二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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とある青年の時空旅行記
日時: 2010/12/09 20:22
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

第1話 逃亡
 「はぁはぁ・・・」
1人の少年が暗い夜道をひたすらに走っていた。あたりには頼りない明かりが外灯から放たれていて、わずかに足元を明るくしているだけだ。黒いコートを身にまとい、夜の街に漂う闇に同化しようとしている。
しかし、そんな彼の後ろからは黒の修道服を着たシスターたちが追いかけてくる。その手にはさまざまな霊装が握られている。どれもランクは低いものばかりだが、魔力しだいではどうとでもなるものばかり。それらを取り出して王のだからそれ相応の危険人物なのだろう。
「どこへ行った??」「こちらにはいない」「あっちはどうだ??」「わたしたちは向こうを」
それぞれ報告をしながらも次のポイントへと移動するシスターたち。言えと家の間にあるゴミ箱の陰に隠れていた少年。すっと走って行く彼女たちの後姿を見届けてハァ〜っと大きなため息をつく。肩まで伸びた茶髪、ところどころをワックスでなのかもともとそうなのかはねている。顔は整っているほうであり、下手すると女装すると美少女に見えるくらいである。瞳は黒で全体的に東洋人の雰囲気をかもし出していた。
「まったくこの世界に来た瞬間からこんな面倒なことに巻き込まれなきゃいけないのか・・・」
己の不幸な体質にため息をつかないで入られなかった。カチャカチャと小さな音を出しているのは二丁の拳銃だった。それは彼の武器であり、霊装であり、魔装錬器であり、その他もろもろのものだった。マガジンなど現実のものとはまったく違い、見た目は同じでも構造がまったく違う。弾がないのだった。
それをそっと腰に巻いたホルダーへと入れる。どうやら足音はなくなったようで遠くかあるいはあきらめて戻ったかのどちらかだ。しかしあれだけのものを見てしまった少年を生かしておくとは考えられない。それは少年自身感じていることだった。
「まったくなんで現れるところがイタリアなんだかね〜。それもあんな危険なやつらの前って。座標間違えたかな〜??」
頭を掻き掻きゆっくりと気配を消しつつ気配を感じつつ街を歩いていく。海辺に出ると観光用の船が厳重に止められていた。できればこういうところを女の子と来たいものだと思うのが普通の男というものだが、少年はある体質の清で女性が苦手というものがあった。
かぜが優しく汗でびっしょりの顔をなでる。涼しさとともに海の潮の香りがかすかに香ってくる。こんなすがすがしい気分に浸っていたいと思うのだが。
「いたぞ」「あそこだ」「向こうからも来たから挟み撃ちにしろ」「殺してもかまわない」
二方向から走ってくるシスターたち。どうやら捜索班と増援を呼ぶ班に分かれていたようだ。ちょっと考えれば予想できる構造だったが、如何せん、色々なことがあって処理が追いつかなかったのだ。しかもまだ彼はいつもの状態。
———あれになっていればもう少し楽だったかな・・・。
いまさらになって素の自分のトータル能力の低さが悲しくなった。しかし今はこの状況を打破しなければいけない。仕方ないと一度瞳を閉じて精神を集中する。じりじりと近づくシスターたち。ようやく目を開けた少年の瞳は先ほどの黒ではなく、紅蓮の赤に変わっていた。あたりの雰囲気が変わる。ぴりぴりとして緊張がこの場に居合わせているものを包み込む。
「まったく・・・子猫ちゃんたちの躾はいつになっても慣れないな」
ポケットに手をつっこんだまま、シスターたちに向かって歩き出す少年。

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Re: とある青年の時空旅行記 ( No.3 )
日時: 2010/12/11 02:20
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

