二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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モンスターハンター 蒼空を奏でる者
日時: 2012/05/29 21:40
名前: 麻香 (ID: l9EMFnR1)

こんにちは!
モンハン大好きアイルーLOVE、の麻香まかです。

さて、題名について。
「蒼空」は、「アオゾラ」ではなく「ソラ」と読みます。「ソラをかなでるもの」。
由来や意味は全くありません。
あるとすれば、作者が「空」「鳥」「翼」などの単語に興奮してしまう性質からだと思います。

この小説は、「戦闘」よりも「人間の心」をテーマにしたものにできたら良いです。
もちろん戦闘も入れますよ?下手ですが。

〆ルール〆
・荒らし、喧嘩、長い雑談は禁止!
・モンスターハンターポータブル3rd(PSP)を参照。
・実際のモンハンとちょっと設定が違ったり‥‥‥
・設定についてこれなくなったら質問OK!

〆目次〆
PROLOGUE >>1
STAGE*Ⅰ 渓流に集いし同胞たち >>2->>20

〆キャラ紹介〆
今の所ナシ。

最後に‥‥モンハン最高っ!!

Page:1



Re: モンスターハンター 蒼空を奏でる者 ( No.1 )
日時: 2012/05/28 21:37
名前: 麻香 (ID: l9EMFnR1)

PROLOGUE


昔々 この村に
五人の勇者が おりました

一人目は 強くたくましい
狩猟笛を 響かせて
仲間のために 地を駆ける
力自慢の 男戦士

二人目は 幼く愛らしい
細き腕に 大剣を携え
敵の首を 叩き斬る
人の心なき 小さな少女

三人目は 鋭く冷たい瞳
猟銃構えて 片目をつぶり
仲間と敵の 狭き狭間を
冷静に撃ち抜く 美青年

四人目は 儚く美しい
つがいの獣を 従えて
武器となるは その知能
孤高の恐ろしき 姫君

五人目は 勇者たちの長
双剣は 鮮血の軌跡を描き
切り裂かれるは 獣の喉笛
漆黒の瞳の 女剣士

その者たちの 行く先は
果たして 希望か絶望か

死と隣り合わせの 道をゆく
大きな背中は 我らが勇者


                    「ユクモ村民謡歌」より

Re: モンスターハンター 蒼空を奏でる者 ( No.2 )
日時: 2012/05/29 21:39
名前: 麻香 (ID: l9EMFnR1)

STAGE*Ⅰ 〆渓流に集いし同胞たち〆


リヴァンシア国————

風は桃色の花びらを運び、空は雲を漂わせている。
それは美しい村だった。
所々から湯気が立ち上っているのは、この場所が温泉地だからだ。

久しぶりに見た、人工的な造形物に心が踊る。
安全で、快適。まさにそんな村。

「お嬢ちゃん。ここがユクモ村だ」

荷馬車の前方で馭者さんの声がする。
それと同時に、どこか間が抜けたような奇妙な鳴き声が聞こえた。

ガーグァの声だ。
丸々と太った、別名“丸鳥”と呼ばれる鳥。
色とりどりの短い翼は飛ベるようにはできていなくて、その代わりに地を駆けるための力強い脚がある。
人にもよく馴れるために、この地域では貴重な馬よりもガーグァを愛用するのだ。
ま、ときどき暴走するのが玉にキズだが。

「へぇ‥‥‥綺麗な所ですね!」

「だろ?」

やがて村の門に着き、荷馬車を飛び降りる。
馭者さんにお礼を言ってから顔を上げた。

山の中腹に作られた村、ユクモ村。
下方には市場や住宅が並び、活気が溢れている。
そして上方には————

「あれがギルド<飛火竜>かぁ‥‥‥」

噂にしか聞いたことがない、国内でも上級クラスのハンターズギルド。
それが今、目の前にある。
大きな建物を霧のような湯気が包み込んでいる。
湯気で霞んでいたが、ギルドにかかった深紅の垂れ幕の模様だけはやけにはっきり見えた。
飛竜の翼と足跡————ギルド<飛火竜>の紋章。

