二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- オリバト1
- 日時: 2010/06/24 18:05
- 名前: sasa (ID: cLFhTSrh)
これからオリバトを書きます。
内容はとても残酷なので注意してください。
- Re: オリバト1 ( No.41 )
- 日時: 2010/07/11 15:01
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
花はいつかいっぱい頑張ったらいつかは枯れる。
そしてまた咲いてまた枯れる。
俺は多分もう花を咲かせることはできないから。
精一杯。精一杯に、頑張れれば大丈夫だと信じたい。
きっと、必ず。きっと、いつか。
そうだとちょっと信じてみたかったんだ。
「赤井ー!!」
近藤大輔(男子9番)は走って赤井雅子(女子6番)に近づき、ビンタをした。
雅子はじっと大輔を見る。----冷たい目だった。
許せなかったんだ。
人の死を簡単に笑って…人の命を簡単に奪って…最低人間が…なんで此処にいて生きているのか分からなかったんだ。
「何故だ?どうして人の命を簡単に奪う?」
「決まってるでしょ?生きたい。ただそれだけ。」
「たったそれだけ?最低なクズだな。」
「いい加減に目覚めたら?プログラムよ?あなたは生きたいとは思わないの?」
「俺は…」
「親戚か兄弟がプログラムで死んでそれから感情的になってるだけじゃない?そういうのはうざがられるのよ」
兄弟、という単語を聞いて大輔は固まった。一瞬のうちに雅子は大輔の手を無理矢理離して大輔に銃を向けた。
「最後に教えてあげる。私、高貴君の他に里香と木本君を殺したの。んじゃ、バイバイ」
何かが自分の身体の中を傷つけた。
気がつくと、昔住んでいた実家の自分の部屋にいた。机の上を見てみるとどうやら昔いた友達に手紙を書いていたのだ。大輔は不思議に思った。プログラムの真っ最中なのに何故自分が此処にいるのか。椅子から立ち上がって自室を後にした。
それから一つ一つの部屋を見てみる。その中の一つの部屋で、相変わらず父親が酒を飲んでいた。大輔に気付いたらしくこっちを見て「一緒に飲むか?」などと言っていた。----懐かしい。でも父さん。俺未成年だよ。何処かくすぐったくて笑みを浮かべた。今なら話せる気がした。
「俺のことはもう怒ってない?」
「何だ?」
「だって俺勝手に家出したんだよ。父さん怒ってない?」
「忘れちゃったなあ、そんなのは。それより大輔、大きくなったな」
「父さんは相変わらず…だね」
「おうよ。でもお前背高いなあ。父さんより高いぞ、コラ」
「そう?俺ちょっとトイレに行ってくるよ。またあとで此処に来る。話したいこと山ほどあるんだよ」
「そうか。待ってるぞ」
「うん」
「もう勝手に家を出るんじゃない」
「……ごめん」
それから父がいる部屋を後にしてトイレに向かっていった。トイレには確か小さい頃に大輔が描いた父と母と弟の絵が貼ってあった。相変わらずへたくそだった。でもどこか幸せを感じていた。この頃の自分はもしかしたら楽しそうだったかもしれない。惜しむかのようにゆっくりと自室に向かって歩いた。
此処には少なかったけど思い出が詰まっている。
階段を登り自分の部屋のドアノブに手をかける。---ふともう一つの部屋に目を向けた。そこは弟、祐輔の部屋だった。何かに引きずり込まれるような感覚で大輔はとっさにその部屋のドアノブを握って回した。ゆっくりと開けると次の瞬間泣きそうな衝撃に襲われた。祐輔が確かにそこに立っていて空を見ていたので。
「ゆ…祐輔…」
呼びかけると祐輔はゆっくりと大輔の方に振り向いた。そして大輔に向かって微笑んだ。あの時の憎しみを込めたような表情ではなく。
