二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君の笑み、そして涙。【イナズマ短編集】 ( No.6 )
日時: 2010/02/09 22:16
名前: ぺりどっと(元くろーばー) (ID: SLKx/CAW)

第2話 図書室の少女 


俺は顔を上げ、声がしたほうを
向いた。

本棚の後ろから何かが出てきた。

女子だ。彼女はしばらく俺を
見つめていた。警戒しているというより、
何か怖がっているようだった。

「……ご、ごめん……なさい」

小さいけどよく通る声で
彼女は言った。

「おまえも、よくここに来るのか」

試しに声をかけてみる。

「はい、ここの本はどれも勉強に
 なりますし、何より面白いですから」

ですます調で喋る彼女に、
ちょっとした違和感を感じた。
リボンを見ると、緑色だった。

俺と、同じ2年生か……。

「おまえ、俺と同じ学年だろ。
 そのリボン、2年生のだからな」

「あなたも2年生なの?」

「ああ、一応な」

一応じゃない、本当にそうだった。

「あなたは、サッカー部の鬼道くんでしょ?」

「ああ、そうだが」

「私、サッカー部の大ファンなの。試合はいつも
 見てたよ」

柔らかく微笑んだ彼女を見ると、何故か
ホッとした。

風に揺れる深い緋色の髪、
少し切なげな翡翠色の瞳——。

日差しのせいだろうか、急に彼女が
輝いて見えた。

「えっと、本を片付けなきゃ」

その瞬間、俺はハッとした。
何をボーッとしているんだ、俺。

いくら暖かいからって……

だが、俺はこれまでにない
鼓動を感じていた。

続く!!