二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ダンタリアンの書架−迷宮の書架−
- 日時: 2012/10/25 16:04
- 名前: まろにぃ (ID: K9lkoYz9)
どうも!
まろにぃです^^
今回ダンタリアンの書架を書かせていただくのは
二回目になります。
というのも一作目はどこかに消えたので・・・;
それでは皆様、どうかよろしくお願いいたします!
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- Re: ダンタリアンの書架−迷宮の書架− ( No.1 )
- 日時: 2012/10/25 16:32
- 名前: まろにぃ (ID: K9lkoYz9)
第一話 雷裁の書
激しく雨が地を打ちつけている。
町のはずれの一角。
昔は使われていたであろう建物の廃墟の外に二人の人影があった。
一人は40代半ばごろと思われる長身の男、もう一人は30前後くらいの男だ。
「なぜ・・・こんなところへ呼んだんです?」
若い方の男が問う。
するともう一人の男はいびつに口の端を上へ曲げる。
「・・・は・・・んだ」
雨はさらに強くなり男の言葉をかき消した。
「え・・・?」
「お前は選ばれたんだ」
「何を・・・!?」
一瞬の出来事であった。突如、男の身体に青い閃光が走る。
その閃光は若い男の頭からつま先までを焼き貫いた。
醜い姿となった若者は膝からがくりと地面へ倒れた。
「くく・・・」
若者の屍を見下ろしていた男の口から声が漏れる。
なおも雨は激しさを増している。
「お前は私に選ばれたんだ」
男は後ろを振り向くことなく立ち去った。
男の脇には一冊の本が抱えられていた。
- Re: ダンタリアンの書架−迷宮の書架− ( No.2 )
- 日時: 2012/10/26 16:49
- 名前: まろにぃ (ID: K9lkoYz9)
1
王都から少し離れた郊外にある石造りの町屋敷。
貴族の住居の割にはそれほど豪邸ではない。
そして一つ言えるのはこの屋敷がとても古い、ということだ。
ここはかつてビブリオマニアとして知られた奇人、故ウェズリー・ディスワード子爵の屋敷である。
その中の一角の部屋。一般でリビングに当たるのだろうか。
そこにはたくさんの書架の列が並んでおり、その一つ一つにびっしりと隙間なく数えきれないほど本が並べられていた。
部屋の真ん中の床一面には本が何冊も所狭しと積み上げられており、その本たちは一人の少女を囲うようにして配置されている。
少女は誰が見ても息を呑むほど美しい顔立ちをしていた。
歳はせいぜい十二か十三といったところ。
しかしその姿はとても異様であった。
まずその瞳は夜の闇のような漆黒で、腰まで届くつやつやとした髪も同様に漆黒。東洋系の血が濃いのか肌は蜂蜜を落として混ぜたミルクのように美しい。
そして同じく闇のような漆黒のドレスをフリルやレースが幾重にも飾り立てていて、その上には頑丈そうな鉄の装甲が覆っていた。
そして何よりも目を引くものがあった。
彼女の胸元には鈍い銀色の輝きを放っている錠前が。その錠前は何かを封印するように鎖で縛られていた。
少女は小柄な容姿に合わない大きな本を膝に広げ読んでいた。
パラリ、パラリと頁がめくられていくにつれて彼女の表情はなぜか険しくなっていく。やがて——。
「おそい・・・」
ぽそりと一言、呟いた。小鳥のさえずりのように美しい声だが、その声には怒りの感情がこもっていた。
その直後、玄関のほうからがちゃがちゃという金属音が響いた。
それを待っていたかのように少女が叫んだ。
「遅いのです、ヒューイ!」
- Re: ダンタリアンの書架−迷宮の書架− ( No.3 )
- 日時: 2012/10/26 00:01
- 名前: ぴーち ◆gZYpD2nS.I (ID: cZfgr/oz)
こんばんは(^^)/
SKETDANCEという二次小説を書いています、ぴーちです。
ダンタリアンはアニメしか見ていなかったのですが、これを読んでいたら、一気に引き込まれました!
