二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

王子はただいま出稼ぎ中*隣国の王女*【原作沿い】
日時: 2012/06/02 23:45
名前: 勾菜 (ID: AjzyS2SC)

はい、どーも勾菜です!
今回は…絶対マイナーな小説を書きます。
知ってる人しか知らない…と思います。

その名も…『王子はただいま出稼ぎ中*隣国の王女*』
原作はとっても面白いです。
何で男ばっかなんだよ!と思って、書こうと思いました。

原作沿いなので、初めてよまれる方でもいけますよ!
あ。私に文才が皆無なので…ちょっと微妙ですが。

注意事項行きます!↓↓
*注意事項*
・荒らし、チェンメお断り。
・更新ペースかなり遅いです((重要))
・突然いなくなったりします((これも重要))
・妄想+駄文です!


では…登場人物紹介です。

*原作の登場人物
ユート・エイン:フォーレ国王子。正義感の強い苦労性王子。
女顔に触れられるとキレる。
イル・グラース:心配性なユートの世話係。天然ボケ体質。
   トラブル体質で、よくユートにどつかれている。
タジェス:ニーザベイム国王子。
     笑顔の裏で腹黒な面もあり、またフェミニストな一面も。

*オリジナルの登場人物
名前:レイア・イエル
   (レイルシア・イエシス・ヒューリ)
性別:女
年齢:15
性格:明るくて、しっかり者。
   優しく、自分自身に誇りを持っている。
容姿:下ろすと腰まである白金の髪を、つむじの位置でおだんごにしている。
   瞳は深い蒼。
   目立たない色のマントをはおっている。
その他&設定:ヒューリ国王女で、剣の達人。
       歌がうまい。

名前:グラシエ・ポーカー
   (グラヴィス)
性別:男
年齢:20ぐらい
性格:無口、クール、しっかりしてる。忠誠心が厚い。
   意外に毒舌。
容姿:藍色の髪を首より短く切ってある。
   瞳は深緑。 ミステリアスな雰囲気。
   目立たない色のマントをはおっている。
その他&設定:レイアの従者で剣が強い。
       いろいろと謎の多い青年。


———王子と王女の借金返済ファンタジー、今始まる!!



〜序章〜
(レイア・グラシエ) >>1
(ユート)>>2

〜1〜 >>3 >>4

Page:1



Re: 王子はただいま出稼ぎ中*隣国の王女*【原作沿い】 ( No.1 )
日時: 2011/12/19 20:56
名前: 勾菜 (ID: BeoFjUrF)

序章 〜レイア・グラシエ〜

木の影が馬上の人物に落ちる。
「久しぶりのフォーレだわ。ユートは元気かしら」
深くマントのフードをかぶっていて、その表情は判らないが、声でその主が少女だと言うことがわかる。

馬にゆすられながら、少女はフードをとる。

穏やかな日にきらめくのは月光を思わせる白金の髪。
まぶしそうに細める瞳は深海を思わせる深い蒼。
少女は大きく息を吸い込む。
森の香りだ。
初春とはいえ、まだ寒さは残る。

そんな少女の耳に、彼女を咎める低い声音が届く。
「…レイア様。フードをとられるのは…」
少女が振り返ると、先程の自分のようにフードをかぶった青年と目があった。
「もう…いいじゃないのよ、グラシエ」
そういいながら、グラシエ、と呼ばれた青年のフードをとる。
「…レイア様」
その声音に非難の色が混ざっているのに気がつき、レイアは肩をすくめた。

短い藍色の髪が風に吹かれてさらりとなびく。
表情よりも雄弁な瞳の色は深緑。

「ほら、見えてきた」
レイアの嬉しそうな声音にグラシエの瞳に優しい色が宿る。
自分はこうやってレイアの喜ぶ姿を見るのが、一番嬉しいのだ。

先程よりずいぶん近づいてきた、石造りの城。その周りには畑や民家が立ち並んでいる。
この国の人たちは誰に対しても優しい。
自分たちが訪れても明るい笑顔を見せてくれる。
そういえば、とレイアは考える。
自分は、グラシエと共に何度この国を訪れたのだろうか。
来た数すら覚えていない。

