二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【D灰】…空白の歯車…【完結】
日時: 2013/04/13 17:05
名前: なさにえる (ID: HT/LCIMm)

大好きなD灰の二次小説です。
二番煎じな上に完璧な自己満作品に仕上がっております。

ただいま長期休載中……
ホントすいません。。。

◆オリキャラがメインは無理。
◇なさにえるの小説嫌い。
◆荒らし目的。
◇更新が遅いのは我慢出来ない。
◆グロ、流血表現は嫌悪する_____という方はリターン!!!

              ◆・◆・◆・◆・◆・◆

お知らせ:受験終わりました!!!!!
ってわけでようやく更新できそうです。
久しぶりすぎて話の筋を思い出すのにかなりかかりそうですが。

まだこれを読んでくれてる方((いるのか?
これから読もうと思ってくれてる方((こっちこそいるの?
これからもこの小説をよろしくお願いしますm(_ _)m




 †エクソシスト†
ハイネ・ハルシュタット  >>02
クロウ=ネヴィル   >>28
グロリア・カンパネルラ >>138

涙花紅 雪(ねこうさぎ作 >>111
テッサイア・J・ロマーリオ(風作  >>113
黒山 夜(アリス作    >>115
レミシス・クライニー(智那s作  >>174
リンネ(リンネs作     >>182
藍歌(夢樹s作     >>185

 § パスカヴィル §
>>128 ←能力up!!!

 〓ノア〓

†その他†
ジル・ロッド      >>192

              ◆・◆・◆・◆・◆・◆



 序曲 動ク… >>01    裏序曲 蠢ク… >>20

第1章 錆ビタ歯車ハ血デ廻レ >>84
 毒蜘蛛ノ輪舞曲   >>81.>>86
第2章 眠レル仔羊…謳エ狼
  第1夜 >>99  第2夜 >>107
  第3夜 >>119  第4夜 >>125
  第5夜 Side.A >>137 Side.B >>144
  第6夜 >>155  第7夜 >>170
  第8夜 >>179  第9夜 >>192
  第10夜 >>206  第11夜 >>217
  第12夜 >>220  第13夜 >>231
  第14夜 >>239  第15夜 >>252
  第16夜 >>260  第17夜 >>267
  第18夜 >>276  第20夜 >>289
  第21夜 >>296  第21夜 >>298
  第22話 >>301  第23夜 >>303


       第x夜 >>312




              ◆・◆・◆・◆・◆・◆

   § お客様 §
葵様、風様、邪狼様、みちる君様、葉香音様、志筑様、ねこうさぎ様、聖夜様
小毬様、芽留様、智那様、リンネ様、夢樹様、蛍様、道化師様

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Re: 【D灰】…空白の歯車…【7/1up】 ( No.309 )
日時: 2013/03/20 14:00
名前: なさにえる (ID: HT/LCIMm)

あげ

Re: 【D灰】…空白の歯車… ( No.310 )
日時: 2013/04/08 22:44
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

お久しぶりです。
元風です!
もう、わすれてしまっただろうか……
凄い久しぶりになさのHNをみたので上げておきます!
暇があったら、雑談板とかで一緒に話したいなぁ、とか。
無理でしょうね(苦笑
大学生活、頑張って下さい^^
そして、楽しんでください!

Re: 【D灰】…空白の歯車… ( No.311 )
日時: 2013/04/13 13:48
名前: なさにえる (ID: HT/LCIMm)

>>風

風〜!!!
あげてくれてありがとう!!!!
忘れてなんかないよ。もう放置しまくりだけど……
コメントありがとう♪
思い出したようにこっちも覗いてるんで、
遭遇出来たら話したいね^^






この後もいろいろ考えたけど、
やはりこのまま無計画に書き続けると絶対終わらない!!!
というわけで、
無理矢理完結させる事にしました。
いうなれば連載漫画の打ち切りって感じです。
最終回はもう少しお待ちください。

Re: 【D灰】…空白の歯車… ( No.312 )
日時: 2013/04/13 17:04
名前: なさにえる (ID: HT/LCIMm)




   第x夜   








 あれから一週間……


 ファインダーや科学班は暴れ回ったパスカヴィルたちによって壊された教団の普及に追われていた。
 エクソシストは毎度のごとく、医務室のお世話になっている。
 のだが、



