二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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NOeSIS〜嘘をついた記憶の物語〜
日時: 2012/07/01 16:30
名前: ノエシス ◆CyD20Q0JEI (ID: Y8BZzrzX)
参照: http://cutlass.qee.jp/noesis/


はじまして、ノエシスといいます。

今回はこんなへっぽこに興味を示してもらってありがとうございます。

この小説はフリーゲーム NOeSIS〜嘘を吐いた記憶の物語〜 というゲームを自己解釈と妄想によって作られた、世にも恐ろしい物語です。

結構有名なフリーゲームですので、知ってる方も多いかな?

続編の羽化編が待ち切れずに、ならば自己解釈によって新たなNOeSISの世界を作り出してしまおう、とか思ったたわけです。

まだ多くの謎が残るので、あくまで二次創作として楽しんでもらえればいいと、思います。ファンですから、悪い様にはしません!w

ちなみに主人公はゲーム主人公である時雨君とは違います。

オリジナルの主人公で同じ事件を見ていきたいと思います。

作中のキャラはほとんどが出ます。

んではー!どうぞー!


あ、あとURLにNOeSISのHP乗っけときましたので、興味ある方は、どうぞ!

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Re: NOeSIS〜嘘をついた記憶の物語〜 ( No.1 )
日時: 2012/07/01 16:51
名前: ノエシス ◆CyD20Q0JEI (ID: Y8BZzrzX)
参照: http://cutlass.qee.jp/noesis/



               序章




 ——季節は5月。新しい風が新たなる場所に馴染み始めた頃。

 ——それは、彼の学校で起きた、惨たらしい事件。

 ——毎週、一週間の間隔を開けて、一人ずつ死んでゆく。

 ——自殺と噂されるものの、真相は誰も分からない。

 ——もう、4人目だった。惨たらしい死に方をしたのは。

 ——警察も動かない。大人はみんな関わろうとしない。

 ——だから、と少年は心に決めた。

 ——大人は頼りにならない。だから、僕が真相を見つけ出す。

 ——この事件にかかわれば、死ぬという。

 ——でも少年には関係なかった。

 ——この事件のせいで、大切な親友を亡くした彼には。

Re: NOeSIS〜嘘をついた記憶の物語〜 ( No.2 )
日時: 2012/07/03 14:41
名前: ノエシス ◆CyD20Q0JEI (ID: Y8BZzrzX)
参照: http://cutlass.qee.jp/noesis/



最初は、外側から調べていった。
インターネット。今の時代、これを使えば大体何でも分かる。
自分の学校の人間のブログを探し出すくらい朝飯前だった。
内部から探れば噂に関わった人間は死ぬという噂もあり、それを真に受けた幼馴染が邪魔をしたせいで調査は円滑には進まない。
親友を「4人目」の犠牲者で無くした精神的ショックは、彼のほうが大きかった。……と彼女は感じたらしい。必死になって止めた。
彼女だって辛かった。一番の親友を、大切な友達を真相不明の事件で無くしてしまえば正気を保つのだって一苦労したものだ。
彼はというと、早々に喪失感から立ち直った。彼の瞳の奥に、一つの感情を芽生えさせて。
——復讐してやる。
あいつが自殺なんてするわけはない。それは、親友である自分が証明している。そして何より。
表向きが表向きなだけに、マスコミや警察が騒ぐかと思ったら、騒がない。
全くの無反応だったのが気がかりだった。
普通、ここまで連続して同じことが起これば反応くらいするものかと思ったのだが……予想を嫌な形での裏切り。それが彼の行動を加速させた。
——何か、裏がある。
彼がそう感じて裏で動き出し、学校に行かなくなって早2週間。
両親は何も言わなかった。親友を失って尚、学校に行けなどと言うのはあまりにも酷というもの。
だから彼が狂ったように文献やら心理学やら超科学何やらの資料を集め出しても何も言わなかった。
口うるさかったのは、幼馴染だけだ。この2週間、何とか彼の部屋に侵入しようと思案したようだったが彼に彼女が勝てるはずも無く徒労に終わった。
そして、彼は2週間もかけて、寝る間も惜しんで調査して分かった結果は——

