二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】椿の化身は彷徨い続ける—。 ( No.25 )
日時: 2010/04/17 12:09
名前: Ive (ID: Rl.Tjeyz)


【1話】雨の下咲き誇れ椿花


「・・・お前どうしたの?」

しとしとと降る雨の中——。

「顔色悪いし・・・。」

傘もささずしゃがみ込んだ、黒地に白い椿の模様の着物を着て、黒髪に白い椿の髪飾りがとても映えている少女と話しかける少女がいた。

と、黒髪の少女がふら・・・と傾いたと同時に水たまりの跳ねる音がした。

「・・・しょうがねぇ・・・」

そう言ってくるくるした茶髪に異なった色の瞳をした少女が黒髪の少女を抱きかかえ、大きな門に『真選組屯所』と書いてあるところへ入っていった。

「なんだこいつは?」

「知らねぇ。」

「あ?拾ったんだろ?」

「そこにしゃがみ込んでた。なんかわかんねぇけど。体冷えてるし随分長いこと居たんだな。」

黒髪の少女を布団に寝かして、茶髪の少女と黒髪の男が話していた。

「まぁ理由があるんでしょうねィ。なぁ友里亜?」

「ま、そうだろうな。」

栗色の髪をした男に友里亜と呼ばれたのは茶髪の少女。彼女の名は眞木友里亜。元暗殺屋で指名手配犯だったが、その腕を見込まれ、真選組に入ることになった、唯一の女隊員。彼女には紅と紫の瞳など色々な過去もある。

「なんでこんな餓鬼が・・・?」

「土方ー。こいつしばらく此処に置いといた方が良い。」

「あ?なんでだ?」

土方と呼ばれたのは黒髪の男。

「沖田にもわかんねぇ?」

沖田とは栗色も髪の男。

「・・・何がわかるんですかィ?」

問われた友里亜は少し顔をしかめた。

「・・・こいつは何か・・・人間じゃない。でも・・・天人でもない。」

「じゃあ何だ?」

「それは直で本人に聞いた方がいいだろ。」

三人の視線が黒髪の少女に移る。一つは疑った目。一つは観察する目。一つは眺める目。

「——だから雨は嫌いだ。良いことなんて有るわけねぇ・・・。」

憎々しげに言葉を吐いて、友里亜はその場を去った。