二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 星使いと天の川 【inzmGO】
- 日時: 2012/06/10 16:31
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
どうも。懲りずに連スレをします、海穹です。
今回は、inzmGOの本筋に沿った御話をしようと思っています。随分と前に書いていたもののリテイクでもあります。
駄文ではありますが、頑張りますのでよろしくお願いします。
一応高校生なので、更新は遅いです。ご了承を。
誕生日や記念日などありましたら、お申し付けください。短編を書かせていただきます。
コメントの際は皆様、ネット上のマナーをお守りください。
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ご挨拶 >>000
「天秤座の星使い」
prologue >>06
character >>07
—episode—
1 >>08 2 >>09
お客様
- Re: 星使いと天の川 【inzmGO】 ( No.7 )
- 日時: 2012/06/10 20:54
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
originalcharacter
如月 結 —Kisaragi musubu—
黒色の髪に、青い目の少女。年は十四。
無口で冷静。
フィフスセクターの一員。
月城 氷歌 —Tsukisiro hyoka—
クリーム色の髪に黒い目の女。年は二十四。
いつもニコニコしているが、冷静。
医者。日本で三本の指に入る天才医師。だが、それは表向き。本来は超能力者として特殊機関に勤務中。
随時更新
- Re: 星使いと天の川 【inzmGO】 ( No.8 )
- 日時: 2012/06/07 18:12
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
「天秤座の星使い」
episode 1
「……全く、何をやってるんだか」
雷門中学校、屋上。そこでは一人の少女が吹く風に髪を揺らしながらグラウンドを眺めていた。
冬の寒さはとうに消え去った、春の朝。肌寒さもなくなって、四季で一番快適ともいえそうな時期の今日は、雷門中学校の入学式だ。しかし、少女は新入生ではない。二年生だ。クラス替えももう済んでいるため、楽しい期待も、もう皆無だ。否、少し違う。ごく微量、彼女は楽しみにしていることがある。今日は行ってくる新入生の一人、そして彼女の顔見知りの少年のことである。
そして、今少女の視界にはその少年がおさまっている。無論、少年が屋上にいるわけではない。少年がいるのは少女が見ているグラウンドだ。
* * *
ドス、とか、バキ、とかお世辞にも聞きたいとは思わない音が、サッカー部のグラウンドに響いていた。
その音を奏でているのは、雷門中していの学ランではなく、紫色の学ランを着た少年、剣城京介であった。
圧倒的な力の前にひれ伏していくのは、もちろん、雷門中サッカー部のセカンドチームである。
「……セカンドはこんなもんか」
剣城はそう呟き、徐にサッカーボールを腿に乗せる。随分と手なれた動きのそれ。剣城がどれだけサッカーの実力を持っているのかが一目で分かる。
「ちょっと君!何してるの!」
唐突に辺りに響いた、女の声。その声の先を見れば、藍色の短めの髪を揺らしながら走ってくる、教師と、その後ろについてきている新入生らしき少年がいた。
グラウンドに入って来た女は、そのまま部員に駆け寄った。少年はずっとこちらを凝視し続けている。
その間にも、女は心配そうに部員に声をかけていた。
「喧嘩は駄目よ!!」
話を聞いていれば、その教師は、どうやらサッカー部の顧問らしい。これで話がつけられるな、と剣城は女に向き直った。切れ長の鋭い目が、女とその隣で呆然としている少年を捕える。
どうやら、こいついらは勘違いをしているらしい、と剣城は心中で嘲笑う。
「俺、喧嘩なんかしたっけ?」
