二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 学園アリス~絆のアリスストーン~一話up!! ( No.4 )
- 日時: 2010/04/27 13:31
- 名前: 夜琉 ◆nFgGo2zKeY (ID: CUrDDjil)
- 参照: http://d.hatena.ne.jp/my-reborn/
二話 「君に会いに」
琉羽という女の子が目を開けた。
大きなその瞳が、カメラを捕らえる。
それと同時に、映像は途切れてしまった。
「琉羽って……」(委員長)
「誰やろ?」(蜜柑)
委員長と蜜柑が、不思議そうに見つめ合う。
すると、パーマこと正田 スミレが、口を開く。
「あの琉羽ちゃんが帰ってきた……?」(スミレ)
「そうなのかな……」(委員長)
スミレの発言に、委員長は不安そうな声で言った。
教室は、少しずつ騒がしくなってゆく。
「あの“琉羽”なのか?」
「そうなのかな……、帰ってきたのかな?」
そう、生徒達が口々に言う。
蜜柑には、何のことだがさっぱり分からない。
そんな蜜柑を見た委員長は、口を開いて言った。
「あのね、今から五年前に、初等部A組生徒逃亡事件があったんだ」(委員長)
「それが、この子と関係してるん……?」(蜜柑)
蜜柑は、委員長に不思議そうに聞く。
そんな蜜柑の質問に、委員長は頷く。
そのまま委員長は、話を続けた。
「五年前のある日、A組の生徒が逃亡しちゃったんだけど……、その生徒の名前が——……」(委員長)
委員長の発言に、蜜柑の喉がゴクリと鳴る。
そして、委員長は蜜柑に言った。
「“稀依野 琉羽”ちゃん」(委員長)
「“琉羽”……、ってさっきの!?」(蜜柑)
委員長の話を聞いて、蜜柑が大声をあげる。
そんな蜜柑の大声を聞いて、首を横にフルフルと振った。
発言によると、本当にその琉羽ちゃんかどうかは分からないらしい。
そして、その近くに居た、もう一人の女の子は多分「稀依野 夢羽」ちゃん。
稀依野 琉羽ちゃんの妹、らしい(話によると)。
妹と言っても、二卵性らしくそれほど似てはいない。
「そっか……。学校生活が辛くなったんかな……」(蜜柑)
蜜柑が、心配そうに空を見上げた。
その顔が、いつもよりも切なく見えた。
その時だった、またガラッとドアが開く。
それと同時に入ってきたのは、鳴海先生だった。
「皆ごめんね? 今日は転校生が居るよ」(鳴海)
生徒全員、喉をゴクリと鳴らす。
そんな生徒達を、鳴海先生は不思議に思った。
だが、気にせずにドアの向こう側に居る生徒に言う。
「では、入ってきてね」(鳴海)
見た目では、鳴海先生はかなり乗り気のようで。
すると、ドアの向こうからは一人の少女が入ってきた。
生徒達の予想では、“二人”の少女が入ってくるはずなのだが……。
入ってきたのは、さっきの映像の歩いていた方の子。
「この子です。じゃぁ、自己紹介してね」(鳴海)
鳴海が言っていても、その子はボーッとしている。
そこで、鳴海先生が肩をトントンっと叩く。
それでようやく、我に返ったようで。
「あ、すみませーん。自己紹介ですよね? 稀依野 夢羽でっす! 久しぶり……の人も居るよね?」(夢羽)
「夢羽ちゃん……」(鳴海)
鳴海が、心配そうに夢羽に話しかける。
それもそのはず。
夢羽の隣には、“あの人”が居ない。
今、夢羽の隣には、“あの人”が居ない。
元気を出そうにも、元気なんて出せない。
「今日は、自習にします」(鳴海)
鳴海先生は、それだけ言うとB組を後にした。
夢羽はそれを見ると、悲しそうに自分の席に着いた。
スミレが、夢羽に話しかける。
「お久しぶりですわ、夢羽ちゃん」(スミレ)
「……久しぶり、スミレちゃん」(夢羽)
前の時の夢羽は、明るくて元気だった。
だけど、今の夢羽は違う。
暗くて、無口で。
いつもの夢羽とは、全然違う。
そんな夢羽に、スミレが勇気を振り絞って聞いた。
そう、琉羽のことを。
「あの……、琉羽ちゃんって今どうしてる……?」(スミレ)
スミレの質問を聞いて、生徒達が返答を待つ。
質問に対して、夢羽は悲しそうに言った。
皆に向かって、こう。
「琉羽の居場所なら知ってる。……見に行く?」(夢羽)
夢羽が、「本当に行くの?」とでも言うように聞く。
そんな夢羽の言葉で、最初に頷いたのはスミレだった。
勇気を出して、今琉羽に会いに行くと。
スミレの頷きを合図にでもしたかのように、生徒達が次々に頷きだす。
その生徒達に悲しみの表情はなく、ただただ凛々しい表情だけをしていた。
そんな皆を見て、夢羽は安心したかのように笑う。
「そっか。じゃぁ、行こ!」(夢羽)
夢羽は、言葉と同時に席を立つ。
そして、駆け出した。ドアに向かって。
行き先は……琉羽のところ。
生徒達全員(棗やルカ達などを除く)が、それについて行った。
もちろん、蜜柑達も。