二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 0番目の兄弟
- 日時: 2010/03/13 20:41
- 名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: mx7/95Ob)
初めまして、囮(Otori)と申します
ここではD・Gray-manの中でもNOAH寄り視点で物語を書いていきたいと思います
主人公はNOAHでありながらエクソシストとしての顔も持つ少年
0番目の神の使徒として千年公達の前に現れ
教団と伯爵側の両方と関わりながら両方の側で戦っていく
細かい設定は本文中でちょこちょこ書いていきますね
それでは0番目のNOAHはこの白と黒の戦いにどんな影響を与えるのでしょうか
それは皆様の目で確かめてください
読んでの感想や要望、アドバイスなどは随時受け付けています
更新は遅めになることを御了承下さい
それでは"0番目の兄弟"の物語の開章です
†目次†
【序章】>>1
【第一章】>>2 >>3 >>4 >>5
【第二章】>>6 >>7
Page:1 2
- Re: 0番目の兄弟 ( No.1 )
- 日時: 2010/02/25 20:27
- 名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: 0a987INq)
【序章】
「ロード…新たな兄弟が生まれましたよ」
「スキンの変わりの"怒り"の子?」
「いえ、違います…新たなNOAHが生まれました」
「え?だってもう全員揃って…」
「本人曰く"0番目"だそうですよ…根拠はありませんが」
「"0番目"?そんなの生まれるわけないじゃん」
「実際に会ってみれば分かります、本物のNOAHだということが」
「兄弟が増えるって言うこと?」
「もう増えた、と言うことです」
「そう…なんか嬉しいな。新しい兄弟か…フフッ」
「近いうちに連れてきましょう…皆に会わせたいですし」
「オーケー、楽しみに待ってるね」
「突然変異で生まれたNOAH…あまりいい気はしませんね」
これは満月の明かりの下で交わされた第一使徒と第九使徒の会話
この数日後、十三人揃った神の使徒の前に〇番目の使途が姿を見せることになる
白と黒
二つの顔を持つ型破りな新たな兄弟が彼らの一員となる
- Re: 0番目の兄弟 ( No.2 )
- 日時: 2010/02/26 21:57
- 名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: Y8BZzrzX)
【第一章】
「皆さん揃ってますか?」
場所は新しいノアの箱舟の一室
兄弟全員に集合命令を出した千年伯爵が部屋を見回し声をかける
「ちゃんと皆揃ってるってば!早く連れてきてよぉ」
父親役であるシェリルを椅子にして飴を舐めているロードが落ち着きなく催促する
その言葉に頷いて千年伯爵は閉じている扉の向こうに声をかけた
「では、いらっしゃい…0番目の兄弟」
———コツン———コツン
扉の向こうの廊下にヒールの音が響く
どうやら新しい兄弟は女性らしい、皆そう予想した
「千年公、名前は?」
ウェーブのかかる長髪を背で結っている美形のノア、ティキがふと思い出したようにいきなり尋ねる
その言葉に扉の方から顔を戻した千年伯爵は咎めることなくあっさりと答えた
「『ユキナ』ですよ」
「『ユキナ』…ね、日本人か」
「さぁどうでしょうか?」
ティキの言葉をはぐらかしながら再び千年伯爵は扉へと視線を戻した
高いヒールの音はだんだんと近づいてくる
———コツン———コツン———————ガチャ
ドアノブが音を立てて動く
音もなく開いた扉の向こうから現れたのは小柄な人物
毛先が内側にカールしている綺麗な黒髪を腰まで伸ばしていて
前髪は眉辺りでバラバラに切られており頭には白いレース付きのヘッドドレス
白いシャツの襟や釦のラインにもレースがあしらわれた可愛らしいもの
その上から深紅の肩が膨らんだ長袖ワンピースを着ている
その丈はロードと比べてもいいほど短い
足には純白のニーハイソックス、茶色のローファー
まるでおとぎの国から出てきたようなその可憐な容姿にロードを含めた一同は感嘆の溜息を洩らす
ただ一人、魔眼のワイズリーだけは驚いているような納得がいかないというような表情を浮かべていた
口元に微笑を浮かべて兄弟を見回すと0番目のノアは薄く唇を開いた
「ボクん名前は『ユキナ』言うねん…まぁこれから宜しゅうな」
薄く開いた唇から洩れるのは日本特有の訛り言葉
声は掠れたハスキーボイス
それはまさに声変わり途中の紛れもない男声
容姿と正反対の予想外の事実に千年伯爵以外の全員は言葉を無くして固まった
「ありゃー…千年公、どないする?やっぱりボクん予想通り固まってしもうたわ。ま、これがおもろいんやけど」
この空気を気にもせず千年伯爵を振り返った0番目ノア、改めユキナは笑顔で尋ねた
一つ咳をして千年伯爵はノア一同に声をかける
「この子が0番目のノア『有』のメモリーを持つ『ユキナ』です……ちなみに男の子」
最後は自然と苦笑が混じる言葉
その紹介を受けてユキナは兄弟に向けて無邪気にピースサイン
「そういうわけで、仲良ぅしたってな?」
まだ予想外のショックから立ち直れない兄弟達は無言で頷いた
- Re: 0番目の兄弟 ( No.3 )
- 日時: 2010/02/27 16:33
- 名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: lUSIXdeU)