自慢げなその声に反応したのは、セカンドチームのキャプテンだった。
「こいつは、一度も手なんか出してません。サッカーボール一つで、俺たちを……」
悔しげに、苦虫を噛み潰したような顔をしてところを見ると、それが脅迫されていっている言葉ではないことが明白だ。
その言葉に驚愕し、口を覆う教師を、剣城はまた嘲笑うように見る。しかし、そのまなざしはひどく鋭い。
「どうしてこんなことを!」
「命令だから、だ」
そう間髪いれずに返ってきた返事に、音無春奈と松風天馬は首を傾げた。一体誰の命令だ、と言わんばかりに。
「まあ、兎に角、今日限りでサッカー部は廃部だ」
「廃部!?」
始めて口を開いた天馬は、ひどく驚いた顔をしていた。先ほどのハルナよりも、もっと。
「なんで急にそんな!」
「さあ、あっちの決定は俺にはよくわかんねえ。ただ、一つだけ分かることは……」
「サッカーなんてくだらないものは、必要ない」
断言するように言った剣城が蹴り上げたボールは、見事な放物線を描き、近くにあった網目のごみ箱に収まった。
春奈と天馬が呆然とする中、剣城はある視線を感じて振り返る。
面白そうな、品定めでもするような視線を投げかけていたその人は、屋上にいた如月結だった。
- Re: 星使いと天の川 【inzmGO】 ( No.9 )
- 日時: 2012/06/12 20:33
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
「天秤座の星使い」
episode 2
サッカー部のグラウンド。そこでは剣城と松風が睨み合いに似た眼差しを交差させていた。
そして、剣城が足元に置かれていたボールに触れ、リフティングをする。覚悟を決めたように、松風が、強く地を蹴って剣城へ突進を始めた。しかし、フェイントの一つもないそれはいとも容易く剣城にかわされる。
おっと、なんて間抜けな声をもらしながらも、何とか体勢を立て直した松風が、振り返ってまた剣城に向かっていく。ボールを取ろうと、突き進んでいく。その様は、ひどく滑稽だった。
随分と面倒なことになっているな。
相も変わらず、屋上でグラウンドを眺める結は、スッと目を細めた。どちらかと言えば、苛立ったような、そんな視線。それは今、グラウンドで剣城と一対一でサッカーをしている松風天馬に向けられたものである。
状況は、剣城が松風を圧倒しているのだが、如何せん苛立ちが拭えない。心の臓に、ひどい蟠りが出来たような、そんな感覚。
胸糞悪い、という表現が正しいのだろうか。それすら分からなかった。
「もっと襤褸雑巾の様にしてやればいいものを」
ひどく冷たい音声が、結の口から零れる。
それと相対するように、士気を含んだ松風の雄叫びに似た声が、グラウンドから屋上まで、微量ではあるが届いていた。
とはいえ、松風のプレーはめちゃくちゃだ。あまりサッカーをやったことが無いのだろう。それが見るからに分かる動きをしている。剣城はひどくあきれた様子で松風のそれにつき合っていた。
しかし、痺れを切らしたのだろう。剣城がひどく苛立ったような表情を浮かべて強くボールをけった。
強い風を巻き起こしながら、松風の腹部に食い込んだボール。しかし、それですら勢いは止まらず、松風は体ごと後ろに吹き飛ばされた。
それでも諦めずに立ち上がり、向かってくる松風をまた容赦ないシュートが襲う。
この分ならすぐにでも終わるだろう、と蟠りに似た何かを抱えている胸のあたりを強く握る。クシャリと制服にしわが寄るが、気になりはしなかった。
そろそろ終わりだろう。
結がそう思ったとき、剣城が必殺技の構えに入った。
足の甲でキープしたボールを空中に持ち上げ、一度、強く蹴る。しかし、それはあくまでも準備。その一撃で力を叩き込まれたボールは黒とも紫ともとれるオーラを纏う。
「“デス、……ソード”ッ!!!」
そして、足を振り下ろすようにして、ボールが強く蹴りだされた。
そのボールはオーラと風、勢いを持って突き進む。
と、その時。
「やると決めたら、絶対やるんだぁあァあぁアァぁッ!!!!」
聞こえたそれは明らかに普通ではない声だった。しかし、結にとっては聞きなじみのある、雄叫び。