「いいの、こんな戦ってて」

 ジルは稽古以上の乱闘を繰り広げるエクソシストの面々を見て冷や汗を流した。

「よくないんじゃないかしら」
 ケロッと言うリナリーに止めようとする意志はまるで感じられない。
「せめて怪我をいたわって止めようよ、リナリー」
「じゃあジルがとめてよ」
「嫌。オレあんな戦闘の真ん中に飛び込みたくない」
「弱虫だね。ジルさんって」
「そういうけどね、リンネちゃん」

 泣き言を言うジルの目の前ではハイネ、アレン、神田、夜、テッサイアが乱取り。というか何でもありの乱闘を繰り広げていた。
 妙に気が立っているハイネは尚更稽古に打ち込む事で何かを吹っ切ろうとしているようで、容赦がない。最初の方は参加していたレミーはすでに投げられてのびてしまった。
 そばで藍歌がうちわで風を送っている。
「レミー、大丈夫ー?」
「だ、だいじょうぶじゃない」
「やっぱ?」

「リナリーは大丈夫なのか?」
「うん、私は足を痛めたぐらいだから。皆に比べたら軽傷」
 包帯を巻いた足を動かしてみせるリナリー。一週間前は腫れも酷かったのだが大部落ち着いているようだ。しかし、何かを思い出したのかリナリーの顔色が冴えない。
「ロシアでなんかあったんだっけ?」
「うん……」
 リナリーの脳裏で一週間前、エジプトに応援に行った際最後に見かけた青年の事を思い出した。一瞬だ。仲間を助けにやって来てすぐに消えてしまったがその最後、リナリーに向けた薄い笑いを浮かべた表情とその手を振る仕草。
「私、彼の事を知ってる。どこかで絶対に会ってる」
 真剣な言葉をつづけるリナリーをジルは何かを考え込みながらも見つめた。
 その空気は不意に降ってきた言葉に破られる事になった。

「あんな戦闘した後でなんでこんな無茶出来るんでしょうね。皆目見当もつきませんよ」
「だよなぁー……て?」
 突然の声にジルが振り向くとクロウが笑みを浮かべて立っていた。
 片手には愛用の紅茶カップをもち目の前の乱闘を物珍しそうに見物している。
「お前こそなにやってんだ。重症患者」
「そうよ、クロウ!医務室は?」
 リナリーが心配そうに叫ぶ。
「あんな怪我人が大勢いて落ち着けない空間で、私の午後の紅茶の時間を楽しめと?」
 ニコッと微笑むクロウにジルは一瞬であきれかえった。
「でも、無茶しちゃ駄目よ。歩くのだってきついんでしょ?」
 リナリーが必死に行った。
 そういわれて改めてジルはクロウのイノセンスのある目にまかれた包帯をみた。
 アンネに無理に引き離されたが、コムイたちの治療と寄生型であるが故の治癒力でどうにか回復してここまでになったのだ。むしろ一週間でこうして立っているだけでも信じられない事なのだ。
 贅沢言わずに休めといいかけたジルの視界にクロウが来てからずっと黙っているリンネの姿がはいってきた。
 両手を握りしめ、微笑んで入るがどうも作り笑いのようでさっきからクロウの方を見る事をさけているようだ。
「リンネちゃん???どうかしたか?」
 ハッとジルの方を見たリンネはいつも通りの笑顔を浮かべた。
「どうかした?」
「い、いや」
 何も言えなかったジル。なにかを察したクロウはリンネの頭をやさしくなでた。
「もう僕は大丈夫ですよ?リンネ」
「な、何いってんの先輩。それは見れば分かるって」
 慌てたように取り繕うリンネにリナリーも首を傾げた。
「リンネ?」
「だから、なんでもないって」
 そんなリンネをクロウはやさしくなでると言葉を繰り返した。
「僕はもう大丈夫です。リンネが責任を感じる必要は全くないです」
「……でも、私のせいだから。私はなんにも出来なかった………」
 一週間前の出来事を思い出したのか、小刻みに身体が震えている。普段のリンネから発せられる事の無い弱気な言葉だ。
「あれは僕が不注意だっただけです。リンネには落ち度はありません」
 クロウは根気づよく言った。
「……」
「リンネは強いですよ」
 少しリンネの震えが収まった。
「どうしたんだ?リンネ」
 そこへ汗だくのハイネが会話に入って来た。
「……うん、大丈夫」

