二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 悪ノ召使 勝手に妄想 ( No.6 )
日時: 2010/02/13 17:15
名前: リリアン (ID: glXVlHlM)

「レェェェェェ———ン!!!」

 そう怒鳴ったのは、他にも無い、リン王女だ。

「お呼びでしょうか?リン王女様。」
「レン・・・前々から思ってたんだけど、あなた、私によく似てるわ。」

(ギクッ・・・)

「あっ、そうですね・・・。」
「そこで、あなたにやってもらいたい仕事があるの。」

(ふぅー。)

 一瞬、双子である事を気づかれたかと思ったが、そうではないようだ。レンは、肩をなでおろした。

「何でしょうか?」
「今日の五時、村娘のメイコが、ここに来るわ。だから、あなたには、私の代わりに出てほしいの。」
「はい?」
「大丈夫。フードをかぶればばれないもの。万が一、あなたが危険な目にあっても、衛兵をつけておくわ。それに、レンなら剣術も出来るわよね。」
「はい。仰せのままに、リン様。」

 レンは、丁寧に会釈をする。

「あっ、それと・・・。」
「はい。」
「今日のおやつ、とってもおいしかったわ。さすがレンね。」

 リンが笑う。レンも、それを見ると嬉しくなった。

「恐れ入ります。リン様。」

 そういうと、レンは早速フードをつきのマントをかぶった。そして、フードの中に隠すように件を身につけると、国民と会話をする部屋に向かった。

 部屋には、もうメイコが来ていた。まだ、四時半だというのに、よっぽど話したいことがあったのだろうか。

「来たか。リン王女。」

 リンの言ったとおり、全くばれていない。レンは、少し楽しくなり、リンの声をそっくり真似て、しゃべった。

「何のようかしら?メイコ・サキネ。」
「言わなくても分かるだろう?税だ。税が多すぎて、私達は生きていけない。この国の頂点に立つ者なのであれば、国民のことくらい考えろ。」

 レンは、一つ一つのリンの行動を思い出して、次にリンならどうするか、考えた。
 そしてレンは、フッと鼻で笑うと、馬鹿にするような声で言った。

「王女という薔薇の周りに咲く、汚れた哀れな雑草は、王女の養分となって朽ちていけばいいのよ。」
「何だと?!こいつっ、成敗してやる!」

 メイコは、剣を構え、飛び込むように、レンに襲い掛かる。それと同時に、すばやい動きで、メイコを押さえた。

「うっ・・・。」

 後ろから、護衛の衛兵が、メイコを押さえつける。

「今回は、許してやる。だが、王女にこんな事をしたら、ただですまないと思え。」
「なに?」

 メイコは、目を見開き、その『王女』の顔を見上げた。『王女』は、クスクスと笑った。そして、レンは、今度は自らの声で言った。

「まだ分からないのか?今度来るときは、僕ではなく王女の許しをもらうんだな。」

 レンがフードを取る。メイコの目に映った王女は、『王女』ではなく、『召使』だった。

「そんな・・・」
「その女を放り出せ。」
「はっ!」
「くそっ、許さない!王女のせいで、私の大切な人が死んだというのにっ!復讐してやる!」
「いつでもいらしてください。また、私が歓迎しますよ。」
「くそっ・・・くそぉぉぉ!」

 メイコの叫び声と、部屋に戻るレンの足音が、その部屋にいつまでもこだましていた。