいでひりひり痛む手を摩りながら。

 授業が終わった後は、誰も教室には寄りつかない。零がいるからだ。別に銀時は零の事を嫌いなわけではない。確かに生意気で五月蠅い所はあるが、それだけではそんじょそこらのガキんちょと同じ。寧ろ今まで自分たちが通ってきた道だ。
 そして、自分と境遇が似ている。俺だって先生に拾われるまでは零と同じ様な事をしてきた。褒められるような事はしちゃいねェ。

 ただ、決定的に違う事がある。零は俺達を避けている。きっと。自分が傷付くのを嫌がるかのように。




 がららら、と教室の戸を開けると、やはり零がいた。窓際でぼぉっと外を眺めている。夕日の光が零に当たって、とても綺麗に見えた。髪も着物も真っ黒な闇の様な瞳も全部茜色。
 

教室の入り口で立ち止まって、ただただ、零を見たいただけなのに。どくん、と自分の心臓が高鳴った。

Re: 【銀魂】−白い絆− last up.091007 ( No.5 )
日時: 2009/10/14 19:34
名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: mdybEL6F)

 五、一人で


「何か用」
 目を合わす事も無く、零がそう銀時に言い放った。気付いてやがったのか、と銀時はバツの悪そうな顔をした。そして、さっさと出て行ってよとでも言いたげな零。

 別に、と一言返事をして自分が座っていた場所のすぐ近くに落ちた飴を拾い上げた。しかし、拾った飴は二つもあった。……何でこんな時に二つもあんの。

 ここはお兄さんらしく、「飴、一ついるか?」と声を掛けたが、零は少し間を置いて首を横に振った。何つーガキだチクショー。お兄さんに恥かかす気か。


「あんた達は、松陽先生の事が好きなんだね」
 ふいに零がそんな事を言った。自分は、あまり好きではないと言うような感じで。


 銀時も晋助も小太郎も塾生皆、松陽のことを父のように慕っている。銀時や零の様に拾われたものもいる。普段からニコニコしている松陽は近所でも評判が良い。近所、と言ってもこの辺りにそんなに人がいる訳でもないが。

 そんな先生だ、人に好かれる事はあっても嫌われる事は絶対ない。頑固な所もあるけれどとても優しい人だ。



「お前は…先生に拾って貰って……それなのに、嫌いなのかよ」
 口が勝手に動いた。脳で考える前に。零には何を言っても無駄なのに。

「嫌いじゃない」

「なら、何でだよ」

 間髪入れず零に問い返すと、少し、黙って


「先生が、大事になるのが嫌なの」

 どういう事だと、また問い返す。そのうちに零は俯き、ぎゅっと拳を握った。


「大事な物はいつか無くなってしまうから。何も失くさない様に、一人で、強く、生きたいの」

 いつの間にか零の真っ黒な瞳からは、ぼろぼろと大粒の涙が毀れ落ちていた。
 
 ああもう、このガキは。
 なんにもわかっちゃいねぇ。大事なもの抱えてなければ死んでいるのと同じなんだ。一人で生きてちゃ強くなんかなれやしないんだ。
 俺は、その大事なことを、先生に教えて貰ったのに。




「だからもう関わらないでよ!」
 必死に大きな声を出して、気がついたら走り出していた。教室を出て、外に出て息が切れたらすぐ近くにあった木に凭れ掛かった。

 何でよ、何で涙が出るのよぅ………。

 いくら拭っても拭っても、溢れ出る涙。悲しくなんかないのに、何で……。


零はそのあと日が沈んで真っ暗になってもずっとそこで涙を流していた。

 

Re: 【銀魂】−白い絆− last up.091014 ( No.6 )
日時: 2009/10/20 20:55
名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: mdybEL6F)

 日が沈んで辺りが真っ暗になった頃。身体を刺す様な寒さは秋とは思えない程。走った所為だろう、心臓がばくばくいってる。そして体が熱い。
 突然いなくなった零を皆で手分けをして探しているのだ。松陽先生は今にも寝込んでしまうのでは、と思う程慌てていた。