「祐輔…」
「何か用?」
久しぶりに聞いた祐輔の声はしっかりとしていた。何故か元気が出てきた。
「あの…俺、俺…お前に謝りたいことがあって…」
「ん?」
噛みながら話す。聞き取りづらいだろうにそれでも祐輔は少し首を傾げ、戻し聞こうとしていた。
「寂しい思いさせて…ごめん。あの時お前を連れて行けば…よかったかもな。本当にごめん…。許してもらえないだろうけど…ごめんなさい」
「いいよ」
「……え?」
「俺もごめん。よく考えたら家族を信じることって凄い大切なんだと思った。だからおあいこな?」
「…祐輔…」
「何泣いてんだよ。ほら行こう。親父が待ってるんだろう?」
「うん…」
祐輔が手を差し伸べ、大輔はしっかりと祐輔の手を握った。何だか可笑しくて笑えた。
つられたかのように祐輔も笑っていた。繋いでいた手を上下に振る。二人は小さい子供の頃の二人に戻っていった。
光が二人を包んだ。
【残り:7人】
男子09番近藤大輔 死亡
終盤戦終了。
- Re: オリバト1 ( No.42 )
- 日時: 2010/07/11 15:04
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
終盤戦終了時点でのネタばれ名簿
男子
01番安藤学
02番井山健太
03番 死亡
04番 死亡
05番 死亡
06番 死亡
07番 死亡
08番 死亡
09番 死亡
10番 死亡
11番 死亡
12番 死亡
13番園崎葵
14番 死亡
15番 死亡
女子
01番愛野由唯
02番 死亡
03番 死亡
04番 死亡
05番 死亡
06番赤井雅子
07番 死亡
08番阿久津雪奈
09番 死亡
10番 死亡
11番 死亡
12番 死亡
13番足立梢
14番 死亡
15番 死亡
【残り:7人】
- Re: オリバト1 ( No.43 )
- 日時: 2010/07/11 15:30
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
当たり前なことがもうできないと思うと息が出来なくなる。
それぐらい、毎日が楽しみだったんだ。
こんなところに来て。こんなところで友達の可哀相な姿を見て。
友達と友達が殺しあう。なんて馬鹿げて。
希望を探してやっとで掴んでもすぐすり抜けて逃げて。
きっと希望など、もうない。
それでも生き抜こうと思って。
でも、もう毎日を過ごすことは二度とないんだね。
安藤学(男子1番)は近くの方で銃声がしたのと同時に何もない空に顔を上げた。
もう、夕方だと思うぐらい空が明るかった。何事だろうと目を瞬きしたらまた聞こえた。気のせいじゃない。そう思った学は近づきたくて足を一歩踏み出すがそこからは、もうしなくなった。------自分がいなかったら誰が彼女達を守るんだろう。
何もできない自分に腹が立った。
「安藤----!」
誰かの声が聞こえた。どこから、と周りをキョロキョロする。銃声がした先の方で二人見えた。井山健太(男子2番)と園崎葵(男子13番)だった。葵の方は抱えられていたが、まさか死んでるのか?
「井山、それ…」
「ああ、寝てる!」
「は?」
「わりーな、俺がふざけてスプレーかけたの」
「……ってそんなことよりさっきの音!何があった?」
「そうだ!それだよ!赤井さんがやる気になってんの!津田が殺されて、今大輔が…っ」
「ああ……ってええ?!あの赤井さんが?!」
ゲームに乗った人を知った安藤はショックを受けた。
赤井雅子は誰にでも平等に接してくれる心優しい少女だった。
まさか、ゲームに乗ってるなんて、考えてもみなかった。
そういえば数時間前に青木里香(女子5番)と一緒にいるのを見かけたが里香も殺したのだろうか?
