二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボーカロイド─IMITATION BLACK─ ( No.3 )
- 日時: 2010/03/21 11:25
- 名前: 涼香 (ID: F35/ckfZ)
第弐話「偽者」
悪の王女が頂点に君臨してから、1年が経った。
そこで、残った民は反乱を起こした。「悪の王女」を倒すために、一致団結したのだった。
「ミレイ!!大丈夫かい!?」
「レイ様…」
「何故、あんな惨殺を繰り返した!?」
「母様が亡くなってから…。自分が悪魔になってしまったようで…。今では何故あんなことをしたのかも解らないのです…」
私の感情は人を騙す為だけのモノ。こういうとき可愛く泣きつけば許して下さるの。
「ミレイ…。やっぱりそうだったんだね、悲しくて自分を見失ってしまったんだね…。ただ、それだけなのに…。君を殺そうとする民を僕が倒してくる!!」
「レイ様…。駄目、行かないで下さい…。あんなことを繰り返した私が受けるべきは罰…。罰を受ける前に、せめて愛する人と一緒にいたいのです」
「ミレイ…」
震えるミレイを優しく強く抱き締めた。
「レイ様…。死ぬのは、怖いです…。きっと民はずっとこんな気持ちでいたのですね…。私は…。私は…!」
「ミレイ、死ぬのが怖いかい?」
「はい…」
「大丈夫、ミレイ服を貸して」
「…?」
「僕の服を貸してあげる。これを着て早く逃げて。今から僕が『ミレイ』だ。君は『レイ』だ」
「レイ様…?」
「大丈夫。身長も近いし、服のサイズは気にしなくていい。顔だってよく似ている。誰も解らないよ」
「…。レイ様は、私の代わりに死ぬと…?」
「うん。王女を守れないなんて、騎士として最低だ」
静かに微笑んだ。まるで死を恐れていないように。
「レイ、『悪の王女はここにいる』と叫んで」
ミレイの代わり死ねるのならば僕は幸せ者だ。
「悪の王女はここにいる!!皆の者、捕らえよ!!」
これこそ計画通り。優しいレイ様なら怯えた私を見て私の代わりに死んで下さると思いました。
「悪の王女はここだー!!!」
「レイ、反対方向に逃げるんだ!!」
「ミレイ、申し訳御座いません…。私のせいで…」
レイに背を向けて走り出す。その顔は悲しみなんて微塵も感じさせない淡麗な無表情だった。
「悪の王女を捕えたぞ!!!」
「この、無礼者!!」
城の窓から、捕らえられたレイ様が見えた。
「さようなら」
何故でしょう…。利用していた彼を本当に愛おしく思ってしまったのでしょうか…。凄く複雑です。
行く所がありません。全ての国の者が集まる、「集結の国」へ行ってみましょう。