 そして何分か外に出て目が慣れてきた頃、少し離れた所の気の辺りに人影が見えた。間違いないな、きっと零だ。
 草履と足袋を脱ぎ、裸足で一気に駆け出した。夜露
がほんの少し冷たい。



「こんな所に居たのか」

 ぜぇぜぇと息を切らした晋助が零の隣に立った。零は木に凭れ掛かり山座りをして小さくなって泣いていた。初めて会ったときから持っていた刀を抱いて。


 零は晋助を見ると普段は細めの眼をぱっちりと見開き驚いた。晋助はその隣でずるずる力が抜けたように座り込んだ。膝と膝がぶつかるとぱしん、と膝を叩かれ幾つか間を開けられた。


「何で来たの」

 ずびずびと鼻水を啜って、必死に紡いだ零の言葉。くす、と笑って晋助は

「今まで俺、銀時達にかくれんぼで負けた事ねーもん」

先生が心配してる、と零に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で言った。


「銀時に何か言われたのか?」

 ぎゅっと自分の着物の橋を掴んで小さくなって顔を伏せる零に近付き髪を撫でながらそう言ってみた。
 しかし銀時と零が話していた事全部、ヅラと一緒に立ち聞きしていたのだが。


 
「ねぇ………大事なもの、って……ある?」 

 ふいに零が口を開いた。ぼろぼろとまた零の瞳からは大粒の涙が溢れ、着物に染みの様に広がっていく。顰めた眉がいかにも追いつめられたかの様だ。


「あるに決まってんだろ」
と一言、口調に反してほんの少しだけ微笑んで言った。顔をあげた零の頬に手を添えて。

「大事なものを失くして泣いて。それでびびって遠ざけてちゃ失くしてるのと同じ。どっちも一緒なら、大事なものが無くなってしまった時に泣いた方がよっぽどマシだ」

 頬に添えた手に力を込め零の顔を固定し、瞳を真っ直ぐ見つめて言った。だから逃げるな、と一言付け足して。そして直ぐ、ぼろりと一際大きく綺麗な涙を一粒溢すとそれきり涙を流さなくなった。


「ありが、と……ごめん、ね……」
 ごしごしと着物の袖で涙を拭うと、晋助に微笑みかけた。今まで見た事も無いとても綺麗な笑顔。


「逃げないよ。失くさない為にも、守る為にも。たとえ全てを失くしても」

 指切り、と小指を絡めて固く約束をした。ぽん、と頭を撫でてやると、ぐらりと零の身体がぐらついた。間一髪の所で支え切るとすーすーという寝息が聞こえた。

 このクソガキめ、と一言呟き零を背負って皆の待つ学舎へ歩き出した。



 六、約束


 

Re: 【銀魂】−白い絆− last up.091020 ( No.7 )
日時: 2009/10/27 15:55
名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: mdybEL6F)

「ああ良かった。見つかったのですね」

 ほっと胸を撫で降ろす先生。そして笑顔でありがとう、晋助と言って晋助を抱きしめた。何とも無いのに顔が赤くなって行くのが分かる。銀時が笑っているのも。

「ここからは私が運びましょう。晋助、今日はもうお休み」
 またもう一度、ありがとうと言われ、ぺこりと頭を下げてからばたばたと廊下を走っていった。


「……最初の時より良い顔になった…」
 すやすやと眠る零の頭を撫でてそう呟いた。この子は人を寄せ付ける事もしなかったのに。晋助達と関わるうちに変わっていった。人と人との関わり合いは素晴らしいものだ。きっとあの子たちも零に関わる事で少しは変わった筈だろう。


 晋助達の部屋の明かりはもう消えている。聞こえるのはすーすーという規則正しい寝息と、寝惚けた銀時の寝言。くすり、と笑って障子を開けた。
 隙間から入りこむ月明かりで布団の位置が良く分かる。誰もいない布団を見つけると、銀時と小太郎を跨いでその布団に零を降ろす。布団を掛けてあげてそれから立ち上がろうとすると、