武藤さん、コメントありがとうございます。
武藤さんの作品も毎回閲覧させていただいてます。
これからもお互い楽しく頑張りましょう。


上条当麻は遅れながらも何とか学校へとついた。しかし中に入った瞬間教卓のそばにいた小学生・・・れっきとした教師である小萌先生に上条ちゃーん遅刻でーすっと追加補習を嬉しそうに言われ、またもや不幸にあっていた。原因としては隣の学区まで追いかけっこしたためである。
 ぐったりと自分の席についた上条。そんな上条に近くから声がかかる。
「にゃーカミヤン、今日も不幸パワー発揮しまくりだぜよ」
金髪にサングラス、着崩した服装の土御門元春だ。レベル1の肉体再生の力を持ちながらも陰陽術に長けている魔術師としての顔も持ち合わせている多重スパイである。それを知っているのはここでは上条だけである。
「しっかしカミヤンも幸せやなー。小萌先生とのマンツーマンの補習やで??わいだったら失神ものや」
青髪にピアスとそのままあだ名は青髪ピアス。女好きの彼にとってロリ体系の小萌先生もまたストライクゾーンに入っているのだろう。ちなみに土御門は儀妹をこよなく愛するロリコンである。
そんな朝のホームルーム。なにやらニコニコ顔の小萌である。
「今日は皆さんに嬉しい知らせがあるのですよ」
 それを聞いて何かを興味を見せる生徒たち。
「今日からこのクラスに新しいお友達が1名入るのです」
「センセー、新しい子って男ですか??女ですか??」
 早速女好きの青髪ピアスが率先して質問する。むっふっふっふと笑う子萌。
「喜べ子羊ちゃんたち、残念でしたやろう共。今回の転校生は男の子でーす」
キャーという女子生徒の歓声とハァ〜っという盛大なため息の男子生徒。この温度差は一体と不安になる小萌。しかし気を取り直して、廊下にいた少年を中へと案内する。入ってきた少年を見るや女子生徒は総立ちになって歓声を上げる。それだけのいい面構えだったのだ。それを聞いて苦々しげにその少年を睨みつける男子生徒たち。
 入ってすぐに女子の心を掴んだ少年に嫉妬していた。少年は肩まで伸びたところどころがツンツンとはねた茶髪にイケメン面に黒い瞳。
「始めまして、今日転向してきました鏡音蓮斗です。色々と迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」
 簡単且つシンプルな自己紹介だった。その後蓮斗は女子生徒たちからの質問攻めにあっていた。もちろん男児生徒たちの嫉妬の視線を受けながら・・・。
「どこから来たの??」
「両親と外国に住んでいて、自分だけ帰国した」
「なんで??」
「一応あっちで大学出たから少し息抜きがてら??」
『えー!!』
まさかの外国の大学を卒業しているという。いったいどこの大学かと聞くが、聞いたこともない名だった。上条は外国の地理にも詳しいであろう魔術師の土御門にボソッと聞いてみるも、首を傾げるだけで分からないらしい。
