二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バトル・テニス-バトテニ- ( No.24 )
- 日時: 2009/12/24 19:34
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
【四章】 -地獄-
地獄の幕開け。
強くなったつもりでいた。
仲間を守れるだけの強さを手にしたつもりでいた。
地獄では、この強さは通用しないのだろうか。
信頼という名の強さだけでは、この地獄で生き残ることはできないのだろうか。
時には・・・非情な決断をする強さも、必要なんだろうか。
38 地獄の幕開け
「幸村、部長・・・ッ」(赤也)
赤也が呟く。
その声が聞こえたのか、幸村はゆっくりと香澄達を見た。
「やァ、赤也。 それと青学の皆。 なんだか、久しぶりだね」(幸村)
言っていることとやっていることが違う。
言うことはいつもの幸村だ。
優しくて綺麗な声。
だが、幸村の前で倒れているのは・・・ 手塚だ。
「幸村さん、あなたが・・・リョーマと部長を・・・?」(香澄)
そんなことは訊かなくても一目瞭然だ。
倒れている2人と、アイスピックを持ち血まみれの幸村を見ればすぐに分かる。
でも、香澄は訊いた。
本人から、事実を聞きたかった。
「そうだよ」(幸村)
血まみれの姿に似合わない笑顔で、幸村は言う。
「そんな・・・ッ」(桃)
桃は、小さく舌打ちをした。
この人は何故、笑顔なんだろうか。
人を殺し、傷つけているのが分かっていないのだろうか。
香澄と同じ笑顔なのに、何故ここまでも違うのだろうか。
その笑顔が、何故こんなにも寂しそうに見えるのだろうか。
「テメェ・・・部長になにしやがんだッ!!」(海堂)
海堂はこみ上げる怒りを抑えきれなかった。
なりふり構わず、幸村に素手で殴りかかった。
「止めろッ 海堂!!」(桃)
「海堂ッ」(香澄)
2人の声なんて聞こえない。
ただ許せない。
俺たちの部長を、心の支えを、青学の柱を、コイツは奪いやがった。
「君たちも・・・助け合って生きるのかい?」(幸村)
「何?!」(海堂)
幸村は海堂の腹を思いっきり蹴る。
「クッ・・・」(海堂)
蹲る海堂を、更に痛めつけようと包帯を巻いている腕を蹴った。
それは、始めに乾に打たれた傷だ。
「止めて! 幸村さん!」(香澄)
「香澄は、ここで越前を守れ」(桃)
「桃?!」(香澄)
耐えきれなくなった桃も、幸村へと襲いかかる。
今度は、アイスピックを桃の喉元へあてた。
「・・・ッ」(桃)
もう幸村に笑顔なんてなかった。
悲しく寂しい瞳に、桃が映る。
「殺すよ?」(幸村)
「野郎・・・」(桃)
ここまで、あなたの心が荒んでしまっているなんて。
「ここまでバカだったとわね。 がっかりッスよ、幸村部長」(赤也)
赤也も飛び出す。
2人を相手にしないといけなくなった幸村は、ひとまず桃の喉元から手を引いた。
そして、2人を相手に戦い出す。
血が飛ぶ。
鈍い音も聞こえる。
・・・地獄だ。
戦うあなた達と、役立たずな私。