二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 君の笑み、そして涙。【イナズマ短編集】 ( No.11 )
- 日時: 2010/02/09 22:22
- 名前: ぺりどっと(元くろーばー) (ID: SLKx/CAW)
第5話 データはアイツの心に
「笠峰は何部だ」
何気なく聞いてみたが、笠峰は
うつむいてしばらく黙り込んでしまった。
「す、吹奏楽部だけど……」
「そうか、楽器は」
「……一応、ホルン」
本当に音楽が好きなら、ホルンの良さや
難しいと思うところを言うのが普通だ。
でも笠峰はそういうのを一切話そうとせず、
ただ哀しげな瞳で何かを見つめていた。
もしかしたら、部活でケンカとか
嫌味を言われたとか、あったのかも
しれない。
「あ、部活のジャマだよね。ゴメン」
そういって、笠峰は去っていった。
俺はなんだかアイツのことが心配に
なってきた。
春奈を守りたい、みたいな感情に
近いかもしれない。(少々大げさだが)
部活後、豪炎寺と帰ることになった。
円堂は部活動委員会(部長が必ず入る委員会)
があり、その他も用事があったりしたので、
今日はいつもと比べて静かだった。
「今日、何かあっただろ」
「あ?」
ふいに質問されて、思わず変な声を
出してしまった。
「やっぱりな……気が抜けてるぞ」
「すまん」
「3組の笠峰、アイツが気になるか」
これまた鋭い指摘だ。(別に気になるわけ
じゃないんだけど)
「おまえは知ってるのか」
「ああ、クラスが一緒だからな。
やっぱり気になってるんだろ」
いつもとは違って、茶化すように
からかってくる豪炎寺。
「まぁ、他の人のことを何でも知りたがる
おまえのことだ。帝国時代は、円堂や
俺のデータも全部持っていた」
いちいち辛口な言葉使うな、コイツ。
「笠峰のことだって、わかるようになる。
だが、アイツのはセキュリティーが
かなり頑丈そうだからな」
「なぜ断言できる」
「同じ班だから」
即答された。余計に気が抜けて、
うっかり小石につまづきそうになった。
「春だし、今のところ暖かい日が
続いているからな。気をつけろよ。
ちょっとした油断が、怪我につながる」
「サッカーみたいにな」
「さすが天才ゲームメーカー」
よく言うな、エースストライカー。
今日は色々な意味で、長い1日だった。