二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケモン〜百合や蝶やと駆ける日々〜
- 日時: 2011/03/17 10:26
- 名前: 希癒 (ID: VzZBhHeS)
はじめまして。
こちらでは始めて小説を書かせていただきます、希癒(きゆ)といいます。
小説を始める前にいくつか注意事項です。
・本作はダイヤモンド・パールを基本に世界観を構成していますが、色々と作者の好きに混ぜたり、いじったりしています。
他作品の世界観(ポケスペとか)とは全く関係ないものと思ってお読みください。
・この作品は少ないながらも、人が死んだり、殺したりといった内容を扱います。苦手な方は読まないようにしてください。
・題名に百合とありますが、そういう要素は全くないので安心してくださいw
最後に応援コメなどなどしていただけると嬉しいです。
完結目指してがんばりますー、では。
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- Re: ポケモン〜百合や蝶やと駆ける日々〜 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/18 19:57
- 名前: 希癒 (ID: VzZBhHeS)
世迷言をのたまったニノに制裁を加えつつ、あたしは東館に設置されている自室へと戻った。
自室、と言っても、実際はニノをはじめとするあたしの部下がよく来る場所なのでほとんど私物は置かれていない。
中央のテーブルと、それを挟み込むようにソファが置かれ、後は奥に大き目のシステムデスクが置かれているだけで、他には特に何もない。
机のそばにある窓にはカーテンがかかっているが、これも無地だ。
まがりなりにもロケット団の団員であるいじょう、こういう部屋になるのは仕方がないのだが、あたしの趣味ではない。
「誰も来ないなら、ぬいぐるみとか……いいんだけどな〜」
ソファに埋もれながら、なんとなしに呟いてみる。
が、現在この部屋にはあたし以外に人の気配はない。基本的にあたしは傍に人を置いたりしないし、唯一つきっきりと言えるほど一緒にいるニノも、今はこの東館内を奔走していることだろう。
さっき、制裁をしっかり加えてから、新入隊員を集めるように言っておいたからだ。
一年ほど本部を離れてジョウトにいたので、知らない間に本部であたしの部下になった者が数人いるのだ。
「ないとは思うけど……一応使える奴がいるかもしれない……ま、ないだろうけど」
言い方は悪いが、ニノはとても良い拾い物だったと思う。ジョウトで行き場をなくして彷徨っていたところを捕まえたのだが、今やあたしの右腕状態だ。
「ニノ……」
ニノの過去に何があったのか、それは聞いていない。いつか聞ければいいな、そう思って思わず呟いた。
「はい? どうしました?」
「え? あ、いや、なんでもないの。ごめ……え?」
不意に返事が返ってきて飛び上がる。が、部屋の扉が開いた音はしないし、もちろん、ニノの姿もない。
「……空耳?」
「? 何がです?」
もしや、ニノことを思いすぎてこんな幻聴まで聞くようになってしまったのかと、自分で自分のことを恐怖しかけたのだが、やはりニノからきちんと返事が返ってくる。
「あんた、どこにいるの?」
「え? どこにって、そりゃ……あっ!」
すると突然、ニノは何かに気付いたような声をあげた。同時、あたしは一つの可能性を思いつき、静かにどこかで聞いているニノに告げる。
「ニノ。あたしの心は大海原のように広いわ。だから、何をやったのか白状しなさい」
「あ〜、えっと、な、なんのことでしょう?」
ニノのちょっと震えたような声が返ってくる。
そうか、そうか。そうやって白を切っちゃうのか。
「バタフリー、みやぶる」
あたしは腰からモンスターボールを取り出すと、大きな目と羽を持つバタフリーを出す。
「ユ、ユリ?」
あたしの意図が分からないのか、戸惑ったような声を出すニノ。そんな間に、バタフリーはニノの仕掛けた盗聴器やらなんやらを探し当てていた。
「バタフリー、その機械に向かって……虫のさざめき」
指示した瞬間、ニノのマイクから声にならない悲鳴が響き渡った。
- Re: ポケモン〜百合や蝶やと駆ける日々〜 ( No.4 )
- 日時: 2011/03/20 17:53
- 名前: 希癒 (ID: Qb.Gx.Ei)
「うう……ユリ、ひどいよ〜」
「いや、全面的にあんたが悪いでしょ。というか、早く顔合わせ済ませよう?」
「わ、わかりました……」
半泣きになりつつ、後ろに控えさせていた三人の人間を招きいれるニノ。
そんなニノを見て、ちょっとやりすぎたかな……なんて思うことは全くない(むしろ、もっと制裁を加えてやりたい気分だ)。
「指令どおり新人を連れてきました。ユリ隊長」
言いつつ、一人へ目配せをする。と、一番右端にいた青年——眼鏡を掛けていて、一見理知そうな見た目をしている——が口を開く。
「はじめまして。ユリ隊長のもとでお世話になります。ケイゴと申します。よろしくお願いします」
緊張しているのか、声が裏返ってしまっている。同時、彼に対する興味も失せた。いや、もともとあったわけではないが。
「同じくユリ隊長のもとお世話になります。ミサです」
その左、長身のスレンダーな体を持つ女性がきっちりと頭を下げる。こちらは緊張した様子もなく(少なくとも表には出していない)普通に挨拶を述べる。
彼女に対しては保留、と心の中で結論付ける。実際に仕事をさせないと分からないタイプだ。
最後に、左端の少年が前に一歩出る。
年はあたしより少し上か。整った顔立ちをしていて、そこら辺のアイドルと並んでいてもそこまで違和感は感じない。
背があたしより少し高い程度であるのが唯一の欠点か。
「……カイ、です」
カイと名乗った少年はそれだけですぐに下がる。機嫌が悪いのか、仏頂面をしたまま、頭も下げなかった。
無愛想なのは素なんだろうか?
