二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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幼い君と出会った物語
日時: 2011/05/06 12:43
名前: ロシアン (ID: vp6Io6Pn)

ドン

高いところから、古い本が落ちた。

「ん?なんだ」

そっと太子の手が本を拾う。

「ああ。懐かしい・・・」

ほこりだらけだったが、太子がやさしくほこりを落とした。

「小さい時に、もらったやつだ・・・」

静かに微笑む太子。その笑顔には、悲しみが少しあった。

「今も覚えてるかな・・・・」

————この物語は、太子の幼いころの物語————

「太子、勉強のじか・・・ ってあれ?」

太子の父、用明天皇は太子の部屋を見渡した。

「太子?・・・まさか、また逃げたな・・・」

用明天皇は呆れた顔で、自分の部屋に向かった。

その頃、太子は・・・

「わーぁ!!! 最悪だ、父さんと勉強する約束してたんだ」

クローバー畑の真ん中、太子はよつばを探していた。

「怒られるな—」

こんなことを思いながら、またクローバーを探す。

しばらく探すと、よつばを見つけた。

「わー 見つけた—」

これを、父さんにやろう。お詫びのしるしに。

「う・・・ う・・・」

どこからか、泣き声が聞こえる。

「ん? 誰?」

「母様・・・」

自分より、3つぐらい年下のように見えた。

「どーした?」

太子は、その子に近づいた。

「あ・・・ ごめん・・・ 大丈夫?」

「誰? 僕を殺すの?」

「殺さないよ。 なんでそう思うの?」

その子は、太子の顔を見た。

「太刀を持ってるから」

「・・・・それでか・・・ 大丈夫。君を殺しはしない。そういえば、名前は?」


「・・・・・・・妹子・・・・」

妹子は、いつの間にか泣きやんでいた。

「妹子かぁ・・・ いい名だな」

太子は、静かに微笑んだ。

「・・・貴方は?」

妹子は、太子に言った。

「私か?・・・私は太子だ」

「たいし?」

「そうだ。太子。本当の名前は・・・」

「厩戸皇子・・・ でしょ」

妹子はすまし顔で言う。太子は少しびっくりした。

「そう。厩戸皇子。よくわかったな」

「勉強したから・・・」

「ふぅん・・・。妹子。お前、勉強するの好きか?」

太子は、妹子に聞く。

「・・・ あんまり。父様が、無理矢理させるから」

「そうなんだな。私もあんまり好きじゃないんだ」

「なんで?」

「なんでだろう。私、分からないんだ」

妹子は分からなかった。太子の言っていることが。

「そういや、妹子はなんでこんなところにいるのか?」

「へ?・・・あのね・・・」

また、少しずつ涙を流し始めた。

「・・・迷子かな?」

「う・・・うん」

ぼろぼろと涙を流し始めた妹子。

そんな妹子を、やさしく太子は抱き上げた。

「さぁ。私が妹子の家まで送ってあげるから。なくのはよしな・・・・ね」

妹子は、首を縦に振った。

「さぁ。妹子の家はどこかな」

「・・・・・・」

太子は、妹子を抱えたまま歩きだした。

「妹子は、父さんと母さん好きかい?」

「父様・・・・嫌い」

太子は少しびっくりした。

「何故、嫌いなんだい?」

「母様を、たたくんだ。僕には、勉強しろって言うんだ。いつもいつも・・・」

こんなに幼いのに、親からこんなことをされて、さぞかし苦しかっただろう。太子は思う。

「私は、父さんも母さんも好きだ。だけどな、母さんの弟は嫌いだ」

「なんで?」

「母さんの弟は穴穂部皇子というんだ。母さんや、私に対しても冷たくて、母さんの母さんつまり、私のおばあさん は穴穂部皇子に殺された」

「殺された・・・・」

妹子は、言葉を失った。初めてだった。殺されたという言葉を聞くのが。

「私は、穴穂部皇子が憎いんだ。大切なおばあさんを殺されて・・・ あいつは、まだ生きている。それがいやなんだ。いつか、殺してやる・・・」

「殺しても、何も生まれないよ。欲望が増えるだけだよ」

妹子の声は震えていた。怖かったのだろう。

「・・・・そうなのかもしれないな・・・欲望が生まれても、希望は生まれないんだ。悲しいことだ・・・・」

「そうだよ。欲望が生まれることは悲しいんだ。決して殺しちゃいけないよ」

「そうだな。ありがとう。妹子・・・」

「妹子ーーー 妹子ーーーーー」

誰かが、妹子を呼んでいる。

「ん?誰だろう・・・」

「母様の声だ!」

「・・・?あ・・・ 太子様!妹子!」

「母様!」

太子は、妹子を下した。妹子は、走って母に駆け寄る。

「どこに行ってたの?探したのよ」

「ごめんなさい・・・」

「よかったな!妹子!」

「あ・・・・うん!」

「太子様ありがとうございました。みっともない姿を、申し訳ございません・・・」

妹子の母は、頭を下げた。

「いや、いいんだ。それこそが、親子というものだ。これからも、そのきずなを大切にするんだぞ」

「はいっ!」

妹子の母は涙を流した。

「ありがとう」

妹子は、太子に言った。

「いいや、こちらこそ。大切なことを教えてもらったんだ・・・礼はいらないよ」

「あ、まってて!」

「妹子?どこに行くの?」

妹子は、走って家に戻って、本を持って帰ってきた。

「これ、あげる」

「おお。本かぁ」

太子は、妹子から本を受け取った。

「僕が、また太子さんと会えるまでその本を預かってて」

「分かった。預かっておこう。大切に」

「さようならっ!」

「またな」

太子は、本を大切に持って家に帰って行った。

———————————————————————————————

「こんなことが、あったんだなぁ」

太子は、本を開き、パンと閉じた。

「妹子。ごめん。約束が守れなくて・・・」

太子は、歩いて墓場に来た。

『小野妹子』

そう、石には書いてあった。その前にそっと本を置いた。

「あんなに、近くにいたのに・・・ わたせなくてごめんな・・・・本当に、ごめんな・・・」

涙が、止まらなかった。

「次は、私が行く番だな・・・ 妹子、それまで待っていてくれないか」

風が吹いた。

「私は、妹子の分まで生きるから・・・ お前が死んでから決めたんだ」

太子は、ポケットに入れていたよつばのクローバーを、本に挟んだ。

「それじゃぁ。私、いくな。また来るから、まっていてくれ」

太子は、歩きだした。

「妹子・・・ ありがとう」

太子はそうつぶやいた。

それにこたえるかのように、本が、パラパラとめくれた。

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Re: 幼い君と出会った物語 ( No.1 )
日時: 2011/05/06 12:59
名前: ロシアン (ID: vp6Io6Pn)

こんなんですww

初めて、投稿してみましたー

ブログで書いたやつです。

何となくこんなのかいてます。

これから、よろしくお願いします。

Re: 幼い君と出会った物語 ( No.2 )
日時: 2011/05/06 17:38
名前: あおい (ID: TLzqUYoL)

こちらこそよろしくお願いします!。続き楽しみで〜す。

Re: 幼い君と出会った物語 ( No.3 )
日時: 2011/05/07 17:19
名前: ロシアン (ID: gcpis4lM)

>>あおいさん
コメありがとうございます!
これから、バンバン投稿していきます!


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