いつもそれを聞くのは、サッカーの試合の場であったり、ある練習場であったり。なんにせよ、こんな場所で、こんな滑稽なプレーの中で聞こえるはずのない声だ。が、何より重要なのは、その声の主が明らかに剣城ではないこと、だ。
「何で、あいつが……?」
結が視線を向けていた相手は松風天馬に他ならなかった。そして、そんな彼の背後には蠢く陽炎のような、影のようなオーラが揺らめいていた。
気がつけば、ボールは松風の足元に転がっていた。
しかし、止めたこと一番驚き、喜んでいるのは松風、本人らしい。
「最悪だな……」
グラウンドに強い魔ざしを向けていた結は、はあ、と溜息を零しながらゆっくりと空を仰ぎ見た。空は、ひどくどんよりしている。
「嫌な予感がする……。流れに逆らう奴が出てきそうだ」
結がそう言ったとき、ポケットにしまっていた携帯が、メールの到着を伝える振動を発した。ポケットから出された青色の、ストラップの一つも付いていない、簡素なスマートフォンのメールフォルダを確認する。
受信されていたメールが一通。題名はなし。送信元には、Fの一文字。そう言う設定らしい。
メールの内容は
あとはKに一任した。おまえは通常通りに。
報告は、即刻行え。
F
という簡素なものだった。
ローマ字は、人の名前だったりするのだろう。
「アイ・サー」
小さく呟かれたその了承の言葉。そして、結は手慣れた手つきでスマートフォンを操作し、報告を打ち始めた。
了解
IRを確認。処分はTs、K次第。
指令通り、通常時の監視体制に入ります。
Mw
それをこれまた手慣れた手つきで送信し、ポケットに仕舞う。
最後にちらりとグラウンドを一瞥した結。そして、グラウンドの様子を確認して、フッと片頬を上げる。頬笑みではなく、嘲笑ったその表情。
しかし、振り返った時には、その表情は消え去り、真面目な女子中学生に変わっていた。スマートフォンを入れていたのとは違うポケットに、徐に手を入れ、それが出てきたときその手に握られていたのは、青い縁の眼鏡。それをスッとかけ、屋上の入り口に向かう。
入り口をくぐり、階段を下りていくその姿に、先ほどのあの冷酷な雰囲気の欠片も残ってはいなかった。
- Re: 星使いと天の川 【inzmGO】 ( No.10 )
- 日時: 2012/06/10 21:58
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
character
如月 結 Kisaragi Musubu
女 14歳 雷門中二年生 フィフスセクター所属 監視員
黒髪、青目の少女。髪の長さは肩につく程度。目は悪くないのだが、青い眼鏡を着用。本人曰く、眼鏡をかけて本を読んでいると大半人は話しかけてこないから付けている。
無口で冷静沈着。頭脳明晰だが、運動は平均的らしい。(本人曰く)
人前では、大人しい眼鏡をかけた読書好きの頭のいい少女を演じているが、本当の性格はねじ曲がっている。人の好き嫌いが激しい。嫌いな人にはあからさまにそういう態度をとるが、人前で大人しいキャラを演じているときは誰にでもニコニコ話す。
気に入ったやつと話すときは、ちょっと楽しそうで饒舌になる。
でも気に入る奴が少ないから、実際にそう言うふうに話をすることはめったにない。
気配を消すのが得意。というか、元々、影は薄め。存在感が無く、神出鬼没。気付いたら後ろにいたりする。
文芸部に所属しているが、あまり活動のない部活なので、大半はフィフスセクターから命じられた仕事である、雷門中サッカー部ファーストチームの監視をしている。
いつも同じ場所にいると面白くないらしく、屋上だったりグラウンドのすぐそこだったり、いろんな場所にいる。最近は暖房、冷房を完備している図書室がお気に入り。文芸部の活動場所でもあるので、毎日来ても問題ないので楽らしい。ただ、影が薄いため、あとから来た生徒にびっくりされたりしている。ここ最近、図書室に幽霊が出ると言われているが、それは彼女。本人は気にしていない。
剣城 京介 Tsurugi kyosuke
男 13歳 雷門中一年生 フィフスセクター所属 シード
深い青の髪、橙の目の少年。