「葵、どこに置けばいい?!」
「え!?えっと、そこの家…愛野さんと足立さんいるから」
「二人共いんの?!」
「う、うん、でも大丈夫だと思うけど」
「サンキュサンキュ!赤井さんが此処に来るかもしれないから気をつけろ!」
家があると健太はすぐドアを開けていった。
健太を見送った後、学は溜め息をついた。
全く人は見かけによらないものだ。
本当にそう思っていた。ふと頭の中に何かを思い浮かんだ。
そういえば足立梢(女子13番)に好きだと言ってない。多分きっと好きだと言っても向こうは断るだろう。あんなことがあったから当然誰も信じてはない。もう二度と人を信じようとは思わないだろうに。好きだと言えば向こうは困る。返事に困って挙句自分を振るのだろう。
もしも、運命が変わっていたら。
この恋は実っていたのかな。
「安藤君、みーっけ」
雅子の声と同時に学は自分の身体が熱く感じられた。
それから意識を放し、後に誰かの温もりを感じた。
最初に目を開けて見えたのは。
悲しそうな目で自分を見ていた梢だった。
「……あ…」
「……大丈夫?」
「…む…りかも…。あちこち痛くて…」
「そう…」
「赤井さんは……?」
「今…井山君が足止めしてくれてる」
「そっか……足立…さん」
「?」
言おうか。
いや、言わないでおこうか。
でもこの言葉だけは言わせてほしい。
もう先長くないし、これぐらいはいいだろ?
…傷つくかもしれないけど。
「…僕は…足立さんに会えて…よかったよ」
最後に見たものは。
凄く驚いている貴方の顔でした。
【残り:6人】
男子01番安藤学 死亡。
- Re: オリバト1 ( No.44 )
- 日時: 2010/07/11 15:58
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
思い出したのは貴方の無愛想な顔。
今思えば貴方は私にしか見せない顔をしていたね。
いつも「あんな大人は嫌いだ」と愚痴を漏らしていたね。
貴方には、私との思い出など、灰色にしか見えないかもしれないけど
私には鮮やかに見えるのです。
真っ白なキャンパスが、虹色に染まるように。
足立梢(女子13番)は二度も目の前で人が死んだことにまだ慣れてはいなかった。
寧ろ、慣れていないという言葉をもう二度と使わないほうがいいのだろう。梢は冷や汗をかいていた。そして、少し遠く目の前に銃を構えて立っている赤井雅子(女子6番)を見つけた。向こうもこちらに気付いたのか笑っている。
その笑い顔は朝倉さくら(女子10番)に似ていた。
「足立さん。」
「……何?」
「私ね、朝倉達にあなたをいじめるように頼んだんだ。」
雅子はゆっくりと言って口先に笑みを浮かべた。梢はその台詞を聞いた途端青ざめ、目を見開いた。
「………何で?!」
「私、このクラスが大嫌いなの特にアンタがね。」
そう聞こえたのと同時に梢はグロック19を腕で抱え、ほんの少し動かして引き金に指を入れた。弾が入っていることを確認するとすぐ雅子に向けて撃った。だが雅子はとっさに避けて素早く梢の後ろに回る。次の瞬間気配を感じて後ろを振り向かずにまた撃った。しかし手ごたえはなかったのでチッと舌打ちをした。そして思った。
目の前にいるこの人は私を否定した。
何だか悲しかった。
でも悲しいというのは慣れてるはず。
なのに、どうしてこんなに涙が出そうになるの?
こんな時…こんな時、貴方がいたならよかったのに。
どうして私ばっかりなんだろう。
私は何もしていないはずよ。
「……赤井さん、井山君は…どうしたの?」
梢はゆっくりと言葉を繋げて言った。銃を構えたまま、雅子は呆然とし、そして笑った。
「足立さん、井山君の事好きなんだ?」
「そう、じゃない」
違ったと分かった途端、雅子は頭を掻いた。口笛を吹き始めたかと思えば梢の足元に一発撃ち込んだ。
【残り6人】
- Re: オリバト1 ( No.45 )
- 日時: 2010/07/11 16:00
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
「井山君にはちょっと肩に撃ち込んであげた。邪魔だから愛野さんと園崎君とかも一緒に家に鍵を掛けて閉じこめておいた。しばらくは出られないわね。うん。だって一先ず先にあなたを殺したかったからね」
