二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜
日時: 2011/01/23 13:54
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)

これは、自分用の小説です。
コメ来たとしても、返信できません。すみません。



〜各物語の目次〜
【君に出会えてよかった】>>2

Page:1 2 3



Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.3 )
日時: 2011/01/22 23:25
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)

—第2章—『不幸の始まり』

—佐藤家の日々—

あれから1週間後、父と姉は俺と弟を親戚の佐藤家に預け、アメリカへと旅立った。

俺が住んでいた栄口家は、そのままの形で残っている。

「いらっしゃい。あ〜ら、大きくなったわね〜」
佐藤家のおばあさんは、そう言って、弟を可愛がった。

対して、俺には何も言わない。
弟ばかり可愛がるのだ。

何をするにも、俺はお兄さんだからといって、仕事をいっぱい頼まれる。

「ゆーとちゃん、おつかいに行ってきてちょうだい。」
「ゆーとちゃん、お茶の間掃除お願いね〜。」
「ゆーとちゃん、洗濯物とってきて。」

でも、まだ6歳の俺に、こんなに仕事をやらせて、できると思うか。
できるわけがないじゃないか。
失敗するのが当り前じゃないか。


そう、失敗するのが当り前なはずなのに…



《ガッシャーン》


俺は、食器洗い中に、手を滑らせ、皿を落として割ってしまったのだ。
しかも、それは、俺の小さいお茶碗だった。


「ゆーと!!!何をしているの!!!」
その音を聞いたおばあさんがやってきた。

「ご…ごめんなさ…い」
僕はそのおばあさんが、とても怖かった。
目に涙をためて謝った。

おばあさんは溜息をついて、
「…明日からゆーとのご飯なしよ」
と言った。

その言葉に俺は、一瞬世界が真っ暗になったような気分に包まれた。

「な…何で…」

「だって、それ、ゆーとのお茶碗でしょ?お茶碗がなきゃ、ご飯なんて食べられないわ」

俺は、その晩、自分の部屋で泣きまくった。

泣いても、泣いても、涙は止まらなかった。




ただ思った事が、
‘栄口家に戻りたい,
という事。






昔みたいに、楽しい日々はなくなっていた。


どうしておばあさんは、そんなに俺に酷いのか。
弟にはあんなに優しいのに。



そしてある日は、こんな事があった。

6月8日、俺の誕生日に、幼稚園の友達から沢山の手紙を貰って、弟に自慢していた時だ。

「にいたん、それ、ほちぃ」
弟は、その手紙に手を伸ばした。

「駄目だよ。これはゆーとのだもん」

「ほちぃ!」

「駄目だって!」

「ほちぃ」

「だーめ!」

そう言って、手紙を引っ張り合っていた。

その時、手紙が《ビリッ》と勢いのある音を出して、
ギザギザに破れた。

「…大事な…手紙が…」
僕は、めちゃくちゃになった手紙を見て、泣きたいというより、怒りの方が大きかった。

「バカ!!!何やってんだよー、もう…」

と大声を出した。

弟は当たり前のように、大泣きをした。

泣きだした弟を見て、ヤバいと思った俺は、必死で慰めようとした。




…その時、やってきたのだ。




「いい加減にしなさい!!!勇人!!!」
おばあさんは、やってきたのだ。


「…ちが…これは…」

その時、


《パァァ———ン》


おばあさんは、俺の頬をぶった。


「勇人は佐藤家にいらない。家から出ていきなさい…。」



あまりにも残酷な言葉で、あの時の記憶はほとんどない。



…ただ、俺は大きなリュックと、熊のぬいぐるみを抱えて、夜道を歩いていた。

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.4 )
日時: 2011/01/23 00:00
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)

—第3章—『出会い』

—感謝—

夜道はこんなに寂しいんだなぁ〜。
俺は、何処へ向かうとか目的地もなく、ただ前へ前へと進んでいくだけだった。

すると、青い空から、一粒、二粒と雨が降ってきた。
まるで、俺の心の気持ちのように。

持ってきた、黄緑色の傘をさして、近くの木の下に雨宿りした。

不思議な事に、木の下にはいったら、雨一粒も落ちてこなかった。
普通なら、枝と枝の小さな隙間からも、ぽたぽたと落ちてくるのに。
しかも、何となく、この木の下が暖かく感じた。
まるで、俺を優しく守ってくれているかのように。

