二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 学園アリス~絆のアリスストーン~三話up!!お知らせあり ( No.12 )
- 日時: 2010/05/30 08:17
- 名前: 夜琉 ◆nFgGo2zKeY (ID: CUrDDjil)
- 参照: http://d.hatena.ne.jp/my-reborn/
五話 「お帰り」
その日、夢羽は琉羽には会わず、そのまま寮に帰った。
だが、解決するとは分かっているものの、気持ちはただただ重い。
それは、夢羽だけではなく、スミレも同じ気持ちだった。
—————スミレside—————
何故あの時、夢羽ちゃんを引っ叩いたのか。
自分でもよく分からない。
自分が、何をしたいのかよく分からない。
あの時は、もう何がなんだかわからなくて。
ただただ、呼び捨てにして、引っ叩いて。
もう自分が、何をしたいのかなんて分からない。
「どうすればいいのかな……」(スミレ)
そんな思いを胸にして。
その日は、深い眠りについた。
——————————
「委員長おっはよーっ!」(蜜柑)
「あ、お早う蜜柑ちゃん。今日は、良い知らせがあるって聞いてるよ」(委員長)
「先生がそう言ってたわ」(蛍)
蛍や委員長の言葉に、蜜柑が目を輝かせる。
そこへ棗が入ってくる。
それはともあれ、良い事とは何なのか
すると、ガラッとドアが開いた。
ドアの向こうからは、鳴海先生が入ってくる。
「もう聞いたと思うけど、良い知らせがあります」(鳴海)
そう言う鳴海先生の表情は、非常に穏やかだった。
まぁ、穏やかじゃない時なんてほとんどないが。
それは置いておくとして、本当に良い知らせとは何か。
皆は、ただそれだけを気にしていた。
「おいで」(鳴海)
鳴海はそれだけを言った。
その掛け声とともに入ってきたのは、一人の少女だった。
だけどそれは、見覚えのある顔だった。
その人物、少女というのは“琉羽”だったからだ。
「改めて自己紹介を宜しく」(鳴海)
「……はい」(琉羽)
そう言って返事をする琉羽は、前とは何だか違った。
明るくて、皆のムードメーカー的存在だった琉羽。
だけど、今は全然違う雰囲気だった。
暗くて、そして静かなところを好むクールという感じの雰囲気。
前とは、比べ物にならなかった。
確かに、病院の時からおかしいと思っていた。
だけどだけどだけど、おかしい。変わりようが。
「五年前お世話になってました、稀依野琉羽です。また、宜しく」(琉羽)
「じゃぁ、琉羽ちゃんは蜜柑ちゃんの横の席に座って?」(鳴海)
琉羽は、コクリと頷いて席に着いた。
やっぱり“雰囲気”が変わっていた。
まぁ、こんなことを蜜柑が知るはずもないが。
「琉羽ちゃん、二回目の対面やなっ! 宜しゅうな」(蜜柑)
「……うん」(琉羽)
琉羽が、そっけなく返事を返す。
これを蜜柑は不満に思ったのか、口を尖らせる。
それと同時に、終わりを告げる予鈴がなった。
「では、次の授業は能力別クラスです」(鳴海)
鳴海は、そう言って出て行った。
静まり返る教室。
それを破ったのは、スミレだった。
「久しぶりですわ、琉羽ちゃん」(スミレ)
「……うん、久しぶり」(琉羽)
そっけなく返事を返す、琉羽。
その声は、以外と透き通るもので。
小さい声ではあるが、よく聞き取れる。
そういうところは変わってはいない。
だけど今の琉羽は……琉羽じゃない。
琉羽だけど、琉羽じゃない。
難しいことだけで、そう表すのが精一杯。
そんなこんなで、休み時間が過ぎようとしていた。