ただ、その城にすむ人たちも同じぐらいに優しい。
とくに彼女の目的である人物はとくに。
それを考えると自然と笑みがこぼれる。

ああ、早く会いたい。

はやる気持ちを抑えながら、レイアはグラシエを従えて城門をくぐった。

Re: 王子はただいま出稼ぎ中*隣国の王女*【原作沿い】 ( No.2 )
日時: 2011/12/19 20:54
名前: 勾菜 (ID: BeoFjUrF)

序章〜ユート〜

静まり返った室内に、さらさらとペン先の滑る音が響く。
その合間にぱちぱちと、石をぶつけあうような硬い音。
「……やはり、無理か」
小さなため息が漏れる。
声の主はがしがしと頭を乱暴にかくと、再び紙の上にペンを走らせる。
その筆跡は速度の割には乱れたところのない、精緻と言っていい筆跡だった。

そういえば…とその手がゆっくりと止まる。
「そういえば…レイアが来ると言ってなかったか…」
幾日か前にそんな手紙を読んだ気がする。
忙しすぎてすっかり忘れていた。

はたと思いだして、声の主は先ほど計算した紙を見る。
それから、計算に間違いがないことを確認するとさらに深くため息をついて、ペンを机に置いた。
「無理だな……これ以上は、さらに借金でもしない限り工面できない」
まだ若い、変声期を終えたばかりの少年の声だった。
少年は椅子の背に身を預けて瞑目する。

その部屋には初春だと言うのに、火の気が一つもない。
冷え冷えとした空気を助長するような、石造りの壁には申し訳程度に毛織の壁掛けがかけられているが、擦り切れて色あせている。

「……仕方ない」
やがて、目を開くのと同時に彼はつぶやいた。
あきらめたような言葉の内容とは裏腹に、その声にはふっきれたような妙にすがすがしい響きが宿っていた。

「こうなったら——もう、あの手を使うしかない」

Re: 王子はただいま出稼ぎ中*隣国の王女*【原作沿い】 ( No.3 )
日時: 2012/06/02 22:37
名前: 勾菜 (ID: G2ENsTvw)

〜1〜

カエルレウム大陸北西部に位置する大国、ニーザベイム。
その首都であるディエの街路にはは、普段とはまた違った活気にあふれていた。
理由は間近に迫った春の大祭である。
長い冬を終えた喜びと再生する命の息吹
「…そして恵み豊かな季節の到来を祝うための祭り…か」
「…どうりで人が多いわけですね」
人々でにぎわう街路の一角を、押し流されるようによろよろと歩く一人の姿があった。
「王子ー!」
人の流れに懸命に抵抗して、情けない叫びをあげる銀髪の青年の姿を思い浮かべながら、レイアはふうとため息をついた。
ちらりと隣を歩くユートを見れば彼の眉間には深いしわが刻まれていて…
「…グラシエ…」
「ったく…」
そう悪態をつきながら彼は器用に人の波を分けて銀髪の青年のもとにたどり着く。
そうして、グラシエは青年の首根っこを掴むようにして、ここまでひっぱり連れてくる。

短い藍色の髪はゆるく風になびき、表情より雄弁な瞳は森の奥のにみられるような深緑。
きりっとした眉は彼の鋭利な印象をより強くする。
そして、整った表情によりハッとさせられる。
旅人のような長いマントを身にまとい、腰には護身用の剣をさげている。

彼が連れてきた青年は長い銀髪はうなじで一つに束ね、冬の空を思わせる薄水色の瞳をかくすようにして細い銀縁の眼鏡をかけている。
旅人の格好をしているが旅慣れた様子はない。

「す、すみません、レイア様にグラシエ」

苦笑を浮かべてレイアはいいのよ、と返事を返す。
「…ったく、何やってるんだ、お前は」
呆れたようにユートはイルを眺めやる。
「王子」
すみません、続けようとしたイルを遮り、ユートはイルに向かって声をひそめたまま注意を促す。