「レベルはどれくらい??」
「うー・・・ん、0だな」
「ふーん、だったらあそこにいる馬鹿トリオには気をつけなさい。あなたまで馬鹿になるわよ??」
目の前に現れたのは巨乳の持ち主である吹寄制理。制服姿とはいえ前かがみになったまま腰に手を当ててはナスという態勢であるために否が応でもゆれるそれに眼が行ってしまう。たらたらと汗が噴出す。男たちは蓮斗の視線がそれに行っていることを察知し、黒々としたさっきのオーラを色濃く出す。
「分かったわね??」
ぴっと人差し指を向けて言う吹寄だが、その右手を掴まれる。掴んでいる人物が転向してきた蓮斗であるからいきなりのことに慌てる。顔が赤い。
「ちょっといきなり何??あなた何してるか分かってるの!?上条当麻と同じことしないで!!」
「俺はそんなことをお前にした覚えはないぞ、吹寄!!」
「あんたはそれまがいなことを色々してるでしょ!!」
「カミヤン・・・やっぱり隠してたんだにゃー??」
「カミヤン・・・ワイらは隠し事無しやったよな??女の子との関係について・・・」
土御門と青髪を筆頭に上条に詰め寄る男子。見に覚えがないことで問いただされている上条は涙顔である。
———上条さんは何もしてません・・・。
「それより鏡音君の好きなタイプってどんなの??」
やはり恋愛話が好きな女子高生。顔がいいからか、蓮斗の考えに興味津々である。しかし出てきた答えは意外なものであり、男子生徒たちの怒りを買うものだった。
「俺・・・ちょっといろいろあって女の子恐怖症なんだ。話すには別になんともないけど、恋愛となればちょっと・・・」
がたがたと机とイスがぶつかる音がする。男子生徒たちが立ち上がったねだった。またかとつかまれた手をゆっくりと離す吹寄は呆れ顔であり、女子生徒たちはこれから被害者になるであろう蓮斗に気をつけてねと励ましの言葉をかける。
「ん??ありがとう。それにしても何が始まるんだ??」
『死ねや!!鏡音蓮斗!!』
「ええぇぇっぇぇぇ!?」
飛び掛る男子たち。しかしそんな彼らの真上を宙返りしながら反対側へと移動する蓮斗。いきなりのことに唖然とする皆。チョイチョイッと手をこまねいて挑発する。
「ここじゃあ狭いだろう。彼女たちに被害が出ると困る。グランドで盛大にやろうじゃないか??」
『言ったなコンチクショー!!』
泣き叫ぶ男子を含む全員がグランドへと走っていった。そして蓮斗はというと窓に足をかけて、そこから跳躍してグランドのど真ん中まで行く。まさかのことにクラスに残ってちた女子は悲鳴というか歓声というか叫んだ。クラス委員長の吹寄はもちろん注意していた。
「コラー!!鏡音蓮斗!!お前もあいつらと同じ部類なのか!!」
「ごめんよ制理。帰ったら何でもするから」
それはそうと、ようやく集まった男子生徒だけのガチンコ対決は、数分後に蓮斗が皆を手刀で気絶させて終わった。

