二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【竹取物語】二次小説【羅生門】
- 日時: 2012/12/31 22:22
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: geHdv8JL)
—————————————しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪を倒にして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。
下人の行方は、誰も知らない。
(´・ω・`)<ごあいさつ
以上がみんな大好き羅生門のラストシーンになります。
もし、この先にも物語が続くとしたら……?
そんな感じで書き進めて参ります(*`ω´)
*目次*
>>1 羅生門 原作者:芥川龍之介
>>5 >>6 >>12 >>13 竹取物語
- 次は… ( No.4 )
- 日時: 2011/12/03 19:41
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: hTgX0rwQ)
宇治拾遺やると宣言したものの、よく考えたら知名度がすごく低い…
やっぱ二次モノは知ってる話じゃないと読んでいてつまらんと思うので、ここはやはり、
「 竹 取 物 語 (`・ω・´) ! 」
でいこうかと思いますw
ただのかぐや姫じゃあありません。
現代版かぐや姫です(笑)(笑)(笑)
- Re: 【羅生門】二次小説【竹取物語】 ( No.5 )
- 日時: 2012/04/02 16:40
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: ODVZkOfW)
【竹取物語二次、不死の薬】
確か、高校一年の七月頃ではなかっただろうか。
事の始まりは、吉川先生が盲腸の手術で入院して一か月ほど学校を休んだことだった。吉川先生は私のクラスの古典を持っていたので、復帰までの短い間、替わりの先生がやって来たのだった。それが、岩笠先生だった。
大学を出たばかりだという岩笠先生は当然若くて、さらにびっくりするぐらいにイケメンであった。もちろん大半の女子生徒はキャーキャー言って喜んでいたし、男子生徒も岩笠先生を「兄貴!」と呼んだりと、冗談を言い合ったりするくらいに仲が良かった。それくらい、岩笠先生は誰にでも人当たりが良い人だった。
授業も良かった。
無駄な部分が無く、かと言って内容が薄い訳ではない。今となってはどんな授業だったのかまるで思い出せないが、ノートを取るのが物凄く楽しい授業だったことは確かに覚えている。
夏休みに入る前の、蝉鳴く七月。
岩笠先生の最後の授業は、「竹取物語」だった。教室のみんなの、夏らしい半袖のワイシャツの白さが、暑い日差しを反射していて特に眩しかったのを覚えている。
—————— 逢ふことも なみだにうかぶ我が身には 死なぬ薬も何にかはせむ
竹取物語の、最後に詠われている歌だ。かぐや姫が月に帰ってしまった後、帝のもとにはかぐや姫から献上された不死の薬が残った。しかし不死になろうとも、もう二度とかぐや姫に会うことはできない。それならば、このような薬など私には無用の物なのだよ、という帝の哀しみを歌った歌。
—————— この奉る不死の薬に、また壺具して、御使ひに賜はす。
—————— 勅使には、つきのいはかさといふ人を召して、駿河国にあなる山の頂にもてつくべきよし仰せ給ふ。
「はい、じゃあ乙海。」
突然、教壇の向こうから自分の名字を呼ばれて思わずギョッとする。どうやら指されたらしい。
「この山、どこの山だと思う?ヒントは駿河国、ってとこかな。」
岩笠先生が教科書から顔を上げてガッツリこちらを見ている。
駿河、ということは静岡県だろうか。ということは、…富士山?
「富士山、ですか。」
「ほい、正解。」テンポ良く、短く正解を告げられる。「じゃあ次、鬼塚。ここの続き読んで。」
指された私の次の出席番号の鬼塚は、無言で少しだけ頷いて立ち上がると、教科書の続きを読み始めた。
「嶺にてすべきよう教えさせ給う。御文、不死の薬の壺ならべて、火をつけて燃やすべきよし仰せ給う。そのよし承りて、つわものどもあまた具して山へ登りけるよりなむ、その山をふじの山とは名づけける。その煙いまだ雲の中へ立ち上る、とぞ言ひ伝えたる。」
読み終わると、鬼塚は静かに椅子を引いて座った。「鬼塚は読むのうまいね!」そう、褒める岩笠先生の言葉に、若干だが鬼塚の頬が赤くなったように見えた。
「みんな気付いたかな。ふじの山とはさっき乙海が言ったように富士山のことだ。富士山って 士(つわもの)に富む、って字書くでしょ?つまりは洒落ってとこだね。あと、“不死の薬”を燃やしたから不死山、つまり富士山っていう説もあるんだ。なかなか面白いでしょ?」
教室中からへぇ〜とか、ほ〜とか、感心の声が上がった。するとそれとほぼ同時に、授業終了を告げるチャイムの音がなった。キーンコーンカーンコーン、と聞きなれた音階が学校中に、響く。
「では、これで夏休み前の古典の最後の授業を終わりにします。ああ、ちなみに夏休み明けには吉川先生が退院されるから、僕の授業もこれで終わりです。短い間だったけど、みんなありがとうね。」
そう言いながら、教科書とチョークケースを片して、ペコリとお辞儀をする。その仕草に級長の今井が慌てて 起立! と叫んだ。みんなも今井の号令に慌てて自席から立ち上がる。机や椅子のガチャガチャという音が響いた。
「今までありがとうございました!」今井がそう言うと、みんなもそれに続いて「ありがとうございましたー」と頭を下げる。その様子に、岩笠先生はちょっと驚いている様子だった。
それから、少し照れたような、嬉しそうな顔になって笑うと、「みんな本当にありがとうね。」と再度言ったのだった。
それが、私の岩笠先生についての最後の記憶だった。
- Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.6 )
- 日時: 2012/05/02 23:07
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: ijs3cMZX)
今日は数十年前に卒業した、高校の同窓会である。
同窓会は、母校の近くの、宴会場も兼ね備えた豚カツ屋でやるそうだ。現地集合ということで、時間の十分前にここに来た次第だ。
だけど。
「どうして誰も来ない……?」
私以外、誰一人としてやって来ない。何故だ。何故なんだ……!