そして、俺は、段々と目を閉じていき、気が遠くなっていった。




気がついたら、そこは、暖かい家の中だった。


「ん…此処は…何処…?…うわっ!」

俺に飛びついて来たのは、1匹の犬だった。

その犬は、俺をぺろぺろと舐めはじめた。

「…くっ…くすぐったいよぉ」


すると、部屋のドアノブが動き、一人の少年が入ってきた。
「よぉ、目ぇ覚めたみてぇだな。」

黒髪のその少年は、俺と同じくらいの年の子だった。
印象は、‘明るい,

「あの…此処は!?」

「あー、此処、俺んちぃー!俺、ゆーいちろー!田島悠一郎!お前は?」

「ぼ…僕は…ゆーと。」

そうして、会話は始まった。


どうやら俺は、あの木の下に倒れていて、田島が助けてくれたのだという。
俺の家庭の事情を言うと、田島と田島の家族は快く、田島家に受け入れてくれた。


田島家は大家族だ。
それに、ペットも沢山いる。
賑やかでいい家族だと思った。


俺は、幼稚園も田島の通うところに合わせた。


そこの幼稚園でも、俺は、木の上に登っていた。


「おーい、ゆーとー、下おりて一緒に遊ぼうぜー」
せっかく田島が誘ってくれたのに、俺はまた拒否した。


そして、俺は時々こう、独り言を口ずさむ癖があった。
‘神様っているのかな,


「いるよ。」


いきなりの声に、俺は驚いた。

さっきまで、皆と遊んでいた田島が、木に登って来てくれたのだ。


「…ゆーいちろー…?」

「神様はいるよ。だって、俺達がこうやって出会えたのも、神様の御蔭だろ?」

田島はそう言って、指笛を鳴らした。

すると、指笛の音を聞いて、白い小鳥がやってきた。

「神様がいなかったら、こうやって生きていられないぜ。この鳥だって、こんな風に飛んでいられないもんなー」
田島はそう言い、また、小鳥を飛ばした。




そして、俺は感謝した。
こうやって、田島で会えた事に。

もし、あの時、田島に会っていなかったら、16歳の‘勇人,は存在しなかっただろう。


Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.5 )
日時: 2011/01/23 00:30
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)


—秘密—

「ゆーいちろー…ありがとう…」
俺は自然と涙を流して言った。

「…え、俺なんかした!?ってか、ゆーと泣くなよー」
焦る田島は、ハンカチを出して涙を拭ってくれた。


その時、


「はっはー!コイツちっちゃくなってやんよー」
「マジだー、おもしれぇー」

と、いかにも悪そうな台詞が聞こえてきた。


「…何だろう…ね…?」
俺がそう言っている途中に、田島は真っ先にその声の元に走り出して行った。それは、ものすごいスピードで。

「…え…ゆーいちろー…?」

俺も、田島の後を行くと、
園内で飼っている、兎を苛めている奴がいた。

田島は兎を助ける為に、すごいスピードで走っていったのだ。

「おい、何してるんだよ」
田島は、そいつらをきつく睨んだ。

「何…って…見れば分かるだろー。遊んでんだよー」

「何処が遊んでんだよ、兎、苛めてんなよ」

「なにをゆー!!!」

そうして、田島と男子2人の喧嘩が始まってしまった。
でも、俺は何もできなかった。
必死に止めようと、声をかけたが、田島の耳には、俺の言葉が入らなかったようだった。