自殺したと思われるのは、全員が女子バスケの人間。
死ぬ直前あたりから、全員が何かに怯えるように挙動不審になってること。
死ぬ時間帯が、放課後から夜にかけての時間帯であること。
そして、死に方が全員違うこと。

以上。
正直、これだけ分かれば上等だった。特に、死んでいる人間が、彼女を含めて全員女バスの人間だということが分かれば、動ける。
あと残っている女バスの人間は、3人。合計7人しかいない女バスのうち、半分以上が死んでいる。生きている人間たちにぶつかれば、何かが分かる。
少年は、2週間ぶりに、制服の袖に腕を通した。
正直、自分でもどうかしてると思う。
警察でも教師たちも分からないことが、自分に分かるわけもない。
でも。
「警察だから分からないこと」が、生徒なら分かるかもしれない。
だから、今日。僕は、俺は、学校に向かう。
学校に行かなかった間に、2人死んだ。彼の親友は死んだ二人目だった。その週を含まれば、2週間以上学校に登校していない。
今は4人死んでいる。そして今週に入ってから、まだ誰も死んでいない。
今週、もしかしたらまた女バスの誰かが死ぬ。
確信に近い予感が彼の中にあった。
だから、今週から行くことに決めた。
夜まで学校で粘る。そして自分の手で、この負の連鎖を止める。
裏で暗躍する「何か」をつきとめて、そして殺すのだ。
だって。

「そのためのチカラはあるのだから」

Re: NOeSIS〜嘘をついた記憶の物語〜 ( No.3 )
日時: 2012/07/03 15:10
名前: ノエシス ◆CyD20Q0JEI (ID: Y8BZzrzX)
参照: http://cutlass.qee.jp/noesis/




超能力。そんなのものが当たり前の世界に、彼——瑞葵(みずき)は生きている。
何せ、自分もその超能力だか病気だか分からない物と、もう10年以上付き合いがあるのだ。
性格の切り替え。それが彼の持つ病気だか超能力だかだ。
二重人格とは違い、瑞葵という人格をそのままに基盤に、口調やら一人称やらが完全に切り替わる、一種のキャラ変更。
それを知っている人間は中二病じゃないかと言ったが、あまりにも完璧な切り代わりに口をあんぐりと開けたまま黙った。意識して出来るレベルではないほどの出来栄えだったから。
今では普段を穏やかな「瑞葵」で日常を過ごしている。切り替わりは意識してするか、感情が高ぶると自動的に切り替わる。
両親には言っていない。知らせれば病院に間違いなく連れて行かれるし、今はもう「機嫌が悪かったりすると性格が変わる」という認識が当たり前だから、言っても信じてもらえないと彼は思う。
「……おはよう、母さん。父さん」
彼は制服を着て、鞄を持つと階段を降りて一階の居間に向かった。
広さ10畳のフローリング。つけっぱなしのテレビ、窓から入る日光、その日光に照らされた大きな机、机に置かれたカップから立ち上るコーヒーの香ばしい薫り。何時もの風景だった。
「あら、瑞葵。もう大丈夫なの……?」
母がちょっこりキッチンの方から顔をのぞかせた。
心配そうな顔で聞いてきたのでクスクス笑いながら瑞葵は答えた。
「大丈夫だよ。もう、僕は落ち込んでない。それより、するべきことが出来ちゃったから、学校行かないと」
「……そう」
母は、ご飯出来てるわよとだけ言って引っ込んだ。本当にいい母を持ったと、瑞葵はそう思った。
「瑞葵、ちょっと座りなさい」
そう言ったのは父だった。椅子に座り新聞を広げ、記事を読んでいたようだった。コーヒーには手を付けずに、瑞葵を促した。
「……何、父さん?」
対面するように席につくと、手元にあったコーヒーを飲んだ。母が先に入れておいてくれたようだ。苦い味が口の中に広がる。
「お前が何をしようとしているかは、聞かない。だが、学校の一連の事件に関与するつもりなのかだけは答えろ」
父は新聞で顔を塞いだままそう問う。やはり、保護者は気にしてるのだ。学校での一連の自殺事件を。
「……そのつもり。それに僕は、優穂の一件を自殺だなんて思っていない。絶対、裏がある。だから、僕は僕の手で、真実を探る」
「……そうか」
父はそれっきり口を閉ざした。この2週間で瑞葵が何をしようとしてるか、分かっていたようだった。

