二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.2 )
日時: 2009/11/26 15:54
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

   【第一章 偶然の中で】


№0   始まりの物語


雲ひとつ無い晴天。
その真っ青な空に、二人の少年が浮いていた—いや、立っていたのだ。姿形は鏡に映したごとくそっくり。どうやら双子のようだ。
赤い瞳の少年が言った。

「で?その……伝説の子っつぅのは?」

青い瞳の少年は、その問いには答えず、無言で左手の人差し指をたてた。少年が指を鳴らすと、次の瞬間には二枚の写真が握られていた。
ほんの一瞬。
まばたきほどの一瞬のうちに、だ。

「こいつさ。伝説の子、竜堂ルナ」

赤眼の少年は覗きこんでその写真を見る。
その写真のうちの一枚には、茶色の長い髪をもつ、あどけなさを残す少女が写っていた。
残るもう一枚。
それには、銀色の髪を赤いリボンで束ねた、真っ赤に光る、うずを巻く眼—うず目の少女が写っている。

「へぇ、うず目か……カムイ、こいつ邪魔だな」

カムイと呼ばれた青眼の少年は、口元に冷笑をうかべ、答える。

「そうさ、邪魔なんだよ。その女は」

「ガーディアンって奴らは? 」

「口ほどにも無い。ただのガキの集まりさ、ライガ」

「ひっで—」

赤眼の少年—ライガは、声を押し殺して笑っていた。しかし、やがて笑うのをやめて、顔を上げる。
その顔は、殺気を宿した笑みに変わっていた。

一陣の風が吹く。

そこにはもう二人の少年は居なかった。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.3 )
日時: 2009/11/02 09:17
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

>>2

パクッて無いです。
題名は似てますが、話の内容は全く違います。
嫌な気分になっていたのならすみませんでした。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.4 )
日時: 2009/11/02 11:19
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№01   夕暮れの公園


夕暮れの迫る街。
あむは、気まぐれで立ち寄った公園で、不思議な女の子を見ていた。
歳はあむより下。茶色の長い髪を持っていて、身長はそんなに高くない。
顔はあむのいる位置からは遠すぎて見えないけれど、人を寄せ付けるような雰囲気をしているのは分かった。
あむは、自分の周りをふよふよと飛ぶ、あむのしゅごキャラであるラン、ミキ、スゥに声をかけた。

「ねえ、あの女の子。どうして一人でいるのかな」

そう言うと、ランはあむの肩に座り、

「気になるんだったら、話かければいいんだよっ!話掛けられない子は、話せる子に、キャラチェン……」

「やっ、止めて!話しかけるから!!」

あむは冷や汗をたらしつつ、立ち上がった。

「あんた達三人は、静かにしててよね? 」

「はぁい」

激しく脈打つ心臓をなだめ、ゆっくり歩み寄る。ぼんやりとしていた少女は、近づいて来るあむの足音に気付いたのか、びくっと顔をあげた。
近づいてみると分かるのだが、その子は眼も大きく、色白で、かわいい顔つきをしている。

(すごっ、カワイイ! )

びっくりして声も出ないあむを不信に思ったのか、

「あの……? 」

少し遠慮がちに声を掛けてきた。

「えっと……今、一人なの? 」

「あ、ハイ。夕焼けが綺麗だったから、買い物帰りについ寄っちゃって」

見ると、確かに少女の足元には、スーパーの袋が置いてあった。あむは、大変なんだね、と声を掛けると、少女の隣に座った。

「この辺では見たこと無いけど。転校? 」

言った後、こんな質問、答えてくれるわけがない、と思って後悔した。

「ううん。親戚のうちに遊びに来たんです。えっと・・・・・・」

「あっ、ごめん、あたしは日奈森あむ。聖夜学園小の6年生。君は? 」

あむが訊くと、少女はにこにこと笑いながら答えた。

「竜堂ルナです。えっ……と、小5です」

小学5年生と言う事は、あむよりも一学年下だ。ややと同い年に当たるという事になる。

「一つ違いかぁ。よろしくね!敬語なんていらないから、いいよ」

「よろしく、ね。あむちゃん」

しばらく二人で笑っていたのだが、今まであむの後ろに隠れていたランたちが、ひょっこりと顔をだした。

(ラン、ミキ、スゥ!! 隠れててって言ったのに! )

その瞬間、ルナの笑いが止まった。
可愛らしい笑みから、驚きの表情へと。

(……まさか、ルナ)

悪い予感。

「あむちゃんの周りの……小さい人達、何……? 」

「!!!!!! 」

予感的中。
ルナは、ラン達が見えていたのだ!

(ど、ど、どうして———っ!? )

西の空の太陽は沈もうとしていた。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.5 )
日時: 2009/11/02 11:16
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№02   しゅごキャラを見れる少女



(ルナって、しゅごキャラが見えるの—っ!? )

予想外の出来事に、パニックするあむ。
ルナは、じぃっとあむを見つめている。

(ってことは、ルナはキャラ持ちなのかな。キャラ持ちじゃないとしゅごキャラは見れないハズだし)

そういう考えに至り、あむは思い切って訊いてみる事にした。

「あの、さ。ルナは——」

「ルナ! 」

言いかけたところに、あむとルナ以外の声が割り込んで来た。せっかく良いところだったのに、と思いながら声の主を見ると、開いた口が塞がらなくなってしまった。
ものすごい美人なのだ。
スタイル抜群で、テレビの中から抜け出して来たような女の人。

「スネリッ! どうして……」

「あなたが遅いから心配してたのよ。もう二時間も経ってるから」

スネリと呼ばれたルナの姉か母親……明らかに後者だろうが、あむに気付いたようだった。

「あなたは……? 」

「あっ、日奈森あむです! 」

スネリは、当たり前だがラン達には気付いていないようだった。

「じゃあね、あむちゃん。バイバイ」

「あっ、バイバイ……」

遠くなっていくルナを見送りつつ、あむは帰路についた。


翌日、放課後。
学校での一通りの授業を終えたあむは、ガーディアンの集まるロイヤルガ—デンにいた。
それは勿論、ルナの事を相談するためだ。
すでに他の皆—唯世、海里、やや、りまは席に着いている。

