二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.265 )
- 日時: 2010/06/27 12:45
- 名前: 亮 (ID: TtH9.zpr)
ごめんなさい。
すみませんでした。
私が悪かったです。
え? 棒読み?
そんなことないよ!
ホントだって、マジだから、マジ!!
マジでガチでごめんなさい。 誤ります、すみません。
土下座って、おい、ちょ、それはさ、彼女に言うコトじゃないでしょ?
そこはさー、「俺が悪かった、ごめん」でしょ?
んで、「海羽が好きすぎて」とかなんとかさ?
ごめ、マジでごめんってば!
え? 調子に乗ってる?
そんなことないよ!
ただちょっと攻められて嬉しいとかそういう、て、イタタタタタ、ほっぺ抓らないで!!
塚、笑顔だし、笑ってるし!
コワ、コワイ、コワイって!!
いい加減、機嫌直してよ・・・
「どうしたの、海羽」
透き通るような綺麗な声が、放課後の3−Cの教室に妙に大きく響いた。
声の主は、1番後ろの窓際の席に優しく穏やかな笑顔を浮かべて腰掛けている。
「せっかく、放課後の教室に彼氏と2人きりなのにね」
机に頬杖をつく。
微笑みはそのまま。
「目が死んでるよ?」
声の調子も、表情もそのまま。
ただ1つ、目を除いては。
———お前だって、十分死んでるっての!
海羽はココロの中で叫ぶ。
「海羽は俺と一緒にいられるコト、嬉しくないの? 不満でも、あるの?」
「滅相もございません!」(海羽)
海羽は大声でその説を否定する。
「そりゃね、多少はね、不満だよ? 私と女の子たちのスーパーデラックスな楽しい時間をさ、幸村は丸潰しにしちゃったじゃん? 折角、うまくコレで『可愛い系男の娘』に変装できたのに、お前が来るから皆にバレちゃんたんだよ?! 楽しい時間は苦労しなきゃ手に入らないのに!! ・・・・・・あ」(海羽)
「しまった」と言う様に、海羽は手を口に当てる。
そして、へらへらと笑ってみせた。
「海羽」(幸村)
当然。
「ゆ、幸村・・・」(海羽)
この人が。
「分かってる、よね?」(幸村)
許してくれるはず、
「(ああ、サヨナラこの世。 こんにちはあの世)」
無いのです。
「俺と女の子と、どっちが大切なのかな?」
幸村はあくまで微笑んだまま、尋ねる。
「そりは、当たり前に、ゆっきーだよ? あー、でも、B組の瑞生ちゃんの笑顔は神」(海羽)
もう謝っているのか挑発しているのか分からない、海羽の言葉。
幸村は、不気味な微笑みのままだった。
海羽は、赤也のロッカーから拝借した立海大のジャージを握り締めて笑って見せた。
幸村はそれを見て、ほんのすこし、ほんの少しだけ、—————拳に力を入れた。
———気に入らない。
「ねぇ、海羽」(幸村)
「はい?」(海羽)
あくまでも、笑顔。
でも、どうしようもなく、笑顔じゃない。
「何で怒ってるか、分かってるよね?」(幸村)
変装してして、部に紛れてたから。
海羽の頭に、それが思い浮かぶ。
さっきから何度も、それについて話しているのに、幸村は何故改めて訊くのだろう。
「へ?」(海羽)
そんな疑問が、声になって出る。
「随分ととぼけた顔をするんだね? 分かっている癖に」(幸村)
「え、ちょ、えっと、変装してたことは、ホントにゴメン!」(海羽)
「・・・」(幸村)
幸村はついに、口を閉ざす。
———やばい、完全に、
「自分で考えたらどうかな? 海羽」(幸村)
———あああ、完全に。
———————怒ってる!!
さっきまでの楽しんでる黒い笑みではない。
完全に、“怒りの笑み”だ。
「え、えと、瑞生ちゃんの笑顔が神って言ったから?」(海羽)
「はぁ、」(幸村)
———ため息?!
「じゃぁ、他の女の子たちと、デートの約束とかしたから?!」(海羽)
「・・・海羽、いい加減にしなよ」(幸村)
———何? 変装してたコトじゃ、ないの??
「・・・いつまでも分からないんじゃぁ、五感を奪うよ」(幸村)
「待って! 考えるから! 待ちなさい、幸村くん!」(海羽)
———ヤバイ! 全然、機嫌直ってねー!
海羽は考える。
己の脳をフル回転させて。
彼氏の機嫌を、何とか戻さなければ。
「海羽?」(幸村)
急に何も言わなくなった海羽に疑問を持ち、幸村は話しかける。
海羽は、自分の世界に入っているようで、幸村の呼びかけに応えない。
「・・・本当に、鈍感なんだね」(幸村)
当然、幸村のその言葉も聞こえていない。
数分後。
「それで? 分かったの?」(幸村)
海羽は泣きそうに言う。
「ヒント! ヒントちょーだい!」(海羽)
「・・・それを訊くとは、良い度胸だね」(幸村)
「すみませんでした」(海羽)
百面相する彼女を、見つめる。
その姿は、なんだか、凄く。
「あ——!!! 分かった!!」(海羽)
「えっとね、アレでしょ? 男装した私があまりにも可愛くて、好きになっちゃったから^^」(海羽)
———キミは、凄く。
海羽は無邪気に笑って言った。
なんて馬鹿馬鹿しい理由なんだろう。
本気なのか冗談なのか、よく分からない微笑みで膿み羽は言う。
幸村に、何故だかいつも通りの微笑みが戻った。
「? 幸村?」
突然の変わりように、海羽は首を傾げる。
そんなのは、お構いなしに。
———キミは凄く、———————————可愛いんだ。
幸村は、彼女を包み込む。
「?! 幸村?!」(海羽)
混乱する海羽。
幸村はやっぱり、楽しそうに微笑む。
「仕方ないから、そういうことにとておいてあげるよ」(幸村)
———え?
「じゃぁさ、幸村は私がカワイイって思ったってコト?」(海羽)
期待を込めて、海羽は訊く。
「正確には———、考え込んでるキミが、凄く惨めで、凄く可愛く見えたんだよ」(幸村)
「・・・・・・それ、褒められてるって取ってもいいの?」(海羽)
———取りあえず、機嫌直ったの?
自分の腕の中で、混乱気味の彼女を見る。
そんな姿が、たまらなく可愛く見えて。
思わず、抱き寄せてしまう。
それほどに愛しいキミだからこそ。
「ねぇ、海羽」(幸村)
「ん?」(海羽)
「手に持ってるそれは、誰のかな?」(幸村)
“それ”
海羽が使った、立海のユニフォーム。
「・・・? 赤也、のだよ?」(海羽)
「ふーん」(幸村)
再び、
再び、幸村は不気味な笑みを浮かべる。
「幸村?」(海羽)
「今度からは———————————、俺のを、貸してあげるよ」(幸村)
「・・・ハイ」(海羽)
「ふふっ」(幸村)
焦る海羽を、もう1度抱き寄せる。
もう、機嫌が良いんだか悪いんだか。
「もう、赤也のはいらないよね?」
その一言で、なんとなく、幸村が怒っていた理由が分かってしまった。
そのコトは、誰にも内緒。