二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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夜桜四重奏  龍のソナタ
日時: 2012/02/06 13:54
名前: 時計屋 (ID: Na535wgJ)

初めまして、お久しぶりです。学園アリスやテイルズを書いていた時計屋と申します。
今回は私の大好きな作品『夜桜四重奏』の二次を書きたいと思います。

まず注意事項です

・相も変わらず駄文です。

・何回書いても上達の兆しすら見受けられません。

・キャラの過去捏造及びオリキャラ出します。

・原作重視の方は見ないほうがいいと思います。

・更新は遅いです。

・荒らしや中傷は止めていただきたいです。

・作者はコミック派なので登場人物やオリキャラの設定は11巻(双子の事件)までとしています。

・少しでも嫌悪感を抱かれた方は、Bダッシュでお帰りください。






それではオリキャラ紹介です↓


槍桜ユメ

五月四日生まれの十六歳。龍の化身であり、妖力は並外れて高く運動神経も良い。
ヒメの双子の妹で容貌は酷似しているが、瞳の色は紅ではなく碧。秋名のマフラーを巻いていないなど、相違点もある。
とある理由から生まれてすぐ元老院の命で比泉の手により調律され、その後円神に拾われ円神と共に戻ってきた。円神の計画に賛同はしているが、槍桜や比泉に対して憎悪の感情はないため自身の目的のほうを優先することも。
ヒメのことは純粋に姉と慕っているが、戦闘に容赦はしない。
常に丁寧な口調で話し、仲間(特に円神)を気に掛ける。
一人称は『私』


藤堂佐奈

四月一日生まれの二十歳。幼少の頃に堕ちた時一緒にいた両親を誤って殺してしまい、それから自身の力を疎むようになる。力を隠しながら暮らしていたが、制御を失い暴走。以来人里を離れ暮らしていたところにユメと出会い円神と行動を共にすることに。
何の半妖なのかは語らず、その話題に触れることも嫌う。
砕けた話し方で、円神を怒らせてしまうこともあるが本人はあまり気にしてはいない。
一人称は『うち』


この後増えるかもしれませんが今はこの二人で話を進めていこうかと思います。
ちなみにユメのことを知っている人は、

・ヒメ(マチ(ヒメのおばあさん)から教えてもらった。)

・雄飛と八重(神様なので・・・・)

・薄墨(調律を命じた人)

です。秋名たちにはヒメも他の人も話していないので、存在自体知られていません。




それでは、上記のすべてを納得せれた方はお読みください。大歓迎です!!!!

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Re: 夜桜四重奏  龍のソナタ ( No.1 )
日時: 2012/02/10 20:21
名前: 時計屋 (ID: Na535wgJ)


序曲


それは遠い記憶に交わされた誓い

誰も知らない たった二人だけの秘密

決して知られてはいけない あの子との小さな約束








『いいかい・・・決して町のみんなには内緒だよ。』

初老の女性は皺の入った細い手が幼い少女の手を包み込む。
浮かべる笑みはいつものそれと違わずに優しげで。けれど、瞳に映る感情は少女を戸惑わせる。

『おばあ様・・・・?』

名を呼ぶ声すらも不安げに揺れてしまう。伸ばす小さな手は微かに震えていた。
困惑する少女を察したのか握る手を放し、頭を優しく撫ぜる。

『今はまだ分からなくてもいいのよ。・・・・いつか分かる時が来るわ。』

笑みを一層深くし温かな手に妙な違和感を感じた。
あぁ・・・・そうか・・・と、少女は泣きそうになりながらも笑顔を返す。
唐突に理解した。これは夢だと。
いつかのやり取りの再現。初めて明かされた秘密。
全ては過去の出来事。ここでの事が現在に影響を与えるなんてあるはずがない。
それでも少女は女性の着物の端を強く握った。
今乗せられている手の主には二度と会えるはずがない。けれど、ずっとずっと会いたかった。
大好きで大切な人。
自覚すると着物を掴むそれが次第に大きさを増してく。一回りずつ大きくなるそれと比例し、背も少女とは呼べないほど高くなっていた。

『いいかいヒメ。もしかしたらとても辛い決断になるかもしれない・・・・けれどあなたなら、乗り越えられるわ・・・』

強い光が二人を包む。おぼろげにる笑顔に彼女は瞑りそうになった目を目一拝見開く。忘れないように、刻み付けるように。

『大丈夫よ。自分の心に素直に従いなさい・・・・そうすれば・・・・・』

白が濃くなり目も開けられないほど眩しさが増し、掴む着物が離れた。

『・・・・・おばあ様・・・・!!!!!』

遠ざかる姿に手を伸ばすも、触るのは光と空気だけ。堪えきれずに零れる涙はどこまでも白い空間に吸い込まれる。

『おばあ様・・・・!!おばあ様ぁぁぁぁ!!!』

穏やかに微笑みながら徐々に消えていく女性にそれでも彼女は手を伸ばした。






     [約束よお姉さま。いつか私が・・・・・・・・]