「あむちゃん、座りなよ」

唯世の声にはっとしてあむは席に着いた。

「日奈森さん、大事な話があると伺っているのですが? 」

座るやいなや、Jチェアの海里が声を掛けてきた。

「うん……実はね、昨日、竜堂ルナって女の子に会ったんだけど……」

「りんど—?変な苗字だね、あむち—」

テーブルの上に並んだクッキーを取りながら、Aチェアのややが言った。口周りは、クッキーのかすで汚れている。

「あたしも思った。でね、その子……しゅごキャラが見えるみたいなの」

「ええええええっ!? 」

ガーディアン全員大合唱。
普段静かな海里とりまでさえ声を上げた。

「その子はキャラ持ちなの? あむ」

「りま。違うみたいだったよ。キャラ持ちだったらそんな事聞かないだろうし……」

あむはあの時の事を思い出していた。
ルナは、嘘をついているわけではなく、本心から、心の底から訊いたのだ。周りにいる小さい人は誰、と。

「嘘をついている可能性も有る。その子はイースターの人間で、僕達に近づくために嘘を」

あむは絶句した。
そんな事無いと言い切りたかったが、可能性が無いとは言えないのだ。証拠なんてどこにも無いのだから。

「とにかく、一度その子に会ってみよう」

唯世は立ち上がると、

「あむちゃん、その子の家、分かる? 」

「もしかしたら、あの公園にいるかも。行こう」

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.6 )
日時: 2009/11/02 11:21
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

なんかグダグダ……
今日ぐらいしか来れる時無いんで、大量更新します。
一気に5話くらい。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.7 )
日時: 2009/11/02 12:00
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№03    夕焼け



案の定、ルナはあの公園で、夕焼けを見つめていた。そんなルナを、あむ達5人としゅごキャラ8人は物陰から見つめている。

「唯世くん、ほんとに行くの? 」

「うん。確かめてみないと分からないしね」

そう言うと、唯世は、あむの手を引いて歩き出した。

「皆はここにいて。あんまり行くと警戒される」

あむは、複雑な思いでルナを見た。こんな風に一人で、ブランコに座って夕焼けを見つめるルナは、どこか寂しそうだったのだ。

「ルナ」

「あっ……あむちゃん! 」

あむが後ろから声をかけると、ルナは満面の笑みで振り向いた。しかし、今日は唯世がいるので、昨日のような無邪気な笑顔ではない。

「始めまして、ルナちゃん。僕は、辺里唯世。あむちゃんのクラスメイトなんだ」

「始めまして。竜堂ルナです」

「ところで、ルナちゃん」

その様子を、あむははらはらしながら見ていた。唯世はガーディアンケープの中に隠しておいたキセキを左手に乗せると、ルナに見せた。

「これは何なのか分かるかな?」

重い沈黙—
その沈黙を最初に破ったのは、ルナだった。

「可愛い!王冠つけてる!あむちゃんが連れてた妖精?とおなじだね! 」

ルナがそう言うと、唯世はあむに耳打ちした。

「キャラ持ちなのか聞いてみて」

「ルナは……キャラ持ちなの? 」

再びの沈黙。
あむは、怪訝そうな顔つきをして、しばらく唸っていたが、やがてあむの眼を見て、

「キャラ持ちって、何? 」

と訊いてきた。
どうやらキャラ持ちでは無いらしい。

「だったらいいんだ。ルナちゃん、またね」

唯世はそう言うや、あむの手を引いて立ち去った。
ルナが不思議そうに首をひねっているのが気配でわかった。

「どうやら、違うみたいだね」

「……うん」




—その頃。
とあるおんぼろアパート「コーポ桃抜」に、大きなふくろうが入って行った。

「お帰り、もっけ」

もっけと呼ばれたふくろうは、大きく羽をひろげ、伸びをすると、少年の姿へと変化した。

「スネリ、ルナはまだなのか? 情報収集に行ったんだろ」

「まだって……今5時よ。すぐ帰ってくるわ。ところで、私、妖怪の気配を感じたのよ」

スネリがそう言うと、もっけは神妙な顔になり、その場に座った。

「とても強い妖気。すぐに消えてしまったけれど」

「やっぱり、妖怪がいるんだな」

「ええ……」

スネリともっけは不安げに顔を見合わせた。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.8 )
日時: 2009/11/02 12:02
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

桃抜は「ももばつ」と読みますよ〜。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.9 )
日時: 2009/11/02 12:34
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№04   妖怪の影

日は沈み、完全な闇となった街。
その中を、ルナは全力で走っていた。あむ達と別れた後、夕日が沈むまではと空に見入ってしまったのだ。
あの公園からここでの住まい「コーポ桃抜」までは片道40分もかかるのに。
あわてて公園を出たものの、秋の夕暮れは早く、あっという間に真っ暗になってしまった。

「はやく帰らなきゃ。スネリともっけが心配しちゃう」

と、その時—。

ダンッッ!!

ルナの右足のすぐ横に、拳ほどはあろうかという巨大な石が落ちたのだ。石が落ちたコンクリートの道は、大きくへこんでいた。

「なっ……何!?」

思わず空を見上げると、空に人が浮いていたのだ。驚いたルナが一歩退くと、人影は口を聞いた。

「へぇ。お前が伝説の子、竜堂ルナか」

「誰ッ!? 」

「さあな。俺に勝てたら—」

その人影が右手をかかげる。

「教えてやるよ! 」

右手から放たれた炎が、大蛇のようにルナに襲いかかる!

「……封印解除、第3の眼を開眼する! 」

とっさに変化して、飛び退いた。しかし、その人は全くの余裕さで、

「へぇ……避けられるのか」

といいつつ、何と空を蹴って突っ込んできた!あまりの早さに、避ける事ができない。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前! 」

とっさに九字を切り、結界を張った——はずだったのに。
人—いや、妖怪は、左手に妖力と念を込め、結界を破ったのだ!