またしても保留、と心の中でメモをする。
「新しく入ってきたのはこの三人で、ちなみに、この一年の間に約十五名ほどが抜けています……とんでもない戦力ダウンですね」
他隊員がいるからか、一応あたしに対して敬語を使うニノ。しかし、言い終わった後盛大にため息をついてしまっている。
「そんなのはどうでも良い。ん、とりあえず、必要ないと思うけど、あたしが五人の幹部の中の一人、ユリです。どっかの馬鹿と違って隊員をこき使う気はないので、基本的には中隊長達の指示に従って行動してください。以上」
結局目立つ新人はいなかった。いや、三人中二人は保留なんだけれども。
「あれ? ユリ、新人の力見るんじゃなかったの?」
さっさと話を終わらせたあたしに、ニノが不思議そうに聞いてくる。結局敬語はやめたらしかったが、どうでもいいことなので放っておく。
「う〜ん……めんどう〜」
「人のこと色々言うけど、ユリもかなり適当だよね……」
本心を言ったあたしに、ニノはじと目を向けてくる。
一応、あんたよりはましなつもりでいるんだけど。
「しょうがないな、君達、もう戻っていいよ」
ニノが促すと、呆気に取られたように新人達は部屋を出て行く。
「あの、ユリ隊長」
が、カイだけはその流れに逆らって、動き出そうとしなかった。かわりに、あたしとニノを見つつ、呼びかけてくる。
「ん?」
「勝負、してもらえませんか?」
「はい?」
カイは淡々と、あくまで冷静に告げる。が、あたしを含め周りは皆呆然としている。
恥ずかしいことに、あたし自身何を言われたのか理解が追いついていなかった。
「なんで?」
「貴方に強い、と認めてもらえれば、当然それなりの地位をくれますよね?」
当たり前のことを、とでも言いたいかのような口調。いや、確かに当然といえば当然の論理ではある。
同時、あたしはカイに興味を持ち始めていた。この、ロケット団を束ねる地位にいるあたしに挑戦してきた、大胆な少年に。
「くっくっくっ……」
横ではニノが笑いをこらえようとしているが、無理に抑えているせいでかえって気味の悪い声を出してしまっている。
ただ、今回ばかりはニノの気持ちも非常に分かる。どうやら、カイというのは大物ルーキーかもしれない。
「……いいよ。他の二人もおいでよ。滅多に見られないよ? あたしのバトルは」
結局こらえきれず、にやっと笑ってから、挑戦を受けていた。
- Re: ポケモン〜百合や蝶やと駆ける日々〜 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/20 19:33
- 名前: チョゴリ (ID: lcUCuO5M)
こんばんわ★
ポケモンが好きなのでみて見ました^^*
希癒ちゃんのスゴく良かったョ^w^
ウチは、「コメディ・ライト小説」で書いているョ♪
また、見に来るネ>v<*
ぜひ来てください♪
- Re: ポケモン〜百合や蝶やと駆ける日々〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/03/21 15:32
- 名前: チョゴリ (ID: lcUCuO5M)
ありがとう、来てくれて(>ω<*)
続き書きました(^^)
また、見に来てネ★
- Re: ポケモン〜百合や蝶やと駆ける日々〜 ( No.7 )
- 日時: 2011/03/21 17:12
- 名前: 希癒 (ID: wrLdH9zW)
バトル場。
各館の地下には、団員がバトルをするための練習場が設けられている。
ロケット団の活動は、主に略奪。その対象は物であったりポケモンであったり、時には権利なんかであったりする。
とはいえ、どれをするに当たってもポケモンの力を借りることはほぼ必須。
なにせ、人間がポケモンと同じような力を得るには巨額の金を費やす機械が必要になるが、当然、団員全員にそんな機械を与えられるほどロケット団は財力豊かではない。