——優穂。どうして死んだの?何があったの?

優穂。それが二人目の犠牲者の名前。彼の無二の大親友。
性別を超えた友情が、そこには確かに存在した。
もしかしたら、恋に発展していたかもしれない、そんな関係。
少なくても彼にとっては、優穂が大切な存在だったし、もしかしたら好きだったのかもしれない。それぐらい大切な存在だった。
様子がおかしくなったのは、自殺する少し前くらいだった。
常に後ろを気にするようになって。授業中も怯えたように周りを窺って。
誰かから逃げるように毎日を過ごしていた、と近くで見ていた瑞葵は思った。相談もしてくれなかった優穂。だから瑞葵もそこまで気にはしなかった。
唐突な死の知らせが来たのは、それから数日後の話だった。自殺だと漠然に先生に伝えられた。
力になれたかもしれない、という傲慢なことを言うつもりはない。
そんな力は瑞葵にはないし、出来たとしても結果として彼女の死を防げたわけはないのだから。
だから、せめて。
この事件を解き明かして、彼女の前で報告しようと決めた。
黒幕がいるのであれば、そいつに復讐をすると決めた。
今日から一週間。今週中には決着がつかないと思う。
連鎖を止める。黒幕がいれば復讐する。そして優穂の弔いをする。
そのためには、まずは朝ごはんを食べないといけない。
というわけで、瑞葵は立ち上がってキッチンに向かって行った。

Re: NOeSIS〜嘘をついた記憶の物語〜 ( No.4 )
日時: 2012/07/03 16:10
名前: ノエシス ◆CyD20Q0JEI (ID: Y8BZzrzX)
参照: http://cutlass.qee.jp/noesis/



登校時、幼馴染から逃げるようにしながら彼は学校に向かった。
(美雪の野郎っ……何で今日に限って迎えにきやがった……)
内心文句を言う裏の「瑞葵」。
これが彼の裏の人格である。
裏と言うほどでもないが、口が悪い、人に対して誰でも上等に敬語を使わないなど、不遜な部分が強い。表の穏やかな「瑞葵」はその逆のような性格をしている。
それはいいとして。今は彼女から逃げながら学校での行動を念入りに計画していた。どうでもいい部分で瑞葵は表裏で同じである。
(えっと確か……まだ生きてる女バスの連中は……隣のクラスのこよりとかいう奴と、女バスの部長……遥ってやつか。もう一人は知らねえ)
誰も知らない人間ばかりだが、興味本位で調査されると思われると絶対に口を開かない。
だから多少強引な方法で聞くつもりだった。
(こよりってやつは、時雨とかいう幼馴染がいるはず。そいつを使って揺さぶる)
彼の経験上、幼馴染と言うのは片方を揺さぶられると弱いものだ。彼の場合もそう。自分が揺さぶられる側だが。
悪人じみた方法をとってでも、彼は調べるつもりだったのだ。この事件を——