 そう力なく頷いたリンネにアレンや神田たちを割り込んで来た。
「リンネも軽くならしていきますか?」
「レミーじゃ相手にならねぇからな」
「ひでー、アレン達マジ酷い」
 眼をさましたレミーの抗議などどこ吹く風だ。
「それともこのメンツ相手はやめとくか?」
 二カッと笑うハイネの笑顔にフッとリンネは笑った。

「誰に言ってるの。私に……出来ない事はないの」

 いつものような元気はないが、リンネのその言葉に仲間たちは微笑む。クロウも安心したように笑った。
「よし、やるかっ♪」
 ハイネの号令で再び第二回戦が展開されようとしたのだが、その第二回戦は行われる事は無かった。




「もうあとなんて存在しないのよ?エクソシストさん方?」





 その絶対零度の言葉で全てが凍り付いた。
「あぁ……婦長サマ…………」





「外傷が無かろうがなんだろうが稽古はまだするなって行ったはずですけど?」

「い、いや……怪我なんてそんな重傷じゃないし」


[アレンは婦長の地雷を踏んだ]


「ほう……良い度胸じゃない戦闘馬鹿共」
 心なしか口調が荒い。
「どの口が言うのかいってご覧なさい」
 アレンの顔から血の気が消えた。ほかのまだ稽古の許可が下りていない面々の顔色も冴えない、というか青い。
 雷が落ちると判断したジルはそそくさとたちさった。

 数秒後。稽古場に鬼神が降臨したことはいうまでもない。













「あっぶねー」
 ジルは稽古場を後にすると冷や汗を流しながら呟いた。

「あれ、ジルじゃん。なんかあったの?」
 ラビとブックマンがいた。大量の本が積まれた荷台を押している。
「いや。ちょっと地雷が」
「地雷?」
「いや、知らない方が良い」
「……」
 稽古場からかすかに響く声から何かを察したラビは無言で頷いた。

「てか、ラビは何持ってんの?」
「ん、この間のパスカヴィルが襲撃して来たときに戦闘に巻き込まれて資料庫と図書室の資料も大量に被害うけてさ。ジジイとこれから無事だった本の修繕作業すんさー。コムイに頼まれたの」
「たく人使いの荒い室長じゃ。老体にはつらい」
「あ、そういや。フェイ補佐官が探してたぞ」
「室長を?」
「いや、お前を」
「は、オレ?」
「なんか、貸し出した本がどうとか、なんとか」
 心当たりがありすぎるジルの脳内で一週間前の記憶がフラッシュバックしていた。

 パスカヴィルの事を調べるために(正規の手続きを踏まずに)大量の本を借りていたジルは、それがフェイ補佐官にバレ。さらには禁書の本にまで手を出していた事まで知られていたのだ。

「そういや、ここ一週間復旧作業で部屋帰ってないからあのままだったな……」

 背中を嫌な汗が流れた。



「ジル・ロッド!!」

 廊下を突き抜ける鋭い声にジルは身体を震わせた。
 おそるおそる振り返れば般若の形相のフェイがそこにいた。

「ど、ドーモ。フェイ補佐官」
「お久しぶりですね。ジル・ロッド」
 フェイの横で冷ややかな微笑みを浮かべるのは、ジルにとって見覚えのありすぎる顔だった。
「あ、アルフレッドさんまで」
 アルフレッドと呼ばれた司書の男は無言で紙を突きつけた。

『無断で持ち出した本を含め、すぐに返却!!!』

 普段喋るところを見た事が無い寡黙な男だが、今は言葉が無いだけ怖い。



「えっと、あとで返します」
「早急に」
『というか、今!!!』






「……はい」



 涙目になりながらジルは頷いていた。



















「死ぬかと思った……」

 夕方。
 ようやくフェイとアルフレッドから解放されたジルは食堂で燃え尽きた灰になっていた。

「大変だったね」
 頭をポンポンと叩きながらグロリアが慰めた。
「お前の苦労なんて、俺たちに比べたら」
 何故か右耳が真っ赤に腫れ上がっているハイネが冷たくいった。
 顔色が冴えないのは体調が悪いとか言う以前の問題のようだ。
 よくよく食堂を見ればあきらかに耳が紅く腫れた人間がちらほらいる。
「婦長……」
「地獄だったです」
 まだ顔が青いレミーも加わった。婦長が来た時点でのびていたはずだが、何故かレミーまで耳を腫らしている。
 こうして一様に耳を腫らした人間が集まるとかなり面白い図だ。
「あ、じゃあクロウも!?」
 なかば期待して食堂を見渡したがクロウらしい人物は見えない。
「クロウなら病室に強制送還させられました」
「あぁ……」



