二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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 - 悪 ノ 王 国 - 
日時: 2010/05/17 19:37
名前: あめ ◆GJolKKvjNA (ID: 34QCmT3k)
参照: —君を悪だというのならば、僕だって同じ、血が流れてる—

こんにちこんばんはー^ω^←
コメディ・ライトの方でも書いてるあめめんです←

悪ノシリーズが大好きなので、
小説にチャレンジしてみようと思い始めました^p^

知ってる人も多いと思うので、
期待に応えられるよう頑張ります、@

----------悪ノ王国、
>>Cast

リン <黄の国の王女>

レン <王女リンの召使>

ミク <緑の国の姫>

カイト <青の国の王子>

メイコ <赤き鎧の女剣士>
----------------------
第一章 王女リンと召使レン
1話>>1 2話>>2 3話>>3


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   君 は 王 女

   僕 は 召 使 い

   運 命 分 か つ

   哀 れ な 双 子

   君 を 守 る

   そ の 為 な ら ば

   僕 は 悪 に だ っ て な っ て や る

----------@、

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Re:  - 悪 ノ 王 国 -  ( No.1 )
日時: 2010/05/17 18:29
名前: あめ ◆GJolKKvjNA (ID: 34QCmT3k)
参照: —君を悪だというのならば、僕だって同じ、血が流れてる—


光が溢れる教会の午後。
二つの産声が、教会一杯に響き渡った。

「女王様、おめでとうございます!」
「男の子と、女の子だわ!」
人々が、異口同音に祝福の言葉を言う。
二人の赤子は、幸せそうな顔をしていた。

「女王様、この二人の名前は決めておられるのですか?」
「———そうね、名前——」
女王は少し考えてから、思いついたようにぱっと顔を輝かせる。
「女の子は、リン。男の子は、レンがいいわ!」

さっそく、人々が喜びの声を上げる。
「リン様に、レン様!良いお名前だ!」
「元気に育ちそうね!」

周りが皆、楽しそうにしている中で、
ただ一人、悩ましそうに顔を曇らせている者がいた。

女王に仕えている、大臣だ。
大臣は、女王に静かに近づくと、
誰にともなく問いかけるような声で言った。

「女王様、お体の方は大丈夫なのですか?先のことを考えると、もう、ここで次に政権を担うのをどちらにするか決めた方がよろしいのでは———」

すると、女王は一瞬にして表情を引き締め、
大臣に向かってきっぱりと言い放った。

「この国は、代々女に王権を持たせているわ。貴方ももうお分かりでしょう?次に私の後を継ぐのは、リンよ。」

あまりにも強い言い方に、大臣が一瞬たじろぐ。
「———そ、そうでございますか。これは失礼を・・・」
「分かればいいわ。お下がりなさい」
「はっ」

女王の急な言動の変化ぶりに、大臣だけでなく、周りの者も圧倒されて、言葉を発せないでいた。
女王は溜息をつき、教会の者全員に向かって言った。

「聞いていたと思うけど、次の王座はリンのものよ。これは私が決めたから、逆らわないで頂戴。そしてレンは、リンに仕えさせる。召使いよ。」
「———召使いだと!?」
「それはいくらなんでも、あんまりだ!」
「女王様、考え直してください!」

「———静まれ!やかましいっ!!」
教会中が、水を打ったように静まる。
女王は乱れた髪を整えると、大臣に向かって言った。


「レンが召使いになるための教育は、大臣、貴方に任せるわ。知識の教養、社交マナー、政治についてなど、徹底的に教育して」
「・・・かしこまりました、女王様」

女王は満足そうに頷くと、
カツカツと教会から出て行った。

———しかし、皆は知らない。
女王をリンに継がせることによって、
最終的には、この黄の国全体を、

破滅の方向へ導いてしまう運命にあることに。

Re:  - 悪 ノ 王 国 -  ( No.2 )
日時: 2010/05/17 19:05
名前: あめ ◆GJolKKvjNA (ID: 34QCmT3k)
参照: —君を悪だというのならば、僕だって同じ、血が流れてる—