そもそもの発端は5月の始めだった。
一週目の水曜日の夜、学校近辺の道路で死体が発見された。
自らの首を果物ナイフで何回も刺した、自殺死体。血痕は道路沿いに垂れるように続いていたという。
これから推察するに、自分の喉をナイフで何回も突き刺して移動してから死亡したようだ。
つまり——
逃げていたのだ——何かから。
二人目——つまり優穂のことだ。
優穂は、次の週の水曜日の夜、帰りが遅かったと瑞葵は覚えている。
心配になって、それでもどうしようもなくて。次の日になったら、自殺だと——担任に告げられたのだ。
後で調べた結果、優穂は一人目の現場にほど近い国道で見つかったという。
歩道橋から国道に飛び降りようとして、高さが足りずに失敗。
右足を骨折した状態でノロノロ車道を歩いている所を近所の住人が目撃しているという。
優穂も何かから逃げるように移動して——そのまま道路わきに突っ込んできた大型ダンプにひき殺された。運転手は彼女を避け切れなかったと説明しているという。
3人目は、次の水曜日に、学校付近の水路で、水死体で発見された。
警察の結果、死後何日も経過している為順番的には彼女が最初の犠牲者だったようだ。
物証が足りなく、自殺と判断されたが、のど元には掻き毟った跡があったという。
ここまで来て分かっていることは、毎週水曜日に誰か死ぬこと。死ぬ直前に自殺者たちは死を怯える様な行動をとっていたこと。
(優穂……死ぬ前に、お前は何を見たんだ……?)
一番今気になるのは、そこだった。何故その場から逃げるように優穂は移動したんだろう。
彼女は、一体死ぬ前に何を見たというのだろうか……?





「……で、お前誰だっけ?」
「……隣のクラスの瑞葵っていうんだ、時雨君」
「な、何で俺の名前知って……」
「ごめんね、調べさせてもらったよ。というか、隣のクラスだから知ってるよ」
その日の昼休み。瑞葵は隣のクラスの時雨と言う少年を昼下がりの屋上に呼び出した。ぼけっとしている顔つきはどこか女の子のようだった。
「うん。用事ってのはね、ちょっと君をぶっ殺そうと思うんだ」
「はぁ!?」
当然、叫び返された。突然知らない奴に声をかけられ、唐突に喧嘩を売られればこういう反応が当たり前だ。
時雨はとんでもないという顔をしていた。
「な、何で出会いがしらに喧嘩吹っ掛けられるんだよ!?」
「君がこよりさんという人と知り合いだから、かな」
にっこり笑う瑞葵に、時雨の顔がこわばった。
「……こよりが、何だって?」
「だから、君がこよりさんの幼馴染で、関係が深いことは、調べが付いている。だから、ここでぶっ殺す」
「待て待て、話が見えないぞ!?」
「うん、見えなくていいよ。理不尽で結構。だから——殺してやるよ、時雨」
無邪気な表瑞葵のニコニコ笑顔から一変——邪悪な笑みを浮かべた裏の瑞葵が表に出る。
それに時雨は戸惑ったように一歩下がった。
「な、な……」
「いやぁ、ここまですんなりついてくるって、お前馬鹿だろ。まぁ、そっちのほうがぶち殺しやすいんでな。感謝してやるよ」
肩をすくめ、両手をポキポキ鳴らす瑞葵。ちなみに滅法彼は喧嘩が強い。殺気だった雰囲気で一歩踏み出した。
青ざめた顔で時雨が一歩、また一歩と下がる。
「ちょうど今さぁ、どんどん人死んでんだろ?例の噂。知ってんじゃねえのか、おい時雨くんよぉ」
ヤクザの様なドスの聞いた声で彼を威圧しながら彼は距離を詰めていく。
「俺さ、ちょっとそれ調べてんだよ。お前も何か知ってんなら吐けや。そしたら見逃してやるよ」
「お、俺は何も知らねえよ!」
時雨は叫ぶように言い返した。それは予想済みの反論。瑞葵はため息をついた。
「あ、そ。じゃあもう用済みだわ。死ね」
ぐっと、腰を低くし、右こぶしを握る。
「——えっ」
「じゃあな?」
時雨が呆けるときには、勢いをつけた瑞葵の拳が時雨の鳩尾にのめり込んでいた。