(そ、そんな事って……!? )

呆然と立ち尽くすルナに向かって、その妖怪は言い放った。

「覚えておけ、伝説の子よ。俺の名は、ライガ」

ライガは両手を握りあわせ、何やら唱えると、ライガの両手から、一匹の龍が現れた。全身に炎をまとう赤い龍。
その龍は、かつて、港町でルナを噛んだカザンのように、ルナの肩に噛み付いた。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.10 )
日時: 2009/11/02 13:48
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№05    しゅごキャラ


「ん……?」

ルナは、ゆっくりと目を開けた。知らない家のにおいだ。ここはどこだろうと起き上がろうとした時、記憶が鮮明に甦ってきた。
真っ暗な夜道で、ライガと名乗る妖怪に襲われ、龍に肩を噛まれた事を。

「あっ、ルナ、起きた? 」

聞き覚えのある声だ。

「あむちゃん……? 」

「びっくりしたよぉ。帰ってたら、肩から血出して倒れてるんだもん。家近かったから連れてきちゃったけど」

あむは後ろ手でドアを閉めると、小さなテーブルの上に紅茶の入ったカップを置いた。

「どうしたの? あんな所で」

「あっ……りゅ、犬に噛まれてしまって」

あむに、龍に噛まれたと言う訳にはいかない。しずくに助けてもらった時と同じ言い訳をした。

「犬? それにしては傷が深かったけど……いいや」

「あのっ、助けてくれてありがとう」

あむにお礼を言った後、ルナははっとして目を見開いた。あむのそばに、あの妖精らしき人がいたのだ!ピンク色のチアみたいな子は紅茶のあたりをうろうろ、水色の画家みたいなのは机の上で絵を描いているし、緑の子はあむのまわりを飛んでいる。

「あ、あむちゃん!その小さい子たちは……? 」

ルナがそう聞くと、あむはヤバイ、という様な顔をした。そして、遠慮がちに口を開く。

「ラン、ミキ、スゥ……おいで」

「あむちゃん、お話しても大丈夫なんですかぁ〜?」

緑の子がそう言った。
ちゃらんぽらんの、ほんわかした声だ。

「ルナ。この子達はね、しゅごキャラって言うの」

「しゅご……キャラ? 」

「そう。このピンクがラン。こっちがミキ。で、スゥ」

「ラン、ミキ、スゥ……」

そこまで言ったとき、ルナははっとしてうなじに手をやった。第3の眼を封じていなかったはずなのに、りボンは結ばれている。ライガが結んだのだろうか?

「でね、しゅごキャラを持ってる人の事をキャラ持ちって言うの。ほんとは、キャラ持ち以外、しゅごキャラは見えないはずなんだけど……」

「でも、私、見えてるよ」

「そうなんだよね—っ。あっ、じゃあさ、ルナ!明日でも明後日でも、聖夜学園においでよ!いろいろ教えてあげるから」

一瞬、ルナは迷った。
どんな事を聞かれるのかと。でも、好奇心から行きたかったし、あの妖怪の手がかりになるかもと思った。

「じゃあ、明後日行く。いい? 」

「もっちろん!……あ、もう8時じゃん。ルナ、送ってあげるから、家教えて」

あむは、クローゼットから上着を取り出し、行こう、と行って部屋を出た。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.11 )
日時: 2009/11/02 14:34
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№06 不安


「コーポ桃抜」の前では、スネリともっけがルナを待っていた。

「もっけ! スネリ! 」

ルナは二人に手をふり、駆け寄った。
あむも後から続く。

「ルナ!? こんな時間まで何してたの!?」

「肩……怪我してるじゃねえか! 」

ルナの手をにぎるスネリの手は氷のように冷たく、何時間も探してくれていた事を表している。
改めてルナは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「ルナ、あいつは? 」

もっけがルナに聞く。
ルナははっとして、スネリともっけに説明した。

「あむちゃんは、私を助けてくれて、ここまで送ってくれたの。あむちゃん、ありがとう」

「あっ・・・いいよ、べつに。じゃあ、ルナ、お大事にね。さようなら」

あむは居心地の悪さを感じたのか、逃げるように帰って行った。

「助けたって……どういう事? 」

「スネリ……」

「とにかく、中に入ろうぜ。寒くて俺凍えそうなんだけど」

もっけは大袈裟に、寒さに震える真似をした。



「やっぱり、この街には妖怪が居るのね」

ルナの話を聞き終えたスネリは、今日、自分が感じた妖気の事を話してくれた。

「とても強いものだったのよ。タイと負けるとも劣らない、強い妖気」

「タイ君と……」

「俺はよくわかんねえけど、ルナが襲われた事と、スネリの感じた妖気は偽者じゃねえな。これからは気をつけねぇと……」

今日襲ってきた、ライガ。
あの巨大な龍をだせるほどの妖力というのは、一体どれほどのものなのか。
しかも、全然本気ではなかった。
しかし、ルナは不安を顔に出さずに、つとめて明るく言った。

「明後日、あむちゃんに呼ばれてるっていったでしょ?スネリともっけも一緒に行こうよ」

「えぇ。でも、しゅごキャラ、ねえ……」

「そんな生き物がいるなんてな」

「あら、もっけ。それなら私達だって人間からしたら驚きの生き物よ」

スネリは何気なく言ったのだろうが、
ルナは内心ドキリとした。

(私が半妖だって知ったら、あむちゃんはどう思うだろう? )

今まで何ともなかった肩が、考えるのを拒むように痛み始めた。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.12 )
日時: 2009/11/02 14:57
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

今日は更新止め—!

次回予告

№07   ×キャラ現る


ロイヤルガーデンでルナの事を話し合うガーディアン達。
そんな中、×キャラが現れて!?