Re: とある青年の時空旅行記 ( No.4 )
日時: 2010/12/12 07:42
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

第3話 常盤台
 御坂美琴は常盤台の3年生だ。学校が誇るレベル5として学生たちの模範となるべく学校生活を送っていた。教室では教師がなにやら転校生を紹介しているところだった。しかしさほど興味は無く、ぼんやりと外を見ていた。ここ常盤台は学生がみなレベル3以上と学園屈指のエリート中学であり、将来は多様な面で活躍している人材を輩出している。
 そのため今どんな聖都が転校してきても結局はレベルが高いものでしかないのだ。きっと彼女もまたレベルが高くて4、せいぜい4に近い3といったところだろうと思っていた。それでも彼女との決闘というか腕試しの相手にはならない。もちろん好き好んで能力を使うのではなく、とある高校の男子学生に対してどうやったら勝てるのかと日々模索しているのだ。なぜかいつも一方的に能力を消されるだけで、あっちからはまったく反撃がない。女の子を殴れないという紳士の態度は普通なら納得できるが、美琴にとっては挑発しているようにしか見えないのだ。それに相手はレベル0の無能力者。しかし今までの功績から考えて普通にレベル5をもっていてもおかしくはないと最近ふと思うようになっていた。
———あいつ、第1位にも勝ったんだもんね・・・。
ふと昨年の今頃の時期に行われていたあのおぞましい実験からからだを張ってとめたのはあの少年だった。自分と1万人近い妹たちの命をその不思議な右手で守ってくれたのだ。その後も自分と自分の周りの世界を守るというとある人物との約束をかたくなに守り続けている。しかしそんな彼は自己犠牲が激しいために毎回病院送りになっている。
———あいつだって私の世界の一部だってのに・・・。
 何故そういうことについては気づかないという鈍感なのかとため息ものだった。
「そうだな・・・御坂の隣が空いているな」
「え??」
 教師の声にふと前を向いてしまう美琴。そうなれば否が応でも転校生の顔が目に入る。別に話すのが嫌だというわけではない。ちょっと突然の名指しに慌てただけである。教師の隣に立つ少女。彼女を見た瞬間思った。
———きれいだ・・・。
 今まで見たことがないような美少女が立っていた。少女というよりは大人の女性に見えた。中学生とは思えない身長とその体。思わず自分と比べてしまう。
———・・・完敗。
勝っているところが一つもない。隣に歩いてくると。
「よろしく御坂美琴さん」
「ええ・・・よろしく」
軽い挨拶と握手。彼女の力は身体強化という能力らしい。女性としてはまた珍しいというか似合わないというかそんな能力だと思った。
 香ってくるのは柑橘系の甘酸っぱい香り、見入っていると吸い寄せられそうな淡いピンク色の唇。さらりと肩まで伸ばされた茶髪。きっとこんな女性を言うのだろうと思う・・・絶世の美女と。
 淡々と進んだ授業。大学レベルの講義とはいえ御坂にとっては小学校の勉強をしているように聞こえた。隣では普通に聞いている少女・・・鏡音(かがみね)華燐(かりん)。質問には普通に解答し、作法のジョ行でもどこで習ったのかといわんばかりに完璧にこなして見せた。同じくできた美琴だが質の勝負となれば完敗だと痛感していた。今まで自分が常に学校の象徴と見られていたが、いつの間にか同じく華燐もその蛍光が見られるようになっていた。レベル5同士。            しかし能力の相性からして完全に美琴のほうが俄然有利なのは誰が見ても明白だった。放課後となり、美琴はいつものように暇つぶしのためにぶらぶらと街中を歩いていた。第3位と知っている人たちは安易に自分に話しかけることはしない。高嶺の花というものだからだ。隣には転校してきたばかりの鏡音華燐が同じ速さで歩いている。
 学園内を案内してほしいといわれたので、暇ということもあり承諾していた。1人暮らしということでスーパーやら作家店、洋服店など日常に必要なものが買えるところを一通り紹介していた。
 いつの間にか時間がたっていて、夕方になっていた。茜色の空が学園を赤く染め帰宅する学生たちに夜が近いことを知らせていた。そんな中美琴と華燐は夕食は外で徒労ということで行きつけの喫茶店に華燐を美琴は案内していた。
 自動ドアを通り、隅の少人数向けの席につく。和洋中がそろっているここだが、基本彼女は洋食らしい。反対に美琴はというとがっつり系の肉料理を頼んでいた。このように人目につかないときはお嬢さまということを忘れたいのだ。学校での態度とは打って変わって明るくなった尊に最初は驚いていた華燐だが、そんな美琴にくすくすと思わず笑ってしまう。笑わなくてもいいでしょ〜っと冗談気味に美琴も返す。いつの間にか溶け込んでいた。
「お姉さまぁぁぁぁ!!」
「きゃああぁぁぁぁ!!」
 突然正面に現れたのは常盤台中学2年であり、第7学区の風紀委員である白井黒子だった。彼女の能力は瞬間移動であるためにどこから神ことがここにいることを聞きつけて座標を合わせたのだろう。突然現れて愛しの美琴にダイブするといういつもの行動を取っていた。
 どーんという落雷が落ちたかのような大きな音がしたかと思いきや、華燐の目の前には黒焦げになった白井と思われるものが横たわっていた。切れた美琴が電撃を死なない程度に使ったのだ。食らったし礼羽というと、愛の無知とか何とか言いながら幸せそうな顔で気絶していた。

Re: とある青年の時空旅行記 ( No.5 )
日時: 2010/12/12 07:43
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

