二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ひぐらしのなく頃に 絆
日時: 2010/11/28 09:15
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、泉海斗です。
新作品、ひぐらしのなく頃に 絆です。
進むにつれて、視点や書き方がが変わっていくと思いますので、そこのところはご了承ください。
コメント・閲覧いただければ幸いです。
それでは第1巻『神隠し編』です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1、楽しい日々
 「おはよー、圭一君。2日ぶりだね。だね」
 「おっす、レナおはよう」
 俺は前原圭一。ここ雛見沢に引っ越してきて1週間。ここ2日は東京にいる親戚の葬式にいっていて学校を休んでいたんだよな。俺の隣にいるのは竜宮レナ。かあいいものには目がなく、かあいいモードのレナを止められるのはほとんどいない。俺も止められない。
 「「「おはよう圭!!(おっす、圭一!!)」
 「おっす、ミサキ、涼子、祐樹」
今挨拶してきたのは俺の仲間の小野ミサキ、泉涼子、大葉祐樹。ミサキは俺と同じ中学2年生。御三家の古手家と親戚関係にある。泉涼子は俺より1つ年上の中学3年生。小さいときに東京から父親の仕事の都合で引っ越してきたらしい。つまりここで生まれたわけではない。もう1人、大葉祐樹。こいつも涼子と同じ中学3年生。御三家候補の大葉家に長男だ。
 「いやー圭がいなかったから、勉強が大変だったよ」
 「おいおい、俺がいなくてもそれくらいはできるだろうが。やれやれ」
 「ぶー。仕方ないじゃないか。私そんなに勉強得意じゃないんだから・・・」
あれあれ、ミサキの奴落ち込んじまったかな??
 「ハゥ。ミサキちゃんは圭一君がいなかったから、寂しかったんだよね。よね」
 「おいおい。朝からお暑いですねーお2人さん。見せつけかな??ま、俺は沙都子一筋だからな。あはははは」
相変わらずだな・・・。
 「うふふ。祐樹、朝から俺はロリコンだー、なんて恥ずかしいこと大声でいえるんだ??」
ごもっともです。それにしてもここは空気がおいしい。それに信頼のできる仲間もたくさんいる。小さな村だけどみんな一生懸命に生きているんだよな。そこへ・・・。
 「おーい。みんなおはよう!!」
元気な女の声がしてきた。
 「おはよう魅音。2日ぶりだな」
 「おはよう圭ちゃん。何年ぶりかな??」
 「あはは、魅ぃちゃん大げさだよ。でよ」
 「魅ぃも圭がいなくて寂しかったもんなー」
 「え?え?ちっちがうよー、まっまあ心配だったのは本当だけどさ・・・」
 「なんだなんだ??魅音、朝から顔が赤いぞ??まさか??くっくっく」
 「だーーー、違う違う!!もうみんな行くよ」
 「そうだな。みんな行こうぜ」
こんな他愛もない会話をしつつ俺達は学校へ向かった。
 「とうとう今日も来てしまったか・・・」
俺の目の前には教室の入り口のドアがある。しかしここを無事に通ることは難しい。なんでかって??
 「おーほっほっほ。どうしましたの圭一さん。早くお入りになってはどうですの??もしかして怖いのでありますか??」
 「なんだとー沙都子。ああいいぜ。もうここをちゃちゃっとクリアしてやるぜー」
そういって俺は中に突撃したのだが・・・。
 「ぎゃーーー!!」
見事に引っかかっちまったな・・・。
 「おーほっほっほ。朝から何を騒いでますの??圭一さん」
 「ハゥ。圭一君大丈夫かな?かな?」
 「あはは、圭ちゃんいつもどうり気持ちいい位の引っかかりようだねー」
くそー。俺だった引っかかりたくて引っかかってるんじゃないんだよ。
 「みー☆圭一はかわいそかわいそなのです」
 「ありがとう梨花ちゃん」
この子は古手梨花ちゃん。御三家の1つ古手家の頭首だ。今は両親が居らず、同じ状態の沙都子と一緒に生活している。なんでもオヤシロ様の生まれ変わりと言われているらしいな。
 「それよりも沙都子。今日もでこピンの刑にしてやるぜ!!覚悟しろーーーーー」
 「いやー。来ないでくださいまし。このケダモノー」
 「誤解の生むようなことを言うなー!!」
 は!!??この感覚はまさか・・・・。
 「ハーウー、泣いてる沙都子ちゃんかあいいよー」
ドカ バキ バコ 
 「う う 痛い・・・」

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14



Re: ひぐらしのなく頃に 絆 ( No.64 )
日時: 2011/02/09 22:53
名前: 泉 海斗 (ID: TPJwhnvu)