ではまた次回お会いしませうm(__)m

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.13 )
日時: 2009/11/02 15:32
名前: 妃女癒 ◆Z6wPqy6LAk (ID: bL5odoON)

こんにちはー
まだ全部読んでないんですけど、とってもおもしろそうですね!
妖怪ナビ・ルナ持ってるんです!続き見るのが楽しみですー♪

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.14 )
日時: 2009/11/02 18:46
名前: 菜波 ◆yKzJi8KpJ2 (ID: .KGaIEvD)

あ……すみません。
小説読んでみて分かりました…。
全然……違いますね……
すみませんでした!!
話を1つも読んでなかった物ですから……
言い訳ですね。素直に謝ります。
ごめんなさい。


あ、後、あんな事を言ってしまった者が言うのも
なんですけど、感想を言わせてください。
面白いです!!あんな事を言ってしまって
すみません。よろしければ、
これからこようかと思うのですが……
ダメ……ですか……?

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.15 )
日時: 2009/11/07 10:24
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

いえいえ。
全然大丈夫ですw
面白いと言ってくれて嬉しいです↑
菜波さんの小説も面白いです。
これからも頑張って下さい!

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.16 )
日時: 2009/11/07 10:29
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

>>13

ありがとうございます!
頑張ります!

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.17 )
日時: 2009/11/07 11:05
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№07    竜堂ルナ




翌日—。
その日は、今月一番の寒さと言う事で、初冬に負けない程の寒さだった。
まだ秋も半ばなのに、これだけ寒いと言う事は、冬になったらどれだけの寒さになるのだろう。
あむとすれ違う人たちも、せわしそうに前かがみになって歩いていた。
通る道はまだ薄暗く、夜が明けきっていない事が伺えた。
まだ6時なのだから、当たり前だが。

「さっむ……」

「あむちゃん、何でこんなに早く学校に行くの? 」

あむのすぐ横に居た、ミキが話しかけてきた。

「う……ん。ルナの事で話し合うことになっちゃって。どうして皆そんなに疑うのかな」

昨晩、怪我をしていたルナ。
どこから見ても普通の女の子のようだったのに。
そんな事を考えているうちに、いつの間にか学校の前に来ていた。


「ルナって子を呼ぶ!? 」

所変わってロイヤルガーデン。
あむが昨晩、ルナを此処に呼んだ事を話すと、全員が大声をあげた。

「うん。だって、しゅごキャラが見えるんだよ。話してあげたほうがいいよ」

「だからって……」

りまが反論しようとした時、唯世の声が遮った。

「そうかも知れない。きちんとしゅごキャラの事を説明して……聖夜小に転校してもらうのがいいかも知れない」

「てっ、転校ッ!? 」

あむは驚いて叫んだ。
しゅごキャラが見えるってだけで転校なんて、それってルナに悪いよ。
そう思ったが、言えなかった。

「うん……場合によっては。もしかしたら、これからしゅごたまが産まれるのかもしれないし」

「でも……」

ルナの家は、と続ける事にたじろいだ。昨日見たルナの家、コーポ桃抜——この辺りでも有名なおんぼろアパート——に住んでいると言う事は、経済的に不自由なのかもしれない。一緒に住んでいるのも、兄と姉の二人のようだったし……

(そんな事、皆に言えない。ルナに悪いよ)

その時—

二人組みの少年が、聖夜小上空を横切ったのに、気付いた者はいなかった。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.18 )
日時: 2009/11/07 11:06
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

予告とだいぶ違いますね。
すみません;;
話が進みませんでした。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.19 )
日時: 2009/11/07 11:13
名前: 氷雨 (ID: 1fp0/ElW)

初めまして
すごく面白いです。
頑張って下さい。
あと、名前、なんて
読むんですか?

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.20 )
日時: 2009/11/07 11:18
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

氷雨さん、ありがとうございます!
私の名前は「りず」と読みます。
更新がんばります!!

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.21 )
日時: 2009/11/07 11:49
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

№08   狂い始めた歯車



「アレが……ガーディアン」

聖夜小の校舎屋上に、その二人組みは立っていた。
そう——カムイとライガだ。

「おい、ライガ。お前、勝手に伝説の子を襲っただろう。勝手な真似はよせ。下手に警戒されたらたまらない」

「へい、へい。でも、案外可愛かったぜ—、伝説の子」

カムイの注意を、馬の耳に念仏とでも言うように聞き流すライガ。
カムイは、呆れたようにため息をつくと、空中に右手を翳した。

「現れよ、捩れし者達」

その声に呼応したかのように、二人の周りに4匹の×キャラが現れた。

「行け! 」

カムイの声と同時に、×キャラ達はロイヤルガーデンへと向かった。



ガシャーンッ!!!


ロイヤルガーデンのガラスが割れる音。
と同時に、ラン達しゅごキャラがさけんだ。

「×キャラの気配だよ、あむちゃん!! 」

「はっ!?」

見ると、確かに×キャラ4匹、空に浮いていた。

「あむちゃん、りまちゃん、キャラなりを!」

唯世が叫ぶ。
あむ、りま以外は、キャラなりできないのだ。

「あたしのココロ、アンロック! 」

声を合わせて叫ぶと、あむの周りはピンクに、りまの周りは金に光り—やがて。

「キャラなり、アミュレットハート! 」

「キャラなり、クラウンドロップ! 」

キャラなりをした二人が現れた。
りまは両手を掲げると、

「タイトロープダンサ—! 」

現れた縄が、×キャラの周りをぐるぐると回る。

「あむ! 」

「OK! メガティブハートにロックオン! 」

あむは、ハンプティ・ロックの前でハート型を作り、叫んだ。

「オープンハート!! 」

「ッ……ムリィ——ッ!! 」

やがて×キャラは白く光り—……消えた。

「人騒がせな×キャラだよ……」

「ほんと」

二人はキャラなりを解くと、ため息をついた。
そんな姿を見つめるカムイとライガ。

「あんなもん? 」

「キャラなりが出来るのは二人だけか……」

カムイはぞっとするような笑みを浮かべ—…言った。

「消えてもらう」

と……。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.22 )
日時: 2009/11/07 11:51
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: gB.RcQK6)