「この子は私の後輩・・・つまりあなたの後輩でもある白井黒子って言うの。ちょっと特殊な性癖があるけど、根はいい子だから。それに風紀委員でもあるの。何かあったこの子に相談すればいいわ」
「そうね。そうさせてもらうわ」
 にっこりと見たものを恋に落とさせるような笑みだった。女の尊でも思わずぐっと来てしまうほどのものだった。そんな美少女の華燐と歩けば男なら振り向いてしまう尊が一緒にいるためか、いつの間にか男たちに囲まれていた。ざっと見10人を超えているようだ。ニヤニヤとした気味が悪い笑みを投げかけてくる男たち。その手がまず華燐の肩に置かれた。
「私が皆さんについていったら御坂さんたちは見逃してくれますか??」
「ちょっと鏡音さん!?何言ってんのよ!!」
「御坂さんは黙ってください。どうですか皆さん・・・。少し外でお話しませんか??」
 そう甘い声で語りかける華燐。美貌といつの間にかワイシャツのボタンをいくつかはずしているためにちらちらと谷間の見える胸元。花を伸ばした男たちは分かったといい、華燐を囲みながら喫茶店を出て行く。まずいことになったと思った美琴は急いで気絶している白井を起こしにかかる。しかしすっかり意識を飛ばしている彼女は一向に起きない。このままではまずいと思った美琴は意を決して行動にでる。
「今度あいつとデートに行くんだけどな〜。黒子が何も言わないから何されるか分からないな〜」
 言っている自分も赤面顔である。好きな男をえさにするとは自分も悪くなったものだとつくづく思う美琴。案の定、バッと起き上がった白井は尊を守るようにたち、何もないことを確認すると、美琴の両手を掴む。
「お姉さま・・・断じて黒子はあの類人猿との恋愛を許しませんわ。あのたらしはきっとお姉さまを不幸にしますわ。黒子はそう思えてなりませんの」
 顔を目一杯に近づけながら言う白井の剣幕におされ気味である美琴。はっと危険な状況だということを思い出す。華燐が自分たちの身代わりとなってスキルアウトたちに連れて行かれたのだ。それを聞いた白井は慌てて外に走る。美琴もそれに続く。スキルアウトたちが行きそうなところは大体人通りが少ない裏などであるためにそこを徹底的に探していた。ドサッと言う音がしたために2人はその音がしたと思われる裏に続く隙間を静かに歩いていく。街灯がすう本立っているだけで、見通しが悪い。しかしわずかな明かりがそこにいるのが男たちに囲まれた華燐だということを証明していた。
 今すぐにでも出て行きたいところだったが、足元には数人の男が倒れていた。それに男たちは明らかにおびえている。男たちとはいえ彼らは無能力者。超能力者である彼女に勝つには数で押すしかない。しかし一向に攻撃しようという動きは見えない。
「ば・・・化け物め」
 おびえきった男が情けない声で華燐を化け物呼ばわりする。フフッといつもの笑みを作る華燐。まるで彼らを敵とは見ていないようだ。
「ひどいこというねあなたたちは。せっかく遊んであげようと思ったのに・・・」
 がっかりしたような表情になる。しかし喜ぶものたちはいない。
「飽きたから・・・殺すね♪」
 万人を恋に落とすような笑みとは裏腹に恐怖に突き落とす言葉。あまりに思い緊張感に耐えられず、男たちはそれぞれ武器を構えて襲い掛かる。
「芸がなさ過ぎるよ、お子ちゃまたち♪」
 次の瞬間美琴と白井の目には何が起きたかまったく分からなかった。苦悶の表情を浮かべたかと思うと、男たちが次々に倒れたのだ。しかし華燐はそこから指一本動かしていない。周りには誰もいないはずであるから彼女を味方するのは見ているだけの自分たちだけである。
 すっとこちらを見る華燐。ばれたのかとどきりとする2人。
「そこにいるのは分かりますよ??御坂美琴さんと白井黒子さん」
「大丈夫鏡音さん??」
「そうだと思ったから見てたんじゃない??」
「え・・・っと、そうではないけどちょっと・・・」
「私の力を見てみたかったと??レベル5だけど確かに御坂さんよりは今回は相性が悪かったですね」
「それでもこの人数を簡単にあしらいましたの。一体どんな力をお使いになりましたの??」
白井が興味深そうに聞いてくる。うーんと細長い人差し指を顎につけながら考える態勢になる。
「それは・・・」
 すっといつの間にか2人の後ろに立っていた華蓮。振り向こうとした二人だが、がくんと体から力が抜ける。
<あなたたちに知られたくない力なの・・・>
かすかに聞こえたその言葉。理解しようにも二人の意識はブラックアウトした。
2人を寮に送り届けた華燐は、体に違和感を覚えながらも自宅を目指して暗い学園都市を歩いていた。