冷静で、天性のサッカーセンスを持っており、はっきりとしたものいいをする。雷門中には、フィフスセクターの命令により入学。された命令は、雷門中サッカー部の破壊。
服装や態度は悪いが、根はまじめで優しい。冷静に物事を見ることができる。結は、剣城のそう言うところを気にいると同時に認めている。
フィフスセクターに育成されたシードであり化身使い。
随時更新
- Re: 星使いと天の川 【inzmGO】 ( No.11 )
- 日時: 2012/06/17 10:35
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
「天秤座の星使い」
episode 3
入学式、そして雷門中サッカー部が剣城に襲撃されてから三日。
学校は新入生歓迎ムード一色だ。掲示板には様々な部活の張り紙。朝や放課後はビラ配り。随分と熱心なことだ、と結は笑う。
結のいる文芸部は、あまり部活に熱心ではない奴が来るわけでもなく、かといって超がつきそうなほど熱心な奴が来るわけでもなく。ただ本好きが集まる、そんな部活だから勧誘に力を入れたりはしない。本が好きなら来ればいい、そんな感じだ。実際、結も本が好きだから入った、という理由もないことはないのだし。
そう思っていると、下から大きな声が聞こえてきた。
午前7時20分。部活の朝練が無い生徒、そして新入生がちらほら登校を始める時間だ。校門の前から聞こえるその声は、聞いたところ柔道部と野球部だろう。第一、結のいる屋上まで聞こえる声が貼りだせる部活なんて限られているわけだし。
その時、
ガチャリ、と屋上への入り口の開いた音がした。
屋上にやってきた人影は、入り口のすぐそこに座った。影に背を預け、コンビニのレジ袋からパンを取り出し、それを食べながら、その人影は下の方を見ているらしい。
「買い食いは、確か禁止じゃなかったか?」
ビクッと、結が声を発した瞬間その人影が動いた。そしてギギギッと音が出そうな動きで結を視界にとらえ、誰なのかを把握した途端、屋上に来た人物であった剣城はほっとした表情を見せた。
「いたんですか」
「さっきから、な」
「相も変わらず気配が薄いですね。いたなら言ってください」
心臓に悪いでしょう、と後付けされた言葉に、結は、やっぱりこいつはおもろいな、と内心で笑った。
一方剣城は、結を気にするのを止めたらしく、ぼんやりと下にあるサッカーグラウンドを眺めている。
「雷門中への処分は保留とし、監視を今まで通り持続せよ、だったな」
「……はい」
剣城は怪訝そうな顔をしながらそう返した。
彼が雷門中のファーストチームと試合をした時、キャプテンである神童拓人が化身を出したのである。その結果、雷門中は厳重監視という処分なのである。
「不服そうだな」
「……むかつくんですよ。あいつら」
「特に松風天馬は、だろ?」
むっとした表情の剣城。彼は随分とあいつが嫌いらしい、と再確認した。松風天馬。IR。結の中でも、松風はいい存在ではない。さっさと処分してくれないか、と考える程度には。
IR。それは、フィフスセクターに対して危険かつ邪魔な存在につけられる、Irregularの略だ。結や剣城にとってこの呼び名を使う存在が現れるのは全く持って嬉しいことではない。妙なことをやって、問題でも起こしてくれたらこちらが面倒だからだ。
「あいつは十分に注意すべき奴だぞ。ああいう馬鹿は、何をしでかすか分からん。それに、あいつはまだフィフスセクターが今の少年サッカー界においてそれだけの力を持っているのか知らないからな」
「フィフスセクターのやり方を知ったら、明らかに反乱しそうですからね」
「全くだ。そうなったらおまえが止めろよ?」
「分かっています」
剣城はそう言ってパンを頬張る。その動きは、今の話に合っていないことこの上ないが、剣城の表情はひどく覚悟が感じられるものだったから、よしとしよう。
結はそう言いながら下を見る。
そこに広がっているのは、サッカーグラウンド。そしてそこでは、サッカー部の朝練がいつもの如く行われていた。
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