忙しくて慌てて書きました:
すみません!
なんかグダグダです。
今日は落ちます。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.23 )
日時: 2009/11/09 15:29
名前: 妃女癒 ◆Z6wPqy6LAk (ID: bL5odoON)

お疲れ様です!
4〜5巻ぐらいの設定なんですか?
とても面白いですよー♪

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.24 )
日時: 2009/11/15 16:37
名前: ??? (ID: X6hSb0nX)

「おい、ルナ起きろ。」
頭の上でもっけが言った。

「・・・・・う〜ん、まだ7時半じゃない・・・・・」
ルナは、寝ぼけながら、いいかえす。

だが、
「今日は、『しゅごキャラ』とかいう奴を見に行くんじゃないのか?」
という、もっけの一言でとび起きた。

スネリが作ってくれた朝ごはんを食べ、みじたくをした。

玄関で、心配性のもっけが、
「本当におれたちは行かなくていいのか?」
と言っている。

ルナは、笑いながら
「大丈夫だよ。もっけ。」
と言った。

家を出て、約三十分。
「こ、ここが聖夜小・・・・・・」

ルナはそれらしき建物を見つけて、立ち止まった。

近くにいたおばさんに、確認してみたらやっぱりそうだった。

(それにしても・・・・・・広いなぁ・・・・)
入ってみて、そう思った。

どうしたらいいかと迷っていると、
「あ、ルナちゃーん!」
と、後ろから声をかけられた。

ふりかえると、
「あ、あむちゃん!」

「よかった。来てくれたんだね!」

「う、うん」
ルナはうなずいた。

「じゃあ、さっそくロイヤルガーデンにいこっか!」

「ロイヤル・・・・ガーデン?」

あむに、引っ張られていくと・・・・・・
「わぁっ!」

そこは、きれいな場所だった。

「す、すごい・・・・・」
そして、その真ん中に建物があった。

「ここに入って。」
あむに言われて中に入ると、中には4,5人の人と——————



「わぁ!妖精さんがいっぱい!」
その真ん中にある、机には妖精(?)がいた。




「すごいね!こんなにたくさん!」

無邪気な笑顔で、ルナはいう。





その時。
「へぇ・・・・・『伝説の子』はガーディアンと組んだみたいぞ。」
聖夜小の屋上で、ライガは笑った。
「ああ・・・・・それなら容赦はしない。」
カムイも冷たく笑う。

「—————いけっ!」
ライガとカムイはロイヤルガーデンに飛び降りた。


これからの、ルナの運命は?!

はたして!

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.25 )
日時: 2009/11/24 14:20
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

>>24

は私じゃありません。
IDが違うので分かると思いますが……。

今から更新します。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.26 )
日時: 2009/11/24 14:50
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№09   不気味な妖気  



あむ達が×たまと戦っていた、ちょうどその頃。
スネリは、とても不気味な—、黒い妖気を感じて起き上がった。ルナは隣で眠り、もっけはちゃぶ台の上で眠っている。
スネリは、後ろ足で器用に耳元をかき、イヤリングに触れた。人間の姿へと変化していく。

「気のせいだったのかしら? とても強い妖気だったのだけど……」

つぶやき、もう一眠りしようとしたが、時刻は7時を回っている。
丁寧に布団をたたみ、朝食をつくるために立ち上がった。

ルナともっけが起きたら、街を探索してみよう。
そう思いながら。


どれくらい経ったのだろう。
ルナは、食パンの香ばしい香りがして、目を覚ました。
ちゃぶ台には、スネリともっけの二人が人間姿で座っている。

「おはよう、スネリ、もっけ」

「おはよう、ルナ。ご飯を食べたら探索に行くわよ」

「はぁい」

ルナは大人しくちゃぶ台につき、手馴れた手つきでパンにジャムを塗った。
辺りにブルーベリーの香りが漂う。


「ルナ、もっけ」


今まで洗い物をしていたスネリがちゃぶ台の傍に寄り、深刻な面持ちになった。

「実は今朝、妖怪の気配を感じたの」

「……嘘」

「本当よ。ルナが襲われた事といい、あの強く不気味な妖気といい、その……何かこの街にあるとしか思えないの」

「あの、ライガとかいうヤツの事か」

もっけはちゃぶ台を人差し指でコツコツと叩く。

「恐らく。……とにかく、ルナ」

スネリはルナの肩をつかみ、自らと向き合わせて言った。

「今は秋よ。日が落ちるのも早いわ。夕暮れは、一人で行動しないこと。いいわね? 」

「わかった」

ルナが素直に頷くと、スネリは安心したように、ほっと肩を撫で下ろした。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.27 )
日時: 2009/11/24 14:59
名前: 漆黒薔薇 (ID: oKUd13y.)

うわぁ!しゅごキャラはマンガ全巻もっててナビルナも小説、マンガ全部もってるんですぅ!
面白い!頑張ってください〜私もしゅごキャラ描いてる漫画家さんのマンガローゼンメイデンというのの小説を書いてます!
小説ではないような・・・ですが(笑)
知ってるかな?

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.28 )
日時: 2009/11/24 15:03
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

コメントありがとうございます!
「ローゼンメイデン」
名前だけなら知ってます。
すっごく人気なんですよね!

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.29 )
日時: 2009/11/24 15:19
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

続きは明日・または一週間以内に更新します。
幸い、学級閉鎖中なので!!!
今日もう一話更新するかもしれませんが……
これからも宜しくお願いします。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.30 )
日時: 2009/11/24 18:27
名前: 氷雨 (ID: 1fp0/ElW)

来ました。
学級閉鎖ですか。
羨ましい(ェ
私の学年は、
三組がインフル12人で閉鎖中です。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.31 )
日時: 2009/11/26 09:33
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

>氷雨さん

コメントありがとうございます!
インフル12人ですかっ;;
私の所は10人ですよ!!

