二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼—Dream— ( No.4 )
日時: 2010/04/10 12:03
名前: 慧 ◆7nKhwj2R0I (ID: M22.tfSC)

第三話





「——・・・、な・・!」


「仕方・・・・、さ。」


ふわふわと視界が揺らめく中、


二人の人間が争っている声が聞こえた


眼を恐る恐る開けると


「おや、起きたかい?」


少し驚いたが、優しそうな声の男性に話しかけられた


何かを話そうとしたが、口に布を巻かれている


らしく、声が出せない。


「すまないね、こんな扱いで・・・今縄を
 解くからね」


男の人は手の縄を少し解いてくれた


勿論、口に巻かれた布も。


「口の中のも出しちゃって」


口の中には丸められた布が押し込まれていた


『ふぅ、えーと・・・貴方は』


「ああ私かい?私は井上源三郎というんだ。
 新選組の六番組組長をしているんだよ」


新選組・・・!?


「おい源さん!ベラベラと喋ってもらっちゃ
 困るぜ」


「今更じゃないですか土方さん。この子僕らが
 あの失敗作の隊士殺す所見ちゃってるわけだし?」


「黙ってろ総司!!」


物凄い剣幕で黒髪の眉間に皺を寄せた男が


飄々とした薄ら笑いを浮かべている男に


怒鳴った。


この空気は辛い。


『・・・初めまして、私神崎といいます。』


と、礼儀正しく挨拶をし頭を下げると


薄ら笑いを浮かべた男が爆笑した


「ハハッ普通そこで自己紹介する?変な子だね」


変な子で悪かったな。


この人は笑っているけど、心が笑っていない


冷めたような眼を向けられるのは慣れているが


殺気は収めてもらいたいところだ。


『私、見てません』


「本当に見てないんだな?」


疑るように皺の人が睨む


『・・・みてません』


はぁ、と溜息をついた皺の人


後ろの襖を開けると一人の男の子が荒々しく


腕を掴まれ放り投げられた


「こいつも目撃者だ。だが見ていないの一点張りでな」


”こいつも”ということは既に嘘は見透かされて


いるのだろう


まずい展開だ


『もし見ていたらどうなると言うのですか』


普通は聞いておきたいものだろう


皺の人は重苦しそうに顔をあげ、


「始末する」


少し身体が強張った私を見て、もう一溜息


「ほら、土方さん殺っちゃいましょうよ。
 後々面倒になるの僕らでしょ?」


あの言葉を後押しするように簡単に殺そう


と言い放った薄ら男。


どうしたらいいか、内心焦っていた


『殺すなら勝手に殺すといい。
 だが貴様らは民を守る新選組ではないのか?
 いっそあの化け物のように私達を殺すか——』


冷たい声と眼でそう言いかけた途端私は胸倉を掴まれ


「やめろ原田!」

「あ、おい左之さん!!」


原田という男に殴られた


腕を縛られ受身の取れない私はそのまま畳に


叩きつけられた


殴られたところがじんじんと鈍く痛む


『っ・・・』


これは痛い


「てめぇ!さっきから黙って聞いてりゃ・・
 奴等と俺らを一緒にするんじゃねぇ!!」


「左之さんやり過ぎだって!」


小柄な長髪の男の子が私に手を差し伸べる


「悪かったな、でも俺もさっきの言葉気に食わない」


『すいませんつい・・・うえ、口の中切れてる。』


怪訝そうに眉を寄せ顔を顰めると口から血がボタボタ


落ちた。


?、何だろうこの感覚。


なつかしいような、悲しいような


「おい、お前ら部屋行ってろ。
 後は局長と俺と山南さんで始末を決める」


渋々といった感じで部屋へぞろぞろと


戻っていく新選組の隊士達。


さっきから気を失っているこの男の子


が気になりながらも、私は二人を鋭利な眼で


見ていた。