「な……んで…」
「私、あなた嫌い、死ねばいいのよ」
また言われた。
言葉は私を傷つける。
安らぎなんて最初からなかったみたいに。
崩れるの。割れたガラスが床に落ちるみたいに。
「こらあああ!赤井、開けろ!開けろっつってんのがわかんねえのか馬鹿あああ!」
ふと思いもよらぬ声が飛んできた。それが井山健太(男子2番)だと分かった。が梢にはどうにもできなかった。自分のことを好きだと言ってくれたのに断った自分に彼の前で彼の名前を呼ぶ資格なんてないのだ。黙ってドンドン!と叩かれる家のドアをじっと見つめた。
「うるさいわね、井山君。邪魔しないで!」
「うるさいとはお前クラスメイトに向かってなんじゃああ!頼む、梢ちゃん、見逃してくれ!梢ちゃん、走って逃げてくれ!!」
自分に宛ててくれる健太の声に何も応えられずにただ黙ってみているしかない。仕方ないんだ。これが自分が自分に宛てた答えなのだから。自分の言うことに従うことしか、できなかった。
「それとな!梢ちゃんは生きろよ!取り戻すんだろ?楽しかった日々…のようにはいかないけど新しい人生で!新しい毎日を作って笑顔を取り戻してくれよ!なあ!此処にいていいんだ!俺と葵と由唯ちゃんが保証するから!」
「足立さん、お願い、死なないで!一緒に生きよう。一緒に生きて新しい人生を送ろう!楽しいこと、一緒に取り戻そうよ!」
健太とはまた別の声が飛んだ。言うまでもない、愛野由唯(女子1番)の声だった。
もう我慢できず、涙を次から次へと溢した。溢れてくるものは止まらなかった。
涙などもうとうに枯れたと思っていたのに。
こんなに優しい言葉、久しぶりだった。
何でもいいから誰かの温もりを欲しがってたんだ。
私なんか、死んじゃえばいいと思ってた。
いなくなればいいと思ってた。
けど、それは今分かった。間違いだってこと。
私は、此処にいていいんだね。
やっと気付いたよ。
雅子の隙を狙い、ディパックを抱え、またドアの方に目をやった。そして走った。
失敗は許されない。二度はない。
今すぐ優しい言葉に応えたい。
いや、応えよう。
間違ってたけれど、正しくもなかった。
ねえ、貴方ならそう言うんだよね。
正解も不正解もない。
ただ、あるのは、自分の生きる道のみ、だって。
かかっていた鍵を無理矢理開けた。いきなりドアが勢いよく開けられ、健太、由唯の姿が見えた。次の瞬間、自分の背中や腹が撃たれたってことを理解できた。
「こ、梢ちゃん?!」
「足立さん!」
全身の力がいきなり抜かれたように、梢の身体は崩れ落ちようとしたが、良也が抱え直していた。心配そうに二人は梢の顔を覗き込んだ。
自分を驚きながらも見てくれている二人に梢はほんの少しだけ笑みを浮かべた。
それは心からではなく、誰にでもできるであろう、作り笑いだったけれども。
「ありがとう。今度はもう、誰にも否定されないよね」
是非。
人の痛みを分かってくれる目の前にいる貴方達には生きてほしいと思いました。
そして、かつてのこと。
貴方に置いてかれた私はただの抜け殻と同じでした。
泣き叫びもしました。私を、置いていかないで、と。
でもいくら言っても貴方は答えてくれなかった。
「…………?」
視界がぼんやりし始めた。梢は何のことだか分からずにただただ必死に健太と由唯を見つめていた。だがそれはだんだん薄れていって、真っ暗になった。頭の中でもうそれは記憶にしかない葵輝丹の顔を思い浮かべた。
「こう、に……」
何もないところで、一人きりは怖いけど。
自分を思ってくれる人が、一人でも二人でもいてくれればそれでいいの。
言ってはいけないことだけど、貴方に言っておきたいことがありました。
でもそれは過去形。今はもう貴方のことは弟としか思えません。
一回しか言わないのでよく聞いてほしい。
輝丹。
愛していました。
梢の思考はそこで途切れ、完全に息絶えた。ガクンと急に重さが増した梢の身体に健太は違和感を感じた。そして分かった。もう彼女はたった今旅立ったんだと。たった今、もういなくなったのだと。そう思ったら泣き叫びたくなった。梢の顔は穏やかでまるで天使が笑っているかのようだった。
【残り5人】
女子13番足立梢 死亡
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