【第一章】
それから千年伯爵は解散許可を出し残ったのは千年伯爵を含め
ロードとシェリル、ティキにジャスデビの二人、ワイズリー
「で、お前は何でそんな恰好してんの?」
ぎこちない雰囲気を抜けだそうと最初に口を開いたのは意外にもロードではなくティキの方だった
椅子の上に片足を立て、早くも緊張感の欠片もなくしているユキナはその言葉を聞いて首を傾げる
「何でいうても…周りの反応がおもろいからに決まっとるやんけ。あ、一応ボクちゃあんと女の子好きやで?」
愚問だと言いたげな冷めた視線をティキに向けながらついでに指までさして、ようはただ遊びだと答える
付け加えるようにロードに顔を向けるとにっこりと微笑んで自分の趣味を誤解されないようにする
その笑顔にロードもニヤリと言った方がいいような笑みを浮かべる
愛する我が子に悪い虫がつくのを警戒するようにシェリルがユキナを見据えたがそんなことも本人達は気づいていないようだった
「僕もユキナのことは大好きだなぁ…だって兄弟だし、お人形みたいだもん」
確かに今のユキナの恰好は人形と称するにふさわしい可憐さだった
ロードと並んで街を歩けば誰でも振り返るだろう
残っている全員が改めてその容姿を見直し、現実を思い出して肩を落とす
そこで、ふと全員が思い至った疑問
実際に口に出したのは双子の片割れ、デビットの方だった
「お前さ…人間に紛れてる時も化けてんのか?」
言葉選びは悪いが確かに化けていると言った方が正しいような気もした
そして質問の核心
普段ノアとして活動していない時はどうなのか、と
きょとんとした表情でその言葉を受け止めたユキナは苦笑を浮かべて手をヒラヒラと振った
「んなわけないやろ…これはノアとしてのボクの顔や。人間の中におるときはまた別……お前ら絶対気づかんわ」
呆れたような表情で自分を指さしながらこの姿はここだけだと明言する
最後には自信ありげに気づかないと言ってニィッと笑ってみせた
その言葉に妙に納得したような、まだ曖昧な反応で頷く一同
ロードだけはそんなことは気にしないというように表情を笑みから動かさなかった
暫くの沈黙の後次に口を開いたのはまだ気難しい険しい顔をしているワイズリー
ユキナを見据えながら口を開いた
「それで…おぬしの持つという『有』のメモリーとは何なのだ」
その言葉に首を傾げてワイズリーの方に顔を向けたのはティキ
「は?お前、他人の頭ん中が読めるんじゃなかったのかよ?」
イラッとしたように眉間にしわを寄せてワイズリーはティキに睨みつけるような視線を向ける
「本来ならばそうなのだがな…じゃがワタシでも何故かコイツの頭は読めぬ、単純なおぬしの頭とは違ってのう」
そう、さっきからワイズリーの顔が険しいのは自分の能力が上手く発動しないから
覗けぬものは滅多にない筈の魔眼がこのノアには効かないのだ
普段と違う違和感から大人げなく八つ当たりをしながらワイズリーはユキナへ視線を戻す
ムッとした表情になるティキ
ケラケラと笑いだすロードとジャスデビ
何とも言えないような表情を浮かべるのは残った千年伯爵とシェリル
全員の反応を面白そうに見てからユキナはニヤリとした笑顔で口を開いた
「ティキ…手ぇ貸してくれへん?」
そう言ってスッと片手を差し出す
一瞬何かを疑うような顔をしてそれでも兄弟だからという妙な親近感から手を差し出す
ユキナはその手を迷いなく握ってティキを見上げた
「ティキの能力使っていっぺんボクの手ぇ放してみ?」
「はぁ?」
「えぇからえぇから、ほれほれ」
訝しげな顔をするティキに無邪気な笑みを向けながらユキナは手を放してみろという
戸惑いながらもティキはスッとユキナの手を通り抜けた
その様子を満足そうに"視て"、"体感して"もう一度ティキに手を差し出す
「もういっぺん掴んでみぃ」
「何がしたいんだお前?」
何とも言えない表情になりながらもう一度ユキナの手を握るティキ
悪戯っ子のような笑みを浮かべてユキナはティキを見た
「ボクの手ぇ放してみぃ」
「————…は?」
ティキの手はユキナから放れることはなかった
通り抜けることも全くできず普通に握られたまま
唖然とするティキを面白そうに見てユキナはワイズリーに顔を向ける
「ワイズリー…ちょお見とってな?」
相手の返事も聞かぬうちにユキナの姿が皆の前から消える
否、彼は床にいた
椅子を通り抜けて、床に座り込んでいた
再び立ち上がってヘラリと笑ってみせる
その笑顔を冷たく見ながらワイズリーは漸く納得したように頷いた
「おぬしの『有』のメモリーとは能力の複成か?」
「そんな簡単なことやないんやけどね。ま、そういうこと……能力の原理が分かればそれを防ぐことも可能っちゅうわけや」
理解した様な言葉を聞いて、しかしそれに苦笑を浮かべながらケチをつけてユキナは自分のメモリーの種明かしをする
最初にワイズリーの視線に晒された瞬間に透視能力に"触れる"
そしてほぼリアルタイムでそれを習得し、読まれないように対策を打つ
その間は完璧に無意識
生存本能ともいえる鉄壁の自己防衛
実はこの能力はその場その場でしか使えず、数時間経てば発動できなくなる類のものなのだがあえて言わないでおく
いくら兄弟とはいえわざわざ弱みを晒すことはない
本来持たない能力をそれに触れただけで我がものにし、応用もきく
ついでに言えば異なる人物の能力の複合も可能
『無』から『有』を生み出す力
新たな力を創造する力
それがこの女装少年『ユキナ』の能力だった
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