二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君の笑み、そして涙。【イナズマ短編集】 ( No.8 )
日時: 2010/02/09 22:17
名前: ぺりどっと(元くろーばー) (ID: SLKx/CAW)

第3話 休み明けボケ


突然、肩に何かが当たった。
そしてツンツン、俺を攻撃しはじめた。

横を見ると、シャーペンを持った
洋本が俺を睨んでいる。

「他の男子みたいにボケッとして、
 どうすんの?」

小声で注意する洋本。

「いや、ちょっと考え事をだな……」

「全く……確かにヒマだけどさぁ」

今は5時間目。おまけに道徳ときた。

担任が物語りの中盤あたりを
読んでいるが、教室を見回すと副読本を
立てて居眠りしているヤツもいる。

そして、先生が本を読みながら、
ソイツの頭をはたく。そして起きる。

「鬼道もあんなふうにされるとこ
 だったんだよ?ったく危ないんだから」

「……すまん」

「ねぇ、もしかして昼休みにさ、
 何かあったわけ?」

洋本が興味深そうに尋ねてきた。
図書室で、名前を知らない女子に
会った、なんて言ったら……

「え、じゃあ恋しちゃったの?」

と、大騒ぎになることは間違いない。

「図書室に行ってただけだ」

「え、でも貸し出し
 始まってないでしょ?」

「……習慣だから、つい」

「なんだ、運命的な出会いをして、
 恋してドキドキしちゃって、その人
 のこと考えたらボーッとしてた、みたいな
 ことかと思ったのに」

長い台詞を言い終えると、
洋本は急に黙って本を見た。

恋——。あまり聞かない言葉だが、
意外と身近な問題でもある。

例えば円堂や吹雪はモテモテで、
豪炎寺には密かに想いを寄せる女子も
いたりして——。

ちょうど、今日の物語も中学生の
幼馴染が初恋をする内容になっている。
学校では珍しい題材だ。

確か、洋本は豪炎寺のこと……

「はい、では恋とは何だと思うか?
 じゃあ蒼空、野球部を代表して
 答えてみろ」

教室のあちこちからクスクス笑う声が
聞こえる。

「えっと、抑えられない気持ち」

そのときクラスメイトがどっと
笑いこけた。クールな蒼空でも、こんな
こと言うのか……変な感動が生まれた。