 いつのようにぎゃーぎゃー騒ぎだしたエクソシストたちの横で、ジルは食後の一服をしながら新聞を広げた。詳細は伏せられているが一週間前におきた世界各地の山奥や砂漠などで爆発事故のことが未だに多く書いてある。教団が規制したようだがこれはあきらかにパスカヴィルの襲撃のことだ。研究施設の資料庫や実験室が主に破壊されたようだが、特に注目するべき新たな情報もなく、流し読みをしていたがとある記事に視線を止めた。

  『ヴァチカン教皇図書館、火災事故』
 ヴァチカンが本日未明、一週間前にイタリアにあるヴァチカン教皇図書館で火災が発生し、一部の貴重な資料が焼失。また、その火災に巻き込まれた警備員十三名。さらに図書館を訪れていたネルズ・ルベリエ氏とその関係者数名の焼死体が見つかっていた事を発表した。発表が遅れた経緯についてヴァチカンは理由を明らかにしていないが、警察は事故と事件の両面で調査をしており……




 ルベリエ……

 黒の教団で知らぬものはいないその名前。

「おいおい、マジかよ」
 ルベリエ家の関係者が死んだ事もそうだが、それ以上に黒の教団も関わるヴァチカン教皇図書館での火災事故も衝撃だった。
 そこには黒の教団も創設に関わる過去の実験資料なども保管されている重要な施設だ。
 たんなる火災事故と言ってしまえばなんともないがどうにもジルにはひっかかった。

 食堂では食事を終えたテッサイアとラビがチェスの試合を繰り広げていたがその応援には加わらずにジルは早々に部屋に引き上げる事にした。

 部屋にあった本は一切が撤去されており、部屋のドアにはフェイ補佐官のとげとげした文字で「始末書提出!」と書かれていた。

「……」
 このままでは二度と図書館の本は貸してくれそうにないが、ここであきらめるわけには行かない。






 深夜。

 ジルは静まり返った教団の中をこっそりと歩いていた。目的はもちろん図書館だ。
 図書館にいくといままでの廊下やラボなどに比べるとひときわ被害が大きかったようだ。
「こりゃ、ラビやブックマンまで駆り出すわけだ」
 思わず独り言を呟いたがすぐに目的の本を探す。
 が、ジルがもともと部屋に持っていった本のうち数冊がどうしても見つからなかった。フェイがジルの部屋から戻したのだから襲撃の影響で紛失したわけではないはずだ。
 どうしたことかと首を傾げながら、見つからない本をリストアップしてみると、どれも教団で過去に行われていた実験記録が多かった。特に……

「咎落ち……」

 教団で過去に行われていたエクソシスト製造人体実験。
 同時にリナリーの台詞がよみがえって来た。


____私、彼の事を知ってる。どこかで絶対に会ってる








 ジルの脳内である記憶を思い出した。

          、、、、、、、、、、、、、
(リナリーは過去に咎落ちの実験を目撃している)

_____ヘブラスカに聞いても、あの子がどうなったのか教えてくれないの!

 昔、そう言って食堂で泣いていたリナリーのことを思い出す。



_______アンネは……咎落ちの実験に巻き込まれて死んだ。


 パスカヴィルの一人の少女は名前が同じなばかりかハイネの妹と特徴がきわめて似ている。



 そこまで考えたジルは絶句した。
「まさか……」
 しかし、考えれば考える程その仮説が真実なのではと思ってしまう。
「なら、残ってるはずだ」
 ジルはあわてて禁書棚に急いだ。まだ修繕前でひどいありさまだった。大量の本は通路脇に積まれているだけで整理整頓もされていない。しかし、どう探してもジルの目的の本は見つからなかった。一冊だけ見つけたのも咎落ちについてのわずかな記述が会っただけだ。

「こうなったらコムイしかねぇな」

 一瞬迷ってからその本の1ページを破ってポケットに押し込んだ。脳内でまた始末書の文字が踊ったがこの際しょうがないと割り切る事にする。
 ジルは急いで図書館をあとにするとコムイに連絡するためにすぐそばの機械室を探したが、ゴーレムは教団襲撃の際にパスカヴィルの一人の女性によってほぼ全て破壊されており数少ないまともなゴーレムは全て出払っていた。