泉海斗です。コメントなどがありましたらお願いします。

Re: とある青年の時空旅行記 ( No.6 )
日時: 2010/12/13 07:06
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

第4話 透明
 とある高校では今日も平和ない一日が流れていた。それを象徴するかのように見事に晴れ渡った青空。最近は天気の崩れがないためにすがすがしい気持ちでいられる。そんな教室はいたって何気ない高校生活が謳歌されていた。友達と一緒に話をしたり、次の授業の準備をしたり、こっそりゲームをしたり、18禁の雑誌を読んでいたり、昼寝をしたりとさまざまだ。
そんな教室で上条当麻と土御門元春はいつもと雰囲気が違うこの教室を敏感に感じ取っていた。お互いの席が近いために向かい合って話をしている。
「なあ、土御門。ここは俺達のクラスだよな??」
「にゃー??カミヤンもとうとうボケが始まったかにゃー??」
「なわけないだろ!!お前だってうすうす気づいているだろ??」
「ん??やはりカミヤンだぜい。ちゃんとおかしいことに気がついている」
 見渡してもいつもと変わらない教室。他愛もない話し声が聞こえてくる。
「見た感じはいつもと変わらない」
「しかし、何かが足りないぜい・・・」
彼らが感じている足りないもの・・・。この平和な教室内を一転させるようなことを引き起こす人物・・・。
「「青髪だ(にゃー)」」
 いつも2人と馬鹿騒ぎをしているはずの青髪ピアスがなぜか今日はからんでこない。学校には来ていて、朝の出席調べでも気の抜けた返事をしていて小萌に注意されていたのを聞いている。あの青髪が小萌に対してあんな返事をするとは誰もが耳を疑った。しかし視線の先にはボーっとした青髪ピアスがいた。
 不思議に思った2人は一応話しかけてみたものの、生返事だけで会話が続かなかった。仕方なくそっとしておいたのだが、いつも場か騒ぎするために何か物足りていなかったのだ。とはいえ騒ぎを起こしたは起こしたで毎回吹寄に鎮圧させられているのだが。
 そんな当人はというと自分の席に座ってボーっと虚空を見つめて黄昏ているのだ。まるでそこにいないと見受けられるほどに見事に空気へと変貌していた。いつもなら彼が率先して騒ぎを起こすのだが、今日はそれがまったくなく、ある意味別の意味で平和だった。
 いよいよ気味が悪くなってきた二人はそそくさと青髪の席へと移動して尋ねてみる。
「にゃー、青髪。最近天気は晴天続きで心も晴れ晴れだな」
「ツッチー・・・ワイの心は今ごちゃごちゃに曇天様や」
「ほらあの青空を見てみろ。悩みなんて吹っ飛んじまうぞ」
「カミヤン・・・ボクの心はそんなんじゃはれへんくらい厚い雲が覆ってるんや」
 どうやらかなりの重症らしい。一体彼に何があったのか。
「青髪何したんだにゃー??お前がそんなに悩むってことはそれ相応に大きなことか??」
「ツッチー・・・カミヤンはあちこちにフラグを構築してやっしゃるやろ??」
「そうだな・・・殺したくなるくらいつくってるな・・・」
「おいおいなんでそこで俺が出て来るんだよ!!」
土御門が黒いオーラを出して上条を睨みつけ、上条は自分が問題に上げられたことに文句を言っている。
「2人は・・・楊貴妃とかクレオ・パトラとか見たことはある??」
 一体いつの話をしているのかと。どれくらい時間を駆け戻ったところにいる人を出してくるのかと。2人は話の意図をつかめない。
「青髪??いったん保健室行くか??お前はきっと風邪なんだ。熱があるんだ」
「カミヤン・・・ボクはすこぶる本調子なんやけど」
 虚ろな目を向けてくる青髪。これは病んでるなと末期であることを悟った。しかし彼がここまで悩むとは一体何が起きたのだろうかと思う。
「青髪・・・それは絶世の美女といいたいのかにゃー??」
 考えていた土御門がふと何かを思いついたかのように顔を上げたかと思いきや、そんなことを言い出した。確かに楊貴妃もクレオ・パトラもどちらも絶世の美女と歌われた女性だ。つまり青髪が悩んでいる原因となっているのはそれほどまでに美しい女の子なのだろうと上条も土御門も思った。あきれるしかなかった。何か深刻に悩んでいると思いきや、やはり青髪は青髪であった。悩める原因はやはり色沙汰と相場が決まっているようだ。
「あって見たいもんだにゃー、青髪をここまで廃人に変える絶世の美女を」
「それで・・・そんな人にいつ会ったんだ??」
脳内でその人のデフォルメを予想する土御門。しかしどうしてもベースは妹属性が多くを占めているのは彼がシスコンであるゆえのことだった。
「あのこと会ったのは・・・つい最近のことやったんや」
 青髪は思い出すようにして、ことの成り行きを話し始めた。