コメントありがとうぅぅ!!
さあ、今日も萌を求めて、小説を投稿だ!!
PS まったく萌要素はないのですよ。あぅあぅ。

時変わり編 2

 園崎圭一・・・それが男性の名前だった。旧雛身沢村の大災害から唯一生き残った元住人。
 それが彼らの興味を引いた。矢次に質問する唯に淡々と答える圭一。質問に答えるとき、わずかに曇る表情。
 やはり何年たっても心の傷は治らないのだ。
「ほどほどにして置けよ唯。園崎さんだって思い出したくないことだってたくさんあるんだから」
「分かってるよ達哉。すいませんでした園崎さん。おかげで少しかつてのことが分かりました」
「お役に立てたなら良かったよ。明日は俺が少しここを案内しよう」
 それにはみなが喜んだ。
 やはり知らないことは知っている人に聞くに限る。この日の夜は持ってきていたものでの調理でカレーだった。
 どうやら圭一は料理がからっきしらしく、かつてはなべを爆発させてしまったこともあるらしく、1人待つこととなった。
 出来上がった料理と酒を囲んで皆で輪になって食べることにした。昔はカレー好きの先生がいたものだと思い出しながら語る圭一。
 色々と当時のことを話してくれた。自分が災害が起きた年の5月ごろに転校してきたこと。来る前は東京にいて灰色の生活をしていたこと。それがたたって児童虐待事件を起こしてしまったこと。ここにきてからが打って変わって色付いた生活ができたということ。毎日の部活が楽しかったこと。部活の罰ゲームでよく女装をしたこと。綿流しのときの部活がいつもの日ではなかったこと。色々な過去のことを話してくれた。それを話しているときの圭一の表情はどことなく楽しそうで、懐かしそうで、そして悲しそうだった。
 そして興味深い話が唯から出てきた。
「みんな・・・ここ雛身沢では鬼隠しってのがあるらしんだ」
 それを聞いた圭一は分かりやすいほどに反応した。しかしそれに気づいたのはいなかった。
 鬼隠し・・・毎年綿流しの日に一人が行方不明になること。けして見つかることはないことや昔雛身沢には鬼が板ということから鬼隠しと呼ばれるようになったのだ。いなくなった彼らは一体どんな気持ちでいるのだろうか。否死んでしまうから何がおきたのか分からないだろうか。
「それがあの連続怪死事件で注目されたってこと??」
 酒で酔っているのか投げやりな態度で聞いてくる奈々。それに頷くこと答える唯。
 かつての新聞などからとってきたのだろうか。唯の取り出したノートには雛身座和解し事件についてのことや歴史に関するものがびっしりと書かれていた。
 よく書いてるなと横目で見ている達哉。するとガラガラと扉が開けられた。一体誰だろうと思うとゆっくりと姿を現したのは見知らぬ女性だった。肩からはカメラを紐で引っ掛け、リュックをしょっている黒髪ロングヘアーの女性だった。
「どちらさまでしょうか??」
 おずぞずと尋ねる柊子。くすりと微笑を浮かべる女性。
「田無三四よ」

Re: ひぐらしのなく頃に 絆 ( No.65 )
日時: 2011/02/11 12:43
名前: 泉 海斗 (ID: TPJwhnvu)

時変わり編3


 翌日圭一に連れられ唯たちは雛身沢を歩いていた。
 快晴に恵まれ、太陽の日差しに思わず目をつぶってしまいそうになる。
 しばらく歩いていくと、ツルが所狭しと巻きついた一軒の家の前についた。
 ここに車で見た家よりも大きなものだった。
「結構大きな家ですね。こんな田舎に誰か金持ちでも住んでたんですか??」
 興味心身にカメラに次々と収めていく唯が尋ねる。
 少しは自重しろと達哉が言うが、まったく収まる気配はない。
 まあいいんじゃないかと宥める柊子。
「ここは・・・かつて俺の家だったんだ」
 懐かしそうに見る圭一。
「そうなら、あなたは結構なお金持ちだったの??」
「おい、奈々。何で今そんな質問を」
「うるさい、達哉。私はただこの人の過去がどうだったか聞いてるだけでしょ??別に金持ってそうだったらくっつこうだなんて野暮な考えはないわよ」
———いつもそうやって男を拾うから誤解するんだよな・・・。
 嘆息しながら達哉は思う。
「そんなに金があったわけじゃないんだけどな。まあ、ここにすんでた人たちよりはあったかもな」
 泥で汚れて、風化しつつある壁をなでながら言う。
「御三家ってのもあってそれらのほうが金あったな。特にこの雛身沢を治めていた園崎家なんてはすごかったな・・・。友達に園崎のやつがいてさ、年上なのに遊びはできても勉強がな・・・」
 よく教えてやったものだと懐かしそうに言う。
 その人は今どうしてますかなどと無責任なことは聞くつもりはなかった。
 目の前の男性からこれ以上彼女のことは聞かないでくれというオーラが出ていたのだ。
 きっと今の表情からして、もうこの世にはいないのだろう。
「さて、次に行くか」
 圭一に続いて、再び歩き出した。