3人の喧嘩は、いつの間にか大喧嘩になり、周りの子や、先生も集まってきた。


「ちょっと、何しているの3人とも!」


先生はそう声をかけて、止めようとしたが、
田島は、

「先生には関係ねぇよ。来るなー!」
と言った。

「ゆーいちろー君、このウサギ、僕にビビってるよー」
もう一人の男子がそう言い、兎の耳を引っ張った。

「…それ以上やるな—!!!」

田島はそう言い、指を《パチン》と鳴らした。
すると、遠くから、何かが走ってくる音が聞こえた。
その音はだんだん近づいてくるようだ。

沢山の猫が、田島の指の音を聞いて、やってきたのだ。
その猫たちは、兎を苛めた、2人の男子を思いっきり引っ掻いた。

男子は大声で泣き叫んだ。

「ゆ…ゆーいちろーって…化けもんだ!!!」
「動物操るとか…人じゃねぇ…!!!」

そう言って逃げていった。

その様子に、俺は信じられず、ただ呆然として立っていた。


「…俺、生まれつき、動物操れる力を持ってるんだ…。ほんっと…俺…化けもんみたいだな…人じゃねぇみたいだな…。」


田島はそう言い、寂しい顔を浮かべた。

「…んなことない。そんなことないよ!ゆーいちろー!!!」
俺は、田島の凄さに胸がわくわくした。

田島は頭にクエスチョンマークを浮かべたように、俺をじっと見つめた。

「動物を操れるなんてかっこいいじゃん!!!…それに、僕もね、なんか、不思議な力持ってるし…。」

「不思議な力?」

「うん…。自然の言葉が何となく分かるんだ〜」
俺はそう言い、笑顔を見せた。
田島の表情も豊かになって、
「俺たち…仲間だな!!!」
と言った。


そしてまた、俺と田島との仲が良くなったのだ。

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.6 )
日時: 2011/01/23 13:11
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)


—お母さん—

俺が田島家にやってきて、あっという間に1年がたった頃だった。

あれから一切、佐藤家から連絡も何もない。

多分、父も姉も、俺が佐藤家から離れた事を知らないようだった。

そりゃそうだ。あのおばあさんが、父たちにそんな事言うはずがない。

俺を追い出したのは、あのおばあさんだからな。



「ゆーいちろー、バス来ちゃうよー…」
俺は、玄関先で、そう叫んだ。

すると…

「はいはーい、おまたせー」
田島はいつもみたいに笑って玄関から出た。

それは、髪の毛がぼさぼさの状態で、服もぐちゃぐちゃに着こなして。

「こら!ゆーいちろー!!!駄目でしょ、こんなだらしない格好じゃ」
田島のお母さんはそう言い、しゃがんで、髪の毛をとかしていた。

俺は、その光景が羨ましかった。




『僕にも、お母さんがいれば…』




「ゆーとくん、ごめんね。いっぱい迷惑かけちゃって」
田島のお母さんはそう申し訳なさそうに言う中で、田島はお母さんの横にギュッと抱きついていた。

この年だもん。
誰だって甘えたくなるさ。

田島の様子を見ているこっちの立場は…途轍もなく寂しさであふれていた。


「あ、バス来たぜー」

田島はパッとお母さんから離れ、バスへ向かった。


「いってらっしゃい」

田島のお母さんは優しく微笑んで手を振ってくれた。


そういえば、俺が栄口家にいた時も、同じようにしてたっけ。


「ゆーと!楽しみだなー!今日!!!」
田島はそう言ってはしゃぐ。


今日は、市内の体育館で、公演を見に行くのだ。


それには、色んな小学校、中学校、一般人、沢山の人が集まってくるのだ。



「お菓子もいっぱいもってきたぜー!ほらよ!」
田島はそう言って、大きなリュックを開けた。

その時、

《バゥバゥ!!!》

リュックの中には、田島家のあの犬が入っていた。

「ちょ…ゆーいちろー!どうしたの…犬連れてきちゃって…。」

「どうしても、行きたいっていうからさー!なー!」
《バゥバゥ》

さすが田島だ。
動物の言葉が通じ合っている。




そして、体育館へとやってきた。


バスから降りると、先生の指示で、2列に並んで入口へ向かった。



…その時だった。
先頭に立つ、女の先生と男の先生が、地面に座り、頭を下げた。
その状態は、土下座をしている状態に近い。


「せんせーどーしたのー」
と声をあげる子もいた。

「いいから皆、先生の真似をしてちょうだい」

小声で大きくそう言ったのだ。

その時は、何があったのか分からなかった。


前を見ると、黒くて大きい車から、赤いカーペットが敷かれ、そこから、黒くて綺麗な服を着た、一人の少年が、歩いてきた。

その少年は、‘泉財閥,のあととり。
俺達と同い年らしい。

綺麗な黒髪に、整っている顔、大きな目が特徴的だった。

その少年は何も語らず、そのまま横を通り過ぎていった。


Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.7 )
日時: 2011/01/23 13:51
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)


