二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 記憶ノ螺旋 薄桜鬼 ( No.7 )
日時: 2010/04/30 16:06
名前: 牙暁 (ID: ouG7SBqg)

 ■参個目....

彼と出逢った僕が、引摺られる様にして辿り着いた此の場所。
其れが、新選組の本拠地だった。

彼に誘導され、僕はある部屋の一室に放り込まれる。
僕の扱いはもの凄く乱暴で、僕は床の畳に思いっきりダイブした。
しかし、其れは布団の様に柔らかい筈もなく、予想以上に顎を強打してしまった。

「いった── ……」

痛さのあまり目尻に涙が溜まる。
僕は其れを気にせず、其の侭畳に突っ伏していた。

「……何か僕が男の子みたいな扱いだな」

目を閉じると木々が風にさわさわと吹かれている音が聞こえてくる。
其れを聞いていると、睡魔がどっと押し寄せてきた。
僕は只其れに身を委ねる。


「あの── ……」

ふと、遠慮がちな呟きが耳に届く。
其の声は、僕に喋りかけている様だった。
仕方無く、僕は重い瞼を押し上げる。

半開きした僕の瞳に映ったのは、美形の男の子。
……では無く、男装した女の子だった。

「………だ、誰?」

半分夢の中の僕は、寝惚けながら質問する。

「あ、私は雪村千鶴っていいます。貴方の名前は?」
「僕、嘉神雅焔。で、何?」

手の甲で目を擦りながら、又僕は問う。
千鶴は少し躊躇った様子を見せ、口を開く。

「君が、羅刹を殺したの?」
「そうだけど?(即答)」

僕がそう答えると、千鶴は言葉に詰まった顔をし黙り込む。
其の一つ一つの行動が、確実に女なのだと物語っている。
さて、如何しよう。僕は千鶴に何を話せば良いのだろう。

僕が千鶴に何か話しかけ様と身を乗り出した時、襖が勢い良く開いた。
現れたのは、黒髪の整った顔立ちの長身の男。

「千鶴、そいつを連れて俺の部屋に来い」
「はい!」

彼は其れだけ言うと、去って行く。
僕は横目で千鶴を見た。
千鶴の表情は、何故か嬉しそうに輝いて見える。
しかし、そんな千鶴と対照的に、僕は顔を硬調させる。


僕の処分判決が下される。
開放されるのか。処分されるのか。
僕の心蔵が大きく高鳴り始めた。