 次にやってきたのはすでに屋根の一部が破損し、大きな穴が開いた学校だった。
 中に入ると木造だからか、そこから雑草やらが生えていた。
 蜘蛛の巣だらけで奈々は入りたくないといい、仕方ないと達哉と一緒に待っていることになった。
「ここは圭一さんの学び舎ですか??」
「ああ、こうやって中に入るといつもとラップがあったもんだな」
「トラップですか!?」
「くくく、そうだよな。普通はそう思うよな」
 しかし圭一にとってはそうではなかった。
 いつもの待ち合わせの水車小屋から6人で学校へと向かう。
 1人はかわいいものが見つかったことを誇らしげに話し。
———あのパンチは痛かった・・・。
 1人は昨日の自分の醜態について傷に潮を塗るように言ってくるわれらが部長。
———あのコスプレランニングは黒歴史だ・・・。
 1人は自分のことについて色々聞いてくる危なっかしいやつだった。
———なかなか視線を合わせてくれなかったのはなんでだなんて当時は思ってたけど今となれば・・・分かる。
———もっと違う世界になってたかもな・・・。そうなれば俺はどうしているだろうか??
 1人はなんだかよくオカルト雑誌開いて、圭一と同じく過去と決別するためにここに来た少女だった。
———何かと調べ物につき合わされたな・・・。
 1人はお互いに好きな子について語り合った男友達。
———あのロリコンはすごかったな・・・。でもなんであの時俺達KYって言われたんだ??
 そんな6人で中に入れば待っていたのは一人の少女によるトラップの数々。
———はっきり言ってよくあんなにもアイディアがあったものだ・・・。今ならあいつをスカウトしてもいいかもなんて思えるぞ・・・。
 まさか彼らが今自分が何の仕事をしているかなんて予想もできないだろう。
 そして一番悲惨な死を遂げた年下の女の子。
 彼女の死を聞いたときは、むごい・・・それだけだった。
 腹を切り開かれた上体で発見されたのだった。
「圭一さん??どうしたんですか??顔が真っ青ですよ・・・」
 心配そうに話しかけてきたのは柊子だった。
 額を触ってみると確かに嫌な汗がジトっとしていた。
 おそらくあのときのことまで思い出してしまったからだろうと思った。
 何年立った今でも心が握りつぶされそうな痛みが走る。
「大丈夫・・・少し思い出しすぎた」
「すいません・・・俺が余計なことを聞いたばかりに・・・」
「そんなことないさ。それよりここにはカレー好きの先生がいてな。3食問わず年中カレーの先生がいたな。その人カレーについては地獄耳でさー、ちょっとしたことで教室まで走ってきたな」
 部活で悪口を言い、延々と説教を食らったことも話した。
「あれは地獄だった・・・」
「大変だったんですね・・・」
 同情の意味を込めて言う唯。
 そろそろ行くかと外へと向かう3人だった。

感想など待ってます。

Re: ひぐらしのなく頃に 絆 ( No.66 )
日時: 2011/02/12 18:57
名前: 鏡音 瑞 (ID: 3AvLviHa)

ふにゃん……
ねむねむ〜なのです。

さ、沙都子ちゃぁぁぁあんッッ☆

え?なんでもないのですよ。みぃ。(汗)

やっぱり、すごいなぁ。
尊敬します。

次も頑張ってね!
お疲れ様☆

Re: ひぐらしのなく頃に 絆 ( No.67 )
日時: 2011/02/12 22:37
名前: 泉 海斗 (ID: TPJwhnvu)

コメントありがとうぅぅぅ!!
いよいよ時変わり編も中盤・・・。
そろそろ新しい現在執筆中の祟り殺しを完結させなきゃな・・・。
今書いてる魔法少女リリカルなのはSEEDも進めなきゃな・・・。
そんなこんなで楽しく執筆している海斗ですぅ。ハゥ〜。