「あぁもう!科学班はちゃんと直しとけよ!」

 言ってもどうしようもない文句を叫びつつ室長室を探したが、フィンの残した復旧途中の迷路がどうにも実の方向感覚を狂わせた。図書館から直進で行けば室長室のある階段につながるはずなのだが、気づけば正面玄関上の吹き抜けに来ていた。
「……」
 もう言葉も出ない。

「ジル・ロッド。こんな真夜中に何をしているのですか?」
 聞き慣れた鋭い声にジルは縮こまった。まぎれもないフェイ補佐官の声だ。
 もうジルにとってはトラウマでしかないが、今は迷わずにコムイのもとへ行ける大事な人材だ。

「ちょっと、室長に聞きたい事があるんだけど迷って……」
 フェイは「はぁ」っとため息をついた。
「あなたはアレン・ウォーカーですか?  こっちです」
「助かります」

 フェイについていって歩きながら、ジルは頭の中で整理する。

 パスカヴィルが咎落ちというのはほぼ確実だろう。一体どういう訳で咎落ちになった人間が生きているのかはまったく分からないが。

 歩きながら不意にジルはこの異様に破壊の激しい資料庫が妙に気になった。教団襲撃でハイネと対峙したフィンという青年の能力で教団はかなり通路を弄られていた。しかし、ハイネたちの分断が目的という割には随分とあっけないばかりかまったく効果を発揮していなかった。そして、パスカヴィルが侵入して来た正面玄関から一直線でいけた図書館。



_____ゴメンね。今回はここまでするつもりはなかったんだよ



 あのレオナルドとか呼ばれた帽子男が発した言葉。まるで襲撃はなにかのおまけのような言い方だ。


 もし……パスカヴィルの目的がラボやエクソシストよりもまず図書館や資料庫の破壊だとしたら?



(なら資料の紛失も納得が……あれ?)



 ジルはそこまで考えてふと立ち止まった。不思議そうな表情でフェイが振り返った。
「どうかしました?ジル・ロッド」
「……フェイさん。俺が図書館から持ち出した資料、部屋から戻しましたよね」
「えぇ。早急に始末書提出してくださいね?」
「…………」
「??  だからどうかしたんですか?」
「あんた、ちゃんと全部戻したのか?」
「……」                          、、、、、、、、、、、、、、、、
「図書館の資料がいくつかなくなってた。図書館が壊された時、図書館にはなかったはずの資料がだ。
「……」
「室長補佐官が資料の破棄とかはねぇだろ」
「……」
「それとも、そもそもフェイ補佐官じゃねぇのかな?」
「……それは半分正解で半分不正解ね」
 フェイはいままでとうってかわって表情というものを一切消してジルを見た。
「てめぇ……」
「この身体は確かにフェイのものだけれど、その支配権は私のもの。彼女は可愛い私の”人形”……」
 フェイの口から発せられる言葉はフェイのものではない艶かしい女のものだった。いつのまにかフェイの瞳も紅く輝いている。

 ジルは一歩二歩とあとずさりながら平静を装って軽口を叩いた。
「なるほどね、それがあんたの能力か」
「そう、マーキングした相手を支配する能力____"人形ドール"」
「襲撃のときに仲間にやらせたって事か」
「ご名答」
 そういって笑うフェイ……いや、もはやフェイではないだろう。

「そういう能力もイノセンスのおかげなのか?」
「は?」
 いままでの余裕の声がわずかに揺れた。
「つまり……咎落ちの能力って事?」
 ”女”は完全に沈黙した。しかし、それも一瞬。”女”は突然笑い出した。
 ひとしきり笑うとジルを楽しそうに見つめた。