その堂々とした佇まいに心を奪われながら、あたしは第一歩を踏み出した。

Re: モンスターハンター 蒼空を奏でる者 ( No.3 )
日時: 2012/05/30 21:44
名前: 麻香 (ID: A37J8i.9)

おそるおそる扉を開くと、巨大な空間が広がった。
木造の築300年とはとても思えない。

いくつものテーブルと椅子が並び、そこに何十人もの狩人————ハンターたちがたむろしていた。
酒と汗と料理の臭いが鼻を衝く。
口を手で押さえながら辺りを見回し、受付を見つけて近づいた。

「あの、すみません‥‥‥」

「はぁい」

忙しく書類の整理をしていたらしい受付嬢が顔を上ずる。
その風貌にあたしは再び驚いた。

黒を基調としたメイド服。
猫っ毛のように癖のある、明るい茶色のポニーテール。
そこまでは普通。
だがポニーテールの下にあったのは、まだ幼い女の子の顔だった。
大きな目とぷっくりした頬が可愛い。

「あ。村長さんが言ってた、新しいハンターさんですよね?身分証明書を出してください」

「あ‥‥‥あぁ」

女の子は、見た目10歳くらいに見える。
こんな子がなぜ受付嬢をしてるのか。
酒に酔ったハンターたちの接客に嫌気がさし、辞めていく人が多いこの仕事を。

にっこり笑った女の子は、目尻がきゅっと下がって、もう抱きしめたいくらいに可愛くなる。
身分証を出すと、女の子は静かに読み上げた。

「お名前は‥‥ユーリシャナ・リルセットさんですね?」

その声はとても小さかったのに、一瞬でギルドの中が静まりかえる。
向けられる、憎悪と軽蔑の視線。
それに気づかないのか女の子は続ける。

「歳は19歳。ハンターランク1。武器は双剣。合ってますか?」

「あ‥‥はい」

歓迎されるとは思っていなかった。だがまさか、ここまで冷たい目で見られるとは。
女の子は素早く手続きを終え、にっこり笑って証明書とギルドカードを差し出した。

「これでハンターさんはギルド<飛火竜>のメンバーです。依頼を受ける時はわたしに言ってください。チーム編成は自由ですが、最高四人までとします。また、ハンターさんの家は南地区に用意してあります。いいですか?」

「へっ?‥‥‥は、はい!」

これだけの台詞を噛まずに言い終えた小さな受付嬢は、0円スマイルを振りまいて、料理を頼むハンターたちの注文を取りにいった。
彼女の背中でポニーテールがぴょこぴょこ跳ねる。

息つく暇もなく、別の来客があたしに近づく。
豪華な鎧に身を包み、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべたハンターたちだ。
真昼間から酔っているのか、ぷんと酒の臭いがした。

「よぉ、お嬢ちゃんが噂の新人ハンターか?」

Re: モンスターハンター 蒼空を奏でる者 ( No.4 )
日時: 2012/06/01 21:48
名前: 麻香 (ID: qJ.SIQ7q)

「噂‥‥‥?」

あたしをここに運んできてくれた馭者さんも、あたしのことを「お嬢ちゃん」と呼んだが、この人たちの言葉には明らかに嫌気がこもっていた。
あたしを見下している。

「確かお嬢ちゃんの母親は、あの有名なラティーシャ・リルセットだろ?」

「‥‥そうですけど」

「どうせ親のコネでギルドに加入できたんだろ?お嬢ちゃんみたいな下級装備じゃ、このギルド<飛火竜>には入れないはずだ」

「ま、その有名なラティーシャってのも雷浪竜ジンオウガに殺られたって話だしなぁ!」

容赦なく浴びせられる皮肉。
あたしはその“真実”に言い返すことができなかった。

お母さんはこのギルド<飛火竜>のハンターで、男顔負けの強さで有名だってのは本当。
お母さんが生前に、友達だったこのユクモ村の村長さんと、あたしのギルド加入を約束していたのも本当。
あたしがギルド<飛火竜>に入るだけの実力がないのだって本当だった。

