二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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東方魔戒録
日時: 2010/12/08 05:14
名前: ミカギ (ID: jvWBucyN)
参照: http://story.awalker.jp/evihurai/

幻想郷。非常識こそが常識的で、非現実こそが最高のリアルな世界。妖怪、妖精、はたまた神様までもが住まう悠久の常代に、全人類に復讐を誓う悪霊がいた。

死してなお、憎しみに生きる魔女。彼女が復讐者として生まれたのは、遠い昔の記憶。

愛した人間だからこそ、許せない。

愛した人間だからこそ、殺さずにはいられない。


愛した人間だからこそ、まだ愛したままでいたい。


霧雨魔理沙。

願い、嘆く彼女の前に、その少女は唐突に現れた——



さあ、ぐだぐたな小説を書いてくよ!

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Re: 東方魔戒録 ( No.11 )
日時: 2010/12/01 02:29
名前: ミカギ (ID: j24nS2D/)

死すれば、三途の川へと辿りつく。三途の川へと辿り着けば、舟頭に乗せてもらう。三途の川を渡った先には、彼岸。その先の濃霧を歩くと、閻魔が待つ裁定の場へと導かれる。

「貴方は、白。迷わず、天国へ行きなさい」

勾玉のような形をした淡い半透明の霊魂。三角巾をゆらめかせ、頭を下げたかと思うと、扉のすり抜け、奥へと消えてしまった。

「ふぅ」

取り残された、矮小な幼子のような閻魔。スモックに、ショートのスカート。一見すれば普通の少女だが、ボーイッシュな緑髪の上に被さった装飾の施された帽子は威厳を醸し出し、整った幼い瞳には、何者も入り込む余地のない強い意思が灯っていた。

「そろそろ、問題の輩が」

スモックを整え、殺風景なレッドカーペットが敷かれた長方形の部屋に設置された漆塗りのデスクに顎杖をつき、問題を抱える死者を待つ。

問題。それこそ死者を審判することを生業としている閻魔にとって、白黒を区分けすることが容易ではない面倒な魂。

コンコンッコンコンッ、と、ノックされた扉に、閻魔は冷たく奥の存在を迎え入れた。

「失礼します。山田さんのお宅はここでしょうか」

「……小町。三ヶ月減給」

「すみません」

「まったく……」

頬を掻きながら苦笑いを浮かべる、小野塚小町。死神などという肩書きとは裏腹に、本職は三途の川の渡り、彼岸へ送る舟頭。セミロングの明るい赤紫の髪をツインに結び、袖丈の短い死装束や袖のない藍色の着物をアレンジしたような服装。臍の辺りで固定された大きな一文銭と波打つような刃を持つ大鎌が印象的な彼女は、顎をしゃくり、閻魔が裁く法廷へと問題の存在を導いた。