微かに聞こえた泣きそうな約束は あの子の解放を意味していた






Re: 夜桜四重奏  龍のソナタ ( No.2 )
日時: 2012/02/13 12:57
名前: 時計屋 (ID: Na535wgJ)

第一楽章  レ・プレリュード




空に瞬く星が見守る中、少女はただ静かに降り立つ。黒の髪を風に遊ばせ、碧の瞳は彼女特有の雰囲気を作っていた。
息を軽く吐くと、ひやりと口の中に冷たい外気が流れ込み、つんと刺す痛みに顔を顰めたが、特にそれを気にする様子もなく少女は眼下の風景に目を落とす。
どこか懐かしげに和む瞳を向けられる町の名は桜新町。霊桜『七郷』に囲まれたその町は、妖怪と人間が混在する希少な町であり、少女の故郷でもある。しかし、少女自身にその思いれはない。事実少女の目は町でなく、ある一点に注がれていた。

「・・・・やっと・・会えますわね・・・・・お姉さま・・・・・」

こみ上げる歓喜を抑えきれずに口元は三日月の形を作る。零れる言葉にすら少女の思いが反映され、浮ついていた。七郷のしめ縄に着ける両足は意図して軽いステップを踏む。空を仰ぎくるくると身体が回るたび、彼女の長い黒髪が風に揺れた。
突然風が強く吹き込み、次の瞬間には彼女の体が浮いていた。重力に従い堕ちる少女は浮遊感を楽しむかのように手を広げ、慌てる様子もなく徐に手を月へと伸ばした。月の光を浴び髪が黒く輝く。垣間見える碧の瞳は月を射抜いた。

「きっと・・・・約束を果たしましょう・・・・・」

言葉と同時に少女の体は空気のように消え去り、残された七郷が唯一少女の見せた覚悟を聞いていた。





まだ残る微睡を吹っ切るようにヒメは半身を起こした。薄い寝間着のはだけを直すこともなく開けられた襖の外に目を向けると朝日と共に数匹の鳥が、餌を捜し庭を駆け回っている。

「今日も平和ねぇ〜。」

伸びをし、最後まで残っていた眠気を追い払い日課である稽古をする為、道着に伸びた手が止まる。どこか感じる違和感が再び窓へと目を向けさせた。変わらないその風景に、けれどどこかいつもと違う気がしてやまなかった。しかし、その正体をつかめず首をかしげる。

「なんか・・・嫌な感じがする・・・」

が、すぐさま思考を切り替え、当初の目的を果たそうと体は行動を開始する。あくまでヤマ勘としか言いようのないそれを隅に追いやり、袴姿に着替え嬉々として道場に向かうのだった。


「・・・は!!やっ!!!たぁ!!!!!」

広い道場に掛け声が響く。お目付け役である眼鏡の青年は、目の前で繰り出される技の数々を観察するようにじっと見つめていた。
槍桜ヒメ。桜新町の若き町長の一日は道場での鍛錬から始まる。先代町長である槍桜マチから教わった型の復習を秘書兼お目付け役の岸恭介と行い精神統一の流れとなるのだ。

「十八の段『蜘蛛の子』!!・・・四十の段『天介』!!!・・・・七十一の段『千鳥』!!!!」

型に合わせ槍と体を動かす。
幼少からの慣れた動きは流れるような自然な動きとなり、次々と技が繰り出される。

「よし。いいでしょう今日はこれまで。」

凛とした声が静止を唱えると、ヒメは持っていた槍を棚に戻し渡されたタオルで汗を拭く。

「・・・しかし、お嬢様。何かありましたか?」
「・・・え?」

ヒメは恭介の問いに咄嗟に返答ができず、手を止め恭介を凝視してしまう。いつもの仕草で眼鏡を押し上げる恭介は、ヒメの様子に自分の違和感が正しかったことを確信した。

「いつもより動きが鈍かったもので。」
「そう・・・だった・・・?」

不安げに聞き返すヒメに頷くことで肯定を返した。
流れるように繰り出された型も、常時ともに鍛錬している恭介にとっては違和感を指摘するほどのもので。またそのことにヒメ自身が気づかないことも変である。問い詰めようと無意識に視線を鋭くしすぎたのか、言葉を濁していたヒメは諦めたため息をこぼし、少し視線を落とす。

「う〜ん・・・特にって訳じゃないんだけど・・・何か変な感じがするのよ・・・。」
「変な感じ・・・といいますと?」

言葉を探しているのか即答はせず、首を傾げながら困ったように恭介に視線を投げかけた。

「よく分かんないのよ私にも。・・・でも、警戒はしておいたほうがいいかもね。」
「・・・・そうですか・・・分かりました。では、パトロールにも力を入れましょう。」
「そうそう。じゃぁ早速パトロールに行こうよ。」