時変わり編4

 外に待っているはずだった田無三四・佐々木奈々・斉藤達哉の姿がなかった。
 最初は3人だけで観光にでも言ったのだと思い、唯と柊子は圭一に連れられて、ゴミ処理所にきていた。
 今はきれいに排気され、まったくゴミは残っていない元不法投棄の場所。
「あの時は本当にゴミ山だったんだぜ??」
 辺りを眺めながら言う圭一。
 こんなきれいなところがゴミの不法投棄所だったなんてとてもじゃないが信じられないという唯たち。
 なんせゴミのない地面にはきれい草花が咲いていたからだ。
———確かここでだったよな・・・埋まったケンタ君人形を拾ったのは・・・。
 圭一の目にはあの頃と代わらない、ゴミ山が映っていた。
 足場があるかどうかも分からないゴミ山。
 踏み外せば小さな怪我だけではすまないような場所だった。
 しかし一番高いところに立っているのは白のワンピースを着たオレンジ色の髪をした少女だ。
 なぜか鉈を持ち、自分を見ている。
———殺されるかと思ったぜ・・・。
 屈託のない笑顔を見せ、自分を秘密の基地へと案内してくれた少女。
 そこには十分生活ができる用意がなされていて、驚かされたのを覚えている。
———そう・・・まるで昨日のように。
 そっと取り出したのは真っ赤の燃えるような赤いビー玉。
 ここで怪我を追いながらも彼女と手に入れたきれいな思い出の詰まったビー玉。
『えへへ、この赤いビー玉、まるで圭一くんみたいだね。燃える太陽みたいで、暖かい感じなの』
『そうか??だったらこの蒼いビー玉は  みたいだな。なんていうか、雛身沢を包み込む、蒼い空って感じ』
『ハゥ、まるで圭一くんとわたしって一緒にいるみたいだね。だね』
『///何恥ずかしい事言うんだよ』
『圭一くんは・・・嫌なのかな・・・??かな』
『・・・そんなわけないじゃんか///ああ、もう恥ずかしいからこういう話はまた今度!!』
『いつもはこういう話は圭一くんからするのにね。それじゃあ明日は残ったビー玉をみんなに渡そうね』
『ああ、そうだな。きっとみんな喜んでくれるさ』
その赤いビー玉が太陽の光を反射して赤く光る。
 それを見ている圭一に気がついたのか、唯が聞いてきた。
「圭一さん、それは・・・ビー玉ですよね」
「ああ、これは俺の・・・俺達の思い出が詰まってるんだ。ココデな、同級生の女の子と一緒にとったんだよ。あの時は怪我しながらだったからな」
 たははと過去の失敗談を混ぜながら話す圭一。
 そんな圭一のこの場所を寂しそうに見る表情を横で見る唯たち。
きれいになったのはいいことだが、やはり思い出が一つずつ消えていっているのを見るのはつらいのだろうと思った。


Re: ひぐらしのなく頃に 絆 ( No.68 )
日時: 2011/02/14 21:18
名前: 泉 海斗 (ID: TPJwhnvu)