「随分と可愛らしい閻魔様だ」

死装束を纏わず、生前の服装で現れた魅魔は唖然とし、目の前の閻魔を見下ろした。

「口を慎め、小娘。このまま地獄に叩き落してあげましょうか?」

「そいつは、失礼。四季映姫……えっと、ジャバダバドゥ様?」

「四季映姫ヤマザナドゥです。間違えないように。それと、小町。今月の給料はなしです」

「あたい関係ないじゃないですか!?」

小町の弁解を無視し、閻魔、映姫は冷たく魅魔を見据え、微笑んだ。

「確かに村で行った過剰な力は目に余るものがあります。しかし、大切な者の為とはいえ、力を暴力に使わずにいたこと、実に感銘を受けました」

「貴方に称賛されるためにやったことじゃない。あの人を救うためです」

興味がないというような表情であしらい、魅魔は無粋に鼻を鳴らした。

「……迷わず、天国へ行きなさい。小町」

「はいよ。さ、極楽コースはこっちだよ」

「……待ってください」

映姫は眉をひそめ、真っ直ぐに凝視する魅魔と視線を交差する。

「お願いがあります。聞き入れられるなら、地獄送りにされてもいい」

「判決は絶対です」

「家族の姿を、一目見たいんです」

生への執着心。最も厄介な問題だ。

「貴方は死んだのです。生きているものに執着する必要はない」

「……守るって、決めた。たとえ肉体が滅んでも! 閻魔様、あんたに喧嘩を売ってでも! 一目だけでいい、あの子達を……!」

「……その行為が不幸を生むとも知らぬ戯け。まるで子供ですね」

悔悟棒を置き、映姫は半ば観念するように溜め息を吐き、小町を見やった。

「このまま天国に送っても、面倒なしがらみに罪を生みかねない。小町、同行してもらえますか?」

「命令なら、従いますよ」

「よろしい。では、魅魔。その子と共に、行きなさい。何があろうとも、きちんと帰ってきなさい」

「は、はい。ありがとうございます!」

叶うとは思っていなかったのだろう。感謝する彼女の顔は幼子のように純粋な喜びに変わり、深く、深く映姫に頭を下げ、小町と共に扉の奥へと消えていく。

静かになった部屋。映姫は静かに息を吐き、神妙に項垂れた。

傷つけることを望まず、ずっと森で生きていた女。

何も望むことなく、穏やかな幸せだけを欲した女。

それが魔法使い。魔女だからといって、なぜ奪われなければならないのか。

人間は、分からない生物だ。純粋な笑みを浮かべた魅魔を顔を思い出し、映姫は唇を噛み締めた。

「……貴方を、信じますよ。魅魔」

Re: 東方魔戒録 ( No.12 )
日時: 2010/12/01 14:57
名前: えいきっき☆ (ID: JrQ720Id)

大量更新お疲れ様です!
というか魅魔様死んで・・・・!?
そして魔理沙がここで出たか!
そしてそして映姫さm(ちょっと自重しよう
面白いです!頑張ってください!!

Re: 毎回コメントサンクス! ( No.13 )
日時: 2010/12/01 17:20
名前: ミカギ (ID: j24nS2D/)

コメントしてもらってるおかげで毎回みなぎってます(笑)
速度重視でちょっと描写が適当だけど、許してね!

原作の魅魔さまは肉体を持たない悪霊的な存在なので、どうしても一度殺す必要がありました。どう殺すか悩んだ結果、見事に適当です(笑)

これからもぐだぐだ続けていきます! ゆっくりしていってね!!

Re: 東方魔戒録 ( No.14 )
日時: 2010/12/01 18:03
名前: えいきっき☆ (ID: JrQ720Id)

描写が適当・・・・!?殺し方が適当・・・・!?
適当なところがわかりません!
わかんないからセーフです!


そういえば魅魔様は悪霊でしたね・・・・
しかし、どの辺が適当なのか難度MAXのウォーリーを探せ以上にわからんww


お早い更新ありがとうございます!
お言葉に甘えてゆっくりしていきますww

Re: 東方魔戒録 ( No.15 )
日時: 2010/12/02 03:48
名前: ミカギ (ID: j24nS2D/)

誰もが求め、誰もが欲する桃源。それが、幸せという存在だ。

しかし、それは実に短命な代物。感情一つで、簡単にそれは淡く儚く暗い闇の底へと沈んでいく。それが幸せであればあるほどに、深淵に堕ちていくのだ。


それが幸せで、あればあるほどに。


「……ここが、あたしの故郷?」

三途を戻り、現世へと送り返された。一瞬意識を失い、魅魔が目にしたのは、悪夢そのものだった。

物心ついた時から、共に生きてきた森。時には姉妹のように孤独な魅魔の遊び相手になっては、母のように優しい温もりで慰めてくれた、大切な宝物。

それが、焼け野原。禿げた森は未だに熱を帯び、黒く焦げた大樹からは煙がくすぶっていた。

「……疑うのは勝手だが、ここが魔女の森って現実は覆らないよ」

背後から辛辣な言葉を投げかける、死神。手にしている鎌の刃を弄りながら、冷たく辺りを見回した。

「しっかし、酷いもんだね。まるで戦後だ」

誰もいない。今までの人生が全て幻だったように、誰もいなくなっていた。

「貴方!……妖精さん!? 二人とも、どこにいるの!?」

顎が外れんばかりに口を開け、切に願い、叫ぶ。どんなに願っても、願っても。喉が痛み、声が掠れても尚、叫んでも。彼女自身の声だけが響き、呼びかけには誰も応えなかった。

「……満足、したか?」

「満足。満足って、何さ」

ギリッと、噛み千切らんばかりに唇を噛み締め、小町の胸倉に掴みかかった!

