二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.1 )
- 日時: 2009/12/10 23:23
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11516
第一話 スパイラル ジェラシー
俺だって普通の男子高校生だ。宇宙人、未来人、超能力者、そして異世界人なんてのが、ひょいと現れてくるそんな非日常な妄想を淡く広げることもある。しかしながら、それが実現と化している現在、俺は妄想なんて可愛げのある言葉を引用したりしない。
俺の高校ライフはすでに狂い出している。
ある冬空が際立つ肌寒い日、クリスマス2日前のこと。
「起立! 礼! 」
威勢のいいクラス委員長の挨拶に合わせつつ、今日の放課後が始まった。普通の高校生ならば、部活や生徒会にと青春を謳歌する時間が開始されるわけだが、どうにも俺はそれを実感できない。なぜなら……
「ほらキョン! 何ボサッとしてるの! 部活行くわよ! 」
この冬枯れの季節とは真逆を遡る陽々としたハルヒのテンションには正直ついて行けない感があるからだ。
「やれやれ……」
ため息と一緒に口癖がこぼれた。
「何しょげってるの! 暗くなってちゃ人生の底が見えちゃうわよ! 」
誰のせいで暗くなってると思ってるんだ?
「余計なお世話だよ」
俺はハルヒの言葉をつき返した。
「全く、心配してあげてるのに……」
ハルヒはむっとしながら言う。
幼馴染が恥ずかしげに言うセリフみたいだな。
「そりゃどうも……」
俺は遠い目で礼を言い、席を立った。
「早く部室に行かないとみくるちゃん達待ってるわよ? きっと」
ハルヒは俺をせかす。
「お前が人のために時間を急ぐことなんてあったか? 」
疑問に思ったことがつい口から出てしまった。
「うっさい! いいから行くの! 」
「お、おい! 」
イラ立ちが募ったのか、ハルヒは俺の首根っこをつかみ、一気に部室へと走って行く。
「痛い!痛い!痛い!」
ハルヒは俺をかまうことなく突き進んで行くため、床を跳ねるは、壁に激突するはでもうボロボロ……
素直に急げば良かった。
「到着ー! 」
ハルヒがそう言う頃には俺はボロ雑巾のようにホコリとアザまみれだ。
「久々とはいえ、このシュチュエーション。手加減一切なしだな……」
朦朧とする意識のなかで、俺は必死にハルヒの反省を要求した。
「だらしないわね……それでも男?」
しかし、ハルヒは反省するどころか罵倒してきた。
「ほら、入るわよ? 」
床にうつ伏せている俺を全く気にする様子はない。
「へいへい……」
俺は渋々起き上がってドア越しのノックをした。ところが——
「…………」
返事がない。
「あら、誰も居ないのかしら? 」
「どーだか……」
物怖じせずに俺はドアノブに手をかけ開けた。
「有希! 居るなら返事くらしなさいよ! 」
ハルヒは俺には決して向けない笑顔で長門に言った。
笑顔と言えば、朝比奈さん……今日は何か特別な用事でもあったのだろうか。いつもなら俺達よりも先に来ているのに……
古泉も……——アイツどうでもいいか。
「ん? 何これ? 」
ハルヒはテーブルの上の物に目を向けた。
「ドアに張り付いていた」
長門は相変わらず本から目を離さずに淡々と短い言葉のみで話す。
「封筒か……?」
俺はハルヒが手に取ったソレらしき物を見つめた。
「あら? これキョン宛よ……! 」
「俺……?」
何とも素っ頓狂な声が出た。
「何? ひょっとしてラブレター? 」
むっとした表情をしながら、ハルヒはその封筒を俺に渡した。
「だったらいいよなー……」
以前、朝倉から手紙をよこして殺されかけたこともあったからか、妙に身体がおぼつかず、封を切る勇気が出ない。
「何やってんの! よこしなさい! 」
ハルヒは封筒を奪いビリッと封を破った。
「おいッ」
俺は返せと言わんばかりに俺は手を伸ばすが、
「もし、これがラブレターだったらどうすんのよ! 」
ハルヒは厳として封筒を渡さない。
「ラブレターだったら何だってんだよ! お前には関係ないだろ! 」
俺は軽い気持ちでそう言いはなった時、ハルヒの動きが一瞬、完全停止した。それを見越した俺は……
「そりゃッ」
その隙に封筒を取り返そうとした。しかし、瞬間的にハルヒの手のひらが、封筒ごと俺の頬を撃った。酷く良い音が部室の響く。
「何しやがる! 」
俺は今までにないほど怒鳴った。
「バカキョン !! 」
俺の怒鳴りよりはるかに大きな声でハルヒは叫び散らし、どこかへ走って行ってしまった。
「ハルヒ……? 」
わけも分からず、俺はただ呆けていた。すると——……