「いいわね。まさか私たちの正体まで見つけた人がいるなんて思わなかったわ」

「否定しないんだ」
「えぇ、その通りだから。私たちは教団に利用された咎落ち実験の実験体の生き残り。イノセンスに命を奪われてなお生き残った数少ないね。一度イノセンスを宿したせいで身体が変異し特殊な能力を手に入れたの」
「お前らの目的は?」
「完全な自由と復讐よ」
「そのために自分たちに関係ある過去の実験資料を抹消したのか」
「えぇ」
 そこまで言って頷くとフェイはおもむろに拳銃を取り出した。
「ここまでたどり着いたあなたには悪いけど死んでもらうわ」
 銃口はまっすぐジルの眉間を狙う。
 しかし、ジルの方が素早かった。自分の左目の眼帯をめくると眼孔から出した閃光弾をフェイの顔面に投げつけた。
 薄暗い廊下で激しい閃光が炸裂し、その眩しさに思わずフェイは拳銃を取り落とした。すかさずジルは距離を詰めると首筋に手刀を叩き込んで気絶させた。
「危なかった……まじで」
 しかし、情報は得られた。
 ジルはフェイの手を後ろで縛るとフェイが落とした拳銃を探した。
「あれ?どこだっけ」
「探し物ですか?」
 その言葉と同時にジルの目前に拳銃が差し出された。
 見上げると司書のアルフレッドがいた。
「あ……」
 受け取ろうと伸ばした手がとまる。
(待て!あの襲撃の時に図書館にいた人だぞ!?)
 その考えと同時にアルフレッドの持つ銃口がジルの額に突きつけられた。

「ココにいるのが、一人だけだとでも思った……?」
 アルフレッドの口から艶かしい女の声が響く。





「しまっ____





















                                ___________ダンッ!!!



















































「……」

 翌朝。
 ハイネは妙な胸騒ぎを覚えつつ眼をさました。
 しかし、どうもその正体がつかめないまま食堂に降りる。
 その途中の廊下で人だかりに遭遇した。ハイネは廊下の隅にしゃがみこんでいるリナリーを見つけると声をかけた。
「どうしたんだよ。なんかあったのか?」
 リナリーはハッと顔を上げた。その頬には涙が伝っていた。 その切羽詰まった声と表情でハイネは何かを感じ取った。
 リナリーは声を絞り出すようにして言葉を発した。


「……ジ、ジルが」










 人込みをかき分けて前に立ったハイネが見たのは、一面の血の海とそこで倒れるジルの死体だった。

 そばではコムイやアレンたち、仲間のファインダーが立ち尽くしていた。
「ジル……」
 その言葉でコムイがハイネに気づいた。
「今朝、発見された……その時点ですでに亡くなっていたよ」
「……」
「ポケットにこれが入っていた」
 そう言ってハイネに見せたのはくしゃくしゃに丸まった紙で、一枚は新聞から破ったらしいヴァチカン教皇図書館襲撃事件の記事、もう一枚は血に染まっているがところどころ読める部分には咎落ちについての記述があった。
「図書館の本から破ったもののようだ。きっと何かをみつけたのだろうが……」
 ハイネの脳内でジルとの会話がよみがえった。

____……そんなに気になんならオレが調べてやるよ?



______お前が出来るわけない



__即答かよ

______だって、てめぇがそんなこと出来るわけネェだろ

________うわぁ、言っちゃったよ。言っちゃったよこの人。オレの情報収集能力なめんじゃねぇぞ!!??


_____はいはい


___なんだよそのいい加減な返答!!!





「ジル……」



「聞いた話でもジルくんはパスカヴィルについて調べていたらしい……無関係とは思えない。しかも、これは明らかに内部の人間の犯行だ」

「あぁ……」

 ハイネはグッと拳を握りしめると視線をあげた。
 


「わかってる」


   わかってる。
     ジルを殺した奴も、パスカヴィルの事もなにもかも。俺が探して、倒してやるよ。

















_________歯車ハ廻リ続ケル




      ______________加速シ


              ____________変化シ









           謎ヲ孕ミツツモ____止マル事ナドセズに_______



                            





                          永久二__________________






























+あとがき+



ひとまず、これでこの物語は完結です。
こんな変な場面で終わりかよ、とか言わないでください。これでも結構頑張ったんです。

これから先の戦いは(まだいるかもわからない)読者の皆様の想像におまかせします。




最後に。
いままで、当小説にお越し下さり、素敵なコメント、オリキャラをくださった

葵様、風様、邪狼様、みちる君様、葉香音様、志筑様、ねこうさぎ様、聖夜様
小毬様、芽留様、智那様、リンネ様、夢樹様、蛍様、道化師様


本当に。
本当にありがとうございました!!!!

Re: 【D灰】…空白の歯車… ( No.313 )
日時: 2013/04/13 17:10
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

小説執筆お疲れ様でした!
あぁ、打ち切りでも良いから、意地でも終わらせるという考えは凄いと思います!
まだ、最終話読めてないですが、時間があったらゆっくり読ませてもらいたいです♪
今まで、楽しませてくれてありがとうございました!
二次の紙(新)のほうでD灰の小説書いてますので暇有ったら覗いてやってください^^


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