二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボーカロイド─IMITATION BLACK─ ( No.5 )
日時: 2010/03/21 11:26
名前: 涼香 (ID: F35/ckfZ)

第四話「可愛い王女」

それからミレイは、可愛い声と顔で誰からも愛された。綺麗な声で歌を歌えば誰もが耳を傾ける。

「ねぇ、ミレイ!残酷な天使のテーゼってどうやって上手に歌えるの?」
歌姫として有名な初音ミクがアドバイスをもらいに来るほどミレイの歌は素晴らしかった。
「最初の『残酷な天使のように 少年よ神話になれ』は重い感じで」
「うんうん」
「難しいけれど、重い所と軽い所がしっかりと歌えればミクさんですもの、綺麗な歌に仕上がりますよ」
「うん!じゃあ、できたら聴いてね!」
「勿論です」
「ちょっとミレイ」
「はい?何ですか、ルコさん」
「高音が上手く出ない。どうすればいいの?」
「腹式呼吸をすれば上手に出ると聞きますが」
「そう、わかった。ありがとう」
「ねぇ、ミレイ〜!」
「はい?」
MEIKOさんが来た。優しくてお姉さんタイプの方。
「発表会でさ、『人柱アリス』歌おうと思うの。ナレーションっていうか…。それ、やってくれない?」
「はい、MEIKOさんの頼みなら」
「ありがと!心強いわ!」
「あー、ミレイ〜!!あのね、あのね!!」
「何ですか?お茶、飲みます?」
リンさんが急いで走ってきて息が上がっている。
「ありがと!!」
「で、何ですっけ?」
「えっとね、あのね…。『悪ノ娘』と『悪ノ召使』の台詞、一緒にやってもらいたいの!!」
「いいですよ」
リンさんが帰った後に、レンさんとKAITOさんとがくぽさんが来た。
「『IMITATION BLACK』のダンス、一緒にやっていただければなぁと…。駄目…ですよね?」
「いいえ、そんなことありませんよ」
「流石ミレイちゃん!ありがとう!」
KAITOさんが嬉しそうな笑顔で言ってくれる。
「ほら、がくぽもお礼しなきゃ!」
「…。助かる…」
コイツといるとどうも調子が狂う。歌っている時のミレイは好きだ。とても輝いて見える。だが、歌っていないときは悪魔に見えて気に食わない。

それからミレイは発表会の出演のひっぱりだこになった。どれだけ大変なことを言われても全てOKを出している。
優しさも彼女の魅力だと全ての人が信じていた。
状況に応じて変わる声と何かに取りつかれたのではないかと思うほど上手に演じきる演技。
素晴らしい逸材を見つけたと教師たちは騒いでいた。

「うっ、うわぁぁぁ!!!離れてください!!!」
「『離れて下さい』って…。演出だから仕方ないじゃん」
先ほどまでレンさんとKAITOさんは唇が触れるのではないかと思うくらい近づいていた。
「でっ、でもっ!!僕だって男です!!」
そして、部屋を飛び出そうとしていたところにミレイを見つけ、
「ミレイさん!!僕の代わりに任せました!!この衣装着て僕の代わりに歌って下さい!!」
「はい?」
手渡された服は胸の辺りに薔薇の花がついたゴスロリだった。
「ちょっ、レン!!困ったなぁ〜…。ミレイちゃん、代わりにやってくれる?」
「私で宜しいのですか?」
「勿論!この歌、覚えてる?」
IMITATION BLACKが流れてきた。
「はい、覚えています」
「よかった!じゃあ、レンのところ代わりに歌ってくれない?」
「えっ…。あぁ、はい…」
IMITATION BLACKをやってみて、レンさんが嫌がる理由がわかりました。口づけするくらいまで近づいたり、抱き締められたり…。確かに男性なら嫌ですよね。
「上手いな…」
がくぽさんに褒めていただけました。
「有難う御座います。がくぽさんも素敵でしたよ」
「…」
後ろを向いてしまった。少し照れていたような気がしましたが、気のせいでしょうか?
「僕はどうだった?」
「KAITOさんも素晴らしかったですよ」
「なんかミレイちゃんに褒められるって嬉しいな〜」
このときの3人は穏やかだった。後に何が起きるのかも知らなかったときは…。