次回も楽しみにしています。
執筆頑張ってください!
- Re: ダンタリアンの書架−迷宮の書架− ( No.4 )
- 日時: 2012/10/26 15:20
- 名前: まろにぃ (ID: K9lkoYz9)
>ぴーち様
初コメ嬉しいです。
スケットダンスですかー!
いいですね!私も結構好きです^^
最高の褒め言葉ですよ。
すごく嬉しいです!
頑張りますのでよろしくお願いします!
- Re: ダンタリアンの書架−迷宮の書架− ( No.5 )
- 日時: 2012/10/26 16:54
- 名前: まろにぃ (ID: K9lkoYz9)
「ごめんごめん。待たせたかい?ダリアン」
そう言ったのは両手に紙袋を提げたヒューイと呼ばれた青年だ。
歳は20歳前後。育ちのよい、生真面目そうな顔つきをしている。といっても粗暴な印象はなく、身のこなしのところどころに厳しい訓練を受けた兵士ような隙のない動きがあった。
そしてなぜか右手にだけ革の手袋を嵌めている。
青年——ヒューイは革製のフロックコートを近くにある長椅子にかけると手に持っている紙袋を開いた。
「ヒューイ!まったくお前はもっと早く・・・むっ」
黒衣の少女、ダリアンの罵りを止めたのはヒューイが袋の中から出した揚げパンだった。シナモンの甘い香りがダリアンを誘惑したのだ。
「君が買ってこいって言ったんだろう?ほら」
砂糖をたくさんまぶしたつやつやの揚げパンをダリアンに手渡す。
「紅茶にはジャムを落とすかい?」
「もちろんなのです。ふん・・・お前のわりには気がきくのです」
「素直に喜べないな・・・」
「いいから早く紅茶を淹れてこいなのです、このノロマ」
「・・・はいはい」
ヒューイはため息をひとつつくとキッチンへ向かった。
ダリアンは揚げパンの最後のひとかけらを名残惜しそうに口へ放り込み、それを食べ終わると何とも幸せそうな表情で紅茶を口に含んだ。
「・・・!!」
しかしまだ数分前に淹れたばかりの紅茶が冷めているはずもなかった。
「あ、熱い・・・」
少女は火傷した舌を少し出すと何事もなかったように平然さを装い再び読書を始めた。目の端には涙を浮かべている。
「ぷっ・・・くく・・・」
それを見ていたヒューイはたまらず吹き出した。
「なっ・・・!」
ダリアンは急に恥ずかしくなったのか磁器のように美しい肌を朱に染めると返す言葉が出てこずにうつむいてしまった。
「ごめんダリアン。そんなつもりじゃなかったんだ」
「黙れゾウリムシ」
「ゾウリムシって・・・」
「もういいのです」
ダリアンは今まで読んでいた本を閉じると今度はすぐ脇にある本を開いた。
「そういえば知ってるかい?」
ヒューイは少し面白そうな表情で黒衣の少女に問いかける。
「何がですか?」
「さっき町へ行ったとき耳にしたんだけど・・・王都から少し北に離れた廃墟で不自然な男の死体が見つかったんだって」
「ふむ。どんな?」
「発見された当時は雨が降っていたらしいんだけどその男性は雷に打たれたような大火傷を負っていたんだ」
少し興味を持ったのか少女は本に栞を挟み閉じる。
「打たれたような?答えは出ているのですゆえに。それのどこが不自然なのですか?」
「その男性は一体何が目的で町から離れた廃墟にいたのか、それに現場にはもう一人別の人物のものと思われる足跡が残されていた」
「それが犯人だとでも言うのですか」
「もし万が一その男が犯人だったとしても・・・たかが人間にはそんなに大きな電圧は流せないよ。人一人を頭から貫くほどの・・・ね」
「でもそれがもし『幻書』の力だったとしたら・・・その可能性は十分あり得るのです」
「どうする?」
「その幻書は・・・早く行くのですよヒューイ!」
「ああ。そうしたほうがよさそうだね」
ヒューイは再び革製のフロックコートに身を包むとダリアンとともに屋敷を後にした。
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