泉海斗です。コメントなどいただけたら幸いです。

Re: とある青年の時空旅行記 ( No.7 )
日時: 2010/12/14 06:45
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

それは青髪が毎月の仕送りでちょっといかがわしい雑誌を購入し、ルンルン気分で帰宅していたときだった。そのときは夏だということで日差しが強く、道路には逃げ水は大量に発生していた。まるで鉄板の上であぶられているかのような暑さである。
 すぐにでも涼しい喫茶店にでも入って涼みたいという気分であった。しかし袋に入っているものをまさか持ち込むわっ毛にはいかないと思った青髪。
「しゃーないな、少しきついけど寮まで帰るしかないんかな」
 うでるような暑さにうんざりしながら青髪はふらふらと歩いていた。中間まできたところで前方から歩いてくる女性に思わず目を引かれた。まだ距離があったにもかかわらず香ってくる柑橘系のにおいに反応し顔を上げた。するとそこには茶髪で肩まで伸ばされていて、淡いピンクの唇、学生とは思えないプロポーション。思わず思ってしまった。
———絶世の美女や・・・。
 隣を歩いていく男女かかわらず思わず振り向いてしまうその美しさ。人間なのかと最初は思ってしまうくらいだった。しかしどうも顔色が悪いようだった。やや顔が青白く、貧血を起こしているようにも見えた。足取りも重く、まるで夢遊病者のように徐々にふらふらとした足取りになる。
———なんか、やばそうな気がするんな。
そして青髪が不安そうに思ったそれが目の前で起きたのだ。いきなり横に足がそれると一気にバランスを崩し、倒れる。
———あかん!!このままじゃ怪我してまう。
 慌てた青髪はその手から袋を投げ出すと女性に向かって走る。間一髪のところでからだを支えた。そのとき思わず思ってしまった。
———からだ柔らかい・・・。しかもいい香りや・・・。
 今まで自分の親友がこのような嬉しい場面にあってきているのを何度も見ていたがこのことですべて許せそうな気がした。何せ今まで見てきた女性の中でも一番の美しさを持ち、なおかつ今は自分の胸の中にいるのだから。身長は自分と同じくらいか少し低いといったところ。
 何かを言っているようだが課おいらがさらに悪くなっていた。思わず行動に移してしまった。男なら一度でもやってみたかったこと。それはまるで漫画であるようなもの。いわゆるお姫様抱っこだった。すぐに袋を取るとさっきまでの具で離間がうそのように風のように量へと走っていった。そしてゆっくりと女性を詩文のベッドに寝かせるとこう思った。
———やってもうたぁぁっぁあぁ!!
 そう彼はやってしまったことを今ここでようやく自覚した。美女を自室に連れ込んでしまったのだ。それも気絶した状態の人をだ。これは普通なら変態扱いで捕まってもおかしくはない行動。嫌な汗が滝のように流れ出る。少し横を見ればすうすうと規則的な寝息を立てて眠っている女性。しかし来ているのはなぜか常盤台の服。もう自分は逮捕されるんじゃないかと不安になっていた。