Re: NOeSIS〜嘘をついた記憶の物語〜 ( No.5 )
日時: 2012/07/04 14:42
名前: ノエシス ◆CyD20Q0JEI (ID: Y8BZzrzX)
参照: http://cutlass.qee.jp/noesis/



「これで、よし……」
瑞葵は、前のめりに力なく倒れた時雨を支えながら一人呟いた。
(前に美雪が言ってた、男子からの嫌がらせの犯人にこいつを仕立て上げて、それでこよりとかいう奴の動きを止める。聞いた話だと、彼女は常時こいつと一緒にいるくらい仲がいいという。なら、身内が嫌がらせしてた、しかも女子になんて聞いたら間違いなく激高するはず。そうすれば監視でも何でもして、時間帯に自宅なりこいつの家になりいるはずだ。それに、俺が殴りかかった建前もできる。これで、彼女の動きを止めつつ、残り二人の動きを探ればいい。どっちかが死ねば、必然的にもう一人が何か関与してるはず)
冷静に、自分の幼馴染の苦情すら利用する。瑞葵は少し胸が痛かった。
それは、時雨に対するものではない。美雪に対するものだ。
(美雪を、騙すのか……優穂のために。でも、俺は迷えない)
優穂への歪んだ友情——それが彼を非道の道に叩き落としていた。
静かに吹く風に、瑞葵はもう一度誓う。家に引きこもってる時、何度もした誓い。
(絶対、真実を暴いて、お前の前で全部を説明するからな、優穂)
酷く寂しく、痛みを伴う、誓いだった。





「おかえりみーくん。どしたの、そんな汗びっしょりで?」
「ううん、何でもない。それより、嬉しい報告があるよ、美雪ちゃん」
教室に帰る頃には、通常の表の瑞葵に戻り、静かに席を引いた。
隣の席から、一人の女子が話しかけてきた。
美雪。瑞葵の幼馴染で、今回の彼の調査を阻害する存在。
脱色した様な髪の毛に、まだ子供っぽさの抜けない女の子。
髪型をツーテールにしてることと童顔が相まってすごく年下っぽく見える。
死んだ優穂とも、女バスの人間とも交友のある顔の広い女の子だ。
当然、こよりのことも知っていると他の人間から聞いた。
「何々ー?」
両ひじを机について手の上に顎を乗っける仕草も可愛らしい。
「この間、言ってたでしょ。例の嫌がらせ」
「あ、うん……」
「犯人、見つけたからぶっ殺してきた」
「ええっ?」
しょ気たような顔をしていたが、瑞葵の発言を聞いて目をぱちくりさせた。
「隣のクラスの時雨君っていうらしいよ彼。問い詰めてもしらばっくれてたし、しかも美雪ちゃんと親しいこよりさんの知り合いだって聞いて、ついムカついて殴ってきた」
「……わぁ〜。久々の登校したと思ったら、突然暴力沙汰?大丈夫なの?」
「平気平気。こよりさんが怒る位でしょ」
先ほどから名前を出しているが、瑞葵はこよりと面識はない。美雪から話を聞いてるだけだ。だが、こよりも美雪の話で瑞葵の認識はあるはず。多分、彼女は今日の放課後くらいには行動を起こすだろう。
そこまで計算したうえで、美雪に瑞葵は嘘を吐いた。
「だからもう怖くないよ美雪ちゃん。また何かあったら言ってね?」
「……うん」
笑顔で嘘をついた。内心自分は最低の人間だと自嘲しても、それでも瑞葵はやめるつもりはなかった。美雪の安心しきった、信頼しきった顔を向けてくるのがとても眩しくて……辛かった。


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