—天才音楽少年の素顔—

「うわーかっこいい人だったなー」
皆は再び顔をあげて、そう声をあげた。


—————。

体育館に着いた俺達は、決まった席に座った。
俺はちょうど、田島と隣同士だった。

「さっきの人、‘泉財閥,の子供らしいよ」
俺は田島に話しかけると、
「‘泉財閥,って、なんだ?」
と、聞かれた。

その頃の俺は、財閥という2文字の言葉が難しくてよく分かんなかったけど、‘えらい人,と答えた。

田島との会話に夢中になっていると、
天井の電気がだんだんと薄く消えていった。

そろそろ始まるんだなーっと心で準備した。


すると、一人の少年が、バイオリンを持った状態でステージに現れた。


「まさか、あの子が演奏するんじゃないよね」


その少年は、肩と顎にバイオリンを挟んで、演奏し始めた。

その途端、周りはざわめき始めた。


「あんな小さな子が、バイオリンを!!!」
「なんて素敵なのかしら」
「あれは、まさに、天才…天才音楽少年だ!!」


大人たちの歓声は、壮大だった。



少年の茶色い髪の毛は、メロディーと共に靡く。


そのメロディーは、
いつも賑やかな田島も、大人しくなるほどのものだった。


俺も、そのメロディーに魅かれていった。


少年の演奏が終わると、一斉に拍手が鳴った。
俺達も夢中で拍手した。
拍手は一向になりやまないくらいだった。


「…僕、アノ人の事、知りたい!!!」

俺は、夢中になって、駆けだした。

「え、ちょ、俺も行く—」

田島も俺について来てくれた。


夢中に走っていた俺は、頭の中があの音楽で一杯だった。

…その時。

《ドンッ》

俺は人とぶつかってしまった。
しかもその相手は、………。

「い…いってぇ…」

その声に、俺は相手を見ると、
その相手は、あの、泉財閥のあととりだった。

俺は慌てて、
「あ…あああああ…ごめんなさい…」
と言った。

「こっちこそ、ごめんね。俺急いでるから、ばいばい」
泉財閥のあととりは、そう言って走って行ってしまった。

「やっぱり、…カッコいい奴だ」

俺達2人は声をそろえていった。



結局その日は、天才音楽少年に会えず、次の日小学校に行った。



《キーンコーンカ—ンコーン》



学校のチャイムと共に、1日が始まった。

「気をつけ。礼。」
「おはようございます!」

当番の人がそう言い、朝の会がスタートするのはいつもの事。

でも、今日は少し違った。




「…今日は、新しい友達を紹介するぞー」



先生がそう言って、
教室のドアからやってきたのは、茶色いサラサラした髪の毛に、たれ目のあの、天才音楽少年だった。


俺は思わず、
「て…天才音楽少年だ—————!!!」
と大声で言った。

クラスの皆は、俺を見て笑った。

あの時の俺は、本当に恥ずかしくて、顔が真っ赤になっていたらしい。


すると、天才音楽少年は、
「何…俺の事…知ってるの?」
と口を開いた。

初めて聞いた、天才音楽少年の声は、想像とは全く違った。
何っていうか…イメージとしては、爽やかだったんだけどなぁ…。


俺と、天才音楽少年が盛り上がって話をしていると、
先生はその間に入ってきて、
「盛り上がってるところごめんなー、話は後でにしてくれ。今は自己紹介だ。‘水谷,名前と簡単に自己紹介」


「はい!」


その天才音楽少年は、勢いよく腹から声を出した。


「‘水谷文貴,小学1年生です!好きな食べ物は、基本甘いものなら何でも好きだけど、特に好きなのはケーキ!!!」



水谷文貴と名乗った天才音楽少年は、昨日とは全然違う様子。
あんな爽やかに演奏していた人が、こんな素顔を持っていたなんて…。


そして、また、ここから始まるのだった。


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