二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 「鎌を持てない死神の話」 ボーカロイド小説 ( No.5 )
日時: 2010/03/10 19:37
名前: 紅 ◆F0G3xzx3D6 (ID: tVCgD/M1)

〜第2章〜

「ここが、消え逝く者のいる部屋かぁ」

少年は部屋の前に立ち、つぶやいた。

(とっとと仕事を終わらせようぜ)

鎌はそう言ったけれど、少年は少女を人目見たときから気になっていた。

ここで仕事を破棄することは許されない・・・

少年はそう自分にいいきかせる。

(なんだ?
 あの少女が気になるのか?
 ちゃんと自分の仕事をやり終えろよなっ)

「分かってるよ」

少年は「鎌」に言い返し、部屋に入る。

「病気は進行しています・・・もう、手遅れです」

少女の寝る、ベットの周りを囲んだ医者はそう言った。

「そんな・・・・・」

伯爵達はため息をついて、少女を見つめる。

(ほら、あの少女はもうすぐ消えるんだ)

楽しそうに言う「鎌」の隣で、少年の心は揺れていた。

「じゃあ殺して」

そう冷静に言う少女を見つめた少年は、心に生まれた不思議な気持ちに動揺していた。