今から更新します。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.32 )
日時: 2009/11/26 09:59
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№10   聖夜学園



翌日。
太陽が西の方角に傾き始めた頃。

「行くぞ、ルナ」

小さなふくろう姿と猫姿に変化したスネリともっけは、小さなタンスからコートを取るルナに声をかけた。

「わっ、今行く!」

聖夜小学校までは、片道40分。
学校に着く頃には4時頃になっているだろう。
ルナは、小学校までの細い路地を通りながら考えていた。

(どんな事を聞かれるのかな。私が妖怪だって事……話す事になるのかな? )

そんな事を考えるうちに、聖夜学園…と思われる建物に着いた。

「こ、これ、お城じゃないよね」

「そうみたい……よ?」

小学校というよりは、ヨーロッパの城という方が相応しい外見だった。

「あっ……ルナ—!」

聞き覚えの有る声がして、振り向くと、あむが校門から駆け寄って来るのが見てとれた。

「あむちゃん!」

あむは、ルナの両手に収まっているぬいぐるみらしきもの(スネリともっけ)を見て、首を傾げた。
それを感じ取ったルナはあわてて、

「あっ、お気に入りのぬいぐるみ(?)だから」

「そうなんだぁ。かわいいね。行こうか」

あむはそう言うと、ルナの手を引き、学園へと連れ行った。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.33 )
日時: 2009/11/26 10:32
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№11   ロイヤルガーデンで


ロイヤルガーデンへと案内されたルナは、さらに絶句した。
ガラス張りかプラスチック張りか分からないけれど、とにかく綺麗で、それこそ豪邸のような建物だ。

「こっち、こっち」

あむに手を引かれ、中に入ったルナは、思わず「綺麗」と呟いた。
周りには丁寧に整理された植物が生い茂り、その真ん中には白いテーブルがある。
そのテーブルを、5人の男女———ガーディアン———が囲んでいた。

「みんな—!ルナ来たよ—っ」

ガーディアンの皆としゅごキャラに注目され、緊張するルナ。
ルナの手の中のスネリは、それを敏感に感じ取ったようで、小声で言った。

「ルナ、挨拶よ」

「あのっ……竜堂ルナです。よろしくおねがいします」

すると、この間、ルナに公園で声をかけた男の子が立ち上がった。

「ようこそ、ルナちゃん。僕は辺里唯世。覚えてるかな? 」

「あ、覚えてます」

「よかった。ここの椅子に座って」

唯世は、白い椅子の一つにルナを座らせた。
隣にあむも座る。
その後、一人ひとりが自己紹介をしてくれた。

「自己紹介も終わったところで。ルナちゃんはしゅごキャラが見えるんだよね」

唯世は、テーブルの上のしゅごキャラ達を見て言った。

「はい。でも……しゅごキャラって何なんですか? 」

「しゅごキャラはなりたい自分なんだよ」

唯世に変わって、結木ややと名乗った子が言った。

「なりたい……自分? 」

思わず胸元のペンダントを握り締めるルナ。

「そう。こうなりたいって強く思った時に産まれたんだぁ」

「それって……私にもあるんですか!? 」

なりたい自分。
そういった物が自分にもあるのかと思うと、胸が弾んだ。
その時、あむのしゅごキャラ、ランがルナの目の前に浮かび、言った。

「きっと居るはずだよ!だってルナちゃんの眼はキラキラしてるから」

「ありがとう」

無邪気に笑うルナ。
その無垢な笑顔に、あむ達もつられて笑顔になった。





「伝説の子にガーディアン。まさに飛んで火に入る夏の虫だな、カムイ」

「今は秋だぞ……?まあ、いい」

カムイは前髪をかき上げる。

「行くぞ——、ライガ」

二人は屋上から飛び降りると、ロイヤルガーデンのガラスを割った。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.34 )
日時: 2009/11/26 11:25
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№12   カムイとライガ



ガシャーンッ!!!!


「なっ、何!? 」

椅子から立ち上がり、音のした方を見るあむ達。
つられて見たルナは、思わず息を呑んだ。
割れたロイヤルガーデンの壁—、その前に、両手を突き出した二人組みの姿があった。

「ライ……ガ」

一人は、ルナを襲った張本人、ライガだった。
もう一人はライガにそっくりだったけれど、青い眼をしていた。

「誰だ!お前達は! 」

唯世が叫ぶ。

「おぉコワッ。威勢だけは一人前」

「何だと!? 」

ルナは小声で、スネリともっけに話しかけた。

「あの赤い眼の人だよ。私を襲ったのは……」

「俺でも分かる。あの二人の妖気は、ハンパじゃないぜ」

もっけが呟く。
その時、あむがルナの前に立ち塞がった。

「あむちゃ……」

「大丈夫だからね、ルナ」

カムイとライガは、二人同時に両手を掲げた。
瞬間—、カムイからは水が、ライガからは炎が放たれる!

「皆っ、ふせるんだ! 」

唯世の声でふせた瞬間、ルナ達の髪すれすれを炎と水が掠った。

「ルナ、何を見ても驚かないでね」

そう言うや、あむは叫んだ。

「りま! キャラなり! 」

「キャラ……なり……? 」

聞き慣れない言葉に、ルナの心臓は早鐘を打つ。
あむとりまは両手を胸の前で形づくり、唱えた。

「あたしのココロ、アンロック! 」

その瞬間、金と桃色の光に、あたりが覆われた。
その二つの光は、やがて弾けるようにして消え——……。

「キャラなり!アミュレットハート! 」

「キャラなり、クラウンドロップ—……」

いきなり変身した二人に、ルナは呆然とした。
ふたりは妖怪ではない。
それは、スネリの鼻が証明してくれる。
すると、カムイとライガの二人は、外に飛び出した。

「待て! 」

慌てて唯世達も追いかける。


一足先に外に出たあむとりまは、カムイ、ライガと対峙していた。

「あんた達は誰なの……!?イースターの奴らなの? 」

「イースター? 知らねぇな」

「俺達は妖怪」

あむたちも、妖怪という言葉に首を傾げた。
そこへ、唯世、やや、海里、ルナが到着する。

「妖怪って……? 」

「知らないのか。じゃあ教えてやるよ! 」

カムイは片手を掲げ、空を切るように振り下ろした。
瞬間、水が錐のようになって、向かって来た。

「くっ……」

とっさにジャンプして、避ける二人。
その時、唯世は叫んだ。

「キャラチェンジ! 」

「えっ? 」

ルナの目の前で、ガーディアン達はキャラチェンジを行った。
海里は振り向きざま、ルナに、

「ルナ殿は、そこにいてください」

と声をかけ、走っていく。
ルナは、次つぎと起こる出来事に混乱し、立ち尽くしたままだった。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.35 )
日時: 2009/11/26 12:15
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№13    迷い