さらに言えば、今や防犯に関してもポケモンが使われることが多く、忍び込んだり逃げたりするときにもポケモンの力というのは大いに役立つ。
とりわけ、抵抗されたときにはポケモンバトルとなる可能性が高い。生身の人間がポケモンに勝てるわけはないので、どちらかがポケモンを出せば必然的にもう一方も出さざるをえないからだ。
そんなわけで、ロケット団員となり、さらには各隊に振り分けられて隊員になるには、ある程度のバトル技術が必要になる。
あたしはニノと、三人の新人を引き連れてバトル場へと入る。
中は球場のように広く、多くの人間が練習に明け暮れていた。ここにいるのは、あたしの部下、とロケット団に入ったものの、実力不足で各隊に振り分けられなかった人達だ。
さらに言えば、東館は主にあたしや、あたしの部下が使う場所なので、あたしの部下になりたいと願う人達でもある。
「ユリ、本気でやるの?」
後ろの三人に聞かれないよう小声で耳打ちしてくるニノ。どこか心配そうにしている。
「もちろん、本気でやる気はないけど……それなりに、ね」
「うん。ユリのそれなりってめちゃくちゃ鬼畜だってことあたしは知ってるから」
どこか諦めたような声。
そういえば、ジョウトにいる頃にニノとバトルしたこともあったっけ。終わった後、ニノが涙目になっていた気がする。
「……一応、気をつける」
後ろを一瞥して、そう答えた。
「使用ポケモンは一体。いいかな?」
「かまいません」
ちょうど空いていたバトルフィールドに立ち、ルールを取り決める。カイはやはり緊張した様子はなく、ぎらぎらとした目をあたしに向けていた。
……どうやら、あたしを打ち負かす気でいるらしい。さて、どうしたものやら……。
「ポケモンは僕から出します」
言うが早いか、カイはボールを頭上へ放る。
光と共に現れたのは、体中から鋭い棘が出ている、サンダース。サンダースは華麗に着地すると、パチパチと小さな火花を起こす。
「うわー……強そう」
横でニノが哀れむような目をしながら言う。
表情と言葉が一致していないのは……放っておこう。あのサンダースが強いであろうことは間違いではないし。
「うん、バタフリー、お願いね」
対して、あたしはバタフリーを出す。こちらは周囲をゆっくり見回した後、小首をかしげていた。
バトルするのは久しぶりなため、状況が掴めなかったのかもしれない。
「バタフリー、ですか」
「ふふっ。そうだよ?」
カイが不満げな声を漏らす。
電気タイプのサンダースと飛行タイプのバタフリー。どちらが有利かなんて、わざわざ言う必要すらない。
「……サンダース、十万ボルト」
カイは不満げながらも、不平を言うことはなく、様子見の技を指示する。
もちろん、バタフリーは指示するまでもなく、やすやすとそれを回避した。
「やっぱり、スピードはそれなりなんですね……ミサイル針」
まずはじっくりこちらを観察する腹なのか、またも単調な攻撃。
「バタフリー、風おこし」
サンダースの放った針は、バタフリーがその羽を羽ばたかせることで簡単に落ちていく。
「よし、電光石火で真下を取れ」
が、サンダースは持ち前のスピードを活かして、突如バタフリーの下へと入る。
「かみなりだ」
こちらが驚いている間に、サンダースは電気を収束させて上空へ打ち出す。そこには無防備なバタフリー。回避の間に合うタイミングではない。
「終わりですね」
「うん、終わったね」
カイはとてもつまらなさそうに、ニノはとても残念そうに呟く。
「うん、終わっちゃったね……カイ」
あたしも同調する。と、カイは訝しげな表情を作った。おそらく、何を言っているんだ? とでも思っていることだろう。
やがて、かみなりが途切れ、フィールドが皆から見えるようになる。そこに立っていたのは、もちろんサンダースではなかった。
「あ〜あ……」
ニノが嘆息する。サンダースはかなりのダメージを負った様子で倒れており、その上空には無傷のバタフリーがいた。
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