二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.2 )
- 日時: 2009/12/10 23:25
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11516
「キョン君……」
涼やかな声と共に現れたのは
「朝比奈さん」
振り向くと、何とも言えない表情を浮かべた彼女がいた。
「どうかしましたか? 」
俺はその表情に不安を覚え、質問を試みる。
「ごめんなさい、さっきのやり取り聞いてました」
朝比奈さんはペコリと頭を下げて言った。
「いえ、別にそんな……」
しかし俺にはなぜ朝比奈さんが謝ったのか分からない。
「……あの! 涼宮さんに謝りに行かれた方がいいと思います! 」
普段の彼女よりも、やや緊張した声が響く。
「え? 」
俺は何かハルヒにまずいこと言ったのだろうか?
「気付きませんか? 」
朝比奈さんはあちこちに目を反らす俺を見て察したのだろう。
「丸一年も一緒にいて『関係ない』って言われたら私だって……ッ!」
「……ッ !!! 」
ここに来て俺はようやく気付いた。
「それに、涼宮さんは……ッ! 」
朝比奈さんは涙ぐんでしまい話の折がつかなくなってしまったが、俺にはそれで十分だった。
「ありがとうございます。朝比奈さん! 」
そう言って俺はドアの方向へ足を向けた。
「はい」
朝比奈さんは涙を手でぬぐい、笑顔を含んだ表情で答えてくれた。
「行ってきます! 」
ドアに手を掛け、出ようとしたその瞬間、俺を止める言葉が入った。
「待って……」
長門だ。
「何だ? 長門……」
すぐにでもハルヒを追いかけたい俺は早口口調になりながら、応答した。
「一応、封筒の中身を確認したほうがいい……」
長門は本から目を離し、俺に訴えた。
長門なりに俺を気遣ってくれているのか。
「確かに……」
考えてみれば、俺の暴言から始まったいざこざだ。封筒の中身がラブレターでないことが分かればハルヒの立ち直りも早いだろう。
「でも、本当にラブレターだったら? 」
ところが朝比奈さんはネガティブに言う。
「……まぁ万が一にもそれはないでしょう」
状況が状況だけに正直に言ったらモテない自分が哀しくなってしまった。
俺は苦笑いを浮かべながら、ハルヒが破った封筒の中身を調べる。
中に入っていたのは、一枚の手紙だ。
「『これから起こることに関して、あなたは一切傍観者の立場でいないで欲しい。これは警告』」
俺は声に出して読んだ。
「……つまり、えーと……長門?」
俺は疑問の矛先を長門に向けた。しかし……——
「これを見て涼宮ハルヒがどう思うか、それはあなたが考えるべき。私に酌量の余地は無い」
ごもっともだ。
「そうだな。サンキュ長門、それに朝比奈さんも……」
俺は礼を言って、その場から退散した。正直、俺が長門に聞きたかったのはハルヒの心ではなく、手紙の意味だったのだが……
しかし、この際優先順位は固まっているのだ。今はハルヒの下へ!
「頑張って下さーい! 」
後ろから、朝比奈さんの応援が聞こえたが、俺は振り返らず一目散に走った。