呆れたような色を宿す瞳は北国の森を思わせる濃い緑。
わずかに黄みがかった明るい茶色の髪は、首筋を隠す程度の長さで無造作に切られている。
最上級の大理石のような白い肌に、この世のものとは思えないほど整った目鼻立ち。
形のいい唇はきっちりと一文字に結ばれ、わずかに眉尻の上がった眉とともに潔癖な印象を与える。
イルと同じように旅人の恰好をしているが、ずいぶん旅慣れた様子だ。

「あのな…王子はやめろと言ったはずだ。何回言わせれば気が澄むんだ、お前は?
 国を出てからもう100回は注意しているぞ」
「いえ、まだ92回ですけど…」
ユートはそんなことは数えなくていいと、こぶしを握り締める。
「まあまあ、二人とも。言い争うと目立つわよ、いろんな意味で」
レイアはそんな二人に苦笑を洩らす。
二人ともかっこいいんだからと、内心で思っていることは秘密だ。
先程からちらちらと人々の視線を集めていることに、二人は気が付いていない。

月光を思わせる白金の髪を結いあげ、穏やかな笑みをたたえ表情と共にくるくると変わる瞳は深海を思わせる深い蒼。
うっすらと桃色に染まる頬に笑みを浮かべた唇、目鼻立ちの整った顔。
そんな全てが彼女の優しさを際立たせる。
しかし、そんな彼女も旅人の格好だ。
だが、そんな姿も不思議となじむ。

彼女も人々の視線を集める役割を十分果たしていた。

むしろ、この場にいる全員がその役割を果たしていると言っても、過言は無かった。

Re: 王子はただいま出稼ぎ中*隣国の王女*【原作沿い】 ( No.4 )
日時: 2012/06/02 23:44
名前: 勾菜 (ID: AjzyS2SC)

久しぶりに更新です

***

「あの子はいつもの部屋にいると思うわ」
「ふふ…ユートらしいですね」
きらめく白金の髪の少女と輝く金褐色の髪の女性が冷たい廊下を歩いていた。
その後ろに控えているのは闇のような深い藍色の髪の青年だ。

「あら…」
「ユートっ!」
廊下の角から明るい黄みがかった茶髪の少年と冴え冴えとした銀髪の青年が現れた。

パッと少女は顔を輝かせる。
「!…レイア、リーシャ姉上!」
驚いたような、いろいろ複雑な表情を混ぜ合わせたような表情でゆっくりとこちらへと近づいてくる。

「なんなの、その格好?」
リーシャ、と呼ばれた女性が顔をしかめる。

その会話がなされている横でレイアと銀髪の青年…イルは会話を交わしていた。
「お久しぶりです、レイア様」
「久しぶり、イル。相変わらず?」
「レイア様、これがそう治るとお思いか?」
「フフフ…そうねぇ」
「ひ、ひどいですっ!」
「うるさい!」

ガツンっとユートが思い切りイルの頭を殴る。
「ユートはまた秘密のお仕事?」
「う…その…せっかく訪ねてきてくれたところ悪いがそういうことだ」
「じゃあ、私も一緒に行っていいかしら?」
「は!?」
「大丈夫危険なことはしないから」
「あらまぁ…じゃあ、ちゃんと守ってあげないとね。
 未来の……なんだから」
リーシャはいたずらっぽく笑みを浮かべた。
「っっっ//あ、姉上!!」
「じゃあ、気をつけて」
「行ってまいります」

ユートはゆっくりと頭を下げた。

***

「大会本部…ユートはこれに出るの?」
「ああ…これなら自信があるからな」
「私も出ようかしら…」
「なっ!?!?」
「ふふ、冗談よ。勝つ自信はあるけれど」
クスリ、と笑う彼女にはユート自身勝てる気がしない。

「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
レイアはユートの背を見送るとゆっくりと背を向けた。

広場にはグラシエとイルを待たせている。
グラシエとイルはたぶん一緒にはいないだろう。
そうなれば、危険分子はイルのみだ。
グラシエならばあの口の巧さでかわすだろう。

そう思って、少し足を速めた。
その瞬間。

目的としている広場から今までとは別のざわめきが起きた。


Page:1



この掲示板は過去ログ化されています。