二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼—Dream— ( No.3 )
日時: 2010/04/10 11:10
名前: 慧 ◆7nKhwj2R0I (ID: M22.tfSC)

第二話





江戸に来て早一ヶ月。


そろそろ働き時かと思い、雇ってくれそうな


店を探していた


『夜に雇ってくれる所の方が給料は高い・・・か。
 仕方ない、文句は言っていられないしな』


親の顔も知らず祖父に預けられた私は


こうして稼ぐしか生きていけないのだ。


『本当、不運だな』


夜に女が町を歩き回る訳にもいかないので


袴を着て男装しながら店を見て回る事にした


色事に弱い私は本当にそんな店でやっていけるの


だろうかと不安になった、その時だった——



「おい、小奇麗な兄ちゃんがいるぜ」


「ひゃははっ!本当だな!」


・・・酒に酔っているのか、男は腰に提げていた


刀を抜いた。


『!!』


勿論、こちらも丸腰ではない。


だが剣術など習った事もなかった


ただの見掛け倒しだ。


「おいおい震えてやがるぞ!」


「こんな面白いときにお頭はどこにいっちまった
 んだー?」


お頭、という言葉で検討がついた。


こいつらナリは武士の格好だが、ちまたを騒がせ


ている盗賊だ。


なんとかして逃げようと江戸の町を走り回った


奴等は懲りずに追いかけてくる


『は・・・はっ』


段々息があがり苦しくなってきた直後


追いついてきた男に斬りかかられた。


が、衝撃は襲ってこなかった


なぜなら


「が・・、ひっ・・ぅぁぁああ”あ”!!!」


男は悲鳴と共に白髪の青い袴の男に斬られていた


「ヒャハハハハハッ!!」


斬りつけた白髪の男は狂ったかのように


甲高い声を上げ、笑っていた。


目の前で人が殺され、生暖かい返り血を


浴びてしまった私は呼吸すら忘れた。


「血・・・血だァ」


嬉しそうに笑っている男がこちらを向いた。


視界に捕らえたのは、










『ぅわぁぁああ!!』


必死に斬りかかったがそれも虚しく、


振り上げた刀は宙を舞った。


悲鳴すらあげることなく


宙に舞った刀と共に私の身体は地に堕ちた。


最後に見たのは、綺麗な漆黒の髪と男の断末魔






【これぞ不運】