「ここには、たくさんの生物がいた! それこそ、森そのものが生命だった! あたしの親友もここにいた! あたしの愛する人も、ここにいたんだ……!」

震えた声で訴える魅魔に、煩わしいといった冷たい表情で、小町は鼻を鳴らした。

「……あたいには関係ないね」

乱暴に掴みかかっていた魅魔の腕を払い飛ばし、小町はつまらなそうに彼女の横を過ぎ、歩き出した。

「探すんだろう? 立ち止まってちゃ、見つかるもんも見つからないよ」

「……っ」

魅魔は小町を過ぎ、機敏に山を駆ける。

向かったのは、家。

孤独から解放され、家族で過ごした、温かな家。

胸が苦しくなっても、走る。何度も身体が無意識に減速しようとも、強制的に加速する。

ずっと一緒にいられなくたって、構わない。家族が無事なら、構わない。

心底願う、家族の安全。心底望む、家族の平穏。

息を切らしながら記憶を手繰り、辿り着いた家。

そこで、魅魔の瞳に灯っていた僅かな輝きが、濁流に呑まれた。

まるでそこだけ時間が止まっていたように、焦げた後すら残らない家の周りには、未だに緑が生い茂り、存在していた。

火が届かなかったわけじゃない。シェルターが張られていたかのように、そこだけ無事だったのだ。

理由は、簡単だった。

一方的な願いを聞き入れた親友が、命を犠牲にしたから。

生い茂った新緑の雑草に散り散りに転がる、溶けかけた氷の飛礫。それが、大事な親友の、大事な家族であることは、すぐに理解した。

必死に、守ろうとしたのだ。

大嫌いだって、自分が口にしていた人間を。妖精は、守ってくれたのだ。

なのに……、

「……なんで、そんな姿してるの?」

家の壁を背に腰掛けた、肉の塊。魅魔は、そいつを知っていた。

ぼろぼろになった魂と分離した魅魔の亡骸。顔もまともに見れない醜女を抱き、くったりと頭を垂らした最愛の人。

——なぜか、彼は動かなかった。

「あたし、頼んだんだよ? 貴方が無事でいるように、頼んだんだよ? なんで貴方が、こんな姿をしているの?」

分からない。心底分からないといった表情で、か細い声でぶつぶつとぼやきながら、男を見下ろした。

これでもかとばかりに男に突き刺さった、無数の竹槍。一本一本が深く食い込み、致死量と一目で分かる血が彼の服を汚し、新緑の雑草を紅く染めていた。

男の無事を約束してくれた、人間。成立したはずの、命の取引。

「ねえ、貴方……」


温もりを求めようと、震えた手でくったりとした男の頬に触れる。

ぬるりと、冷たく、滑る肌触り。触れた先から乾き切っていない深紅の潤滑油で濡れ、魅魔の思考を深淵へと沈めていく。

「あな、た……」

ずるりと、壁に寄り添いながら、崩れていく男。

顔。男の顔が、見えたのだ。

酷く、惨たらしく、判別できないほど醜く壊れた顔。

「あ、あはは……——」

瞳に最愛の人の成れの果てを映した瞬間、何かが壊れた。

深淵に堕ちた幸せが、確かな“不幸”へと変貌を遂げ、思考を染める。

「あははははははははははははははははははははははははは!!!!!」

高らかに空を仰ぎ、けたたましく笑う。一滴一滴、大粒の涙が目尻に溜まり、思い出と告別するように頬を伝い、流れ落ちた。

壊れた。

壊れた。

幸せ。壊れて、不幸が生まれた。

なんで不幸? 何が原因?

「——……簡単なことだったんだ。幸せに、なることは」

犬歯を剥き出し、魅魔は見開いた眼で、憎々しく月を見上げる。

「人間が、いなくなればいい」

認めたくなかった、事実。否、否定し続けていた、妖怪の思考。悲しみに沈んでしまった心を、憎しみで支える。繋がりを奪われ、空っぽになった魅魔の存在を、憎しみで満たした。

「捜し物は見つかったかい?」

背後から響く、死神の声。きろりと睨むと、彼女は少し困ったよな顔で魅魔に切ない笑みを浮かべた。

「帰ろう。帰れば、あんたの旦那にも会えるさ」

緑の残る穏やかな空間。そこに広がる惨劇の前で、小町は手を差し伸べる。

笑っている。苦しい現実を前にしているのに、笑っていた。

笑う。

——ものすごく、不快な気分だった。

「会えないよ」

差し伸べられた腕を取り、満面の笑みを浮かべ、おもむろに肩を抱いた。怪訝と眉をひそめた小町の吐息に当たり、魅魔は彼女の耳元で、不適に嘲笑した。

刹那、小町の疑問が、消えた。

「あ……?」

気が付けば、真っ黒な刃が、腹部を貫いていた。

腕から弧を描くように伸びた太く鋭利な黒い物質。闇を具現化したような漆黒の刃は小町を串刺し、魅魔の乾いた思考に、味わったことのない快楽を与えた。

「天国へは、いけないもの」

ぐちゅりと、得物が引き抜かれると、小町は膝を折り、その場に崩れた。

「て…めぇ……」

刹那に覗けた、小野塚小町の瞳。

そこに映っていた存在は、奇しくも、村を襲った化物の瞳に酷似していた。


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