二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 薄桜鬼 * 蒼鬼篇
- 日時: 2010/10/30 17:23
- 名前: 椎名* ◆hRE1afB20E (ID: yA6Y/.Us)
どうも、こんにちは^^
自由人こと椎名です
*
スレ立て直しすいません;
パスの入力ミスで色々とややこしい事になってしまいましたので…
では改めまして、クリックありがとうございます^^
原作を無視した(特に年号)部分が少々でてきますが
ご了承くださいませ;
ではでは、ごゆっくりどうぞ!
【序章】
文久三年 十二月
その夜は、月明かりの明るい寂しげな夜だった。
冬の寒たい風が己の頬をかすめ吹き去ってゆく。
…京の都の夜は、日中とは打って変わって静かなものだった。
「——京か…久しぶりに“帰って”きたな」
そんな夜の京に響く、凛と落ち着いた声。
それは、たった今自分が漏らした、皮肉交じりの感嘆の声であった。
そして、耳を澄ましても風の音しか聞こえぬ夜の京に、寂しく笑う。
「まぁ…流石に京の夜は、物騒で誰も外に出歩く気にもならないか…」
全く出歩いていない訳でもないが、少なくとも街の人間は外にはいない。
見かけるのは、物騒な刀を持ち歩く浪士の連中を数人くらいか———…
「!」
と、俺はその時思わず足を止めた。
あの夜にも目立つ、昼の空の色をした羽織りは間違いない——“新選組”だ。
俺は、建物の影に身を隠し、足音が遠ざかるのを待った。
『…、行ったか』
俺は深いため息をつき、再び道に出る。
——物騒だな、ったく。おちおち“鬼”の俺でさえ安心して外も出歩けねーよ…
俺は、自嘲気味に笑った。
『けどまぁ…それも仕方がない事か』
俺達“伊禮家”は、大層な“鬼”様と違って…ひ弱な“蒼鬼”だからな———…
「…っと、さっさと戻るか」
と、その時俺はハッと我に返った。
生憎“姫様”に、今日のうちに戻ると報告してある。
俺は身をひるがえして、京の街の、その場を去ろうと体の向きを変えた。
だが、その時だった。
「——あ!?おい、待ちやがれ小僧!」
『…ん?』
微かに聞こえた、人間の怒鳴り声。
まさかと思い、声のする方向を見ていると、思った通りだった。
さっきの新選組の連中三人が、怒るような形相で誰かを追っていたのだ。
しかも、その相手は明らかに自分たちよりも年の低い人間。
その事を訝しげに思いながら、その追われている者に目線を向けた。
だが、その時俺は凍りついた。
その者自身でなく、俺の目線が注がれたのは———
『待て…アイツの持ってるあの小太刀は、まさか……!』
そう、その人間が持つ“小太刀”だ。
俺は、考えるより先にその人間の後を追った。
『何で…何であの子が“あの刀”を持ってる!?』
俺が———まずしなければならない事、それはある一族の生き残りを探し、無事保護する事。
その一族は絶滅してしまったと聞かされていたが…“ある男”がその一族の生き残りを探していると耳にした。
だが、ある男…“風間 千景”は、鬼の中でも要注意人物の名に上げられる一人。
——風間は、血の濃い鬼の一族の血を引く者。そして、風間家の頭領。
俺の探している一族を、利用しようとしている…と、姫様は言っていた。
なので俺は、使命を第一に優先し、その一族を探し続けたが…
『まさか、な…』
俺の探している一族、“雪村家”に代々伝わる二本の名刀——今、目にしたのは小太刀だったが…
あれは間違いなく雪村家の刀だ。つまりあの子が…雪村家の生き残りなのかもしれないという事————
「ぎ…ぎゃあああああああああああああああ!!」
と、その時突如そんな悲鳴が街に轟いた。それは、俺の目の前で起こった出来事だった。
新選組の羽織を纏う者を、新選組の羽織を纏う者が襲っていた。
「ひひひ…ひゃはははははッ!!」
狂った声、血の様に赤い瞳、そして、鬼の様に白い髪————
『新選組の“赤眼”の奴等か…』
俺はそれを見て、ポツリと呟いた。
やっかいな奴に会ってしまったもんだな——と、俺は嘆くが、俺の瞳は好戦的に光った。
が、その時だ…
ガタッ———バタン!
何かの、倒れる音がした。
俺と“赤眼”の奴等が振り返るとそこには、“あの小太刀”を持った子が、
恐ろしい物を見るかの様な瞳をしながら、そこに佇んでいた。
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