二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 唄魂!-utatama- 【銀魂】 ( No.6 )
- 日時: 2010/04/25 14:09
- 名前: 柏木その ◆NrQDiBQfmg (ID: ZYR2ZLjZ)
第一訓*『困った時はうんちくをそれっぽく語れ』
「…………。」
「ねえ、銀さん」
「…………。」
「無視か、おい無視かコノヤロー。
何でいい年こいた3人でギチギチに炬燵の中で息を殺してんですか。
何かもう切ないんですけど。」
「バカヤロー声出すんじゃねぇよ。気取られるぞ」
「いやいやちょっと。気取られるって……」
日曜の真昼間、さんさんと太陽が照りつける中、
いい年こいた大人が炬燵の中でギチギチになって汗だくになっている
——————決して好んでみたい光景じゃあない、うん。
新八はこれみよがしに溜息をついた。
もう何かむれてきたし。
早く出て外のすがすがしい空気を胸いっぱいに吸い込みたい。
第一、何でこんな我慢大会じみた事をしているかというと、
「あ、くっせ!今誰か屁こいたろ!いい加減にしろよ空気密度の事考えろよコノヤロー
この密封空間の中で屁こくってナチス時代のガス室並みの拷問だぞオイ!」
「こいてないアル。銀ちゃんの足じゃないアルか?
第一————何でまだ来てもいない家賃回収に怯えなきゃなんねぇアルか。不毛アル」
そう、家賃回収対策である。
「そうですよ、銀さん。それに依頼ならこないだあったでしょ?
何でそんなすぐ使っちゃうんですか!」
「バっカお前、大人にはなんちゃら税やらなんとか利子、家賃より先に払わなきゃなんねーもんが腐るほどあんだよバカヤロー」
「だったら飲みに行くの控えたらいいじゃないですかコノヤロー」
「大人には大人の付き合いがあんの。
ちなみにぶどう酒を日本に初めて持ってきたのは、フランシスコ・ザビエルだそうですっよ!」
「おい何で今うんちくでごまかした!?上田MCか!くりぃむしちゅーか!」
ぞんざいな態度の銀時に、新八は思い切りシャウトする。
そこで、ぼそっと口を開いたのは神楽。
「銀ちゃーん、…おしっこ」
「はあああァァァ!?
いーかげんにしろよお前どんだけ空気読めねぇんだお前もう帰れお前!
さっきも屁こくしもうガッカリだよ。銀さんお前にはガッカリだよ」
「屁は私じゃねーっつってんだろこの天パ。まあちょっくら行ってくるアル」
ごそごそと這い出して、止める間もなく、神楽はパタパタとトイレに駆けて行った。
「「………………。」」
「銀さん、あの、僕ももう出ていいですか。のど乾いたし」
続いて這い出そうとした新八の裾を、すかさず銀時が掴む。
「おいおい待て待て早まるな。
もしかしたらお前が動いた瞬間に気取られて侵入されっかもしんねぇだろ。
なるべく動くな。息を殺せ。宇宙と一つになれ」
「だぁっからねぇっつってんだろ!どんだけ?どんだけ過剰防衛!?
どんだけ金ねぇんだようちは!タマさんだってそこまでしませんよ!!」
「人んちのドア吹き飛ばす奴だぞ!?次は窓くらい持ってかれてもおかしくねぇだろ!」
効果音がつくとしたら、くわっ、だろう。
暗いからよく見えないが、そんな形相で銀時は言う。
以前強引に侵入されたのがかなりトラウマになったらしい。てか、どんだけ必死?
「銀ちゃーん!!紙、紙がないアル!ヘルスミー!!」
と、トイレから叫びだしたのは神楽。
ぷち、と銀時の頭の中から小気味の良い音がした。
「だぁぁぁぁからいい加減にしろよお前ェェェェ!!
振れ!紙がないなら振っておけ!それよりもこっちはもっと重要な死活問題が」
切れた彼が炬燵から這い出した所で。
ガシャアアアアアアアン!!!
窓ガラスが、派手に割れる音がした。
銀時と、新八の動きが止まる。
……まじで?え、まじでタマさん?気取られたの?怒ってんの?
恐る恐る振り返ると、そこには、
——————見たこともない少女が立っていた。
「「…………誰?」」