「レン————っ」
「ふぇ?リン?うわっ!!」

リン、レンの誕生から、5年。
5歳になった二人は、城の庭園で楽しそうにはしゃぎあっていた。

「リン———?これは?」
レンの頭には、シロツメクサで造られた冠が載せられていた。
「それレンにあげるよ!仲良しの印、ね!」
「リン・・・!!ありがとう!!」

嬉しそうに微笑むリンとレン。
その笑い声は、庭園一杯に響き渡り、聞く者全てを幸せにしていった。
二人の楽しそうな笑い声を聞きながら、罪悪感に襲われているのは———大臣だ。

大臣は女王に、今日中にレンに召し使いになってもらうことを伝え、リンとレンを別の荘に住まわせるようにと、伝えられていたのだ。

「本当に———いいのだろうか?」
幸せそうな2人を見ていると、
引きはがしてしまうことが辛くて、胸が痛む。
でも女王の命令だ———、

逆らったら、どうなるか分からない。
大臣は重い一歩を踏み出した。

「あら、大臣。どうしたの?」
「リン様、レン様・・・申し訳ありません」
急にレンを抱え上げる大臣に、リンが驚いて叫ぶ。

「何をしているの!?レンを離してよ!今、遊んでるんだから!」
「———これも、女王様からの命令なのです」
「バカァアアァ!お母様の言うことなんか聞かなくていいわ!レンを離して!返しなさいよおおぉぉおおぉ!!」

リンの叫びは、誰もいなくなった庭園に虚しく響くだけだった。
10m先に、レンが落としてしまったシロツメクサの冠がある。
「レンの・・・レンのっ、冠・・・なの・・にい・・・」

リンは、肩を震わせて泣きじゃくった。
幼い少女には———あまりにも、大きすぎるショックだった。

Re:  - 悪 ノ 王 国 -  ( No.3 )
日時: 2010/05/17 19:34
名前: あめ ◆GJolKKvjNA (ID: 34QCmT3k)
参照: —君を悪だというのならば、僕だって同じ、血が流れてる—


「いらないっ!!」
リンは、お茶会用の部屋で不機嫌そうな声を出していた。
リンの目の前には、美味しそうなケーキ。

トランプ型の可愛らしい時計の針は、午後3時を指している。ちょうどおやつの時間だ。
「リン様、せっかく美味しいおやつを用意したんですよ?食べてください」
「———やだっ!!」

誰が言っても聞かない強情な態度に、メイドも思わず溜息を漏らす。
「・・・レンとじゃないと、楽しくないもん」
「リン様—————」
リンの寂しそうな呟きに、周りに居る者は皆、悲しさに胸を締め付けられた。
やはり、女王の決断は間違っていたのではないだろうか?

大臣を始め、この城のほとんどの者がそう思っていた。
レンを召し使いでなく王子にして、リンと共に政治を動かさせたらいいのではないだろうか?
そうすれば、リンは一人でいなくて済む。

———そう思ってはいるのだが、誰も口に出さない。
女王の命令は、絶対なのだ。
女王に逆らえば、城を追放される。
下手をすれば、処刑までされかねない。

そんな女王に、リンもいずれなってしまうのではないだろうか。
幼いリンに、女王の残酷な表情が重なる。

リンとレンが別々にさせられてから、早くも5年近く経とうとしている。
リンは、今でもレンと逢いたがっているし、
特製のケーキさえも食べてくれない。

口を開けば、
「レンに逢わせなさいよ!」や、
「私は王女になんてならない!」と言うばかりだ。

———果たしてこの状況を、どうしたらいいものか。
大臣の頭痛の種でもあった。

その時、お茶会室に近づいてくる、
一つの足音があった。

———ガチャ!
「誰———えっ?レ、レン?レンなの!?」

リンが、嬉しそうに顔を輝かせる。
フードを被ったその顔は、確かに幼い頃生き別れした、レンだった。

「はい———
   お久しぶりです、リン様」

5年の歳月を経て、
既に〝召使いのレン〟になってしまった。

幼い頃、
シロツメクサを被せてあげた、あの優しい顔のレンはそこにはいない。


「レ、レン・・・や、やめて・・・」
「リン様。今日から私が、貴方の召使いです。」


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