二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ぽろん
- 日時: 2010/01/03 23:01
- 名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)
ロック!
Page:1 2
- Re: 旅の始まりは・・ ( No.3 )
- 日時: 2010/01/02 20:17
- 名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)
なんで・・・・・?
足首の痛みなど忘れて、ただ呆然とウインディと対峙している男子達を見る。
ウインディは・・・強い。
リングマとは比べ物にならない。
その場の判断が自分で出来る賢さ、相性が悪かったり、多くの敵を前にしても立ち向かう勇敢さ、命令に忠実なウインディはポケモン警察が徹底して愛用するくらい強いポケモンなのだ。
ガーディの頃から人間に馴らし、命令に忠実に動くように訓練されているウインディなら、この村でも何度か見たことがある。
顔や足を触られても怒らないし、尻尾を引っ張られたり、足を踏まれても怒るどころか唸り声すらあげなかった。
だが、野生のウインディは・・・?
人間に慣れてない、むしろ野生のウインディにとって敵の人間に牙を向けない・・・?
そんなの、ありえるはずが無い。
野生のポケモンは人間に襲い掛かってくる。
人懐っこいポケモンもいるが、そういうポケモンは進化前のポケモンだ。
進化して賢くなったポケモンは、人間に近付かない。
むしろ、襲い掛かってくるのが普通なのだ。
どうしよう・・・
この場から離れ、急いで村に戻り大人を呼ぶか。
それとも、ポケモンも持ってない私が助けに行くか。
大人を呼びに戻る。
その選択が賢明だが、もしここで私だけが戻って、みんな殺されちゃったら・・・・?
野生のポケモンに殺されることなんてしょっちゅうある。
よくニュースでも、やっている。
どうすれば・・・!!
両手で体を抱きしめるようにして、しゃがみ込む。
私が出て行ってもどうしようもならない・・・・けどっ!
「うわっぁああああああ」
「コラッタ!!」
「た、助けてぇぇええ」
男子達の悲鳴が聞こえた。
反射的に立ち上がり、斜面を駆け出す。
ズキズキと痛む足首の痛みを、ぐっと奥歯を強く噛んで耐えながら走り続ける。
斜面を上りきり、洞窟前のさら地に出て呆然とする。
コラッタ、ナゾノクサ、ポッポやオタチなどが倒れている。
座り込んだり、震え上がり動けない男子達のポケモンが、みんな戦闘不能状態にされていた。
男子達に酷い怪我は見当たらない。
泥だらけの服から覗く肌に、ちょっとしたかすり傷や切り傷が覗いているだけだ。
山の斜面からいきなり出てきた私に気付いた1人の男子が声をあげる。
「あ、足立!助けてくれ!!」
その声で、ほぼ全員がこっちを向いて、目を見開く。
「え?あだ・・?」
「何であいつが・・」
状況を飲み込めず、唖然とする男子。
だが、ウインディは新しく増えた私を・・・敵を睨み付け、冷静に唸り声をあげてている。
その声を聴いて、私も動けなくなる。
殺気、殺意、ウインディという大きな敵の威圧。
震え上がる自分を叱責する。
何のためにここに来たの!
みんなを助けるためでしょ!!
「ポ・・・ポケモンを・・早く戻して。」
震える声で男子に声をかける。
なるべくウインディを刺激しないように、だが目はウインディから外さないで。
私の声にはっと気付き、モンスターボールを投げ出す男子。
ポケモンを戻す為に動き出した男子に、ウインディが私から視線を外し、唸り声を上げながらゆっくり体制を低くした。
まずい!
ジャリッ
咄嗟に地面を踏みしめ、音を出す。
ばっと男子から視線を外し、また私を睨みつけるウインディの目線を睨み返すようにして見つめ返す。
そんなことをしている間に、ポケモンをしまった男子から順に、次々と転がるようにして山を下っていく。
グル゛ル゛ル゛ル゛ル゛ル゛・・・
唸り声を大きくし、いつでも跳びかかれるようにしているウインディに対し、私はじっと耐えることしか出来ない。
- Re: 旅の始まりは・・ ( No.4 )
- 日時: 2010/01/02 21:44
- 名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)
翔太のばかっ
ばかばかばかばーか!!
涙目になりながらも、視線を外さずじっとし続けながら、何年も前に旅立った翔太の悪口を言う。
翔太がポケモン送ってくれてたら、私にだってなにか出来たかもしれないのに・・・っ!!
ウインディと対峙してからどれくらいの時間が立っただろうか?