 それからどれくらいたっただろうか。買ってきた雑誌をこっそりと読むのはいいがそれ以上のことをいきなり起きてきた中学生に見られるのはたまったものではないためにやらなかった。しかし寝顔を見ているだけでも十分需要があった。ごくりと生唾を飲み込む。その手には携帯が握られ、さらにカメラモードになっている。
 震える手で何とかピントを合わせると連続撮影で何枚もの美女の寝顔を写した。
———やってもうたああぁぁぁぁ!!
 もはや越える線の一歩前まで来てしまっている青髪。時間はもう午後7時を回っていた。夕食を作って悪いことを忘れようと思い、台所にいき、あまったもので簡単なものを作り始める。
 そして出来上がった粗末な料理を持ってテーブルに置き、いただきますといって手をつけようとした青髪の目の前に寝ていたはずの女性がジーっと青髪の事を見ていたのだ。
「あのー食べますか??」
「いいのですか??」
「ええっちゅねえ。僕はそんなにおなか空いてまへんので。なんたってあなたのようなべっぴんさんを見れただけでおなかいっぱいですわ」
「くすくす、面白ことを言うんですね、もしかして私を口説いてますか??」
「口説き落とせればいいんやけどな〜」
 そんな風に自然と笑いが生まれているこの空間。柑橘系の甘酸っぱい香りがさらに彼女の存在感を大きくする。普通ならこんなシチュウエーションで起こりうることは決まっているが如何せん。彼女は常盤台である。もし漫画入りのことがあったら青髪はもうここ学園都市にはいられなくなってしまう。
「でもなんであんなにふらふらやったんや??もしかして貧血か??」
「ごめんなさい、ちょっと寝不足で」
「ああ〜、だからベッドであんたに幸せそうな顔で寝てたんやね」
「見られちゃいましたか??」
「見ちゃったんや」
 なんだかんだといって楽しい会話になっていた。彼女はレベル0の青髪に対して自分がレベル5だからといって見下すようなことは言わずに対等に、会話を弾ませいた。彼女の力である身体強化。彼女自身はあまりい能力とはいえないといっていたが、青髪はそれで人の役にたてるのではないかとふと思ったことを言う。それを聞いた彼女は少し驚いた顔をして、考え込み、そうだねと一撃で10人中8人を落とす笑顔を青髪に見せた。もちろん残りの2人とは同性愛者のことである。
 思わず心臓を打ち抜かれた青髪は彼女のほうに引き寄せられそうになる。それくらいの魅力があった。しかしいつの間にか夜遅くとなっていたために今日は彼女をベッドに寝かせて自身は風呂場に寝るということにした。大丈夫なのかといわれたが青髪は笑顔で大丈夫とサムズアップしていた。
 


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