「よいしょ…っと」
 歳、だろうか。ついつい出てしまった一言。いやいや、まだまだ若いから。反射的なアレ…ですから。なんて心の中で自分にツッコミをしている自分が恥ずかしい。

 改めて自分の教え子たちを見ていると、心も体も大きくなったなと感心する。
 
 もう少し、ここでこの子らの育つ姿を見ていたいと。

 それは叶わぬ夢。いつ死ぬかもしれないこの命。明日にでも幕府の手の物がここに来る可能性だってある。もう私は死んでも構わないから神様、どうか。


 七、希望と願い


「この子達を、お守りください」
 
 ——貴方に願うのはこれで最後しますから。

 

Re: 【銀魂】−白い絆− last up.091027 ( No.8 )
日時: 2009/11/03 22:28
名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: mdybEL6F)

 その瞬間何があったのかは、まだ寝惚けてていた銀時の頭では理解の仕様が無かった。

「おはよう」

 零自ら銀時に声を掛けたのだ。躊躇いながらもほんの少し微笑んで。起きて直ぐだからなのか暫くの間、ぼーっとしてしまった。

 昨日何かあったのかと、考えた。

「……別にお礼とかじゃないんだから!」

 頬を朱に染めてそう大きな声で言った零はそのまま晋助達を引き連れて部屋を出ていった。

「俺が何したってんだよ……」

 銀時は一人でそう呟いて、くすりと笑ってから三人の後を追いかけた。


 八、前よりも


「零、お前がここに来てもう暫く経つ。ここのくらしには慣れたか?」

「いや、私まだ2週間しかここにいないんだけど」

 ずず…とお茶を啜りながら小太郎は零の話も聞かず続ける。


「悩みは無いか!?俺が聞いてやるぞ!!」

 がしり、小太郎が零の両手を握り真っ直ぐに目線を合わせて強引に言うものだから最初は断ったものの零が先に折れた。
 

「勉強が分かんないです……」

 待ってました、そう言いたげに小太郎の眼が光った。

 零にとっては勉強なんてどうでもよかったのだ。地下に閉じ込められている間、色々な大人達を見て来た。が、皆読み書きできなくて当たり前であった。かくゆう零もその一人。勉学など教えて貰う事も無ければつい最近まで耳にした事も無かったのだ。

 ここに来てからも特には学びたいとは思いもしなかった。晋助と同じく先生を眺めているだけだったのだ。


「よし、俺が教えてやろう」

「俺も混ざってい?」

 ひょいと横から銀時が顔を出した。もしゃもしゃ音を立てながら饅頭を食べている。

「スミマセン、アンタだけはやめて下さい」

 銀時が抱え持っている饅頭を一つくすねて口へ運んだ。あーっ!銀時はあんぐり口を開けて零の顔を半泣きになりながら見つめた。

「頭悪そうだもの、アンタ。バカだから白髪が生えてくんのよ」

「はぁー!?バカにすんなよコラ。テメーみてーなガキよりかはずぅーっと頭良いですから!?俺!!」

 銀時はそう言われてかちんと来たのだろう。お互い胸倉を掴みあってぎゃあぎゃあ揉め合った。傍らでもう慣れた、と言わんばかりにお茶をすすり和んでいる小太郎。その隣に晋助が立った。

「さっきの、俺も混ぜろ」

混ぜて下さいだろう、晋助に見向きもせずそう言い放った。アレ如何にかしなくていいのかよと晋助は小太郎に言った。が


「止めなくても良い。……見ろ」

 零に指を差し満足げに笑いながら

   
「いい表情をしてると思わないか?」


 小太郎につられて笑った晋助。そうだな、と小太郎の言葉に同意し


「良くなった」


 昨日までが嘘みたいに。


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