あたしの装備は、新人ハンターにだって倒せる毒狗竜フロギィの鎧。
対してこのハンターたちの装備は、多くのハンターの命を奪ったと言われる角竜ディアブロスの鎧。
けど。けど、お母さんを侮辱してほしくない。
お母さんとあたしは関係ないじゃん。

「大体、こんな若い女がハンターできるわけねぇんだ。どうせ、遊びのつもりで加入したんだろ?」

「‥‥‥っ」

握った拳が震える。
そんなつもりじゃない。あんたたちに何が分かるの。
喉元まで出かかった言葉は、声になることはない。

助けを求めるようにさっきの受付嬢の女の子を目で探して、あたしは固った。
女の子と目が合ったのだ。
あの愛想いい笑顔が全部嘘だったような、空っぽの無表情。虚ろで無機質な瞳。
なにも感じてない。あの女の子は、あたしが虐められていても、それを「風景」としてしか感じてない。
背筋がゾクリとした。

「おい、聞いてるのか」

ハンターたちに舌打ちされて、我に返った。
景色に色が戻ってくる。

「あ‥‥えっと」

「これだから女は。どうせそのご立派な轟爪【虎血】も、どっかから盗んできたんじゃないのか」

Re: モンスターハンター 蒼空を奏でる者 ( No.5 )
日時: 2012/06/02 17:48
名前: 麻香 (ID: qJ.SIQ7q)

頭に血が上るのを感じた。
あたしのフロギィフォールドのべルトに付けられた双剣。
確かに、フロギィの鎧のあたしに轟爪【虎血】は似合わない。
これは凶暴なモンスター、轟竜ティガレックスの希少な素材でできた双剣だから。

でもこれはお母さんから受け継いだもの。
喧嘩になったっていい。殴られたっていい。
お母さんはあたしの大切な人。このままじゃ嫌。

「‥‥‥女だから、なに」

「ん?」

「しょうがないじゃん。あたしだって女になりたくてなったんじゃない。あたしの性格が嫌いって言うなら直すよ。でも、直せないものだってあるんだし、しょうがないじゃん!」

口をついて言葉が流れ出す。
人が楽しいとき笑うように、悲しいとき泣くように、言葉は簡単には止まらない。

あたしは今まで19年生きてきた。
その間、一度も女であることを後悔したことはない。
それが当たり前だったから。変えられない事実だったから。
けど、このハンターたちのように、酷いことを言う奴はたくさんいる。人に、無理難題を押し付けようとする奴はたくさんいる。
それがたまらなく悔しかった。

「あんたたちは女が嫌いっていうけど、あたしはあんたたち「自身」が嫌い。男そのものを嫌う理由はないし。だから、さっさと消えて、低能の馬鹿男」

思いがけない暴言に、ハンターたちは唖然とする。
言われた意味がわからなかったのだろう。
だから低能って奴は。予想外の反撃を喰らうと、思考が停止する。
そして、そんな奴らが次にとる行動は————

「な‥‥この女ぁ‥‥‥っ」

顔を真っ赤にしたハンターが拳を振り上げた。
武器を取り出さないくらいの理性があったことは、素直に感心しよう。

固そうな拳が迫る。
あたしはぎゅっと歯を食いしばった。
後悔なんかしてない。言うだけのことは言った。
身体が傷つく程度の痛さなら、我慢できる。
だけど、心を傷つけられる痛さはどうしても慣れないからね。

だが、痛みが訪れることはなかった。


「おっと。人を暴力でねじ伏せようとするのは、負けを認めたようなもんだろう?」


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