二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- フルーツバスケット〜新しき道を行くもの〜
- 日時: 2010/03/07 17:36
- 名前: 海街 (ID: HKLnqVHP)
初めまして!
ここでは花とゆめで連載されていた「フルーツバスケット」の短編小説を描こうと思います!
主に原作で公認(?)されてるCP中心にかきたいと思います!
しかし海街は如何せん撥春×依鈴が好きなので結構贔屓されるかもしれません・・
お暇でしたら感想などください!
>>1 愛が生まれた
*春リン
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- Re: フルーツバスケット〜新しき道を行くもの〜 ( No.1 )
- 日時: 2010/03/07 17:35
- 名前: 海 (ID: HKLnqVHP)
薄暗い部屋に僅かに差し込まれた光で依鈴は目を覚ます。
ふと隣を見れば自分と同じようにソファーにもたれ無防備に眠っている撥春が瞳に映った。
小さく笑みを溢し、依鈴は今この何気ない幸せをかみ締める。
決して許されなかったこの関係、でも呪縛から解かれた今お互い愛し合うことが許された。
【愛が生まれた】
しばらく依鈴は撥春の端整な顔立ちをぼんやりと眺めていた。
一旦は彼のため、そして自らの願いのため突き放し、終止符を打ったこの関係。
今また、こうして二人で寄り添うことができるのだ。
これ以上に幸せなことはない、と心の中で思う。
「んっ…。」
いつの間にか寝てたのか…と撥春は小さく呟き、大きなあくびをする。
はっと依鈴は我に返りすぐさま彼から視線を逸らした。
「リン…、ずっと俺の寝顔見てた?」
フッと微笑を浮かべる撥春の言葉に顔を少し赤くする。
「馬鹿じゃない……。」
薄く笑っている撥春をキツく睨むが、「可愛い…。」と彼女の少し伸びた髪を撫でた。
悔しいが、こうやってあやされると本当の自分を曝け出したくなってしまう、と彼女は心中に思う。
——いつだってそうだ、
そう、
あの日、両親の迫害に耐えられずすべてに本当の終わりがきた日。
その時かれがアタシを庇ってくれたときも、泣きつかれた後、彼は優しく頭を撫でてくれた。
今と同じくらい、胸が苦しくなるような優しさでアタシをずっと…
今と変わらないこの関係。
撥春から「付き合って」と言われたあの日から、いや、出会ったその瞬間からこうなることは、予測していたのかもしれない。
それでも、あの呪縛故に一緒にいられず、求め合うことが出来なかったあの日々…。
今もその長い時間がアタシを縛り付けるのだ。
「リン、今なに考えてた?」
撫でている手を止め、じっと依鈴を撥春は見つめた。
その目はまるで、何もかも見透かされてるようで、少し怖かった。
「別に…、なにも。」
「そう、ならいいけど。」
再度彼は先ほどより小さな欠伸をし、依鈴をそっと抱きしめた。
いつもなら、突き飛ばす所を今日はそのまま身を預ける。
「リン、愛してる……、俺たちは自由だ。」
そう撥春は囁くと抱きしめる力を強める。
「もう絶対話さない、リンも、もう何も抱え込まないで。ずっと俺の傍にいて。」
まるで苦しく、吐き出すかのように言葉を発した彼に答えるかのように小さく抱き返した。
「……春、ごめんね。」
耳を澄まさなければ聞き取れないほど小さな声に彼は小さく笑う。
彼から想いを告げられたあの日から、すべては始まっていた。
——ただいま。
そう自分の本当の想いと一緒に呟いたとき、もういいよと、受け止めてくれた撥春。
絶たれていた愛は再び遠いあの日のように繋がれ、より深い愛が生まれたのだ。
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