二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- HUNTER×HUNTER 短編集
- 日時: 2011/01/03 07:45
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
こんにちは。
HUNTER×HUNTERの短編集を幾つか上げていこうと思います。
暫くは話のストックがあるので、ぽんぽん載せていきますが、
話を書くのがほんっと遅いです。
シリアス、ギャグ、恋愛、家族設定等
色んな物書きます。リクもあればどうぞ。
ですが絶対に書けますという自信は無いので、作品が投下されるのは1週間〜1ヶ月後を目途にして下さい。
「瞳」
>>1 >>2 更新中...
クラピカ夢
「銀の蝶」 「金の蝶」
>>3 更新中... 更新前
キルア夢、死ネタあり
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- Re: HUNTER×HUNTER 短編集 ( No.1 )
- 日時: 2011/01/03 07:34
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
「瞳」
プロローグ
小さい頃は、この自分の左右で色が違う瞳が大好きだった。
お父さんもお母さんも、皆、綺麗だねって褒めてくれた。
蒼と金の、綺麗な瞳が大好きだった。
ある時、村の人が1人殺された。
幼い私はまだ「死」なんて事は理解していなかったけど、いつもお菓子をくれる隣の家のおじさんが居なくなってしまったのを覚えてる。
ある時、村で火事が起こった。
村の半分が焼けて、たくさん人が死んだ。
その時、私のお母さんも死んでしまった。
綺麗な瞳を褒めてくれていた人が、たくさん居なくなった。
—それから2年の時を得た時、
私は捨てられた。
家族に、友達に、災いの子と言われ、石を投げられた。
7歳の誕生日。
綺麗な筈の瞳が嫌いになった。
家族が友達が、大嫌いになった。
皆死んでしまえば良いと思った。
だけど無力な私は、何もする事は出来なくて。
ある時私は拾われた。
ごみ溜め場で、溝鼠みたいな生活をしていた私を。
おばさんは、私に普通の生活をくれた。
もう潰してしまえば良いと思った瞳も、綺麗だと言ってくれた。
それでもまだ瞳の色は好きになれなかったけど、おばさんは大好きだった。
—おばさんが死んだ。
また私の大好きな人が消えてしまった。
また、瞳の色が大嫌いになった。どうして私の大切な人はいつも居なくなってしまうんだろう。
そう思う度、この瞳が無ければと何回も目を潰そうとした。
だけど瞳は潰せなかった。
潰そうと針を握ると、大嫌いな筈の瞳から涙が零れた。
大嫌いな瞳と、大嫌いな自分の人生。
大好きな人の死と、大好きな瞳に向ける嫌悪。
それが私の、すべてだった。
- Re: HUNTER×HUNTER 短編集 ( No.2 )
- 日時: 2011/01/03 07:35
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
窓から空を見上げる、金と蒼の瞳をした少女。
風に揺れるカーテンが、ふわりと外へ飛び出した。
動じる様子も無く少女は空を見上げるが、その顔には何の表情も浮かんでいない。
—此処から飛び降りたら、死ねるかな。
もう、悲しい思いは、しなくて済むかな。
「はは・・・。何してんだろ、私。」
コンクリートの灰色の地面と、青い空に聳えた高い建物や騒音。
その全てが酷く滑稽に思えて、口から嘲笑が漏れた。
死のうとしたのは何回目か。
そう飛び降りようと窓の外の景色を見ると、やっぱりこんな所で醜く死ぬのは嫌だと思いとどまってしまう。
外に引っ張り出されたカーテンを仕舞おうと窓の外に手を伸ばす。
「取った」
カーテンと彼女を支えていた棒が滑り落ちて、バランスを失った彼女の体が窓の外へと落ちていった。
「あ・・・」
風の音が耳に激しく響いて灰色の地面が近くなる。
目の前に見ていた世界が反転して、次に空を映し出した。
・・・死んじゃうのかな。
それもいいやと考えていた時もあったが、死を目の前にするとやっぱり怖いと思った。
目を瞑って、目の前の光が消えるのを向かい入れる。
—でも、その光は消えないままで。
かしゃん、カーテンの棒が落ちた音だけが、耳に聞こえた。
- Re: HUNTER×HUNTER 短編集 ( No.3 )
- 日時: 2011/01/03 07:44
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
「銀の蝶」(金の蝶と対で読むことをお勧めします)
最後に見えた銀色の羽
儚く散る事を知りながら
それでもまだ夢を見たいと思うのは
傲慢と言うべき事でしょうか
「—殺しに来たの?」
優しく微笑みながら椅子に腰掛けた少女はそう言った。
王様か貴族の城何ぞやにあるような豪華な椅子は、少女には大きく見える。
恐れるような緊張と危機感と、そんな風に可笑しく微笑む少女と。
少女が悟った「殺される」と言う事に恐怖は無かった。
張り詰めた、しかし和やかで哀れむ様な視線は少年を見つめたままだ。
反対に今入って来たであろう方は、疑問を抱いているだろう。
どうして笑ったままなのか。どうして知っているのか。どうして恐怖が無いのか。
怖いも何も、どうして死ぬ事が怖いのだろう。
人が何か大切な物を無くすのに恐怖を覚えるなら、命を失くすと言う事が怖い?
自分の肩に乗っている全てを失くすのが、怖いのか。
そう考えた事もあった。だけれど、私の肩には何も乗っていないしもしあるとしたならばとうに失くしてしまった。
吐き気のするこの世界から着える事が出来るなら、それこそ自分の望む事だろう。
生きていてもどうせ短い命。どうせ死ぬなら、悲観的に美しく死にたい。
これは自ら死を望んでいる、と言う事なのだろうか。
だから分からない。
生きるのにも別に不自由は無い。
だけれどこのままこんな終わり方をするのか。それは何かを背負って死にたいと言う人間らしい思いなのか。
刹那、常人であったろうなら普通に「殺される」筈の攻撃がその少女に加えられる。
前に居る少年が視界から消えた。自然に口物だけ笑ったまま宙に視線を投げる。
避けたいと思ったなら避けれた。だけど、別に未練は無いんだから。
首元に手刀が当てられ止まる。少女は無表情になってその手を見た。
「殺さないの。」
だけど何も言わない。
「殺せないの。」
少年の表情が変わった。少しだけ反応を見せる手。
油断していた腕を右手で掴むと少女とは思えない腕力で立ち上がり投げ飛ばす。抵抗しようと向けたもう片方の手は跳ね除けて床に沈める。
少し思った事がある。もし自分が少年のように人を殺す事を職業としていたなら、自分はどうしただろうか。
それに価値は見出せたのだろうか。
背負うものはあっただろうか。
と言っても私には結局分からないのだから、今私を殺そうとした少年はそのままいつか人生を終えるのだろう。
「・・・そっか。」
悲しそうに歪む顔。それは哀れみともただ悲しいからとも取れた。
だけれど本当に思っていたのは、何だったんだろう。私も分からない。
手を緩めるとさっと振り払いドアの位置まで戻る少年。
綺麗な髪の色だと、思った。
「一つだけ言っておくけど。」
何が何だかよく分からない、そんな表情で少女を見る少年。
「死ぬのが嫌だと思う内に死ねるのは、幸せだと思うの。」
そう、悲しむ事がある内に死ねた方が、ずっと良い。
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