数時間か、数分か、それとも数秒か・・・。
これほど時間が長く感じたのは初めてだ。
私・・・どうすればいいんだろう・・
みんなが大人を呼んで来てくれるまで待てるのかな・・
1対1という、男の子達でも一応仲間がいた状態なら睨み返すことが出来たが、今はもう、睨み返すことが出来ない。
どうしようどうしようどうしよう・・・
このまま誰も来なかったらどうしよう・・間に合わないで、私死んじゃったらどうしよう・・・・。
ぎゅっと下唇を噛んで、目に力を入れようとした時、
グウゥゥー・・
「・・・っ!!」
いきなり鳴った音に、ウインディは体をビクッとさせ、何の音が鳴ったか食い入るように私を睨みつけてくるが、私にはそんなウインディが見えていない。
顔を真っ赤にし、ゆっくりと両手をお腹に当てる。
・・・・・お腹空いたぁぁぁ・・
私の行動で、何の音が鳴ったかわかったのか、ウインディは目を見開き固まっている。
そんなウインディに気付き、私も自分のお腹からウインディに視線を戻す。
数秒か数分か。
ただウインディと見つめあい、やがてウインディからふいっと視線を外し、私に背を向けてそのまま洞窟に入ってしまった。
「ぇ・・・?」
何が起こったか理解できない頭でなんとかウインディが”見逃してくれた”ことだけ理解し、そのまま呆然と立ち続けウインディを見つめる。
洞窟の奥には行かず、明かりが入るか入らないか程度の場所に蹲り、じっと動かなくなった。
・・・・・・はぁぁぁああああ
膨大な溜め息を吐いて、私も地面に崩れるようにして座り込む。
緊張が切れた今、ズキズキと足首の痛みが戻ってくる。
今はそれが幸いか、痛みで腰が抜けはしなかった。
よ・・・よかったぁぁあああっ
両手を顔の前に出してみると、カタカタと震えていた。
そのままぎゅっと握りこみ、視線をウインディに戻すと、なぜか様子が変だった。
荒い息をしながら、なにかに耐えているようだ。
じっとウインディを見つめていたら、ウインディもこっちに視線をよこし、ウ゛ウ゛ゥ゛・・・っと小さく唸り声を上げた。
逃げなきゃっ
唸り声にはっとし、痛む足を引きずるようにして、山の斜面を転がるようにして村に戻る。
途中、山の斜面でカゴの木の花が、雑に詰まれたような、毟ったような後を見つけた。
こんな酷くしなくてもいいのに・・・
村の誰かの仕業だろう。
木々を大切にしなさい。と小さいときから教わってきた私には考えられないことだった。
だが、今はそれど頃ではない。
急いで逃げなきゃ・・・!!
やっとの思いで村が見えてきたと思ったら、先ほどの男の子達が山の入り口に集まっていた。
「あ!戻ってきた!!」
「本当だ!」
1人2人とどんどん私に気付き、駆け寄ってきた。
「足立さっきはありがとう!」
「足大丈夫か!?ウインディにやられたのか!?」
「え?足怪我したのか?」
「大丈夫?」
返事を返す暇も無く、次々質問を投げてくる男の子達。
「だ、大丈夫だから・・・!!」
精一杯の声をだし、男の子達の質問攻めを止める。
いきなり大きな声を出した私をきょとんと見つめる男の子達に、今がチャンスと逆に質問する。
「大人達には知らせたの?」
あの洞窟に蹲ったまま動かないウイディのことが少し心配だった。
大人達に捕まって殺されてしまうのかもしれないと思うと、尚更だった。
だが、男の子達の反応は無い。
さっきまであんなに質問攻めしてきたくせに、今は私と目があわないように顔を背けている。
「呼んでないのね・・・?」
確認の為にそう聞くと、罰が悪そうにリーダー格の男の子が答えた。
「助けを呼ばなきゃって思ったんだけどよ・・・お、お前なら自力で戻ってくるんじゃないかと・・」
苦し紛れの言い訳に、溜め息を吐く。
あのまま睨み合っていたら、きっと私は死んでいた。
そう思うと、目の前にいる男の子達が憎くなってきた。
「・・・・そう、次もそうすれば?」
そう言い、片足を引きずりながら男の子達を押しのけ歩き出す。
お前なら大丈夫だと・・・!?
ふざけんなふざけんなふざけんなぁぁあああ!!
私だって女の子だもん!
ぷんぷんと怒りながら家路を急ぐ。
もう日が傾きかけていた。
きっと、いつもより帰りが遅い私を、お母さんが心配してるはず・・・。
- Re: 旅の始まりは・・ ( No.5 )
- 日時: 2010/01/02 21:59
- 名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)
っつぅ・・・・。
痛い・・
尋常じゃない足の痛みに耐え切れず、近所の家の裏に座り込む。
「おかぁさん・・・・」
ぽつりと呟く。
ここからじゃ、家にいるお母さんには聞こえない。
だけど、もう限界・・・。
ウインディとの睨み合い、山で転んで足首をひねったこと、男の子達にあんな言い方された・・・・もう限界だった。
痛いし、お腹空いたし、悲しいし、怖いし・・・
ごちゃ混ぜの感情が、涙となってどっと溢れてくる。
「お・・おがあ゛ぁ゛ざん゛・・・」
もう1度、今度は少し大きな声を出してみた。
けれど、ここから家までは聞こえない。
はずだった。
「ゆうっ!?!?」
ばっと角を曲がって現れたのは、エプロン姿のいつものお母さんだった。
泥だらけの格好で、髪もぐちゃぐちゃで、座り込んで泣いている私を見てどう思っただろう?
怒られるだろうか?
「ゆうっ!!!」
悲鳴に近い声で呼ばれ、そのままがばっと抱きしめられた。
「もう!どこに行ってたの!!遅くなる前に帰りなさいっていつも・・・・」
そこから、お母さんになんていわれたのか覚えていない。
ただ、お母さんに抱きつきながらわんわん泣いたのだけ覚えてる。
泣きながら眠ってしまい、次に目が覚めたのが朝だった。
Page:1 2