時変わり編 5

 時間は経ち、現在は夜の10時を回るところだった。
 しかし彼らを包む雰囲気は重いものだった。
 いまだ戻ってこない田無たち。
 携帯にかけてもまったく通じず、田無との連絡手段を持たない彼らがこの夜、さらに雨の降りしきる中を捜索するのは危険極まりなかった。
 唯の傍で泣きじゃくっている柊子。
 そんな彼女を慰める唯。
 彼らの周りには残っていたカレーを食べた皿のあとと缶ビールの空き缶があった。
「しかしどうしたんだろう。こんな天気の中じゃあ、きっと奈々のやつきっと切れてるだろうな」
「そうなのか??まあ、女の子だからな。そうなら田無さんもだな。これは達哉君は大変そうだな」
 確かにと苦笑いの唯。
 しかし心配の色は表情から消えない。
 雨が強くなり、古手神社の境内の屋根を強く叩く。
 とき切なる雷とその閃光で視界が真っ白になる。
 これはまずいことになってきたなと思う圭一。
 そして突然鍵をかけておいたドアがドンドンとたたかれる。
 ヒイっと柊子が悲鳴を小さくあげる。
 唯が彼女の口を手でふさぐ。
 キンっと言う金属音が鳴る。
 なんだろうかと唯が振り向くとそこには背中にあった紫色の風呂敷に包まれていた棒状のものを持つ圭一がいた。
 その棒状のものは、日本刀だった。
 どう見ても真剣であり、凶器ともなりうるものだった。
 それを腰の高さに構え、ゆっくりと叩かれるドアに近づく。
「下がってろ・・・」
 何も言わずに無言でコクリと頷く唯は柊子を庇いながら後ろへとゆっくり下がり、圭一とドアから距離をとる。
 そして勢いよくダンと開けると同時にその刀の切っ先を目の前に現れた人物に突きつける。
「おいおい待ってくれよ・・・。俺は怪しいものじゃないって・・・」
「こんなところに、しかも夜遅く来ることから怪しんだ。さあ、名を名乗れ」
 低く、冷たい声色で尋ねる圭一。
 唯たちにはそんな尋問じみたものに圭一がなれているように感じた。
 さらに剣術も寸のところで止めるなど、かなりの腕なのだろうと感じていた。
「ああ、分かったよ。俺はジャーナリストの武田悠二だ。ほら、このとおり名刺もある」
 懐から財布を取り出し、名刺を取り出す武田。
 それを受け取り、圭一は頷くと中へと入れる。
 すまねえなといいながら入る武田は全身が雨でびっしょりだった。
「一体こんなところに何をしに来たんですか??」
 唯が警戒しながら聞く。
 タオルを受け取り、頭を拭きながら着替えをする武田。
「ちょっと気になることがあってな・・・」
「気になることって??」
「お前さん、この雛身沢がどうして全滅したか・・・知っているか??」
 ピクリと圭一が反応したのを唯は見逃さなかった.
 武田は圭一がここの出身だと知らないから平気で過去の話を引っ張り出せるのだろう。
 「俺はこの村が災害で滅んだとは到底思えないんだな」
 「どういうことですか??新聞などには確かに災害で滅んだと書いてましたが」
 武田の話を信用できないという唯。
 しかし対照的に、圭一はその話しに興味を持っていた。
「もう少しおまえの知っていることを話してくれ」
「そういうお前さんも、もしかして俺と同じ考えのやつか」
 頷く圭一を見てにやりと笑う武田。
 いいのかと不安がる唯。
 しかしそんな彼のことを無視して圭一と武田は二人だけではなしを始める。


 どれくらい時間がたっただろうか、腕時計を見るともう深夜を回っていた。
 話を終えた2人は意気投合してビールを飲んでいた。
 そんな彼らを尻目に結いは何度かドアを開けては帰ってくるのではないかとまっていた。
 しかし一向に戻ってくる気配はなかった。
「どうした唯君、お友達でも待ってるのか??」
「ええ、この雨の中ですから・・・心配で」
「俺が入ったときから雨が降り出したからな。でもそんなやつらは見てないぞ??」
 腕組みをしながら思い出そうとしている武田。
 もしかしてと思っていた唯だが、外れらしい。
———しかし奇妙な人だよな・・・武田って人。
 かなりやせ細っていて、目の下には熊ができていた。
 まだ40代だというのに少しばかり白髪が目立っている。
 それでも瞳にはジャーナリストとしての炎が灯っている。
「へっへっへ、少し気分が良くなってきたから面白い話でもしようかな??」
「面白い話ですか??」
「ああ、もしもの話だ。お前さんの連れは鬼隠しにあったのかもな」
「鬼・・・隠しですか??そんな馬鹿な。だってあれは雛身沢での綿流しの火に起きたことであって・・・」
 しかしはっと気づく。
 圭一の表情には悲しみがあり、武田はヒッヒッヒと不気味な笑いを上げている。
「そういうことさ。今日はなんたって綿流しの日だ」
 ノートにもあるが綿流しの日、過去4年間は1人が死に、もう1人が行方不明になる事件が起きていたのだ。
 しかしそれは5年目の事件を最後に村が全滅したことで終わりを告げた。
 それが自分たちが入り込んだことでまた怒るとは思えなかった。
 しかしそういうのが好きな自分たちにとってそれは興味がある反面、恐怖するものでもあった。
———この日とは面白がっているのか??それとも何か意味があっていっているのか・・・。
 まったく持って読めない男だった。
「もしかしたら鬼ヶ淵沼から現れた鬼が3人のうち、2人を襲ってるかもな。とはいえ、俺はあの事件は同一人物だと思っている」
———それは誰でもそうだろう。だって傾向が同じすぎる。
「それは俺も同感だ。それに俺の知り合いで探偵だったやつが記憶喪失の状態で雛身沢から戻ったって言うのがある。傷だらけだったこととその年に起きた古手夫妻殺害からして、犯人に口封じでやられたんだろうな」
「それで??その人は今??」
「療養中だな。記憶がいつ戻るかも分からないらしい」
 ふぅと一息つく圭一。
 一日中歩いたのか、それともいろいろ思い出すことがあってか疲れているようだった。
 それで3人の捜索は明日から始めようと決まり。
 眠りにつくのだった。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14



この掲示板は過去ログ化されています。