朝食をとるため道場を後にしようとすると、廊下から軽い足音が聞こえた。

「ヒメちゃ〜ん。お兄ちゃ〜ん。」
「あら桃華どうしたの?」

ひょっこりと道場に顔を覗かせた桃華の後ろから、巨体と老人が足音なく現れた。
伊予薄墨、貴舩雲珠。二人は元老院の羽織を着ている。

「邪魔する。」
「失礼。」

突然のそれも、予想外の人物が訪ねてきたことに対応できない二人を無視し、それぞれ礼をとると、現れたときと同じく音を立てずに道場へ進み出た。

「元老院・・・・・・」

辛うじて恭介が所属を口に出すと、歳を感じさせないほどの鋭い目を向ける。

「すまぬが、槍桜と話がしたい。お主は席を外してくれぬか?」
「な!!!」

文句を言おうと身を進めた恭介の進行方向を、ヒメの細い腕が阻害した。驚く恭介に目も向けずヒメは薄墨を見据えていた。

「・・・・分かりました。お見苦しい姿なので着替えても?」
「そのままでよい。急を要する内容じゃ。」
「お嬢様!!!!」
「・・・・恭介と桃華は先に朝ごはん食べてて。話が終わったら私も行くから。」

務めて普段通りを装うヒメに、粗ぶった感情が引いていく。が、不安なのか、その場を動こうとしない恭介の背をヒメは押した。

「大丈夫よ。私だって簡単に怒ったりしないから。」
「そうではなく・・・・。」
「ほら。桃華も心配そうだし行ってあげなさい、お兄ちゃん。」

引き合いに出された桃華を見れば、確かに突然の出来事についていけず、戸惑っていた。二人を見比べそれでも居残ろうとする恭介に薄墨が咳払いをするのと、ヒメが押し出し桃華に引き渡すは同時だった。



「では話をするかの。」

何とか恭介を道場から引き離し、仕舞われていた座布団を薄墨と雲珠二人に渡しヒメが正座したのを見計らい薄墨は話題を切り出す。

「お主は槍桜ユメを知っておるな。」

いわれない重苦しい空気の中出た名に、ヒメは驚きを隠せなかった。



___未明

夜がやっと明け、薄暗さが消えかけた頃、元老院総代である伊予薄墨は彼女と対峙していた。黒の長い髪と女子高生ほどの身の丈は、自身が知る娘と相違ない。しかし、向けられる碧の瞳と、トレードマークともいえる長いマフラーを巻いていない彼女は明らかに別人。そもそも、あの娘が呼ばれもせずここに来ること自体ない。

「お主は誰じゃ。」

年の功かそれとも数多の経験から、ドッペルゲンガーと大差ないほどの類似点を持つ彼女に対しても薄墨は大した驚きすら見せず、余裕すら垣間見せる。

「酷いですわね。十六年やそこらでお忘れになるとは。それほど重要な出来事でもなかったのかしら。貴方にとってあの日のことは。」
「何を申して居る。」

心当たりなどない、否あってはならない。
あの日彼女は確かに送られた。自身と土地神、そして彼女の親がそれを見届けたのだ。
彼女はここにいてはいけない。存在してしまえば、この町にもそれすらこの世にとっても有害にしかなりえない。だから送ったのだ。いかに、彼女の親が反対しようとも、あの時点で他に手立てがなかったのだから。

「お主、何者だ。」

再度の問いかけは少しばかりの希望を含めていた。
あり得ないことはない。前例があり不可能だという大前提は覆されているのだから。
しかし彼女はその望みすら嘲笑うかのように、高らかに名乗る。

「覚えておりませんか?私はユメ。貴方方とこの町に消された槍桜ユメです。」






「彼女は確かに槍桜ユメと名乗った。お主と同じ容姿をしてな。」

薄墨の言葉を受けてもヒメは何の反応も見せない。予想していたのかそれとも気にしていないのか薄墨は問うことなく話を続ける。

「お主に会いたいと申して居ったわ。今は会えぬのでわしから伝えろともな。」
「・・・そうですか・・・・」

ふっと見せたヒメの表情は、言いようのない感情を含んでいた。それを見た雲珠はこれから告げられる言葉を予期し、苦虫をかみつぶしたかのように顔を歪める。

「じゃが、ここからが本題じゃ。槍桜ヒメよ。」
「はい。」

名を呼ばれ反射的に背筋が伸びる。長い眉をあげ薄墨はヒメを鋭く射抜く。

「お主、槍桜ユメを滅することができるか?」

放たれた言葉は今まで以上の強さと冷たさをヒメに与えた。











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