もしかしたら集合場所を間違えたかな、と思って幹事から送られてきた招待状のハガキをバックから取り出す。間違いない、ここの豚カツ屋さんであっているのに!
「あ、」
もうやだ消えたい。場所は合っているが、日にちが違かった。昨日だった。同窓会は、昨日。
何と言うか、ショックすら感じない。言葉が出ない、とはこういうことなのだろう。ただただ虚しくなる私の頭上で、雀の子が数匹、楽しそうに鳴いている。
わざわざ数時間もかけて地元に帰って来たのに、このザマ!
あまりにも悔しいので自棄になって豚カツ屋ののれんをくぐる。もういい、この際一番高いセットを頼んでしまおうか。
カウンターを通り、窓際の日なたの席に案内された。店内に客は少なく、中年の二人組のおじさんが向こうの方で煙草を吹かしているだけである。
とりあえず、渡されたメニューをパラパラとめくった。なんかもう、定食でいっか。呼び鈴を鳴らすと、はーい、と威勢のいい返事が聞こえて、ウェイターがやって来た。
「お客様、ご注文は……って乙海?」
「へ?」
驚いて顔をよく見ると、自分と同年代くらいの男のウェイター。
「あ、もしかして……高校でクラスが同じだった、鬼塚?」ここでバイトしていたのか。
「そうそう!ああ、じゃやっぱり乙海だ!久しぶりだな〜。っていうか、なんで昨日の同窓会来なかったんだよ。みんな会いたがってたぞ。」
「私だって会いたかったよ。」半ば、ふて腐れて言った。「聞いてよ、ほんと阿呆な話でさ。あたしったら、今日だと思ってたんだよ、同窓会。」
すると鬼塚は大笑いした。「成程!いやーそりゃ笑えるね。」ギャハハハハ、と鬼塚は加えて笑った。
「……む。仮にもこっちはお客様なんだからね。とりあえず日替わり定食お願いします。」
「まぁ、怒るなって。了解いたしました〜。少々お待ちくださいませ〜。」
ふざけたようにペコリとお辞儀すると、鬼塚はそのまま小走りで厨房の中に消えていった。……ったく、本当に適当な奴である。
その時、ガラガラ、と店の戸を引く音が聞こえた。振り向くと、お客さんが一人、入ってきているところだった。今度は鬼塚ではない、女のウェイトレスが客を案内する。
「日が当たる席がいいな。」そう、その客が何気なく頼んだ。
結局、その客は私より二つ向こうの席に落ち着いた。若い男の人で十歳くらいは私より年下に見えた。
どうしてか私はその人物がやけに気になってしまい、遠慮も無くジロジロと観察してしまった。その視線に気が付いたのか、その男の人はこちらに振り返ってきた。
マズイ、と思った時にはもう遅かった。ガッツリと目が合う。
「あれ……確か……。乙、海さん、だっけ。」その人は、確かに私の顔を見ながらそう言った。
「え、そうですけど。すいません、どなたでしたっけ?」
するとその人は朗らかに笑った。言われてみれば、どこかで見たような気もしないでもない顔である。「印象の薄い顔だ、ってよく言われてきたけど。さて、僕は誰でしょう?」
「あー……」今更だが、かなり整った顔をしている。「すみません、私ったら思い出せなくて。」
「そっかぁ、残念。岩笠って言うんだけど。ほら、吉川先生の替わりに古典をやった。」
「あ、思い出した!岩笠先生ですよね!いやぁー本当にすいません。でも本当にお久しぶりですよね。」
正直、驚いた。
特別、目立っていたわけでもない私のことを覚えていたなんて。しかも、岩笠先生と関わりがあったのは十数年前の、七月、たった一か月の間だけである。
「もう何年たったんでしょう。でも先生、随分とお若いままですねって……あれ?」
私は今、三十四歳。でも、目の前に居る岩笠先生は見た目二十代前半。って、あれ?あれ……?
気持ちが表情に出やすい私は、きっと物凄く混乱した顔をしていたのだろう。その様子に気が付いてか、岩笠先生は悪戯っぽくクスクスと笑った。
「驚いたでしょう?」笑いながら、岩笠先生はウェイトレスが運んできたグラスの水を飲んだ。「僕だって驚いた。まさかここで乙海さんと……お、それに鬼塚君とも再会できるなんて。」
気が付くと、鬼塚が頼んだ定食を私の目の前にことん、と置いていた。もちろん、鬼塚も相当に驚いた顔だ。
- Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.7 )
- 日時: 2012/05/28 22:11
- 名前: 北斗七星 ◆WTiuyWwMAo (ID: 90mHMWes)
始めまして、北斗七星ですけども。
渋いですねーw
岩笠といったら、つきのいはかさじゃないですかー!
フジヤマに薬を燃やしに行った人じゃないですかー!
まさかいはかさって薬を飲んだのか…?
なんで竹取物語を学習しててそれに気づかなかったんだろ皆。
おっとため口失礼しました!がんばってくださいね、応援してます!
- Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.8 )
- 日時: 2012/09/03 00:53
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: rOrGMTNP)
>北斗七星さま
わわわ、コメントありがとうございました!
……って、返事ずいぶん遅くなってしまいましたorz
あっ、岩笠先生の正体バレてしまいましたかー(当たり前だっ)
応援ありがとうございます。タメ全然OKですむしろ嬉しいくらいでございます(゜∀゜)!
完結まであとちょっとですが、冬休みに一気に完結まで持って行きますね!
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