「ハートロッド! 」

唱えたあむの左手に、ハートロッドが握られる。

「スパイラルハート!! 」

ロッドはあむの手を離れ、光の弧を引きながら、カムイの元へと飛ぶ。
しかし—……。

「ダセェ」

ライガはロッドを掴み取り、真ん中で二つに折ってしまった。
折られたロッドは淡い光を残し、消滅した。

「ホーリークラウン! 」

唯世の声と共に、杖から黄金の光が現れ、カムイを襲う。それを見たカムイは、一瞬冷笑を浮かべた。
カムイは両手を突き出すや、薄い水の膜を張り、攻撃を跳ね返す!

「くっ、うわぁっ!」
 
「K!大丈夫ですか!?」

倒れた唯世に駆け寄る海里。

「三条君、後ろ——」

海里の背後に、水の錐が迫る。
とっさに唯世は杖を使い、間一髪で防ぐ。
その光景を、ルナは呆然としながら見ていた。

(私はどうしたらいいの!? うず目になれば私が妖怪だってみんなが知ってしまう! )

しかし、カムイとライガが狙うのはルナだけのはずだ。
皆を危険な目にあわせるなんて、まっぴらごめん。
心配そうに見上げるスネリともっけにうすく笑いかけた、その時!
ルナの目の前に、ライガの放った炎が向かっていた。
駄目だと思って目を閉じた。
しかし、炎をルナの間に、あむが割って入ったのだ。
ハートロッドを盾にして。

「あ、あむちゃ……」

ライガの放った炎が止むと、あむはその場に膝をついた。

「あむちゃん!! 」

「ルナ、大丈夫……? 」

幸い、命に関わるような怪我はないが、両手に少し火傷を負っていた。

「ルナ、危ないから逃げて」

そう言って立ち上がったあむを見て、ルナはあの日と同じような感覚が甦った。
かまちと戦った日、妖力が目覚めた日の感覚。
ルナは意を決すると、スネリともっけを下ろし、立ち上がった。

「……ルナ、いいのね」

「うん」

頷くと、ルナはりボンに手を掛けた。

「封印解除、第三の目を開眼する! 」

瞬間、ルナの瞳は真っ赤なうず目に、髪は銀色へと変わる。
それを見たカムイとライガは、面白そうに笑った。

「……伝説の子、竜堂ルナ」

ルナを見て驚くあむにうすく微笑むと、一歩歩みだした。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.36 )
日時: 2009/11/26 13:31
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№14    夕暮れの中で  



「ル……ルナ……? 」

大きく瞳を見開き、呟くあむ。

(伝説の子?何それ……)

銀色へと変色したルナの髪が風になびく。
皆も戦いを止め、こちらを凝視していた。

「あれは……キャラなり? 」

カムイと対峙していたりまは、消え入りそうな声で呟いた。
ルナは、一度目を閉じ、大きく深呼吸した。

「ごめんね、あむちゃん」

「えっ? 」

その瞬間—、ルナは常人のものとは思えないジャンプをした。
キャラなりしたあむのような、高い高いジャンプ。
ルナは植えられている木に飛び乗ると、カムイ、ライガと向き合う。

「やっと力を使う気になったか」

「あなた達は誰? 何故こんな事をするの? 」

訊くや、カムイは口元に笑みを浮かべた。
残酷な笑みだ。

「エンブリオ」

ルナには聞き慣れない言葉だったが、あむ達は目を見開いた。
唯世と海里は顔を見合わせる。

「エンブリオ? 」

「どんな願いも叶える魔法のたまごさ。そう……お前が昔探していた悠久の玉と同じような物だ」

「悠久の玉! 」

それは、かつて、ルナが探していた物だった。
今ではすでに見つかり、夜鳴島に祀られているはず。
動揺して、震えてくるのを必死に堪えた。

「そのためには、お前は邪魔だ。伝説の子! 」

カムイが突き出した両手の平から、水の龍が現れる。
それは鋭利に尖った牙を剥き出し、ルナに向かってくる。

「ルナ! 」

地上にいたスネリともっけは、本来の姿に変化した。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前! 」

とっさに九字を切り、結界を張る。
水龍と結界がぶつかった衝撃波は、あむ達の元へも届いた。

「すごい……」

カムイの水龍と、ルナの結界のぶつかり合い。
ルナが危険を感じた時、攻撃が止んだ。

「今日は様子見」

続いて、おどけた調子でライガが言う。

「なかなかやるじゃん、伝説の子。……でもね」

一度そこで言葉を切ったライガは、笑みを浮かべて言う。
今までとは違う、凶器が見え隠れした笑顔。

「あんまり邪魔するなら、次はどうなるか知らないよ」

ルナは、その場の温度が下がったように感じられた。

「行くぞ、ライガ」

カムイとライガは服の裾を翻し、煙のように消えていった。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.37 )
日時: 2009/11/26 14:51
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№15     全て告白



