二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: テニスの王子様トリップ小説『創造された世界』 ( No.2 )
- 日時: 2010/03/31 16:51
- 名前: 霽月 (ID: HKLnqVHP)
——ピピッ…ピピピッ……
「ん……、朝?」
目覚まし時計の音で目を覚まし、天井を無意識に仰いだ。
そろそろ起きて準備をしないと。
そう思って体を起こし覚束ない足取りでクローゼットへと向う。
「ん…、服……あ、あれ。」
おかしい、着慣れたはずの私服が見当たらない。
いや、その前に眠気で気づかなかったが…
「ここ、何処?」
辺りを見渡せばそこは見慣れた部屋ではなかった。
生活感があまりない部屋は一体誰の部屋なのか。
いや、確かに私は学校の関係でアパートに一人暮らしをしている。
けれども、私が住んでいるアパートはもっと狭い。
そして更に驚くべきことが次々とおこった。
まず、私の通っている大学の参考書がすべて変わっていた事。
そして携帯のメモリーがすべて消えていたこと。
ふと出てきた保険証が目にはいった。
その瞬間しばらく私の思考が停止した。
——平成×年生まれっ?
「ま、まって。私は平成×生まれじゃない、それにこの保険証通りだと…
私は今15……。」
おかしい、すべてがおかしい。
4歳も若返ったということか?
いや、そんな馬鹿な話があるはずがない。
「お母さんに連絡してみようっ」
震える手で家の電話を掛ける。
——現在、この電話番号は、…
聞こえてきた女性の声に私は絶望した。
何度かけても結果は同じ
「どう、言う事?」
しばらくその場に座り込み震える体を必死に守るようにして私はうずくまった。
どれくらい時間がたったであろうか。
このままでは何も解決しない、と私は部屋を見渡した。
その瞬間…
——プルル…
突然部屋に掛けてある電話が鳴り始めた。
あわてて私は受話器をとる
「も、もしもしっ!」
藁にもすがるような気持ちだった為、思わず力んだ声をだしてしまった。
『あぁ、結ちゃん?叔母さんだけど……。』
叔母さん?
その言葉に私は眉を寄せた。
おかしい、叔母さんなどいないはずだ。
両親とも兄弟、あるいは姉妹などいなかったはず……。
しかし、その“叔母さん”は確かに私の名前を読んだ。
もしかしたら、何か糸口が見えるかもしれない。
この変わり果てた現状を把握する事がまずは第一だ。
私は、なにが起ったのか知ることを決めた。
それにはまず、この叔母さんに話をあわせるしかない……
『入学手続、そっちにはもう着いたかしら?』
はぁ?っと思わずでそうになった言葉をぐっと呑む。
そして急ぎ足で玄関を出て、ポストを覗く。
これは…
中にあったのはパンフレットといろんな書類
「あ、あの…入学手続って」
『立海大付属高校の入学手続よ。』
その言葉を聞いた眩暈がした。
今、なんて?
私の聞き間違いだよね?いや、そもそもどういう…
混乱している私などおかまいなしに叔母さんは話を続ける。
『両親を事故で亡くして辛いのは分かるけど、しっかりしなきゃね。
あぁ、そう。口座にあなた名義で毎月お金を入れておくからね。それと……』
もうなにも言葉が出ない。
唖然とする私にさらに追い討ちをかけるようにして話は進んでいった。
受話器を置き、ベットにもぐりこむ。
そして今この現状を頭のなかでまとめた。
まず、両親は事故で泣くなり何故か私は一人暮らしをしている。
まずこの時点でおかしい。
両親は健在だ、いや、仮に亡くなったとしても何故高校生が一人暮らしを?
そもそも、何故私は高校生になった?
そして、「立海大付属」とはあの立海?
いや、これはもしかしたら同じ名前の学校だとしよう。
尽きぬ疑問に頭を抱えた。
——…全く、どっかのありきたりな夢小説の設定じゃあるまいし……
夢、小説…
「まさか、…。でもそんな馬鹿な」
本日二度目の眩暈
そうだ、そうに違いない。
若返り、両親の死。
そして都合よく遺産がかなり残され、中学生の一人暮らし。
しかも、何故3年生からわざわざ転入を?
あれであれば、一気にこの疑問は解決される。
そう、ここは…
間違いなく創られた世界。
そして、私は夢小説の言葉で言うと、トリップしてしまったのだ。