ルナは、カムイとライガが消えてしまったのを確認してから、木を降りた。
ルナが地上へと降り立つや、キャラなり、キャラチェンジを解いたあむ達が駆け寄ってきた。

「ルナ……」

ルナはぐっと唇を噛み締める。
皆の視線が痛かった。

「どういう事? 」

どこからどこまで説明したらいいのか分からず、ルナは助けを求めるようにスネリともっけを見た。
本来の大きなふくろうと猫に変化していた二人は、人間姿へと変化した。

「えぇ〜!? 猫ちゃんとふくろう君、変身しちゃったよ!?」

大騒ぎするややの後頭部を、バコンとりまが叩く。

「五月蝿いわよ、やや」

「痛いよぉ、りまたん〜」

騒ぐややを尻目に、もっけは言った。

「もう隠せないな」

「隠せない? どういう事? 」

ルナは、髪を結い上げていたりボンをほどき、再びうなじに戻す。すると、髪も目の色も、元に戻った。

「ルナ、説明してくれるよね」

ルナの目を真っ直ぐに見て訊くあむに、ルナは素直に頷いた。



           ※


再びのロイヤルガーデン。
全員が椅子につくと、重い沈黙が辺りを覆った。
その間も、視線はルナに向けられたまま。
あむは居ても立ってもいられなくなり、声をだした。

「ルナは……その、妖怪……なの? 」

「……うん。えっと……」

ルナは、助けてほしいと言うように、スネリともっけを見た。

「ルナは、人間のお父さんと妖怪のお母さんの間に産まれたんだ」

もっけが説明すると、考え込むようにしていた唯世が訊いた。
少し遠慮がちではあったが、よく通る声で。

「あの二人は、ルナちゃんの事を伝説の子と読んでいました。伝説の子って……? 」

「言うまでもなく、ルナの事よ。あの二人が何故ルナの事を知ったかは分からないわ。そして、何故ルナを狙うのかも」

あむは、そういえばとさっきの戦いの事を思い出していた。カムイはルナに、「やっと力を使う気になったか」と言っていたし……。
あれは、ルナが力をつかうのを狙っていたとしか思えない。

「スネリさん、もっけさん。ルナちゃんをこの学校へ転校させてくれませんか? 」

「———————は? 」

唯世の突然の言葉に、あむ達は驚いて、ぐうの音も出なくなってしまった。

「あの二人は、エンブリオを手に入れるのに邪魔なルナちゃんを狙っているんですよね。だったら、僕らのいる此処に転校してもらった方が安全だとおもうんです」

確かに一理ある意見だった。
ガーディアン達もあむ以外は賛成していたし、普通ならそうするだろう。
しかし、ルナ達の場合、そうするには問題があった。
お金の問題だ。
この小学校の事だ、学費は高いだろう。
それに、ルナは半妖。
まわりにバレないとも限らない。
ルナも学校には通いたかったけれど、妖怪の血が混ざっている以上、そういうわけにはいかないのだ。

「考えさせてくれないかしら。とりあえず、明日、また返事をしに来るから」

ルナ達はそういうと、ロイヤルガーデンを出た。

Re: しゅごキャラ!×妖界ナビ・ルナ ( No.38 )
日時: 2009/11/26 15:41
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: ZB358Aub)

№16    満月 


ルナ達が「コーポ桃抜」に帰って来た頃は、すでに夜空には星が広がっていた。
そして、東の空には、満月がぽつんと浮かんでいる。

「ルナ、窓閉めなさい。風邪ひいちゃうわよ」

「はぁい」

答えてから、ルナは窓を閉めた。
それから少し経って、焼き魚の食欲をそそるにおいが漂ってきた。
やがてスネリが焼き魚を運んでくると、3人は無言でちゃぶ台につく。
最初に口を開いたのは、もっけだった。

「転校の件だけど……スネリとルナはどう思う? 」

スネリは持っていた朱色の箸を置いた。

「ルナの安全を考えると、その方がいいかもね」

「俺もそう思う。俺たちがずっとずっとルナについておく事は、無理に近いから」

「そうね……転校は、早くても3日後、かしら? 」

「ちょっと待って! 」

それまで二人の会話を黙って聞いていたルナは、思わず叫んでいた。
拳を握り締め、二人に訴える。

「私の為とか、そんなんじゃないの。私が思っているのは、お金とかの事なのよ。私の為に、二人に迷惑かけるなんて、そんなの嫌だよ! 」

「ルナ……」

もっけとスネリは顔を見合わせ、唇の動きだけで会話した。この位置はルナからは見えないから、二人の会話が漏れてしまう事は無い。

『どうしましょうか』

『まあ、お金の問題もあるけど……この町にいるのも、そんなに長くはないだろう。ルナが学校に行っている間、少しの間だけ働けばいいだろ』

『そうね』

二人は読唇術による会話を止め、ルナに向き合った。

「ルナ。お金の事は全く問題ないわ。あなたは心配しなくていいから」

「……でも……」

ルナは、そんな事ない、嘘をつかないでと言おうとしたが、二人の真剣な表情を見て、反論するのを止めた。

(これからは、おやつや私の分のご飯の量を減らそう)


           ※


翌日の夕方。
ルナ達は、ロイヤルガーデンへと向かった。
唯世達は昨日と同じように迎えてくれた。

「それで、転校の件は? 」

ルナはスネリともっけの顔を見る。
二人が静かに頷くと、握り拳をつくって言った。

「次の月曜日から、この学校に転校します」

言った後、ルナはあむと目が合った。
あむは、

「本当にいいの? 大丈夫なの? 」

と言う様な目つきをしていた。
あむに微笑みかけて、再び真っ直ぐ前を見る。

「だったらガーディアンに入らないといけないね! 」

あむのしゅごキャラ、ミキが言う。

「歓迎するぞ!庶民よ」

続いて唯世のしゅごキャラ、キセキが言うが、ルナはあえてスルーした。

「よぉし、だったらルナたんの歓迎パーティをしよう! 」

テーブルに足を乗せ、演説気味にいうやや。
その姿にルナは思わず吹き出してしまった。
そんなルナにもっけとスネリは顔を見合わせ、静かに笑うのだった。